2009年2月9日月曜日

取消2008-300839

【管理番号】第1189161号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300839(T2008-300839/J2)
【審判請求日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【確定日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Z0942)
【請求人】
【氏名又は名称】ジーメンス・アクチエンゲゼルシヤフト
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 D-80333 ミュンヘン ヴィッテルスバッハープラッツ 2
【代理人】
【弁護士】
【氏名又は名称】加藤 義明
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 和香子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
【被請求人】
【氏名又は名称】横河電機株式会社
【住所又は居所】東京都武蔵野市中町2丁目9番32号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4875850号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4875850号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)の貸与」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4875850号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び指定役務及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品及び指定役務についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品及び指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品及び指定役務中「結論掲記の指定商品及び指定役務」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【結審通知日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【審決日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願2001-50101(T2001-50101)
(220)【出願日】平成13年6月4日(2001.6.4)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第4875850号(T4875850)
(151)【登録日】平成17年7月1日(2005.7.1)
(561)【商標の称呼】イピロット、イパイロット、アイピロット、アイパイロット、パイロット、ピロット
【最終処分】成立

取消2008-300780

【管理番号】第1189109号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300780(T2008-300780/J2)
【審判請求日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【確定日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (009)
【請求人】
【氏名又は名称】エクサ コーポレイション
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 01803 バーリントン バーリントン ウッズ ドライブ 3
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 和子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】井滝 裕敬
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤倉 大作
【被請求人】
【氏名又は名称】株式会社エース電研
【住所又は居所】東京都台東区東上野3丁目12番9号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4115264号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4115264号商標の指定商品中「電気通信機械器具,パチンコ店内においてコンピュータを利用して景品交換及び景品の在庫管理をするための景品管理装置,その他の電子応用機械器具」については、その登録を取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4115264号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【結審通知日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【審決日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】小畑 恵一

(210)【出願番号】商願平8-31335
(220)【出願日】平成8年3月25日(1996.3.25)
(111)【登録番号】商標登録第4115264号(T4115264)
(151)【登録日】平成10年2月20日(1998.2.20)
(561)【商標の称呼】パワーフロー、フロー
【最終処分】成立
【前審関与審査官】山田 正樹、半田 正人


取消2008-300749

【管理番号】第1189190号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300749(T2008-300749/J2)
【審判請求日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【確定日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【審決分類】
T132 .04 -X  (Y06)
【請求人】
【氏名又は名称】ジェイコ エス.ピー.エー.
【住所又は居所】イタリア国 アイ-20092,チニセッロ バルサモ(エムアイ),ヴィア コルナージャ 58
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 俊雄
【被請求人】
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町2丁目2番3号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4948138号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求を却下する。
 審判費用は、請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4948138号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載したとおりであり、その指定商品は商標登録原簿記載のとおりであって、平成18年4月28日に設定登録されたものである。
 
2 本件審判の請求の概要
 請求人は、「本件商標の指定商品中『第6類 金属製荷役用パレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属製の吹付け塗装用ブース』についての登録は、取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は、通常使用権者のいずれもが請求に係る商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 当審の判断
 商標法第50条第1項は、同項が「継続して3年以上・・・登録商標の使用をしていないときは、・・・商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」旨規定している。
 すなわち、商標法第50条第1項による商標登録の取消しの審判は、当該登録商標の設定登録の日から3年を経過した後でなければ、その請求をすることができないものと解される。
 これを本件についてみると、本件商標の設定登録日は、前示のとおり平成18年4月28日であるところ、本件審判の請求日は、審判請求書の記載に照らすと、同20年6月11日であることが認められる。
 そうとすると、本件審判の請求は、本件商標の設定登録の日から3年の期間を満了する前になされた不適法な請求であって、その補正をすることができない。
 したがって、本件審判の請求は、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により却下すべきものである。
 よって、本件審判請求については、却下することとし、審判費用については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項、民事訴訟法第61条を適用して結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【結審通知日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【審決日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【審判長】 【特許庁審判官】中村 謙三
【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小林 由美子

(210)【出願番号】商願2005-70203(T2005-70203)
(220)【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第4948138号(T4948138)
(151)【登録日】平成18年4月28日(2006.4.28)
(561)【商標の称呼】ジェイフレックス、フレックス
【最終処分】審決却下


取消2008-300670

【管理番号】第1189125号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300670(T2008-300670/J2)
【審判請求日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【確定日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y21)
【請求人】
【氏名又は名称】新保 斉
【住所又は居所】東京都千代田区西神田2―5―9 HIビル4階
【被請求人】
【氏名又は名称】松尾産業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市西区阿波座1丁目4番14号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4779791号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4779791号商標の指定商品中、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く)」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4779791号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【結審通知日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【審決日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願2003-93112(T2003-93112)
(220)【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
(111)【登録番号】商標登録第4779791号(T4779791)
(151)【登録日】平成16年6月18日(2004.6.18)
(561)【商標の称呼】フィオリ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】八木橋 正雄

取消2008-300640

【管理番号】第1189105号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300640(T2008-300640/J2)
【審判請求日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【確定日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y01)
【請求人】
【氏名又は名称】トラマコ ゲーエムベーハー
【住所又は居所】ドイツ国 25421 ピネベルク ジーメンスシュトラーセ 1-3
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 雅也
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】神吉 出
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 康成
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】種市 傑
【被請求人】
【氏名又は名称】吉田種苗株式会社
【住所又は居所】青森県上北郡おいらせ町一川目3丁目340番地
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4691111号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4691111号商標の指定商品中、第1類「界面活性剤」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4691111号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【結審通知日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【審決日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【審判長】 【特許庁審判官】中村 謙三
【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小林 由美子

(210)【出願番号】商願2002-90624(T2002-90624)
(220)【出願日】平成14年10月25日(2002.10.25)
(111)【登録番号】商標登録第4691111号(T4691111)
(151)【登録日】平成15年7月11日(2003.7.11)
(561)【商標の称呼】トラセール
【最終処分】成立
【前審関与審査官】荻野 瑞樹


取消2007-301701

【管理番号】第1189121号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301701(T2007-301701/J2)
【審判請求日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【確定日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【審決分類】
T131 .1  -Z  (010)
【請求人】
【氏名又は名称】繪内 寿郎
【住所又は居所】千葉県四街道市大日36―10
【被請求人】
【氏名又は名称】桐灰化学株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市淀川区新高1丁目10番5号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4125498号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4125498号商標の商標登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4125498号商標(以下「本件商標」という。)は、「はる」の文字を横書きにしてなり、平成5年12月2日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同10年3月20日に設定登録されたものである。
  
2 請求人の主張
 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。
(1)請求の理由
ア 取消事由
 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
イ 取消原因
 本件商標は、その指定商品について、下記のとおり使用されていない。
(ア)本件商標は、継続して3年以上日本国内において使用されていない。
(イ)商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても、本件商標が使用されていない。なお、甲第1号証から明らかなように本件商標について専用使用権者及び登録された通常使用権者は存在しない。
(ウ)本件商標は、その指定商品である「医療用機械器具」について使用されていない。
(エ)登録商標について使用されていない。
 本件商標は、甲第2号証から明らかなように「はる」の平仮名の2文字を一定の間隔を置いて横書きしてなるものであるが、使用されていない商標はこの表記と物理的に同一のものだけでなく、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の本件商標と社会通念上同一と認められる商標についても使用した事実が存しない。
(オ)本件商標をその指定商品に使用していないことについて正当な理由があるとは認められない。
 以上のとおり、本件商標は商標法第50条第1項に規定する取消しの要件を具備するから、その登録は取消されるべきである。
(2)弁駁
ア 被請求人は、本件商標を商品「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」に使用してきており、本件商標の登録は維持されるべきである旨を主張し、乙第号1証及び同第2号証を提出している。しかし、かかる被請求人の主張は失当であるから、以下のとおり反論する。
イ 被請求人のいう「本件商品はる(ジキホグス)」(以下「本件商品」という。)は、以下の理由から「医療用機械器具」とは認められない。
(ア)本件商品の「品名」について
 本件商品の「品名」は「使いすてカイロ」とのみ表示されている。
 「使いすてカイロ」は第11類に属する商品であるところ、本件商品に接する需要者、取引者は「品名」を見て、暖房目的の一般の使い捨てカイロと認識するのが自然である。
(イ)本件商品が、血流改善「肩ホットン」「腰ホットン」「ひざホットン」(以下「ホットンシリーズ」という。)などのカテゴリーに属するとの主張について
 「ホットンシリーズ」は、乙第1号証のカタログの第8頁で被請求人が下線を引いているように「医療機器」である。
 ここで「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるものをいい(薬事法第2条第4項)、許可を受けなければ業としてそれを製造販売できないものである(同法第12条)。
 即ち、「ホットンシリーズ」は、そのパッケージ表面に「血流改善」と大きく記載されていることから明らかなように、「血流改善」という治療目的を客観的に明確にした商品であるが故に医療機器に該当し、製造販売の許可を受けているのであり、診断、治療、予防等の医療を目的としていない乙第1号証のそれ以外の商品とは用途が明確に区別されているのである。
 よって、乙第1号証のカタログに接した需要者、取引者は、「ホットンシリーズ」については医療目的の商品と容易に理解し、それ以外の本件商品、「はる肩用」、「レディウォーマー」、「桐灰カイト/上からはるくつ下用」については通常の使い捨てカイロと認識するのが自然である。
 請求人は、本件審判請求前に調査会社に本件商標の使用について調査を依頼したが、調査会社からの質問に対して、被請求人の本社が、「医療用機械器具としては「血流改善ホットン」しかない」と回答していることからして、被請求人の社内においても同様に認識されているものと推察する(甲第3号証)。
 以上のことから、本件商品が「ホットンシリーズ」と同じカテゴリーに属するとの主張は失当である。
(ウ)「貼付用磁気治療器」に関する主張について
 乙第1号証及び同第2号証のどこを見ても、本件商品に関して、被請求人の主張する「貼付用磁気治療器」の表示は一切見当たらない。
 ちなみに、本件商品が「貼付用磁気治療器」に該当するのであれば、治療目的の医療機器として許可がなければ製造販売できないはずである。
 しかし、前述したように本件商品は、診断、治療、予防等の医療を目的としていないから、許可を必要とせず製造販売されているのであり、それ故に「貼付用磁気治療器」として位置付けられることはない。
 「血流改善」や「磁気治療」といった医療目的の商品であることを一切表示していないのであるから、たとえ本件商品の裏面の原材料名に「磁性粉末」が含まれ、それ対する警告文等が掲載されているからといって、需要者や取引者が本件商品を「貼付用磁気治療器」等の医療用機械器具と認識することはない。
(エ)「機能性カイロ」に関する主張について
 被請求人は、「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」のように、「機能性カイロ」が「貼付用磁気治療器」を意味するような主張をしているが、証拠上明示されていない。乙第2号証をみても、本件商品には「機能性カイロ」の表記はなく、乙第1号証第8頁の最上部に一箇所記載されているのみである。そしてこの「機能性カイロ」なるものがどのようなものであり、また、カタログに掲載された各種カイロのどれを指すかは不明である。
 この「機能性カイロ」の語を「Google」で検索すると僅かに9件ヒットするのみであり、いずれも被請求人の「ホットンシリーズ」を紹介するもののみである(甲第4号証)。その一例として、被請求人のウェブサイトを開くと、機能性カイロとして「首ホットン」のみが掲載されている(甲第4号証の1)
 このことから、「機能性カイロ」なる語が一般的に通用する用語でないことは明らかであり、また、需要者、取引者がこの表記に接しても何を意味するか理解できず、まして、そこから医療用機械器具を認識するのは不可能である。
 さらに、万一、「機能性カイロ」が「貼付用磁気治療器」を意味するものだったとしても、本件商品が「機能性カイロ」であることを示す証拠は一切ない。
(オ)本件商品が、ピップフジモト株式会社で商品化している「ピップエレキバン」と類似する商品であるとの主張について
 「ピップエレキバン」は、現行薬事法の「医療機器」に該当する「医療用具」として許可されている(甲第5号証)。
 即ち「ピップエレキバン」は、甲第5号証において、そのパッケージ表面上部に「筋肉のコリをほぐす」又は「血行を良くし、コリをほぐす」と記載され、また、下部に「磁気治療 装着部位のこり、血行」と記載されていることから明らかなように、「磁気治療」という治療目的を客観的に明確にした商品であるが故に医療用具に該当し、製造販売の許可を受けているのであり、診断、治療、予防等の医療を目的とせず、製品名が「使いすてカイロ」である本件商品とはその用途が明確に区別されているものである。
 したがって、本件商品が「ピップエレキバン」と類似する商品であるとする被請求人の主張は失当である。
ウ 以上のとおり、本件商品には、医療用機械器具であると客観的に認識される表示が一切ない。
  
3 被請求人の答弁
 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)被請求人は、以下に示す証拠から明らかなように、本件商標を商品「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」について使用してきており、本件商標の登録は維持されるべきである。
(2)被請求人は、本件商標が本件商品について本件審判請求の登録日である平成20年1月30日前3年以内の期間内の使用であることを裏付ける証拠方法として、
 ア 乙第1号証:2006年・秋 総合カタログ「機能性カイロ はる(ジキホグス)抜粋写
 イ 乙第2号証:機能性カイロ はる(ジキホグス)の表裏パッケージデザイン
を提出する。
 本件商品はる(ジキホグス)は、平成14年9月より販売され、現在においても継続的に販売している。総販売数量は、約60万個、総売上げ金額は、約1.5億円である。
 乙第1号証及び同第2号証から明らかなように、本件商品は、通常の使い捨てカイロではなく、含有成分として「磁性粉末」を混入して、磁気効果により体の芯まで暖める効果を有するものである。通常の使い捨てカイロの成分は「鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、食塩」だけであるので、これらの商品とは全く相違するものであり、乙第1号証におけるカタログ内においても、血流改善「肩ホットン」「腰ホットン」「ひざホットン」などのカテゴリーに属しており、「貼付用磁気治療器」としての位置付けをなしているものである。
 乙第2号証を検証するに、裏面パッケージにおいて原材料名「鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、磁性粉末、食塩」となっており、「磁性粉末」を混入していることがわかる。また、その下欄には、「心臓ペースメーカー等の体内植込型電子機器を装着している方は、使用しないでください。誤作動を招く恐れがあります。」という警告文を掲載しており、更に、その右側のその他の注意の欄には、「時計、磁気カード、フロッピーディスクなど、磁気の影響を受けるものに近づけないでください。データを破壊する原因になります。」という記載もされていることから、通常の使い捨てカイロではなく、機能性カイロ、即ち貼付用磁気治療器を示唆するものである。
 他社の商品で言うならば、ピップフジモト株式会社で商品化している「ピップエレキバン」と類似する商品と考えてもらえれば幸いである。
 よって、「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」は、本件審判請求に係る商品とは、その用途、取引経路及び需要者を共通にする同一又は類似の商品である。
 なお、今回提出した証拠は、時間の都合上必要最小限の証拠のみ開示したが、万一これらの証拠において未だ不十分であれば、追加の証拠の用意があることを付言する。
(3)以上により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国において、本件審判請求に係る指定商品に含まれると認められる商品「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」について使用されている。
   
4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 被請求人に係ると認められる「2006・秋 総合カタログ」(乙第1号証)には、その8頁の最上段に、「機能性カイロ」「足元用カイロ」の表題があり、同頁の製品名欄の6段目に「はるジキホグス(腰用)」「5ヶ入袋」との記載があり、その製品特徴欄には「大判サイズで腰にピッタリ。」「●持続時間:12時間」「●最高温度:58℃」「●平均温度:47℃」の記載がある。そして、そのパッケージ欄には包装された製品の現物写真が掲載されており、その包装をみると、白い輪郭線で籠字風に「はる」の文字を表しているのが確認できる。
イ 上記カタログの同じ頁には、製品名欄に「血流改善 肩ホットン(医療機器)」、「血流改善 腰ホットン(医療機器)」、「血流改善 ひざホットン(医療機器)」と記載したものが表示されており、それらの製品特徴欄には、それぞれ、「3つに折れて肩を包み込み温めて血流改善し、肩などのコリをほぐします。」、「温熱による血流改善効果で、腰などの痛みをやわらげます。」、「ひざを包み込むように温めて血流改善し、痛みをやわらげます。」の各記載がある。また、同欄のそれぞれに、届出番号が表示されている。
ウ 商品パッケージ(乙第2号証)には、その表面に、中央部に白い輪郭線で籠字風に「はる」の文字を表し、その上に、「桐灰カイロ」、「大判サイズで」「腰にピッタリ!」を表示し、前記「はる」の文字の下に、「ジキホグス」「腰用」の文字が表示されている。そして、そのさらに下に、「特許出願中 衣類にはるカイロ」とし、「●肌に直接貼らないでください。」といった記載がされている。
エ また、同パッケージの裏面には、「桐灰カイロ」「はる」「ジキホグス」「腰用」の文字が表示されており、その下に、「●横幅が広い、大判サイズなので腰にぴったりフィットします。」「●47℃~48℃のじんわり気持ち良い温度が腰にぴったりです。」「●特殊粉末入りなので、からだの芯まで暖かさが広がります。」と記載されている。
 そして、下部の四角囲い内には、「品名/使いすてカイロ 原材料名/鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、磁性粉末、食塩」の記載がある。
 さらに、「警告:心臓ペースメーカー等の体内植込型電子機器を装着している方は、使用しないでください。誤作動を招く恐れがあります。」と記載され、「その他の注意」として「●時計、磁気カード、フロッピーディスクなど、磁気の影響を受けるものに近づけないでください。データを破壊する原因になります。」等が記載されている。
(2)上記(1)ア、ウ及びエの包装に表示された「はる」は、本件商標とその構成文字を同じにするものであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものであるから、被請求人によって、本件商標が使用されたとみることができる。そして、上記カタログの年次からみて、その使用時期は、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件期間内」という。)と認め得るものである。
 しかしながら、本件商標の使用に係る商品である本件商品は、包装に品名を「使いすてカイロ」と表記して流通する商品であって、上記カタログの製品特徴の記載や包装の記載からみても、被請求人の取扱いに係る前記(1)イの「肩ホットン」等の「医療機器」とは別種の商品とみるのが相当である。
 そして、これが、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具の一に該当する商品であることを窺わせる証左(例えば、効能表記)は見いだせない。
 してみると、本件商品は、保温効果を得るのに用いられる使い捨てカイロの一とみるのが妥当であって、磁気を利用して身体の治療若しくは予防に使用される医療具の一である磁気治療器とは認められられないものである。
 したがって、上記(1)の認定事実によっては、本件商標が、指定商品「医療器械器具」の一について使用されたと認めることはできないものである。
(3)被請求人は、本件商品について、乙第2号証のパッケージ裏面における材料名及び警告文や注意を挙げ、通常の使い捨てカイロではなく、機能性カイロ、即ち貼付用磁気治療器である旨主張する。
 しかし、被請求人のいう「機能性カイロ」が如何なるものを指すのか確定し得ず、また、その「機能性カイロ」と「貼付用磁気治療器」との関係についても、取引通念上一般的に明らかなものとはいえない。そして、含有成分に「磁性粉末」が混入されていることが、仮に通常の使い捨てカイロの含有成分とは異なるとしても、このことをもって直ちに、品名を「使い捨てカイロ」とする本件商品が医療用機械器具の一である「磁気治療器」の概念を充足するとは言い難いものである。また、前記の警告文等は、製品の使用者に向けて製品の製造者が注意を喚起するために各種商品でも一般に行われている類のものといえるものである。
 したがって、被請求人の上記主張をもって、本件商品が「磁気治療器」に属すべき商品であるとすることはできない。
(4)してみれば、被請求人提出の証拠によっては、取消請求に係る指定商品「医療器械器具」について、本件商標が使用されたと認めることはできないものである。また、不使用についての正当理由に係る主張及び立証はない。
(5)以上のとおり、本件商標は、商標登録の取消請求に係る指定商品について、本件期間内に使用をされていたとは認められないから、商標法第50条に基づき、その登録の取消しを免れないものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【結審通知日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【審決日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【審判長】 【特許庁審判官】中村 謙三
【特許庁審判官】末武 久佳
【特許庁審判官】前山 るり子

(210)【出願番号】商願平5-121455
(220)【出願日】平成5年12月2日(1993.12.2)
(111)【登録番号】商標登録第4125498号(T4125498)
(151)【登録日】平成10年3月20日(1998.3.20)
(561)【商標の称呼】ハル
【最終処分】成立

取消2007-301103

【管理番号】第1189073号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301103(T2007-301103/J2)
【審判請求日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【確定日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【審決分類】
T132 .1  -Y  (035)
【請求人】
【氏名又は名称】テクニカル、エイド、クリスタル、インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国マサチューセッツ州、デッドハム、ワシントン ストリート、888
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 雅志
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 信
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 和浩
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】宇梶 暁貴
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
【被請求人】
【氏名又は名称】TAC株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区三崎町3丁目2番18号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】名越 秀夫
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第3326841号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求は、成り立たない。
 審判費用は、請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第3326841号商標(以下「本件商標」という。)は、赤色で着色された「TAC」の文字を横書きし、その下部に青色のアンダーラインを付した構成からなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年7月9日に登録出願され、第35類「経営管理者のあっせん,筆耕,タイプライターの操作,ワードプロセッサーの操作,文書又は磁気テープのファイリング,来訪者の受付及び案内,秘書,経営の診断及び指導」を指定役務とし、特例商標として平成9年6月27日に設定登録され、その後、平成19年2月13日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
  
2 請求人の主張の要点
 請求人は、本件商標の指定役務中「経営管理者のあっせん,経営の診断及び指導」の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べている。
 本件商標は、請求人の調査した限りにおいては、少なくとも、本件審判の請求前3年以内に日本国内において、その指定役務中「経営管理者のあっせん,経営の診断及び指導」のいずれにも使用されていないことが判明した。
 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定役務中「経営管理者のあっせん,経営の診断及び指導」の登録を取消すべきものである。
  
3 被請求人の答弁の要点
 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第16号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)被請求人は、1980年の創業以来、公認会計士試験の受験教育を中心に発展し、その後、広く個人教育、法人研修事業、出版、その他の事業を行うに至っている。被請求人の現在売上高は、連結ベースで年200億円に達しており、東証一部に上場していて業界はもちろん世間一般にも著名な存在となっている(乙第1及び第2号証)。
 この被請求人の100%子会社に株式会社TACプロフェッションバンクがあり、この年間売上高は約6億円に達し、人材紹介会社としては公認会計士に特化した存在として、世間に広く知られている(乙第2号証)。
 このように「TAC」というブランド名はTAC株式会社の社名及びTACグループの名称として最も重要な名称であり、かつ著名な名称として保護されるべきものである。
(2)被請求人は、本件商標の商標権者であり、本件商標を本件審判の請求の予告登録日である平成19年9月13日(平成19年9月11日は誤記と認める。)より3年以前までの間、以下のように「経営管理者のあっせん、経営の診断及び指導」のサービスを表す商標として使用してきた。
 よって、本件審判の請求は成り立たない。
(3)「経営管理者のあっせん」について
(ア)被請求人は、被請求人の100%子会社である株式会社TACプロフェッションバンク(以下「通常使用権者」という )に対し、本件商標の使用を許諾している(乙第3号証)。通常使用権者は、有料職業紹介事業者であり(乙第4号証)、その業務は、「会計士・税理士・米国公認会計士・不動産鑑定士などの有資格者」などを「会計・税務・財務・総務・人事」などの業務にあっせんするものである(乙第2号証)。これらの者は、資格者として当然それぞれの分野のトップクラスに任命される事を予定しているので、通常使用権者は、本件指定役務である「経営管理者のあっせん」の業務を行っていることになる。
(イ)そして、通常使用権者は、本件商標を下記のような態様でこの「経営管理者のあっせん」の業務に使用している。
・「会社案内」(2007年2月7日発行:乙第2号証の1及び2)
 (使用目的)会社案内として人材紹介業務に常時使用
・広告、「会計・監査ジャーナル」(平成19年5月号ないし9月号:乙第5号証の1ないし5)
 (使用目的)公認会計士のあっせん
・広告、「日本経済新聞」(2007年3月25日号及び同年4月1日号:乙第6号証の1ないし3)                  
 (使用目的)公認会計士のあっせん
・広告、「JICPAジャーナル」(2006年1月号:乙第7号証)
 (使用目的)公認会計士のあっせん
・「業務案内」(2007年8月10日発行:乙第8号証の1及び2)
 (使用目的)業務案内として人材紹介業務に常時使用
・「就職情報」(関東版及び関西版)(2007年7月10日発行:乙第9号証の1及び2並びに乙第10号証の1及び2)
 (使用目的)適職紹介
(ウ)なお、上記商標の表示は、「TAC」であり、本件商標とは下線がない点で異なるが、なお、「社会通念上同一と認められる商標」に入るものである。また、他の文字や図形が存在したとしても同様である。
(4)「経営の診断及び指導」について
(ア)被請求人は、自ら「経営の診断及び指導」を行っている。即ち、「経営」とは、「継続的・計画的に事業を遂行すること。」とされている(乙第11号証)。
 この企業の「事業」には、企画・製造・営業などはもちろん、会計・法務・人事などのいわゆる管理部門も含まれる。そしてこの人事部門には、人事・労務・教育など人の能力の評価、向上などの業務がある。このうち社員教育を直接行うのは第41類「技術・スポーツ又は知識の教授」(41A01)に当たるが、どのような社内教育を行うかの調査・企画は、教育ではなく、社内教育政策であり、経営の一部に他ならない。このことは、この業務を掌管するのが教育家ではなく人事部である事から明らかである。したがって、このような経営にとってどのような社内教育政策を行うのが有効であるかを診断・指導する業務は「経営の診断及び指導」業務に他ならない。
 被請求人は、このような社内教育政策の立案について、教育そのものとは別に独立して有償でコンサルティングを行っている(乙第12及び第14号証)ので、本件商標の指定役務である「経営の診断及び指導」の業務を行っているといえる。
(イ)そして、被請求人は、本件商標を下記のような態様で、この「経営の診断及び指導」の業務に使用している。
・「会社案内」(2007年6月13日発行:乙第1号証の1及び2)
 (使用目的)会社案内として業務全般に常時使用(なお、「経営の診断及び指導」の部分は、P21「カスタムメイドの資格取得・実務研修プログラム」及びP22「ビジネススクール」の「各種の研修・セミナー・コンサルティング」として言及されている。)
・「御見積書」(平成18年8月28日:乙第15号証)
 (使用目的)クライアントへの見積書
・「封筒」(2007年11月15日、No.805-0980-1017-18:乙第16号証の1及び2)
 (使用目的)経営の診断及び指導を含む業務全般に常時使用している
(ウ)表示された商標の態様については、上記(3)(ウ)のとおりである。
  
4 当審の判断
 被請求人の提出に係る乙第1ないし第16号証(枝番を含む。)によれば、本件商標は、請求に係る指定役務中の「経営管理者のあっせん」については通常使用権者によって、同じく「経営の診断及び指導」については被請求人自らによって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたものと認められる。
 一方、請求人は上記3の答弁に対し、何ら弁駁していない。
 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定役務についての登録を取り消すべき限りでない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【結審通知日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【審決日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願平4-136668
(220)【出願日】平成4年7月9日(1992.7.9)
(260)【公告番号】商公平9-2001
(442)【公告日】平成9年1月10日(1997.1.10)
(111)【登録番号】商標登録第3326841号(T3326841)
(151)【登録日】平成9年6月27日(1997.6.27)
(561)【商標の称呼】タック、テイエイシイ
【最終処分】不成立

不服2008-650064

【管理番号】第1189208号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-650064(T2008-650064/J1)
【審判請求日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【確定日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【審決分類】
T18  .26 -WY (Y1825)
【請求人】
【氏名又は名称】SPORTSWEAR COMPANY - S.P.A. (IN SIGLA SPW S.P.A.)
【住所又は居所】Galleria Cavour, 4 I-40124 BOLOGNA(IT)
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 千鶴子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 光男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 良弘
【事件の表示】
 国際登録第899955号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
【結論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理由】
1 本願商標
 本願商標は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、第9類、第18類及び第25類に属する商品を指定商品として、2006年3月17日にItalyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年6月1日に国際登録されたものである。
 そして、指定商品については、原審において、平成19年11月6日付け手続補正書が提出され、さらに、当審において、2008年6月24日に国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、最終的に、第18類「Rawhides,raw skins,tanned leather,fur,and other leather;folding briefcases,shoulder bags,Gladstone bags,briefcases,suitcases,carry-on bags,trunks,handbags,schoolchildren’s backpacks,backpacks,Boston bags,beach bags,clutch bags,all purpose sport bags,tote bags,travelling bags,suitcases and other bags and the like;card cases(notecases),shopping bags,purses,key cases,wallets not of precious metal;business card cases(notecases),and other pouches and the like;vanity cases(not fitted);western style umbrellas,parasols,and other umbrellas and their parts;walking sticks.」及び第25類「Evening dresses,children’s wear,jackets,jogging pants,sweat pants,suits,skirts,ski jackets,ski pants,trousers,coats,formalwear,overcoats,topcoats,mantles,raincoats,cardigans,sweaters,vests and waistcoats,open-necked shirts,cuffs,collars(for clothing),sport shirts,blouses,polo shirts,shirts for suits,night gowns,negligees,pajamas,bath robes,camisoles,corsets,combinations(clothing),undershirts,chemises,drawers and underpants,slips,panties,shorts and briefs,brassieres,petticoats,swimwear,swimming caps,socks and stockings,gaiters,fur stoles,shawls,scarves,gloves and mittens,neckties,neckerchieves,bandanas,mufflers,ear muffs(clothing),nightcaps,headgear for clothing,and other clothing;sock suspenders,suspenders,waistbands,belts for clothing;rain boots,lace boots,training shoes,overshoes,wooden shoes,sandals,shoes,boots,half-boots,women’s shoes,winter boots,infants’ shoes and boots,and other footwear;anoraks,ski suits for competition,headbands,wind-jackets,uniforms and stockings,wristbands,and other clothes for sports;golf shoes,gymnastic shoes,tennis shoes,footwear for track and field athletics,and other boots for sports.」と限定され、第9類に属する指定商品については、全て削除されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、別掲2に示すとおりの構成よりなる登録第2657282号商標(以下「引用商標1」という。)、別掲3に示すとおりの構成よりなる登録第3329380号商標(以下「引用商標2」という。)及び別掲4のとおりの構成よりなる国際登録第861577号商標(以下「引用商標3」という。)と同一又は類似する商標であって、同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
 本願商標は、その指定商品について、前記1のとおり限定された結果、引用商標1及び3の指定商品と同一又は類似の商品はすべて削除されたと認められる。
 その結果、本願商標の指定商品は、引用商標1及び3の指定商品とは抵触しないものとなった。
 また、引用商標2の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、平成19年7月4日に商標権の存続期間が満了したことによって消滅し、その抹消の登録が平成20年3月26日になされているものである。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【審判長】 【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】井出 英一郎
【特許庁審判官】豊田 純一

【別記】






不服2008-650046

【管理番号】第1189207号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-650046(T2008-650046/J1)
【審判請求日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【確定日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【審決分類】
T18  .262-WY (Y11)
【請求人】
【氏名又は名称】Tap Machine Inc.
【住所又は居所】20 Cedar Street New Rochelle, NY 108012217(US)
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
【事件の表示】
 国際登録第894844号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
【結論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理由】
1 本願商標
 本願商標は、「TAP MACHINE」の欧文字を書してなり、第11類「Refrigerating dispenser units.」を指定商品として、2006年(平成18年)6月16日に国際登録されたものである。
 そして、指定商品については、原審における平成19年10月2日付け手続補正書により、第11類「Refrigerating beverage dispenser units for industrial purpose.」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『TAPP』の欧文字よりなる登録第2406611号商標(以下、「引用商標」という。)と『タップ』の称呼において類似する商標であって、同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
 本願商標は、前記1のとおり、「TAP MACHINE」の欧文字よりなるところ、その構成文字は、同書・同大で外観上まとまりよく一体的に表現されており、これより生ずると認められる「タップマシン」の称呼も格別冗長でもなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
 そして、構成中の「MACHINE」の文字部分が、「機械」(小学館ランダムハウス英和大辞典)等を意味する語としてよく知られた英語であるとしても、本願商標の前記構成態様においては、本願の指定商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るともいい難く、本願商標の構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
 そうとすれば、本願商標は、「TAP MACHINE」の文字全体に相応した「タップマシン」の称呼のみを生ずるものであって、単に「タップ」の称呼は生じないとするのが相当である。
 してみれば、本願商標から「タップ」の称呼をも生ずるものとし、その上で、本願商標と引用商標が称呼上類似するものとして、商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】岩崎 良子
【特許庁審判官】豊田 純一
(210)【国際登録番号】0894844
(220)【国際登録日】平成18年6月16日(2006.6.16)
(561)【商標の称呼】タップマシーン、タップマシン、タップ、テイエイピイ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】小林 正和

不服2008-650044

【管理番号】第1189206号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-650044(T2008-650044/J1)
【審判請求日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【確定日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【審決分類】
T18  .91 -WY (Y07)
【請求人】
【氏名又は名称】The Gates Corporation
【住所又は居所】1551 Wewatta Street Denver, Colorado 80202(US)
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 和子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】井滝 裕敬
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤倉 大作
【事件の表示】
 国際登録第904601号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
【結論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理由】
1 本願商標
 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第7類「Machine tool and implement driven by a motor,namely,a motor driven air compressor,hose and nozzle assembly for discharging a foam pellet through a conduit or hose for cleaning the conduit or hose.」を指定商品として、2006年(平成18年)10月20日を国際登録の日とするものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「指定商品は、商標とともに権利範囲を定めるものであるから、その内容及び範囲は明確でなければならないところ、本願に係る指定商品中「hose and nozzle assembly for discharging a foam pellet through a conduit or hose for cleaning the conduit or hose.」の表示は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。したがって、本願は、商標法第6条第1項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
 本願は、その指定商品について、当審において審判請求書と同時に提出された請求人提出の資料によると、その指定商品の内容及び範囲が明確になったものと認められる。よって、本願の指定商品は、商標法第6条第1項の規定の要件を具備するものというべきである。
 したがって、本願が商標法第6条第1項に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】岩崎 良子
【特許庁審判官】旦 克昌

【別記】


(210)【国際登録番号】0904601
(220)【国際登録日】平成18年10月20日(2006.10.20)
(561)【商標の称呼】メガクリーン、メガ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】松本 はるみ

不服2008-20397

【管理番号】第1189085号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-20397(T2008-20397/J1)
【審判請求日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【確定日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【審決分類】
T18  .262-WY (Y09)
【請求人】
【氏名又は名称】エマーソン エレクトリック カンパニー
【住所又は居所】アメリカ合衆国ミズーリ州 63136 セント ルイス ウエスト フロリサント アベニュー 8000
【代理人】
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
【事件の表示】
 商願2005- 71230拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「アイラム」の片仮名文字を標準文字で書してなり、第7類及び第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年8月1日に登録出願されたものであるが、その後、その指定商品については、原審における同18年5月15日付け及び当審における同20年8月8日付けの手続補正書により、最終的に、第9類「レーザ光発生装置(医療用のものを除く。)」と補正されたものである。
 
2 引用商標
 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4373305号商標(以下「引用商標」という。)は、欧文字と「:」(コロン)により「I:LAN」と横書きしてなり、第9類「放送用機械器具,その他の電気通信機械器具,電気磁気測定器,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として平成12年4月7日に設定登録されたものである。
 
3 当審の判断
 本願商標は、前記1のとおり、「アイラム」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「アイラム」の称呼を生ずるものであり、また、これからは、特定の観念を生じさせないものである。
 一方、引用商標は、前記2のとおり、「I:LAN」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「アイラン」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当であり、また、これからは、特定の観念を生じさせないものである。
 そこで、本願商標から生ずる「アイラム」の称呼と、引用商標から生ずる「アイラン」の称呼とを比較すると、両称呼は、共に4音という短い称呼からなり、語頭から続く「アイラ」の3音を共通にし、語尾において「ム」と「ン」の音に差異を有するものである。そして、該差異音である「ム」と「ン」は、共に弱く発音される有声の通鼻音であって、比較的近似した音であるばかりでなく、明確には聴取し難い語尾に位置していることもあって、称呼上近似する面があることは否定できない。しかしながら、「アイラム」及び「アイラン」は、共に4音という短い称呼からなり、しかも、前者の「アイラム」は、一気かつ平坦に発音されるのに対し、後者の「アイラン」は、「I」の文字と「LAN」の文字との間に「:」(コロン)を介するという構成からして、その称呼は、前半の「アイ」と後半の「ラン」との間に短い段落をもって「アイ・ラン」と発音されるものとみるのが自然であるから、前記称呼上の近似する面を考慮したとしても、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合には、全体の語調、語感が異なり、互いに聞き誤るおそれはないというのが相当である。
 また、両商標は、いずれも特定の意味を有しない造語よりなるものであるから、観念においては比較することはできず、さらに、外観においても区別し得るものである。
 そうとすると、本願商標と引用商標とは、外観、観念及び称呼のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
 したがって、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【審判長】 【特許庁審判官】小林 由美子
【特許庁審判官】田村 正明
【特許庁審判官】榎本 政実

(210)【出願番号】商願2005-71230(T2005-71230)
(220)【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
(541)【標準文字】
(561)【商標の称呼】アイラム
【最終処分】成立
【前審関与審査官】高橋 幸志、熊谷 道夫


異議2008-900157

【管理番号】第1189232号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標決定公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】異議の決定
【異議申立番号】異議2008-900157(T2008-900157/J7)
【異議申立日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【確定日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【審決分類】
T1651.261-Y  (42)
T1651.262-Y  (42)
【異議申立件数】1
(732)【権利者】
【氏名又は名称】石濱 哲信
【住所又は居所】茨城県取手市新町5-7-11
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正次
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
【異議申立人】
【氏名又は名称】ユビコム インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国カリフォルニア州94085―3520,サニーベイル,ノース・パストリア・アベニュー・510
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
【事件の表示】
 登録第5102883号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
【結 論】
 登録第5102883号商標の登録を維持する。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第5102883号商標(以下「本件商標」という。)は、「UBCOM」の欧文字を横書きしてなり、平成18年11月17日に登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同20年1月11日に設定登録されたものである。
  
2 引用商標
 引用登録第4561608号商標(以下「引用商標」という。)は、「UBICOM」の欧文字を標準文字で表してなり、2000年(平成12年)12月22日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成13年2月14日に登録出願、第9類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同14年4月19日に設定登録されたものである。
  
3 登録異議の申立ての理由
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下のように登録異議の申立ての理由を要旨述べて、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきであると申立て、証拠方法として甲第1ないし第4号証を提出した。
(1)称呼上の類似性について
 本件商標からは、「ユービーコム」の称呼を生ずる他、「ユビコム」の称呼をも生ずると考えるべきである。
 実際の取引においても、「UBCOM」から「ユビコム」という称呼が生じる(甲第2及び第3号証)。
 これに対し、引用商標からは、「ユビコム」の称呼を生ずること明らかであるから、本件商標と引用商標とは称呼上類似するものである。
(2)外観上の類似性について
 本件商標と引用商標は、欧文字「B」と「C」の間に「I」を含むか否かにおいてのみ相違し、その文字は一本の線が上下に伸びるだけであって横幅が極めて狭い文字であるため、両商標に接する需要者は、「I」の文字の有無について認識できずに見落とすことも多いものと考える。
 また、引用商標「UBICOM」において、「I」の文字は先行する「B」の文字の母音を構成するため、際立った称呼を発生させる文字として機能せず、同商標に接する需要者にとって極めて印象の薄い文字である。
 故に、商標全体として観察した場合には、「UBCOM」と「UBICOM」とは外観上近似する類似の商標として需要者に認識される。
(3)指定役務等の同一又は類似性について
 本件商標の指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機用プログラムの提供」は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものである。
 
4 当審の判断
(1)称呼上の類似性について
 本件商標は、「UBCOM」の欧文字よりなるところ、その綴りからは特定の意味合いが生じるとの点を見出せないから、全体として不可分一体の造語よりなるものであって、構成文字全体に相応して生じるものとみられる「ユービーコム」の称呼をもって、常に取引に資されるものとみるのが自然である。
 他方、引用商標は、「UBICOM」の欧文字よりなるものであるから、該構成文字に相応して「ウビコム」又は「ユビコム」の称呼を生じるものと認められる。
 そこで、本件商標より生じる「ユービーコム」の称呼と、引用商標より生じる「ウビコム」又は「ユビコム」の称呼を比較するに、両者は、その構成音数が6音(2つの長音を含む)と4音という比較的短い音構成からなるうえに、称呼における識別上重要な要素を占める前半部において2カ所の長音の有無という音の配列等において明確な差違を有し、それぞれを一連に称呼しても彼此聞き誤り互いに相紛れるおそれはないものといわなければならない。
 この点を申立人は、「UBCOM」の欧文字が造語である限りは様々な読み方が可能であり、「ユビコム」という称呼も生じるとし、また、商標権者に関連するというところのウェブページ(甲第2及び第3号証)を提出し、実際の取引においても、「UBCOM」から「ユビコム」という称呼が生じる旨述べている。
 確かに、該ウェブページには「UBCOM(ユビコム)」などの記載を認めることはできる。
 しかし、「(ユビコム)」の付記的表示を無くして「UBCOM」の欧文字から「ユビコム」という称呼が生じるとは認め難く、かつ、本件商標の指定役務についての需要者の間において、該ウェブページのみをもって、その情報自体が浸透してその認識の下により商取引されるものということは困難であるから、これらを前提に本件商標と引用商標との称呼類似を述べる申立人の主張は妥当でなく、採用し得ない。
(2)外観及び観念上の類似性について
 また、本件商標と引用商標は、前者が欧文字「UBCOM」とする5文字構成であるのに対し、後者が欧文字「UBICOM」とする6文字構成であって、両者共に、それぞれを記憶し印象することに難があるという程の文字数や綴り構成ではなく、これを離隔的に考察した場合でも、両者の差異である「I」の文字の有無は容易に認識できるものであって、外観においては判然と区別し得る別異の商標であるということができる。
 この点を申立人は、「I」の文字が一本の線で上下に伸びるだけであって、横幅が極めて狭い文字であるため、両商標に接する需要者は、「I」の文字の有無について認識できずに見落とすことも多い旨述べている。
 確かに、「I」の字形にあって、申立人がいうように横幅が狭い単純な字形との点は否定できない。
 しかし、文字を羅列した場合に横幅が狭いことによって左右の文字間に多くのスペースが設けられ、むしろ、他の文字に比して際立つということもでき、当該綴り構成において「I」の文字の存在が無視されるような実情があると認めることはできない。その他、述べる申立人の主張は、単に自己事情を述べるに止まるものであって妥当でなく、採用の限りでない。
 さらに、観念上においては、本件商標と引用商標ともにその欧文字綴りからは特定の意味合いが生じ得ない造語であって比較すべくもないものである。
(3)まとめ
 以上のとおり、本件商標と引用商標は、その指定役務の類否について判断するまでもなく、外観、称呼及び観念のいずれの点からしても非類似の商標といえるものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づいて、その登録を維持すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。
【異議決定日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【審判長】 【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小林 由美子
【特許庁審判官】久我 敬史

(210)【出願番号】商願2006-107254(T2006-107254)
(220)【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
(111)【登録番号】商標登録第5102883号(T5102883)
(151)【登録日】平成20年1月11日(2008.1.11)
(561)【商標の称呼】ユウビイコム
【最終処分】維持
【前審関与審査官】滝口 裕子、堀内 真一