2009年1月30日金曜日

無効2007-89015

【管理番号】第1187611号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】無効の審決
【審判番号】無効2007-890151(T2007-890151/J3)
【審判請求日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【確定日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【審決分類】
T111 .22 -Z  (025)
【請求人】
【氏名又は名称】大山 喜久子
【住所又は居所】東京都豊島区西池袋3丁目3番9号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】首藤 俊一
【被請求人】
【氏名又は名称】文 章圭
【住所又は居所】東京都渋谷区東2―16―9 国際空手道連盟極真会館内
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第3371034号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第3371034号の登録を無効とする。
 審判費用は被請求人の負担とする。
【理 由】
第1 本件商標
 本件登録第3371034号商標(以下「本件商標」という。)は、「極真会館」の文字を横書きしてなり、平成6年5月18日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同11年1月8日に設定登録されたものである。
 
第2 請求人の主張
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証を提出した(なお、弁駁書において、甲第14号証として提出の「知財高裁平成17年(行ケ)第10030号判決の写」は「知財高裁平成17年(行ケ)第10031号判決の写」と、また、甲第15号証として提出の「最高裁 平成19年(行ツ)第89号、平成19年(行ヒ)第85号」は「最高裁 平成19年(行ツ)第90号、平成19年(行ヒ)第86号」と訂正し、その証拠方法を提出した。)。
1 理由の要旨
 本件商標「極真会館」は、極真空手・極真会の創始者大山倍達が周知著名にした商標「極真会館」と同一の商標であるにもかかわらず、極真会の一門弟である文章圭(以下、本審決においては、被請求人と記載するほか、必要に応じて松井章圭とも記載する。)が何の法的根拠もなく自己名義にて信義則に反して登録査定を受けたものであるから、この商標登録は、「公正な取引秩序を害し、公序良俗に反し」商標法第4条第1項第7号に該当し、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきである、
(1)商標「極真会館」の著名性
 本件商標が、空手及び格闘技に興味を持つものの間では、遅くとも平成6(1994)年4月の時点で広く知られた周知著名商標であったことは、甲第3号証として提出の、無効2004-35030の審決謄本の「5 当審の判断(15頁の下線部分)」において、特許庁が認定している。
(2)本件商標登録の違法性
(ア)本件商標は、上記のとおり、商品区分第25類中の「被服…運動用特殊被服…等」を指定商品として、松井章圭こと文章圭の名義で出願され、商標登録を受けたものである。
(イ)他方、本件商標と同一の商標「極真会館」が、商品区分第41類の「空手の教授を含む技芸・スポーツ又は知識の教授…等」を指定役務として、松井章圭こと文章圭の名義で出願され、登録第4027346号として商標登録されていた。
(ウ)しかしながら、この商標登録第4027346号に対して、請求人が、極真空手の創始者である大山倍達(請求人大山喜久子の父)の急逝に乗じて、単に一門弟である文章圭が何の法的根拠もなく自己名義にて登録を受けたものであるから、商標法第4条第1項第7号の「公正な取引秩序を害し、公序良俗に反する」に該当し、商標法第46条第1項により無効とすべきである、と主張して、商標登録無効審判を請求したところ、登録第4027346号の登録を無効とする旨の審決がされた。
(エ)審決は、「5 当審の判断(16頁下線部分)」において、「被請求人(文章圭)」による極真関連標章についての登録の有効性は認め難いがばかりでなく、被請求人は、極真関連標章を出願する際には、既に、極真会館分裂の可能性をも予見して、将来生ずるであろう各派の対立関係を自己に有利に解決する意図を持って、本件商標を初めとする極真関連標章の登録出願をしたものと推認せざるを得ない。してみれば、このような事実関係の下においてなされた本件商標の登録は公正な取引秩序を害し、公序良俗に反するものといわねばならない。」旨判断された(甲第3号証の「5 当審の判断」(2))。
(オ)上記審決において、「当審の判断」の根拠とされた証拠方法を、甲第4号証ないし甲第13号証として提出する。
(カ)被請求人(商標権者 文章圭)は、無効2004-35030の審決に対して、審決取消の訴を知財高裁に提起したが、訴え(平成17年(行ケ)第10031号)は棄却された(甲第14号証)。
(キ)さらに、被請求人は、最高裁判所に上告したが、平成19年6月28日付にて、上告(平成19年(行ッ)第90号、同年(行ヒ)第86号)は棄却され、無効審決が確定した(甲第15号証)。
(ク)上記知財高裁の判決は、「第6 当裁判所の判断(最終頁)(8)以上によれば、本件商標の登録は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないというべきであるから、商標法4条1項7号に違反してされたものであるとして、同法46条1項の規定により、その登録を無効とすべきであるとした審決の結論に誤りはない」旨のものであった(甲第14号証)。
(ケ)上記無効審判に係る登録商標「極真会館」(第41類)」に対する特許庁の無効審決や知財高裁の判決や最高裁の上告棄却の決定等(甲各号証)によれば、何れも、
(a)「極真会館」なる商標が、周知著名商標であること、即ち、極真会館・極真空手の創始者である大山倍達が死亡した平成6年4月の時点では、少なくとも空手及び格闘技に興味を持つものの間で広く認識されるに到っていたことが認定されている。
(b)「空手及び格闘技に興味を持つものの間で広く認識」されている、即ち、周知著名商標であるということは、商標「極真会館」が、商品区分第41類の役務である「空手の教授を含む技芸・スポーツ又は知識の教授」において、周知著名商標である、ということであるから、上記役務と密接不可分の関係に在る商品「空手道着(空手用衣服)」においても周知著名である。
 したがって、商品区分第25類において、空手道着を含む「運動用特殊衣服」を指定商品とする本件商標「極真会館」は上記周知著名商標(と同一)である。
(コ)本件商標の商標権者(出願人)である「文章圭」名義で、商標「極真会館」が第41類中の役務を指定して、商標登録査定がされたことに違法性があると認定されている、即ち、「文章圭」名義での商標登録査定は「公正な取引秩序を害し、公序良俗に反する」と認定されたのであるから、同一人である「文章圭」の名義において登録査定を受けた本件商標もまた明らかに違法であり、商標法第4条第1項第7号の「公正な取引秩序を害し、公序良俗に反する」に該当する。
(3)結語
 以上のとおり、本件商標「極真会館」の「文章圭」名義による登録査定は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、商標法第46条第1項により無効とされるべきである。
 
2 答弁に対する弁駁 
(1)請求人適格について
 被請求人は、「請求人は請求人適格を有しない」と主張しているが、被請求人が、答弁書において述べているように「…請求人の出願にかかる商願2004-94602号について本件商標の存在が障碍になるから…」請求人は本件審判請求に及んでいるのであって、この事実は乙第1号証の上申書に記載のとおりである。
 よって、請求人の本件無効審判請求についての請求人適格は、上記事実に基づく法的利害関係の存在で十分であり、これで足りる。
(2)被請求人による本件商標における出願行為の正当性について
 被請求人は、「被請求人による本件商標における出願行為の正当性について」主張しているが、この主張には根拠がなく、成り立たない。
 因みに、この被請求人の主張は、確定した無効審決や知財判決、最高裁の上告棄却及びそれらの審決理由や判決理由を無視するものであって、被請求人が自ら認めているように、「…確定した…無効審決の成立に納得できない」からというだけの、被請求人の単なる意見に過ぎない。
 また、被請求人は民事裁判の判決書を乙第3号証、乙第4号証として提出しているが、これらは職権審理によらない純然たる民事事件であり、請求人はこれらの裁判の当事者ではないし、当事者以外の者にその既判力が及ぶものでもない。
  
第3 被請求人の答弁
 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 請求人適格について
 請求人は、本件商標の無効審判請求を求める法律上の正当な利益を有することについて何ら説明をしていない。
 その理由は、請求人が大山倍達の息女であるから、すなわち請求人は大山倍達の遺族として同氏の遺産相続人であるから、説明するまでもなく当然にこの商標について登録を受けられる法律上の正当な者であると考えている故と推察される。
 しかしながら、請求人は商標「極真会館」の承継人であるとは到底いい得ず、請求人は被請求人及びその他の極真会門弟の者が商標「極真会館」を使用し続けている事実を知りながら後発的に参入し、被請求人等より優位な立場を獲得するために本件商標の無効を求めようとするものであるから、そのような請求人に本件無効審判の請求人適格を認めるべきではない。
 すなわち、請求人が本件商標の無効を求めようとする理由は、請求人の出願にかかる商標登録出願(商願2004-94602号)について本件商標の存在が障碍となるからであって、事実、その商標登録出願は本件商標等を引用した拒絶理由通知を受け、それに対して平成19年9月25日付の上申書で本件無効請求書を提出した旨を述べている(乙第1号証)。
 また、請求人は、本件商標のみならず、被請求人以外の極真会派の商標登録(商標「新極真会」登録第4756427号及び商標「空手道極真館」登録第4755605号)に対しても、上記同様に無効を求めている事実がある(乙第2号証)。
 このように、請求人が自ら極真関連標章について商標登録を受けようとし、そのために本件商標の無効を求めようとしていることは明らかである。
 ここで、請求人が本件商標「極真会館」と同一の商標について商標登録出願を行っている事実を鑑みれば、請求人が本件無効審判を請求することについて法的利害関係を有しているとみることはできる。しかしながら、商標「極真会館」は請求人も認めるところ、極真空手・極真会の創始者大山倍達が周知著名にした商標として同氏が死亡した平成6(1994)年4月の時点で既に広く知られていた商標であるから、たとえ遺族であるとしても商標法第4条第1項第10号に該当し、請求人は元来商標登録を受けることができない立場にあるというべきである。
 すなわち、商標「極真会館」は、請求人が引用する審決及び判決にも示されているとおり、空手及び格闘技に興味を持つ者の間では大山倍達の極真会館という一つの団体を出所として表示する標章として広く知られているものである。そして、大山倍達の死亡当時、「極真会館」は未登録商標であり、そのような未登録商標を相続財産の一つとして一般承継人たる遺族が承継することは登録主義を採択している我が国の商標法制度においては到底認められるはずもない。
 また、請求人が大山倍達生前の極真会館と同一性を有する事業を継続して行ってきた事実はなく、かつ事業を正当に譲り受けたとする事実もない。
 さらにいえば、極真空手・極真会は大山倍達存命時の門弟により、複数の派閥に分かれてはいるものの大山倍達の流れを汲む空手団体として継続し活動しているもので、請求人がそれらの活動の指揮ないしは監督を行っている事実は存在しない。
 そうすると、請求人は大山倍達の遺族であるとしても、本件商標「極真会館」の周知性の確立に関してはもとより関与しておらず、大山倍達生前の事業について実質的同一性をもって継続している事実はないのであるから、請求人は商標法第4条第1項第10号にいう「他人」に該当するということができる。
 したがって、仮に本件商標登録が無効になったとしても、請求人による商標「極真会館」についての商標登録出願(商順2004-94602号)は、商標法第4条第1項第10号に該当し登録を受けることはできないのであるから、たとえ請求人が本件商標と同一の商標につき商標登録出願を行っているとしても、請求人は本件商標を無効とする法律上の正当な利益を有しているとはいいえず、そのような請求人に本件無効審判の請求人適格を認めるべきではない。
2 被請求人による本件商標における出願行為の正当性について
 請求人は、本件商標と同一の商標「極真会館」(登録第4027346号)についての無効審判にかかる無効審決(甲第3号証)とその審決取消訴訟における知財高裁の判決及び最高裁の上告棄却の決定(甲第14号証、甲第15号証)を根拠として、その商標「極真会館」の登録出願が被請求人の個人的な利益のためにされたと推認され、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと判示された点をもって、同一人である被請求人の名義において登録査定を受けた本件商標「極真会館」も明らかに違法であると主張している(なお、請求人が根拠とする「極真会館」(登録第4027346号)にかかる無効審判事件(甲第3号証)に符合する審決取消訴訟及び上告棄却の決定は何ら請求人によって示されていないが、符合する正しい事件番号は、平成17年(行ケ)第10031号及び平成19年(行ツ)第90号/同年(行ヒ)第86号であると思われ、被請求人は請求人の主張の内容に沿い、甲第14号証及び甲第15号証については上記の事件番号の内容を参考にして以下答弁を続ける。)。
 確かに、本件商標と同一の商標「極真会館」(登録第4027346号)にかかる無効審判請求事件が、最終的に最高裁判所で上告棄却とされ、請求人が主張するとおりの無効審決が成立していることは否定しない。
 しかしながら、被請求人は、その無効審決の成立に納得できないばかりでなく、本件商標と関係する別の訴訟(商標権移転登録手続請求事件)において、本件商標登録出願当時の被請求人には大山倍達が設立した財団法人極真奨学会の筆頭理事格の理事が後見人として補佐しており、極真奨学会名義の商標権にかかわる移転登録手続はその後見人と連帯的に行ったものである旨が判示されたため、ここにその判決を提出するとともに、改めて本件商標「極真会館」の登録出願が被請求人の個人的な利益のためにされたものではないことを以下に述べるものである。
 まず、提出する判決は、本件商標及び本件商標と同一の商標「極真会館」(登録第4027346号)の両商標権を含む商標権移転登録手続請求事件における第一審判決(平成16年(ワ)第23624号、東京地裁平成18年7月27日判決:乙第3号証)及びその控訴審判決(平成18年(ネ)10070号、知財高裁平成19年9月27日判決:乙第4号証)である。
 上記の商標権移転登録手続請求事件は、大山倍達が設立した極真奨学会が、本無効審判の被請求人に対して、被請求人名義で登録されている極真関連商標(乙第3号証の別紙登録商標目録1ないし29の各商標)についてそれらの商標権を極真奨学会へ移転登録手続するよう求めた事件である。
 この事件は、本無効審判の請求人が本件商標を無効とする根拠の甲第14号証に引用されているものであって、この事件の第一審で被請求人が個人名義に移転登録した極真奨学会名義の登録商標について元の極真奨学会名義に戻すべき旨の判決が言い渡されていたことから、被請求人による本件商標「極真会館」を含む極真関連登録商標の登録出願は、当時の極真会館のためにされたというよりも、もっぱら、被請求人の個人的な利益のためにされたと推認するのが相当であるとの結論を導き出す理由の一つとされていた(甲第14号証の第37ないし38頁及び第43頁)。
 しかしながら、この事件の控訴審(乙第4号証)では、被請求人が個人名義に移転登録した極真奨学会名義の登録商標の譲渡は真正に成立したものと認められ、極真奨学会の訴えは棄却された結果となっている。
 すなわち、上記の控訴審では、被請求人は大山倍達死亡当時31歳で若輩であり、極真奨学会の筆頭理事格の後見人「C」がこれを補佐し、被請求人はその「C」に促されたことにより大山倍達の後継者となることを受諾した、また「C」は大山倍達氏の後継者としての被請求人の立場が不安定であることを感じ取り極真会館が分裂した場合などの対策も検討していたものと推認されるとし、「C」が極真商標について被請求人の名義で保有した方がよいと考えるに至ったとすることが自然であり、かつ控訴審における「G」弁護士の証言により、極真商標の移転登録申請は被請求人とともに「C」からもたらされたものと認めることができると判示されたものである(乙第4号証の第32ないし41頁)。
 これはすなわち、本件商標登録出願当時(平成6年当時)、被請求人は独断で極真会館の一切の事を運んでいたのではなく、極真会館の館長という最高責任者としての肩書きを有していたものの、事実上は後見人とされる「C」の主導のもとに極真会館の業務に携わっていたといえるものである。
 なお、上記の第一審判決では、極真会館が使用している周知ないし著名商標のうち未登録の商標あるいは登録後に失効したものについて、被請求人は極真会館の館長としての立場に基づいて、その被請求人個人名で出願し、登録を得ることが法人格なき社団である極真会館に対しその代表者として負担する善良な管理者としての注意義務の範囲内のものであると認められていた(乙第3号証の第40頁及び第44ないし45頁)。この点については控訴審でも覆らず、極真奨学会の訴えは棄却されている(乙第4号証の第41ないし46頁)。
 以上の事実をもってすれば、被請求人に対しては、本件商標「極真会館」の登録出願行為が個人の利益を図る目的でされたものではないということが明らかとなったものであるから、たとえ請求人が本件商標を無効とする根拠とした甲第14号証における無効審決が最高裁判所において判決が確定していたとしても、それはあくまでも本件商標が個人の利益を図る目的でされたと推認されたにずぎず、被請求人による本件商標の登録出願行為には不正の目的は一切ないことは上述のとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
3 結語
 以上述べたように、第1に請求人には請求人適格が認められないこと、第2に被請求人による本件商標における出願行為に不正の目的はないことが明らかになったのであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではなく、商標法第46条1項の規定によりその登録を無効とすることはできない。
 なお、最後に、本無効審判の審理を口頭審理とされることを懇請する。
 被請求人は本件商標「極真会館」について、生前の大山倍達から認可を受けた門弟の一人としてこの商標を使用する権利を有しており、かつ実際に現在に至るまで本件商標について使用を継続している。したがって、本無効審判において本件商標権が無効にされても、被請求人が本件商標の使用を継続できることについては全く問題がないと考えており、この点からすれば本件商標権の有効性を争う必要性は全くない。一方、門弟でもない第三者による不当な極真商標の使用を排除するためには、極真商標の適切な権利保護が必要と考えており、これについては請求人においても同様であると考える。そこで、請求人との間においても極真商標の適切な権利保護に関して話し合いの場を共有すべき状況にあるといえ、本件の審理にあたっては両者の意思確認がより容易な口頭審理を被請求人側より望むものである。
  
第4 当審の判断  
 本件商標は、「極真会館」の文字を横書きし、第25類「運動用特殊衣服,被服」等を指定商品とするところ、請求人は、被請求人(文章圭)による本件商標の登録出願の不当性を述べて、その登録は商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下判断する。
1 審決及び判決を含む甲各号証及び乙各号証によれば、以下の事実関係を認めることができる。
(1)大山倍達の活動と極真会館の組織等について
(ア)大山倍達は、直接打撃制を特徴とする極真空手と呼ばれる空手の流派の創始者であり、昭和39年に同空手に関する団体として極真会館を創設し、館長又は総裁と称された。その設立後にあって、組織やその運営に関する定めが「極真会館国内支部規約」等の形で規定されたが法人格を取得することはなく、かつ、同規定中にはその代表者である館長ないし総裁の地位の決定や承継等に関する規定はなかった。
 そして、組織運営の具体的な場面においては、創設者であり死亡時まで一貫して代表者であった大山倍達の個人的な判断にゆだねられる部分が多く、同人が強い影響力をもって団体全体を統率していた。
 また、大山倍達は、「財団法人極真奨学会」(昭和17年1月21日に育英及び学術研究の助成を目的として設立された財団法人:以下「極真奨学会」という。)の運営権を取得し、極真会館が各種の昇段状や賞状を発行する際の権威付けなどのためにその名称を使用していた。この極真奨学会の組織や活動についての最終的な決定権も大山倍達の個人的な判断にゆだねられていた。
(イ)極真会館は、大山倍達の下で規模を拡大していき、世界各地に多数の支部等を置くほか、国内においても、総本部のほか全国各地に支部を置いた。支部はそれぞれ担当する地区が定められており、大山倍達によって任命された支部長が各担当の地区において道場を開設し極真空手の教授を行っていた。極真空手を学ぶ者は、本部直轄道場や各支部の道場に入門して極真会館の会員となり道場生としてその教授を受けた。
 大山倍達が死亡した平成6年4月当時、極真会館は、日本国内において、総本部、関西総本部のほか55支部、550道場、会員数50万人を有し、世界130か国、会員数1200万人を越える規模となっていたとする。
 極真会館は、毎年、全日本空手道選手権大会及び全日本ウェイト制空手道選手権大会と呼ばれる極真空手の大会を開くと共に、4年に一度、全世界空手道選手権大会と呼ばれる極真空手の大会を開催していた。
 大山倍達及び極真会館の支部長らは、極真会館及び極真空手を示す標章として、「極真会館」、「極真会」及び円形の内部を図案化したマーク等各種の極真関連標章を空手の教授の際に使用するほか、極真会館が開催する空手大会の開催等にも、極真関連標章を使用していた。
 そして、前記のような極真会館の規模の大きさやその活発な活動から、大山倍達が死亡した平成6年4月時点においては、本件商標を含む極真関連標章は、少なくとも空手及び格闘技に興味を持つ者の間では、大山倍達の極真会館というまとまった一つの団体を出所として表示する標章として広く知られていた。
(ウ)極真会館の支部長は、極真会館が開催する大会に選手を派遣するなど、大会の運営に協力する義務、極真会館の総本部に会費等を納める義務、支部長会議に出席する義務等を負っていた。また、支部長は、担当地区内に道場を開設して極真空手に入門した道場生に対し、その教授を行い級位や初段の段位を与えることができ、担当地区内に分支部を設けることができた。
 そして、支部長は支部規約上、極真会館を表示する標章を無断で使用することを禁止されていたが、極真会館及び極真空手を示す標章として、「極真会館」、「極真会」及び円形の内部を図案化したマーク等各種の極真関連標章を極真会館の活動趣旨に沿う限り道場等において、その教授等に際し極真関連標章を自由に使用することができた。
(2)被請求人(松井章圭こと文章圭)の地位について
 被請求人は、昭和38年1月生まれで、同51年に極真会館に入門して以降、昭和60年及び同61年の全日本選手権では優勝し、同61年には極真空手において極限の荒行とされる100人組手を完遂し、さらに同62年の全世界空手道選手権大会で優勝した。被請求人は、極真会館の歴史の中で格闘技術に優れた選手の一人であり、極真会館が主催する空手の各種大会において、審判員、模範演技や大会運営委員会の支部長代行委員などの職務を務め、世界20か国余りの道場に指導員として訪れ、大山倍達の名代として、ネパールの王室に空手の演舞を献上した。
 さらに、被請求人は、大山倍達から、極真会館の新会館建設の建設委員会第2次建設委員長に任命され、黒帯研究会の指導を任され、平成4年に、大山倍達から支部長として任命され、本部直轄浅草道場を開設した。大山倍達の死亡時においては支部長であったが、支部長の中では31歳と年齢的に若く支部長としての経歴も短かった。
(3)大山倍達の死亡と被請求人の館長就任について
(ア)大山倍達は、平成6年4月26日に死亡したが、入院中であった同月19日付で同人の危急時遺言が作成された。危急時遺言は、大山倍達の病室において、弁護士である米津、外4名の証人の立会の下に死亡危急時遺言の方式により作成されたものである。
 危急時遺言には、極真会館、国際空手道連盟の大山倍達の後継者を被請求人と定めること、極真会館、国際空手道連盟を一体として財団法人化を図ること、この法人化には日時を要するので、その間は極真奨学会を拡充化するとともに、可能であれば極真奨学会が極真会館、国際空手道連盟を吸収することもよいこと、極真会館の本部直轄道場責任者、各支部長及び各分支部長らは被請求人に協力すべきこと並びに大山倍達の相続人は極真会館に一切関与しないこと等が記載されていた。
 なお、大山倍達は、生前、極真会館に属する者たちに対し自己の死後における極真会館の代表者をだれにするかについて公開の場で公式に示したということはなかった。
(イ)大山倍達の葬儀は、極真会館葬として平成6年4月27日に行われ、出棺の際、危急時遺言の証人の一人である梅田から、大山倍達が遺言で被請求人を後継館長に指名した旨の発表がされ、同日開催された支部長らの集まりにおいても、梅田から危急時遺言の内容についての説明がされ、被請求人は、自ら後継館長に就任する意思を明らかにした。その後、同年5月10日に開催された支部長会議において、全員一致で被請求人の館長就任が承認された。
(ウ)危急時遺言の証人の一人である弁護士の米津は、平成6年5月9日、東京家庭裁判所に対し、危急時遺言の確認を求める審判申立てをしたが、大山倍達の遺族らは、同遺言に疑義を表明して争った。上記審判申立てに対して、同裁判所は、平成7年3月31日、梅田は証人欠格事由に該当するにもかかわらず、証人として立ち会い、遺言内容の決定に深く関わったのであるから、方式遵守の違反があること、危急時遺言は、証人となった5人が、当時、病状の進行により体力、気力ともに衰えた遺言者(大山倍達)を2日間という長期間に亘り、証人らと利害の対立する立場にある家族を排除して証人らで取り囲むような状況の下で作成されたものであり、遺言者が遺言事項につき自由な判断のもとに内容を決定したものか否かにつき疑問が強く残り、遺言者の真意に出たものと確認することが困難であることを理由として、これを却下した。
 上記決定に対して、米津は東京高等裁判所に抗告したが、東京高等裁判所は、平成8年10月16日、上記とほぼ同様の理由により抗告を棄却し、平成9年3月17日、最高裁判所も、特別抗告を却下した。
(4)被請求人と極真関連標章の出願等について
(ア)極真関連標章の商標登録については、大山倍達生前に財団法人極真奨学会により、「極真会館」(昭和51年3月4日出願、平成3年政令第299号による改正前の第24類、登録第1421312号)の商標、「極真会」の文字を筆字によって縦書きにした(昭和51年3月4日出願、平成3年政令第299号による改正前の第24類、登録第1443462号)商標、及び円形の内部を図案化したマークから構成される(昭和51年5月14日出願、平成3年政令第299号による改正前の第24類、登録第1491281号)商標、円形の内部を図案化したマークから構成される登録第1706007号商標ないし登録第1706009号商標(いずれも昭和51年5月14日出願、平成3年政令第299号による改正前の第24類)等を登録出願し登録がされ、これら登録商標のうち更新登録がなされず大山倍達の死亡時までには登録が抹消されているものがあり、また、登録第1706007号商標ないし登録第1706009号商標については、大山倍達の死亡時にはその商標登録は抹消されていなかったところ、被請求人は、平成6年6月1日譲渡を原因として、自己名義への移転登録手続をした。
(イ)被請求人は、平成6年5月10日に支部長会議において館長就任が承認された後の同年5月18日に、「極真会」商標、「極真会館」商標、「KYOKUSHIN」商標及び円形の内部を図案化したマーク各種などを第25類と第41類に、また、平成7年2月20日に、「極真空手/KYOKUSHIN KARATE」の文字からなる商標を第41類に商標登録出願をしている。
 そして、第41類に出願された「極真会」、「KYOKUSHIN」及び「極真会館」の商標については、平成9年7月11日に、第25類に出願された「KYOKUSHIN」の商標については、平成9年8月1日に、第25類に出願された「極真会」の商標については、平成10年10月9日に、それぞれ商標登録され、また、「極真空手/KYOKUSHIN KARATE」の文字からなる商標については、平成9年8月8日に商標登録されている。
(ウ)被請求人は、これらの極真関連標章を出願し登録した経緯について、甲第9号証(格闘技通信)の中で次のように述べている。
 「…極真会という商標権、またあの極真のマークですね、…すべて私の個人名で登録されているという部分で支部長たちがおっしゃったようですけども、それに関してですね、実際問題私、実際それらの登記は私の個人名となっております。というのは、一つの理由として極真会館は任意の団体であって、法的にいうと、大山倍達による一心専属的な団体であると…総裁が残された遺言の遺志を継ぐということで、私まぁ、立っている訳ですが、…遺言が認められないんじゃないかという疑惑があれば、それは私が立つ理由は一つもないです。…遺志を継ぐ形で私が立ったわけです。その責任上、私が個人名で登録させていただいたと、これは将来的にはもちろん私個人のプライベートで所有するものではありませんから…社団法人なり財団法人なり、公益法人ができれば、速やかにそちらに移します。…それから、極真会館という商標権を個人で登録すると言ったときに、支部長たちに確認をとらなかったことに端を発して独断専行と、またはそのもっと言えば独裁というような形で物事を言われているようです。…ただ、それは時間的にもですね、もちろん情報は取り合いながら、意思の疎通を計りながらという部分でやるのは筋だと思いますけど、緊急の事項もいろいろな形でありますから、そのときは私の館長としての、職務の中でまた負った責務の中でですね、責任をもって物事を決定して進めてきたという部分があるわけです。…」
(5)極真会館の分裂について
 大山倍達の死亡により、平成6年5月10日に開催された支部長会議において、全員一致で被請求人の館長就任が承認されたが、大山倍達の遺族らは、危急時遺言に疑義を表明して争い、危急時遺言の確認を求める審判申立ての却下が確定するに及んで、極真会館は、松井(章圭)派、遺族派及び支部長協議会派の3派に分裂した。
(ア)この間の事情は、甲第9号証(格闘技通信)によれば、「松井館長・解任~極真お家騒動一部始終」の見出しの下に、「昨年4月26日、国際空手道連盟・極真会館の創始者であり、総裁であった大山倍達が肺がんによる呼吸不全のため死去してから、まもなく一年が経とうとしているが、ここに来てお家騒動がさらに激化していった」と記載されており、各派の記者会見等の内容が要旨次のように掲載されている。
(a)大山倍達の未亡人である大山智弥子は、大山倍達の死亡後の一連の流れが松井一派による極真会館の乗っ取り工作であると主張し、平成7年2月15日、自ら極真会館二代目館長を襲名することを宣言するとともに、被請求人によって破門されていた高木薫ら5人の支部長と共に遺族派を結成した。同年4月13日には、大山智弥子と次女大山恵喜が記者会見し、東京家庭裁判所の決定内容等について説明した。
(b)一方、平成6年5月10日の支部長会議において被請求人の館長就任を承認した支部長の中にも被請求人に対して反感を持つ者が多数おり、平成7年4月5日に、臨時の支部長会議が開催され、極真会の私物化、独断専行、不透明な経理処理の3点に加えて、支部長会議に諮ることもなく「極真会」の名称やマークを被請求人個人で商標登録したこと等を理由に、同支部長会議において、賛成35名、反対3名、欠席10名により、被請求人の館長解任が決議され、同日、支部長協議会派は、記者会見を行い、支部長協議会議長を中心に極真会館を運営する旨発表した。
(c)これに対し、被請求人及び同人を支持する支部長らは、平成7年4月6日、記者らと懇談し、大山倍達が決めたものを支部長会議で覆すことはできず、解任決議は効力がない旨反論し、被請求人が引き続き極真会館の館長の地位にあると宣言した。
(イ)請求人は、甲第12号証(平成7年7月11日付「お知らせ」)及び甲第13号証(平成7年7月14日付「極真会館全国支部長協議会の文書」)を提出している。甲第12号証は、国際空手道連盟・極真会館/館長大山智弥子名で、「大山倍達の死去後の松井章圭(被請求人)の行為、危急時遺言についての家裁の決定、今後の方針」等について、関係者に配布した「お知らせ」と題する文書であり、甲第13号証は、該お知らせに対して、極真会館全国支部長協議会議長西田幸夫ら28名の支部長らが大山智弥子を支持する旨の文書であり、この二代目館長たる大山智弥子の主張は、三代目館長である大山喜久子の主張でもある旨述べている。
(ウ)上記各派は、いずれも自派が極真空手を正当に承継するものであるとして、極真会館を名乗って道場の運営を行い、従前、極真会館が行っていたのと同一名称の極真空手の大会を開催するなどした。
 その後、平成13年12月には、遺族派の一部、支部長協議会派の一部等が極真連合会と称する団体を組織したり、平成15年11月には、松井派の支部長の一部が松井派から脱退し、新たに極真館と称する組織を発足させたりした。
 現在においても、大山倍達生前の極真会館における支部長等は、各派に分かれ、それぞれが、本部、支部等を設け、道場で極真空手の教授等を行ったり、極真空手の大会を開催したりしており、大山倍達生前の極真会館というまとまった一つの団体は、これと同一性を有しない複数の団体に分かれた状態である。被請求人は、現在もその中の一つの団体である松井派の代表者であり、極真会館の館長の地位にあると主張している。
(6)極真関連標章を巡る紛争について
(ア)甲第10号証及び甲第11号証によれば、被請求人は、平成11年ないし平成12年に、極真関連標章の商標権に基づき、NTTに対し、極真関連標章を使用した広告の掲載の禁止を申し入れたため、大石代悟支部長らは、NTTが平成13年度に発行したタウンページに掲載する広告に極真関連標章を使用することができなくなり、その結果、大阪地裁においては、岡田幸雄ら5名を原告として、また、東京地裁においては大石代悟ら5名を原告として、いずれも被請求人を被告として、商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求事件が提起された。それらの仮処分及び訴訟は、和解により終了したものもあるが、大阪地裁における商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求訴訟(同庁平成14年(ワ)第1018号事件:甲第10号証)、その控訴審(大阪高裁平成15年(ネ)第3283号事件)及び東京地裁における商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求訴訟(同庁平成14年(ワ)第16786号事件:甲第11号証)においては、被請求人が商標権を有する合計8件の極真関連標章について、差止請求権を有しないことの確認が求められていたところ、上記各事件の判決において、被請求人は、極真会館の一分派の代表者であり、同じく極真会館の分派に属する者に対して、極真関連標章の使用を禁止することは権利の濫用であるなどと判断され、差止請求権の不存在が確認された。
(イ)また、大山倍達の死亡後に極真奨学会名義から被請求人名義に移転登録された登録第1706007号商標ないし登録第1706009号商標、被請求人が出願し登録された「極真会館」の文字を商標とする本件商標及び請求人が引用する無効審判事件にかかる登録第4027346号商標を含む極真関連標章29件についての極真奨学会と被請求人との間の商標権移転登録手続請求訴訟事件(東京地裁平成16年(ワ)第23624号事件:乙第3号証)では、上記3件の移転登録申請における譲渡証書の作成の真正が認められないとして、極真奨学会への移転登録手続を命じる第1審判決が言い渡されたが、その余については「ところで、被告の行った本件各商標権の申請は、個人としての被告の立場ではなく、極真会館が法人格なき社団であり、商標権者となり得ないことを考慮して、極真会館のために行われたものであることは、被告も認めるところである。…また、本件においては、亡大山倍達の危急時遺言の遺志を尊重すれば、財団である極真奨学会名義を用いて商標登録出願する方法がより望ましい方法であったと考えられるものの、極真奨学会が休眠化してから数年来経過していたこと…これを極真奨学会の登録名義とすべき義務を負うとまで解することはできない。」等述べてその余の請求をいずれも棄却した。
 そして、その控訴審(知財高裁平成18年(ネ)第10070号事件:乙第4号証)において、上記3件の譲渡証書は、筆頭理事格であった梅田が平成6年当時の極真奨学会理事長に対し了解を得たものと推認し、真正に成立したものとされ、その移転登録申請の依頼は、被請求人とともに梅田からもされたものと認めることができるとして、一審の敗訴部分が取り消された。
2 以上で認定した、大山倍達死亡前後の一連の経緯及び事実を総合してみれば、大山倍達が死亡した平成6年4月当時、極真会館は、日本国内において、総本部、関西総本部のほか55支部、550道場、会員数50万人を有し、世界130か国、会員数1200万人を越える規模となっていたところ、「極真会館」、「極真会」及び円形の内部を図案化したマーク等各種の極真関連標章を空手の教授の際に使用するほか、極真会館が開催する空手大会の開催等にも、極真関連標章を使用していた。
 そして、このような極真会館の規模の大きさやその活発な活動から、大山倍達が死亡した平成6年4月時点においては、本件商標を含む極真関連標章は、少なくとも空手及び格闘技に興味を持つ者の間では、大山倍達の極真会館というまとまった一つの団体の出所を表示する標章として広く知られるに至っていたことが認められ、それは大山倍達と大山倍達生前の極真会館に属する各構成員の努力により、極真会館及び極真空手を全国に普及し、発展させた結果であるから、極真関連標章が表示する出所は、一つの団体としての極真会館であることは明らかである。
 してみると、大山倍達及び同人から任命を受けた支部長らによる永年の努力による信用等が化体されている「極真会館」、「極真会」及び円形の内部を図案化したマーク等各種の極真関連標章にかかる権利は、極真会館に所属する支部長ら構成員によって、共有的ないし総有的に管理・使用されるものと解するのが相当であるといえる。
 しかして、被請求人による本件商標の登録出願は、大山倍達生前の極真会館という膨大な構成員からなる規模の大きなまとまった一つの団体を出所として表示するものとして広く知られていた標章について、大山倍達の死亡時から間もない当時の代表者である被請求人が個人名義(大山倍達生前には、個人名義とせず極真奨学会により出願し登録した。)でしたものであるが、その登録出願は、極真会館のために、これが法人化されるまでの保全的な措置としてのものであり、しかも、被請求人の館長就任が承認される前提となった危急時遺言が有効なものであり、かつ、極真会館の運営及び極真関連標章に係る商標権の管理が極真会館関係者の間において、平穏裡に行われていた場合に限られるというべきである。
 しかしながら、危急時遺言の確認を求める審判申立てを却下する決定が確定したことにより、被請求人が極真会館の代表者たる館長の地位にあることの最大の前提は崩れたものといわなければならないし、一旦は館長就任を承認した支部長会議は、その後、被請求人の館長解任を決議している。
 しかも、危急時遺言の確認を求める申立てが却下された理由は、単に、証人の中に欠格事由のある者がいたという方式遵守違反を理由にするばかりでなく、遺言者が遺言事項につき自由な判断のもとに内容を決定したものか否かにつき疑問が強く残り、遺言者の真意に出たものと確認することが困難であるという理由から却下されたものであり、このことが意味するところは、大きいものといわなければならない。
 そして、極真会館は、大山倍達が強い影響力をもって団体全体を統率していたが、その死後に、複数の団体に分裂し、また、被請求人を被告とする本件審判請求や他の商標登録無効審判請求事件、商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求事件、商標権移転登録手続請求訴訟事件等が提起され、極真関連標章について支部長ら、極真奨学会、遺族との間で紛争が生じている。
 そうとすれば、被請求人の館長就任が承認される前提となった危急時遺言の確認を求める申立てが却下された事実と極真会館の分裂に至る経緯及び被請求人による極真関連標章の商標権の行使により、他会派に属する支部長らの業務に支障が生じている事実をも併せ考慮すると、被請求人による極真関連標章についての登録の有効性は認め難いばかりでなく、被請求人は、極真関連標章を出願する際には、既に、極真会館分裂の可能性をも予見して、将来生ずるであろう各派の対立関係を自己に有利に解決する意図をもって、本件商標をはじめとする極真関連標章の登録出願をしたものと推認せざるを得ない。
 してみれば、このような事実関係の下においてなされた本件商標の登録は、公正な取引秩序を害し、公序良俗に反するものといわなければならない。
3 被請求人の主な主張について
(1)請求人適格について
 被請求人は、請求人の出願にかかる商標登録出願(商願2004-94602号)を行っている事実を鑑みれば、請求人が本件無効審判を請求することについて法的利害関係を有しているとみることはできるとしつつ、請求人は大山倍達の遺族であるとしても、本件商標「極真会館」の周知性の確立に関してはもとより関与しておらず、大山倍達生前の事業について実質的同一性をもって継続している事実はないのであるから、請求人は商標法第4条第1項第10号にいう「他人」に該当するということができる旨述べて、請求人に本件無効審判の請求人適格を認めるべきではないと主張している。
 しかしながら、請求人は、現に、自己の商標登録出願(商願2004-94602号)に対して、本件商標を引用した拒絶理由の通知を受けており、本件商標の存在により不利益を被っているのであるから、その登録の無効を求める本件審判請求について、法律上の利害関係を有していると認められる。このことは、請求人が、商標法第4条第1項第10号にいう「他人」に該当するか否かに係わらないことである。
 したがって、被請求人の上記主張は採用することができない。
(2)被請求人による本件商標における出願行為の正当性について
 被請求人は、本件商標の登録出願が被請求人の個人的な利益のためにされたものではないことを、本件商標及び請求人が本件審判請求に引用する無効審判請求事件に係る登録商標を含む極真関連標章29件についての商標権移転登録手続請求訴訟事件(東京地裁平成16年(ワ)第23624号事件:乙第3号証、知財高裁平成18年(ネ)第10070号事件:乙第4号証)を引用して、当該判決により、被請求人に対しては、本件商標「極真会館」の登録出願行為が個人の利益を図る目的でされたものではないということが明らかとなったものであるから、たとえ請求人が本件商標を無効とする根拠とした甲第14号証における無効審決が最高裁判所において判決が確定していたとしても、それはあくまでも本件商標が個人の利益を図る目的でされたと推認されたにずぎず、被請求人による本件商標の登録出願行為には不正の目的は一切ないから、請求人の主張には理由がない旨主張する。
 確かに、当該商標権移転登録手続請求訴訟事件において、本件商標登録出願当時の被請求人には、大山倍達が設立した極真奨学会の筆頭理事格の梅田が後見人として補佐し、極真奨学会名義の商標権にかかわる移転登録手続はその後見人と連帯的に行ったものである旨が示されたことを認めることができる。
 しかしながら、当該商標権移転登録手続請求訴訟事件は、本件商標をはじめとする極真関連標章について、極真奨学会名義で出願すべき義務やこれに違反して登録された各商標権を極真奨学会に移転登録すべき契約が締結された事実は認められない旨判断されて、その請求はいずれも棄却されたものであること以上には、被請求人に対して、極真関連標章についての商標登録出願行為が個人の利益を図る目的でされたものではないということを断定し判示したものと解することはできない。
 そして、本件商標の登録出願当時(平成6年当時)に後見人とされる梅田の関与があるものとしても、被請求人自身に、極真関連標章を商標登録出願する際において、極真会館分裂の可能性をも予見して、将来生ずるであろう各派の対立関係を自己に有利に解決する意図をもって、出願をしたものでないことを確証させるような証拠は見出せない。
 また、上記1(5)及び2において認定、判断したように、平成6年5月10日の支部長会議における館長就任を承認に反感を持つ者が多数おり、同7年4月5日の臨時支部長会議において、賛成35名、反対3名、欠席10名により、被請求人の館長解任が決議されされたこと、大山倍達の未亡人である大山智弥子が、平成7年2月15日に自ら極真会館二代目館長を襲名することを宣言したこと、及び被請求人の館長就任を承認する前提となった危急時遺言の確認を求める審判申立てを却下する決定が確定したことなど、大山倍達生前の極真会館というまとまった一つの団体を承継し、その代表者としての館長であると主張している根拠は喪失したものというべきである。そして、他に、被請求人をこれと同一性を有する極真会館の後継館長と認めるに足りる証拠は提出されていない。
 したがって、被請求人の主張をもって上記2おける認定、判断を左右することはできず、その主張は採用できない。
(3)口頭審理の求めについて
 被請求人は、同人の本件商標の使用の継続について、及び第三者による不当な極真商標の使用を排除するため極真商標の適切な権利保護の必要性について請求人との間において話し合いの場を共有すべき状況にあり、本件の審理にあたっては両者の意思確認がより容易な口頭審理を被請求人側より望むものである、と述べている。
 しかしながら、本件商標の使用の継続について、大阪地裁における商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求訴訟(同庁平成14年(ワ)第1018号事件:甲第10号証)、その控訴審(大阪高裁平成15年(ネ)第3283号事件)及び東京地裁における商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求訴訟(同庁平成14年(ワ)第16786号事件:甲第11号証)に照らしてみれば、被請求人は、極真会館の一分派の代表者であり、同じく極真会館の分派に属する者に対して、極真関連標章の使用を禁止することは権利の濫用であり、差止請求権の不存在が確認されたことは前述のとおりである。
 そして、本件無効審判事件は、本件商標が公正な取引秩序を害し公序良俗に反するものであるか否か、すなわち、登録の無効事由が存在するか否かを審理する局面であるところ、被請求人の本件商標の使用の継続や第三者による不当な極真商標の使用に対して、請求人との話し合いの場を共有すべきことは、本件無効審判事件外の場で行われるべきことであり、本件無効審判事件において直接的に審理すべき事項とはいい難いから、その口頭審理の必要性は認められない。
4 まとめ      
 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【結審通知日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【審決日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【審判長】 【特許庁審判官】芦葉 松美
【特許庁審判官】伊藤 三男
【特許庁審判官】岩崎 良子

(210)【出願番号】商願平6-48933
(220)【出願日】平成6年5月18日(1994.5.18)
(260)【公告番号】商公平8-49413
(442)【公告日】平成8年4月19日(1996.4.19)
(111)【登録番号】商標登録第3371034号(T3371034)
(151)【登録日】平成11年1月8日(1999.1.8)
(561)【商標の称呼】キョクシンカイカン
【最終処分】成立
【前審関与審査官】箕輪 秀人

取消2008-300663

【管理番号】第1187476号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300663(T2008-300663/J2)
【審判請求日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【確定日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【審決分類】
T131 .1  -Z  (Z09)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社ユビキタスエンターテインメント
【住所又は居所】東京都文京区本郷5丁目24番6号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
【被請求人】
【氏名又は名称】全国共済農業協同組合連合会
【住所又は居所】東京都千代田区平河町2丁目7番9号 (全共連ビル)
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4411451号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4411451号商標の商標登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4411451号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【結審通知日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【審決日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】杉山 和江

(210)【出願番号】商願平11-57696
(220)【出願日】平成11年6月30日(1999.6.30)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第4411451号(T4411451)
(151)【登録日】平成12年8月25日(2000.8.25)
(561)【商標の称呼】ライフナビゲーター
【最終処分】成立
【前審関与審査官】田村 正明

取消2008-300658

【管理番号】第1187554号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300658(T2008-300658/J2)
【審判請求日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【確定日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y16)
【請求人】
【氏名又は名称】ディズニー エンタープライゼズ インク
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア州 バーバンク サウス ブエナ ビスタ ストリート 500
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 和子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】井滝 裕敬
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤倉 大作
【被請求人】
【氏名又は名称】ユニー株式会社
【住所又は居所】愛知県稲沢市天池五反田町1番地
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4865123号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4865123号商標の指定商品中、第8類「ピンセット,くわ,鋤,レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。),電気かみそり及び電気バリカン,手動利器,手動工具,エッグスライサー(電気式のものを除く。),かつお節削り器,角砂糖挟み,缶切,くるみ割り器(貴金属製のものを除く。),スプーン,チーズスライサー(電気式のものを除く。),ピザカッター(電気式のものを除く。),フォーク,アイロン(電気式のものを除く。),糸通し器,チャコ削り器,五徳,十能,暖炉用ふいご(手持ち工具に当たるものに限る。),火消しつぼ,火ばし,護身棒,殺虫剤用噴霧器(手持ち工具に当たるものに限る。),ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット,パレットナイフ」、第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具 」、第16類「電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),靴下の型崩れ防止用台紙,紙製テーブルクロス,文房具類,書画」、第21類「デンタルフロス,ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),かいばおけ,家禽用リング,魚ぐし,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,はえたたき,ねずみ取り器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,洋服ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),お守り,おみくじ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,化粧用具,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,ブラシ用豚毛 」及び第26類「針類,被服用はとめ,テープ,リボン,房類,組みひも,編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱(貴金属製のものを除く。),腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。),靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具 」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4865123号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【結審通知日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【審決日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】久我 敬史
(210)【出願番号】商願2004-76860(T2004-76860)
(220)【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
(111)【登録番号】商標登録第4865123号(T4865123)
(151)【登録日】平成17年5月20日(2005.5.20)
(561)【商標の称呼】アリエル、アリーエル、エリエル
【最終処分】成立
【前審関与審査官】小川 きみえ、田口 玲子

取消2008-300567

【管理番号】第1187505号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300567(T2008-300567/J2)
【審判請求日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【確定日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (103)
【請求人】
【氏名又は名称】エコラブ インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ミネソタ州 55102 セントポール ワバッシャ ストリート ノース 370番
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 徹
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】横畑 雅子
【被請求人】
【氏名又は名称】株式会社コーセー
【住所又は居所】東京都中央区日本橋3丁目6番2号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】成合 清
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】為谷 博
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第2713146号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第2713146号商標の指定商品中、第3類「せっけん類」については、その登録を取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第2713146号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【結審通知日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【審決日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】小畑 恵一

(210)【出願番号】商願昭59-46494
(220)【出願日】昭和59年5月9日(1984.5.9)
(260)【公告番号】商公平7-533
(442)【公告日】平成7年1月9日(1995.1.9)
(111)【登録番号】商標登録第2713146号(T2713146)
(151)【登録日】平成8年4月30日(1996.4.30)
(561)【商標の称呼】イーボルーション、エーボルチオン、エボリューション
【最終処分】成立

取消2007-301753

【管理番号】第1187663号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301753(T2007-301753/J2)
【審判請求日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【確定日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y10)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社バンインターナショナル
【住所又は居所】埼玉県越谷市南越谷1丁目4番75号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
【被請求人】
【氏名又は名称】渡邊 秀樹
【住所又は居所】茨城県真壁郡真壁町塙世282―4
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4787576号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4787576号商標の指定商品中「医療用機械器具,治療用機械器具」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4787576号商標(以下「本件商標」という。)は、「エステキャップ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成15年11月20日に登録出願、第10類「おしゃぶり,避妊用具,人工鼓膜用材料,医療用機械器具,治療用機械器具,医療用手袋,しびん,耳かき」を指定商品として同16年7月16日に設定登録されたものである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由次のように述べている。
 本件商標は、その指定商品中の「医療用機械器具,治療用機械器具」について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
 
3 被請求人の主張の要点
 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
 被請求人は、「I・C・つくばCo.,Ltd」の名称(営業表示)をもって、乙第1号証ないし乙第15号証(代金引換送付伝票)に示すとおり、「医療用機械器具、治療用機械器具」等の販売を行なっている。
 被請求人の商品「エステキャップ」は、乙第16号証(エステキャップの説明書)及び乙第17号証ないし乙第20号証(I・C・つくば YAHOO!ショッピングのホームページ)から、「医療用機械器具、治療用機械器具」に含まれる商品であることは明らかである。
 以上のとおり、本件商標「エステキャップ」は、継続して3年以上使用されているので、答弁の趣旨とおりの審決を求める。
 
4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証ないし乙第15号証は、いずれも、商品を発送した際に、依頼主に交付される商品送付伝票の控と認められるものである。これらには、平成18年3月30日から同19年11月4日にかけての日付があり、ご依頼主の欄には、乙第3号証及び乙第4号証に「渡邉秀樹」とあるほかは、「I・C・つくばCo.,Ltd」とあり、お届け先の欄には、美容室や個人名が記載されており、品名の欄には「エステキャップ」、「遠赤外線エステキャップ」、「ヘアーエステキャップ」あるいは「遠赤外線エステキャップ ユメのクロカミシャンプー セット」等の商品名が記載されている。
(イ)乙第16号証は、「I・C・TSUKUBA CO.,LTD」の発行に係る「エステキャップ」の説明書と認められるものであり、「美しい髪と肌をつくる遠赤外線のニューエステ」の表題のもとに、「エステキャップ新発明!!/入浴時・15~20分かぶって使用するホームエステ/髪とお肌と首すじを同時にイキイキ」と記載されており、「エステキャップの特徴」の欄には「美しく健康的なヘアー&フェイスケア」として「遠赤外線の温熱作用が細胞の新陳代謝をうながし、美しい髪、美しいお肌づくりが同時にできます。」と記載されている。また、「エステキャップの構造」の欄には、「キャップはセラミックを2重の完全防水ビニール素材で包んでいます。」とあり、「エステキャップの入浴時ご使用法」の欄には、例えば、「ヘアケア」の場合には「(1)抜け毛、薄毛、白髪の方は毎日、育毛剤をつけて、マッサージしてキャップをかぶります。(2)湯舟につかって温まったり、身体を洗ったりして15分~20分でキャップをはずし髪をすすいでください。これでヘアケアはOKです。」等と記載されている。
(ウ)乙第17号証ないし乙第20号証は、いずれも、「I・C・つくば YAHOO!ショッピングのホームページ」であり、「遠赤外線ヘアーエステキャップ」や「遠赤外線膝エステキャップ」の商品紹介が記載されている。「遠赤外線ヘアーエステキャップ」については、「『真似できない』髪と頭皮に遠赤外線を利用した画期的なヘアーエステキャップ」とあり、「毎日の入浴時に遠赤外線エステキャップでお肌と髪対策が同時に出来ます。」等と記載されており、「遠赤外線エステキャップと夢の黒髪シャンプー100mmセット」の商品も紹介されている(乙第19号証)。また、「遠赤外線膝エステキャップ」については、「『真似できない』遠赤外線の発汗法。パジャマの上から巻いて寝るだけ。電気を使わないので安全!安心!」とあり、「遠赤外線を利用した画期的な全身ホット・パッド(エステキャップ)。身体の各部分に巻いて寝るだけで自然にリンパ液や血液運動をサポートします。・・・遠赤外線膝エステキャップは2枚組みになっています。両腕、両足には1枚ずつ巻いて使用し、肩、腰、お腹ダイエット、ウェストには2枚をつなぎ合わせて使用します。また、遠赤外線エステキャップには使い捨てミニカイロを入れるポケットがついています。・・・」等と記載されている(乙第20号証)。 
(2)上記において認定した事実を総合すると、少なくとも、被請求人(渡邉秀樹)は、本件審判の請求の登録(平成20年1月25日)前3年以内の平成18年9月25日及び同年5月14日に(乙第3号証及び乙第4号証)、日本国内において、本件商標を付した「遠赤外線 エステキャップ セット ユメのクロカミシャンプー」と称する商品を個人や美容室に対して販売していたものと認めることができる。
 なお、被請求人は、「I・C・つくばCo.,Ltd」の名称(営業表示)で販売を行っている旨述べているところ、この「I・C・つくばCo.,Ltd」がいかなる組織の法人であるのか定かではないが、乙第3号証及び乙第4号証には、依頼主の住所欄に「I・C・つくばCo」とあり、名前の欄に「渡邉秀樹」と記載されていることからみて、商標権者(渡邉秀樹)は、「I・C・つくばCo.,Ltd」に対して、本商標権についての通常使用権を許諾していたものと推認するのが相当であり、そのように解した場合には、被請求人(渡邉秀樹)及び被請求人の通常使用権者と推認し得るI・C・つくばCo.,Ltdは、乙第1号証ないし乙第15号証により、本件審判の請求の登録日前3年以内の平成18年3月30日から同19年11月4日にかけて、日本国内において、本件商標を付した「(遠赤外線)ヘアーエステキャップ」と称する商品を美容室や個人に対して販売していたものということができる。
(3)しかしながら、上記商品は、取消しの請求に係る第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」の範疇に属する商品とは認められない。
 第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」は、特許庁商標課編集、社団法人発明協会発行の「商品及び役務区分解説[国際分類第8版対応]」によれば、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する」と記載されているように、医師あるいは看護師等によって医療・治療のために用いられる機械器具がこの概念に属するものである。しかるに、被請求人の業務に係る「(遠赤外線)エステキャップ」なる商品は、乙第16号証ないし乙第19号証によれば、入浴時に頭にかぶり、遠赤外線による温熱作用を利用して細胞の新陳代謝を促し、美しい髪、美しいお肌づくりが同時にできる効果があるとしているものであって(「遠赤外線エステキャップと夢の黒髪シャンプー100mmセット」なる商品も同時に宣伝・販売されている。)、このような使用方法は、医療機関において、医師等の指導・処方によって使用されるものとはなっておらず、しかも、その使用によって得られる効果にしても、使用者に対する医療・治療の効果とはいい難いものであり、医療用の効果があることも全く説明されていない。
 してみれば、「(遠赤外線)エステキャップ」なる商品は、使用者個人が個人的に家庭において入浴時に使用する美容器具の類に属する商品というべきものであって、第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」の範疇に属する商品とは認められない。このことは、乙第1号証ないし乙第15号証によるゆうパック伝票のお届け先を見ても、医療機関とは全く関係がないと思われる個人や美容室に対し送付されていることからも首肯し得るものである。
 また、乙第20号証のI・C・つくば YAHOO!ショッピングのホームページに記載されている「遠赤外線膝エステキャップ」と称する商品も、遠赤外線の温熱作用を利用して発汗を促進させることを目的とした商品であり(使い捨てミニカイロを入れるポケットがついている旨の記載もある)、家庭において用いるいわゆる健康器具の類に属する商品というべきものであって、第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」の範疇に属する商品とは認められないものである。
 そして、他に、上記各商品が「医療用機械器具,治療用機械器具」として取引されていたと認めるに足る証拠は提出されていない。
(4)してみれば、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品「医療用機械器具,治療用機械器具」について使用されていなかったものといわなければならない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「医療用機械器具,治療用機械器具」について取り消すべきものとする。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【結審通知日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【審決日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】小畑 恵一
【特許庁審判官】杉山 和江

(210)【出願番号】商願2003-103109(T2003-103109)
(220)【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
(111)【登録番号】商標登録第4787576号(T4787576)
(151)【登録日】平成16年7月16日(2004.7.16)
(561)【商標の称呼】エステキャップ、キャップ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】大島 勉


取消2007-301546

【管理番号】第1187628号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301546(T2007-301546/J2)
【審判請求日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【確定日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (025)
【請求人】
【氏名又は名称】マーティン ディーン
【住所又は居所】イギリス国 AL1 4XE ハーツ セントアルバンス マーシャルスウィック レーン 114
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 徹男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】醍醐 邦弘
【被請求人】
【氏名又は名称】シー・ウント・ボギー・ゲゼルシャフト・フュア・モーデフェルトリープス・ミット・ベシュレンクテル・ハフツンク・ウント・コンパニー・ツェアフィース・コマンデイトゲゼルシャフト
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国、ノイス、アウグスティヌスシュトラーセ 26
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正年
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4346333号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4346333号商標の指定商品中、第25類「被服,履物,特殊運動用衣服,特殊運動用靴」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4346333号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【結審通知日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【審決日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【審判長】 【特許庁審判官】中村 謙三
【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小林 由美子

(210)【出願番号】商願平8-108319
(220)【出願日】平成8年9月27日(1996.9.27)
(111)【登録番号】商標登録第4346333号(T4346333)
(151)【登録日】平成11年12月24日(1999.12.24)
(561)【商標の称呼】シー
【最終処分】成立


取消2007-300052

【管理番号】第1187668号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-300052(T2007-300052/J2)
【審判請求日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【確定日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【審決分類】
T131 .1  -Z  (Z09)
【請求人】
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 95014 カリフォルニア州 クパチーノ インフィニット ループ 1
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 厚
【被請求人】
【氏名又は名称】ニュアンス・コミュニケーションズ・インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国、マサチューセッツ州 01803、バーリントン、ウェイサイド・ロード 1
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 義雄
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 俊實
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4323789号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4323789号商標の商標登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4323789号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【結審通知日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【審決日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願平9-186622
(220)【出願日】平成9年12月18日(1997.12.18)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第4323789号(T4323789)
(151)【登録日】平成11年10月8日(1999.10.8)
(561)【商標の称呼】ページス
【最終処分】成立
【前審関与審査官】冨澤 美加


不服2008-9986

【管理番号】第1187535号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-9986(T2008-9986/J1)
【審判請求日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【確定日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【審決分類】
T18  .13 -Z  (X03)
T18  .272-Z  (X03)
【請求人】
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市生野区巽西1丁目8番1号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】網野 友康
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】初瀬 俊哉
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 茂樹
【事件の表示】
 商願2007-83107拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求は、成り立たない。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「ナチュラル美肌」の文字を標準文字で表してなり、第3類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年7月26日に登録出願されたものである。
 
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『ナチュラル美肌』の文字を標準文字で表示してなるが、指定商品との関係において、『ナチュラル』の文字部分が『自然な』等の意味を、また『美肌』の文字部分が『美しい肌』の意味を想起させることから、本願商標は全体として『自然な美しい肌』等の意味合いを容易に想起させる。そして、『ナチュラル美肌』の文字全体が平成19年11月5日付けで第三者から提出された『刊行物等提出書』添付の『資料1』に示すように、化粧品を取り扱う業界において前記意味合いを表わす語として用いられていることから、本願商標をその指定商品中の『肌用化粧品』(例えば『ファンデーション』等)に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、その商品が『自然な美しい肌にするもの』あるいは『自然な美しい肌に見せるもの』等の意味合いを表示したものと理解するにすぎず、本願商標は、単に商品の品質(内容)、効能を表わしたものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
3 当審の判断
 本願商標は、上記1のとおりの構成よりなるところ、その構成中「ナチュラル」の語は、化粧品等を取り扱う業界においては、例えば、「ナチュラルメイク」の語のように「(素肌感を大切にした)自然な仕上がりの」程度の意味を表わす語として一般的に使用されており、また、「美肌」の語は、「びはだ【美肌】美しい肌。また、肌を美しくすること」(株式会社三省堂発行の大辞林第2版新装版)を意味する語であり、化粧品等を取り扱う業界においても一般的に使用されている語である。
 してみると、本願商標は、全体として、「(素肌感のある)自然な美しい肌」程度の意味合いを看取させるにすぎず、これをその指定商品中「化粧品」に使用するときは、単に「自然な美しい肌に仕上げる商品」といった商品の品質(効能)を表示するにすぎないものと認める。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【結審通知日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【審決日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【審判長】 【特許庁審判官】渡邉 健司
【特許庁審判官】杉山 和江
【特許庁審判官】馬場 秀敏

(210)【出願番号】商願2007-83107(T2007-83107)
(220)【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
(541)【標準文字】
(561)【商標の称呼】ナチュラルビハダ
【最終処分】不成立
【前審関与審査官】鈴木 斎

不服2008-3026

【管理番号】第1187601号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-3026(T2008-3026/J1)
【審判請求日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【確定日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【審決分類】
T18  .262-WY (X25)
T18  .264-WY (X25)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社エーダイニット
【住所又は居所】埼玉県羽生市北1丁目12番33号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
【事件の表示】
 商願2007- 32234拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類に属する「靴下」を指定商品として、平成19年4月3日に登録出願されたものである。
 
2 引用商標
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した商標は、以下のとおりであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4387005号商標(以下「引用商標1」という。)は、「セブンエイト」の文字を標準文字で表してなり、平成11年6月24日登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,失禁用おしめ」を指定商品として、同12年5月26日に設定登録されたものである。
(2)登録第4670235号商標(以下「引用商標2」という。)は、「魔法の靴下」の文字を標準文字で表してなり、平成13年12月11日登録出願、第25類「靴下」を指定商品として、同15年5月9日に設定登録されたものである。  
  
3 当審の判断
(1)本願商標の指定商品と引用商標1の指定商品との類否について
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの認定、判断は、本願商標の指定商品「靴下」(以下「本願商品」という。)と引用商標1の指定商品中の「失禁用おしめ」(以下「引用1商品」という。)とが類似することが前提となっている。
 しかして、商品の類否の判断は、取引の実情、即ち商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、2つの商品に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものである。
 そこで、本願商品と引用1商品との類否を判断するに、本願商品は「靴を履く時などに足に直接はく衣料」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)であり、他方、引用1商品は尿漏れを受けるための商品であって、紙製のものが主流であり衛生用品として販売されていることが多く、その生産者、原材料、品質、用途、販売場所等において著しく相違し、また、完成品と部品との関係にないことも明らかであるとみられるから、これらの商品が、一般の家庭で日常使用される商品であり、需要者を共通にする場合があるとしても、両者に同一又は類似の商標が使用された場合において、取引上商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。
 よって、本願商品と引用1商品とは互いに類似しない商品といわざるを得ない。
 したがって、本願商標の指定商品と引用商標1の指定商品とは類似する商品であるとした原査定は妥当なものとはいえない。
(2)本願商標と引用商標2との類否について
 本願商標は、別掲のとおり、簡略化した靴下と思しき図形を描き、その図形内には、横書きで「マイナスイオン効果シリーズ」、「『くちゴム』ゆったり」、「セブンエイトの足を冷やさない魔法のくつ下」、「冷え性の人にも最適なあったかくつ下」、「アレルギーの人にも最適な健康くつ下」、「サラッとした快適くつ下」、「かかとカサカサ解消」、「毛玉防止」、「外側素材 毛玉防止糸使用」の文字を書してなるところ、図形部分及び文字部分は、これらを常に一体不可分のものとしてのみ認識しなければならない格別の事情を認め得ないものであるというのが相当である。
 しかして、構成中の文字部分において、中央やや上部に顕著に表された「セブンエイトの足を冷やさない魔法のくつ下」の文字以外の文字部分は、本願指定商品との関係では、商品の品質を表示する語というべきであり、また、「セブンエイトの足を冷やさない魔法のくつ下」の文字中の「の足を冷やさない魔法のくつ下」の部分は、商品についての一種の誇称表示、若しくは、キャッチフレーズとして、それぞれ認識、理解されるものであって、自他商品の識別力が無いか又は極めて弱いものといわざるを得ない。
 そして、簡易迅速性を重んじる取引の実際において、需要者、取引者は、その商品に使用された商標の自他商品の識別機能を有する部分を適宜抽出し、その称呼を簡略化して取引に資する場合のあることは、経験則上明らかなところである。
 そうとすれば、「セブンエイトの足を冷やさない魔法のくつ下」の文字部分においては、「セブンエイト」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると認められるものであるから、前記文字部分において、その全体より生じる称呼以外に生じる称呼は、「セブンエイト」の称呼のみというべきである。
 他方、引用商標2は、「魔法の靴下」の文字を標準文字で表してなり、これよりは「マホウノクツシタ」の称呼を生ずる。
 してみれば、本願商標より「マホウノクツシタ」の称呼をも生ずるとし、その上で、本願商標と引用商標2とが称呼上類似するものとした原査定は妥当なものとはいえない。
(3)まとめ
 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【審判長】 【特許庁審判官】芦葉 松美
【特許庁審判官】酒井 福造
【特許庁審判官】小松 里美

<別掲>
本願商標(色彩については、原本参照。)
 

不服2007-1530

【管理番号】第1187620号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2007-1530(T2007-1530/J1)
【審判請求日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【確定日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【審決分類】
T18  .26 -WY (Y40)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
【住所又は居所】東京都大田区大森北二丁目13番11号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
【事件の表示】
 商願2005-116537拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類「半導体ウェハ,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第40類「半導体ウェハの加工」を指定商品及び指定役務として、平成17年11月30日に登録出願、その後、第9類に属する指定商品については、原審における同18年7月24日付け手続補正書により、全て削除されたものである。
  
2 原査定の拒絶の理由の要点
 本願商標は、別掲2のとおりの構成よりなる登録第4441306号商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似する商標であって、同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
  
3 当審の判断
 本願商標は、別掲1のとおり、太枠で書された横長楕円形図形内に、波線で様式化された花と思しき図形を配し、その図形の右側に、「TAIKO」の欧文字を横書きにしてなるものである。
 そして、構成中の図形部分と「TAIKO」の文字部分とが全体として一体に把握されるとする特段の事情はない。
 してみれば、「TAIKO」の文字部分も独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るというべきである。
 したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「タイコ」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
 他方、引用商標は、別掲2のとおり、頭部を太い棒状のもので横に刺し抜かれた魚様の図形と、その右側に「aikoH」(構成中の「aiko」と「H」は、同じ大きさで書されている。以下同じ。)の欧文字を書してなるものである。
 そして、構成中の魚様の図形と「aikoH」の文字とが全体として一体に把握されるとする特段の事情はない。
 してみれば、「aikoH」の文字部分も独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るというべきである。
 したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「アイコー」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
 そこで、本願商標と引用商標との類否について検討するに、本願商標と引用商標は、それぞれの構成に照らし外観上判然と区別し得る差異を有し、観念上本願商標と引用商標を比較することはできない。
 また、本願商標から生ずる「タイコ」の称呼と、引用商標から生ずる「アイコー」の称呼を比較すると、両者は共に3音で構成され、「イ」「コ」の音を共通にするとしても、語頭における「タ」と「ア」の音を相違し、かつ第3音「コ」における長音の有無に差異を有するものであるから、3音という短い構成にあっては、かかる差異が、両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえない。
 そうとすれば、両者をそれぞれ一連に称呼した場合は、語調、語感が異なり、互いに聞き誤るおそれのないものというのが相当である。
 してみれば、本願商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】小川 きみえ
【特許庁審判官】豊田 純一

別掲1 本願商標(色彩については願書を参照)




 
別掲2 引用商標



  
 
 

(210)【出願番号】商願2005-116537(T2005-116537)

不服2005-14210

【管理番号】第1187646号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2005-14210(T2005-14210/J1)
【審判請求日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【確定日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【審決分類】
T18  .13 -Z  (Y30)
T18  .272-Z  (Y30)
【請求人】
【氏名又は名称】クラシエフーズ株式会社
【住所又は居所】東京都港区海岸3丁目20番20号
【事件の表示】
 商願2004- 86217拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求は、成り立たない。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「ベジィアイス」の片仮名文字と「Veggie ice」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成16年9月17日に登録出願されたものである。
 
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『Veggie ice』の文字と、その上部にその表音と認められる『ベジィアイス』の文字を普通に書してなるところ、その構成中の『Veggie』『ベジィ』の文字部分は『野菜』等を、『ice』『アイス』の文字部分は『氷菓子』等を、それぞれ意味する語として一般に広く使用されているから、これよりは全体として『野菜を使用したアイス』程度の意味合いを認識させるにすぎず、これを本願指定商品中、例えば『野菜を使用したアイス』等に使用するときは、単に、商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
3 当審における証拠調べ通知
 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲に記載の事実を発見したので、平成20年6月6日付けの証拠調べ通知書により、請求人に対し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。
 
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
 上記3の「証拠調べ通知」に対して、所定の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたところ、請求人からは何らの意見もなかった。
 
5 当審の判断
 本願商標は、上記1のとおり「ベジィアイス」の片仮名文字と「Veggie ice」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるところ、その構成中、「Veggie」、「ベジィ」の文字(語)は、英語「veggie」に由来し、「野菜」(株式会社小学館発行「小学館ランダムハウス英和大辞典」、株式会社研究社発行「研究社新英和大辞典」)を意味しており、また、「アイス」、「ice」の文字(語)は、英語「ice」に由来し、「氷。アイス‐クリーム・アイス‐キャンデーの略。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第6版」)を意味する語として、一般に理解され、認識されているものといえることから、本願商標が、「ベジィ」の文字と「アイス」の文字とを、並びに「Veggie」の文字と「ice」の文字とを、それぞれ結合してなるものと容易に理解し得るものと認められる。
 そして、別掲の第1に記載の各事実によれば、本願指定商品中「アイスクリーム」等を取り扱う業界においては、野菜を原材料に使用するアイスクリーム等の氷菓子が製造販売されていること、並びに、野菜を原材料に使用するアイスクリームを「野菜アイス」「野菜アイスクリーム」と用いていること、さらには、商品「アイスクリーム」に「ベジアイス」の語が使用されていることが認められる。
 そうとすれば、「ベジィアイス」及び「Veggie ice」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中、「野菜を使用したアイス」について使用するときには、取引者、需要者をして、「野菜を原材料に使用したアイス」であることを表示したものであると理解、認識するにとどまるというのが相当であって、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、単に商品の品質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。
 また、本願商標は、その指定商品中「野菜を使用したアイス」以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというのが相当である。
 ところで、請求人は、「本願商標は、『ベジィ』または『Veggie』、『アイス』または『ice』の二つの語を結合して出願人が作り出した造語である。」旨主張している。
 しかしながら、仮に本願商標自体は造語であるとしても、それを構成する各単語の語義、並びに上記の各事実を踏まえてみると、本願商標からは原査定が説示する意味合いを有する複合語として認識されるものであり、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有しないこと、上記のとおりであって、この点につき、請求人の主張は採用することができない。
 あわせて、請求人は、「本願指定商品を取扱う業界において、『ベジィアイス』『Veggie ice』なる語が商品の品質、原材料表示としては言うに及ばず、その他の表示としても普通に使用されている事実はなく、インターネット情報を見ても『ベジィアイス』『Veggie ice』なる語を一連に連綴してなる本願商標と同様の標章の使用例は見当たらず、本願商標は指定商品との関係においても決して商品の品質、原材料を表示するものではない」旨主張している。
 しかしながら、ある商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて争われた裁判(平成12年(行ケ)第76号 東京高等裁判所 平成12年9月4日判決言渡)の判決を見てみると、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべき」と判示しているところである。
 してみれば、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され、把握され得るかによって判断されなければならないというべきであり、本願商標からは、「野菜を使用したアイス」の意味合いを容易に看取されることは上記のとおりであるから、請求人のこの主張も採用することができない。
 さらに、請求人は、「Veggie」、「ベジィ」、あるいは、「アイス」、「ice」の文字(語)を結合した登録商標を引用して本願商標が登録要件を具有するものである旨主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は,各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、この点についても、請求人の主張は、採用することができない。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【結審通知日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【審決日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】小畑 恵一
【特許庁審判官】杉本 克治
別掲(「証拠調べ通知」の内容)
第1 本願商標を構成する「ベジィアイス」の片仮名文字と「Veggie ice」の欧文字に関して、書籍、新聞記事、及び、インターネット上のウエブページの検索結果によれば、次の事実が認められる。
1 本願商標は、「ベジィアイス」の片仮名文字と「Veggie ice」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるところ、その構成中、「Veggie」、「ベジィ」の文字(語)は、英語「veggie」に由来し、「野菜」(株式会社小学館発行「小学館ランダムハウス英和大辞典」、株式会社研究社発行「研究社新英和大辞典」)を意味する語であること、また、同構成中「アイス」、「ice」の文字(語)は、英語「ice」に由来し、「氷。アイス‐クリーム・アイス‐キャンデーの略。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第6版」)を意味する外来語であること。
2 本願指定商品「菓子及びパン」には、「アイスクリーム,アイスキャンディー」等が含まれているところ、該商品を取り扱う業界においては、野菜を原材料として使用したアイスが、一般に製造・販売されている実情が、以下の(ア)ないし(サ)に掲げる新聞記事、及びインターネット上のウェブサイトの記事の記載において認められる。
(ア)2004年7月8日付け読売新聞東京版朝刊30ページには、「[プロに聞く・彩の国流行事情]アイスクリーム 多彩なメニューが登場=埼玉」と題する記事中、「妻沼町弥藤吾、『道の駅めぬま』にある地域振興施設『めぬぱる』二階のレストラン『サラダ館』では、地元の特産品の大和芋やニンジンなどを使ったアイスクリームが売られている。」との記載がある。
(イ)2004年8月24日付け朝日新聞大阪地方版京都 29ページには、「京野菜がアイスに 仏料理店が考案/京都」と題する記事中、「京野菜として知られる万願寺とうがらしや賀茂なすが、カップ入りのアイスクリームになった」との記載がある。
(ウ)2005年5月12日付け読売新聞東京版朝刊28ページには、「[食在東京]野菜アイス『グリーンベル』 さっぱり、自然の冷たさ」と題する記事中、「ニンジン、ショウガ、レンコン、モロヘイヤ……。ショーケースに野菜の名前がずらり。だが、並ぶのは色とりどりのアイスだ。」、「台東区浅草の『グリーンベル』は、野菜を使った手作りのアイスクリームの販売店。」、「同店のショーケースに常に並ぶのは14種類。野菜のほか、イチゴやバナナなどの果物、ビールやほうじ茶、納豆なども原料とする。」、「〈野菜アイス〉野菜を煮たり煎(い)ったり、蒸したりして下ごしらえをし、主に牛乳と卵、三温糖を加える。」との記載がある。
(エ)2005年6月30日付け読売新聞東京版朝刊32ページには、「[The食]野菜アイス 野菜の風味生かす40種類の商品開発=茨城」と題する記事中、「かすみがうら市戸崎原の『北斗の会』が製造販売する『野菜アイス』が口コミで評判を呼び、全国各地から注文が舞い込んでいる。人気の紫いもはじめ、ソラマメやブルーベリー、黒ゴマ、ニンジン、レンコンまで各種野菜の風味を生かしたアイスクリームは40種類を超える。」との記載がある。
(オ)2006年8月10日付け日本農業新聞12ページには、「[一村逸品]BOSS&MOMアイスクリーム/兵庫・三木市 合計60種類の味」と題する記事中、「朝搾りのミルクと旬の野菜、果物を原料に作るアイスクリームは60種類以上もある。」との記載がある。
(カ)2007年3月30日付け日本食糧新聞には、「『野菜のアイス いちごタイプ』発売(セイヒョー)」と題する記事中、「◆会社名=セイヒョー(新潟県新潟市、025・386・9988)◆商品特徴=ラクトアイス。『野菜のデザート』シリーズ新ラインアップ。野菜成分を30%含んでいる。アイスクリーム部分に使用している野菜はニンジン、セロリ、赤ダイコン、ホウレン草、レタス、玉ネギ、パセリの7種類。」との記載がある。
(キ)2007年5月2日付け日本農業新聞40ページには、「地場産素材のアイスが人気 ハトムギ、野菜味など20種/栃木・小山市の酪農家女性」と題する記事中、「栃木県小山市の酪農家の女性5人で運営する『アイス工房カウベル』のアイスクリームが好評だ。休日には順番を待つ列ができるほどの盛況ぶり。保存料や添加物を使わず、県産生乳と市内で栽培したハトムギ、野菜を使い、ここでしか味わえない逸品となっている。」、「アイスクリームに使う素材は県産生乳と、道の駅で販売する野菜。ホウレンソウ味、モロヘイヤ味など20種類ほどが店に並ぶ。」及び「野菜を使った商品も、最初のうちはスタッフが思い描く味が出せなかった。そこでアイスクリームの甘さを抑え、野菜のうまみと色を引き出すように工夫を重ねている。」との記載がある。
(ク)有限会社ほしの「アイス処『あったか屋☆ほし』」のウェブページ中、「アイスクリーム販売の種類一覧」(http://www.via-lactea.jp/ice-itiran.htm)には、「いちごアイス」「かぼちゃアイス」「小倉アイス」「バニラアイス」「チョコレートアイス」「抹茶アイス」等の記載がある。
(ケ)社団法人日本アイスクリーム協会のウェブページ中、「アイスクリームの作り方 和風素材のアイスクリーム」(http://www.icecream.or.jp/cooking/make04.html)には、「あずきのアイスクリーム、抹茶のアイスクリーム、しょうがのアイスクリーム、さつまいものアイスクリーム、ごまのアイスクリーム、ライス(米)のアイスクリーム」との記載がある。
(コ)有限会社雪和商事が運営する「アイス天国」のウェブページ中、「選べる野菜アイスクリームセット」(http://www.ice-tengoku.com/syohin/hoku001.html)には、「自家生産の野菜を中心に牛乳、砂糖などこだわりの原料で製造したアイスです。香料や着色料、保存料を使用しないため自然な野菜の色や風味が生きています。」との記載がある。
(サ)野菜アイス北斗の会のウェブページ中、「バラエティセット12個入り」(http://hokuto.hs.shopserve.jp/SHOP/57.html)には、「野菜アイスのバラエティセット!!」との記載、及び、「野菜アイス」との表示が容器にされている画像(http://hokuto.hs.shopserve.jp//pic-labo/llimg/set-12-01.jpg)がある。
3 本願指定商品を取り扱う食品業界において、「ベジィアイス」または「Veggie ice」の文字(語)と同義のものと認められるとともに、称呼においても明確な差を有しない「ベジアイス」の文字(語)が、一般に使用されている実情が、以下の(ア)ないし(エ)に掲げる新聞記事、及びインターネット上のウェブサイトの記事の記載において認められる。
(ア)2005年10月3日付け外食レストラン新聞には、「必見必試の商品開発:長沼あいす『ルバーブアイス』」と題する記事中、「今年4月、パイ生地の中にアイスクリームを入れた『パリパリベジアイス』をローソンとタイアップ発売して大ヒットしました。この中身であるルバーブアイスを業務用製品として売り出すと聞きますが。山口 パリパリベジアイスは、人気テレビ番組の企画で、『野菜を使ったアイスクリームを作ってほしい』と依頼されたのがきっかけで誕生しました。」及び「ルバーブは、別名『西洋フキ』と呼ばれる多年草で、春と秋に収穫されます。」との記載がある。
(イ)株式会社エコホリスティックの「ママンテラス」のウェブページ中、「リトルママンメニュー スイーツ」(http://www.maman.jp/littlemaman/menu.html#sweets)には、「ドリンクセット ショーケースの中からお好きなケーキ1つ+ベジアイス+フルーツソース+フルーツカット+ドリンク」との記載がある。
(ウ)stmxソーシャルマーケットプレイスのウェブページ中、株式会社ジャパン永聯が運営する「ハッピーマーケット RaiRai」には、「マクロビオティックリセット食 スペシャルセット」(http://www.store-mix.com/ko-bai/product.php?pid=694394)として、「ベジアイス 乳製品・卵・砂糖を使用せず豆乳に米飴とメープルで甘味をつけた100%ベジタブルなヘルシーアイス。」との記載がある。
(エ)Yahoo!ショッピングのウェブページ中、株式会社日緑が運営する「エンジョイライフヤフー店」には、「送料無料!マクロビオティックリセット【ダイエット】」(http://store.shopping.yahoo.co.jp/ippuku/bb7540.html#)として、「ベジアイス 乳製品・卵・砂糖を使用せず豆乳に米飴とメープルで甘味をつけた100%ベジタブルなヘルシーアイス。」との記載がある。
第2 上記第1に記載の各事実によれば、本願指定商品中「アイスクリーム」等を取り扱う業界においては、野菜を原材料に使用するアイスクリーム等の氷菓子が製造販売されていること、並びに、野菜を原材料に使用するアイスクリームを「野菜アイス」「野菜アイスクリーム」と用いていること、さらには、商品「アイスクリーム」に「ベジアイス」の語が使用されていることが認められる。
 そうすると、「ベジィアイス」及び「Veggie ice」の文字からなる本願商標を、その指定商品中、「野菜を使用したアイス」について使用するときには、これに接する需要者は、上記実情からして、「野菜を原材料に使用したアイス」であることを表示したものであると理解、認識するにとどまるというのが相当であって、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、単に商品の品質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。
 また、本願商標は、その指定商品中「野菜を使用したアイス」以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
 
 

(210)【出願番号】商願2004-86217(T2004-86217)
(220)【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
(561)【商標の称呼】ベジイアイス、ベジーアイス、ベジイ、ベジー
【最終処分】不成立
【前審関与審査官】稲村 秀子

異議2008-900229

【管理番号】第1187731号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標決定公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】異議の決定
【異議申立番号】異議2008-900229(T2008-900229/J7)
【異議申立日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【確定日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【審決分類】
T1651.03 -X  (X34)
【異議申立件数】1
(732)【権利者】
【氏名又は名称】ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ブランズ)インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 デラウェア州 19808,ウィルミントン,スウィート 300,センターヴィル ロード 2711
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 健一
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 登
【異議申立人】
【氏名又は名称】フィリップ モリス プロダクツ エス アー
【住所又は居所】スイス国 2000 ヌーシャテル ケ ジャンルノー 3
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 佳基
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 広己
【事件の表示】
 登録第5115664号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
【結 論】
 本件登録異議の申立てを却下する。
【理 由】
 本件登録第5115664号商標(以下「本件商標」という。)は、平成20年2月29日に設定登録がなされ、同年4月2日発行の商標登録公報に掲載されたものである。
 本件商標に対する商標登録異議申立書は、申立の理由について「本件登録第5115664号商標は商標法第4条第1項第11号及び第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。なお、詳細な理由及び証拠は追って補充する。」と記載されているものであるが、その後、商標法第43条の4第2項において規定された期間内に、何ら詳細な理由の補充をしていない。
 してみれば、本件商標登録異議の申立書には、申立ての理由及び必要な証拠が実質的に審理できる程度に示されていないので、本件商標登録異議の申立ては、不適法な申立てであって、その補正をすることができないものである。
 したがって、本件商標登録異議の申立ては、商標法第43条の14の規定により準用する特許法第135条の規定によって却下すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。
【異議決定日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願2007-58916(T2007-58916)
(220)【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
(111)【登録番号】商標登録第5115664号(T5115664)
(151)【登録日】平成20年2月29日(2008.2.29)
(561)【商標の称呼】
【最終処分】決定却下
【前審関与審査官】今田 三男

異議2008-900228

【管理番号】第1187730号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標決定公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】異議の決定
【異議申立番号】異議2008-900228(T2008-900228/J7)
【異議申立日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【確定日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【審決分類】
T1651.9  -X  (X34)
【異議申立件数】1
(732)【権利者】
【氏名又は名称】ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ブランズ)インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 デラウェア州 19808,ウィルミントン,スウィート 300,センターヴィル ロード 2711
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 健一
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 登
【異議申立人】
【氏名又は名称】フィリップ モリス プロダクツ エス アー
【住所又は居所】スイス国 2000 ヌーシャテル ケ ジャンルノー 3
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 佳基
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 広己
【事件の表示】
 登録第5115663号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
【結 論】
 本件登録異議の申立てを却下する。
【理 由】
 登録異議申立人は、平成20年5月30日付けで商標登録異議申立書を提出した。当該申立書には申立ての理由及び必要な証拠が実質的に審理できる程度に示されておらず、追って補充するとしているが、その後、異議申立人は何ら詳細な申立ての理由及び必要な証拠を補充していない。
 してみれば、この商標登録異議申立書には申立ての理由及び必要な証拠が何ら示されていないものであるから、本件商標登録異議の申立ては、不適法な申立てであって、その補正をすることができないものである。
 したがって、本件商標登録異議の申立ては、商標法第43条の14において準用する特許法第135条の規定によって却下すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。
【異議決定日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【審判長】 【特許庁審判官】内山 進
【特許庁審判官】岩崎 良子
【特許庁審判官】井出 英一郎

(210)【出願番号】商願2007-58915(T2007-58915)
(220)【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
(111)【登録番号】商標登録第5115663号(T5115663)
(151)【登録日】平成20年2月29日(2008.2.29)
(561)【商標の称呼】
【最終処分】決定却下
【前審関与審査官】今田 三男

2009年1月24日土曜日

取消2008-300703

【管理番号】第1187685号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300703(T2008-300703/J2)
【審判請求日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【確定日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Z11)
【請求人】
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 シュトゥットガルト プラークシュトラーセ 26-46
【代理人】
【弁護士】
【氏名又は名称】加藤 義明
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 和香子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
【被請求人】
【氏名又は名称】株式会社フェローテック
【住所又は居所】東京都台東区東上野5丁目24番8号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4492549号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4492549号商標の指定商品中「ボイラー」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4492549号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【結審通知日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【審決日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願2000-51846(T2000-51846)
(220)【出願日】平成12年5月12日(2000.5.12)
(111)【登録番号】商標登録第4492549号(T4492549)
(151)【登録日】平成13年7月19日(2001.7.19)
(561)【商標の称呼】フェローテック、フェロテック
【最終処分】成立
【前審関与審査官】伊藤 三男、手塚 義明


取消2008-300687

【管理番号】第1187680号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300687(T2008-300687/J2)
【審判請求日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【確定日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Z09)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院宮の東町2番地
【被請求人】
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコゲームス
【住所又は居所】東京都品川区東品川4丁目5番15号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4496497号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4496497号商標の指定商品中、第9類「コンピュータ用プログラムを記憶させた電子回路・同磁気テープ・同磁気カード・同磁気ディスク・同光ディスクその他の電子応用機械器具及びその部品」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4496497号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び指定役務及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品及び指定役務中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【結審通知日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【審決日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願2000-78416(T2000-78416)
(220)【出願日】平成12年7月13日(2000.7.13)
(111)【登録番号】商標登録第4496497号(T4496497)
(151)【登録日】平成13年8月3日(2001.8.3)
(561)【商標の称呼】ナムコスターズ、ナムコ、スターズ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】山田 和彦


取消2008-300539

【管理番号】第1187504号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300539(T2008-300539/J2)
【審判請求日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【確定日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【審決分類】
T131 .1  -Z  (Z09)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社アイペックス
【住所又は居所】東京都町田市原町田6丁目27番19号 平本ビル
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 整
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】勝見 元博
【被請求人】
【氏名又は名称】富士通株式会社
【住所又は居所】神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4274919号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4274919号商標の商標登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4274919号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【結審通知日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【審決日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】小畑 恵一

(210)【出願番号】商願平10-12025
(220)【出願日】平成10年2月16日(1998.2.16)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第4274919号(T4274919)
(151)【登録日】平成11年5月21日(1999.5.21)
(561)【商標の称呼】アイペックス、イペックス、アイピイイイエックス
【最終処分】成立
【前審関与審査官】中村 謙三

取消2008-300050

【管理番号】第1187475号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300050(T2008-300050/J2)
【審判請求日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【確定日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y10)
【請求人】
【氏名又は名称】オックスフォード イムノテック リミテッド
【住所又は居所】イギリス オックスフォードシャー オーエックス14 4アールワイ アビンドン ミルトン パーク 94シー
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 千鶴子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 一貴
【被請求人】
【氏名又は名称】オックスフォード ワールドワイド エルエルシー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 フロリダ州 34748,リースバーグ,サウス リッシュ ロード 301
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 昇
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 三朗
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第1183391号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第1183391号商標の指定商品中「第10類 医療用・検査用ミクロトーム,稀釈用滴定器,多重透析器,プロトロンビン時間決定器具,その他の医療用機械器具」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第1183391号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【結審通知日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【審決日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【審判長】 【特許庁審判官】山口 烈
【特許庁審判官】伊藤 三男
【特許庁審判官】岩崎 良子

(210)【出願番号】商願昭44-103041
(220)【出願日】昭和44年11月19日(1969.11.19)
(310)【優先権主張番号】327666
(320)【優先日】昭和44年5月19日(1969.5.19)
(330)【優先権主張国又は機関】米国(US)
(260)【公告番号】商公昭50-18162
(442)【公告日】昭和50年3月8日(1975.3.8)
(111)【登録番号】商標登録第1183391号(T1183391)
(151)【登録日】昭和51年2月5日(1976.2.5)
(561)【商標の称呼】オクスフォード
【最終処分】成立

取消2007-300624

【管理番号】第1187669号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-300624(T2007-300624/J2)
【審判請求日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【確定日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (109)
【請求人】
【氏名又は名称】五十嵐 喜男
【住所又は居所】神奈川県横浜市旭区本村町30―9―404
【被請求人】
【氏名又は名称】エジス エス ア
【住所又は居所】スイス国 ブヴエ リユ ウジエーヌ ドウ クロン 5
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 一郎
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第2083525号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第2083525号商標の指定商品中「半導体製造装置」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第2083525号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【結審通知日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【審決日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願昭59-20451
(220)【出願日】昭和59年3月6日(1984.3.6)
(260)【公告番号】商公昭62-58197
(442)【公告日】昭和62年8月12日(1987.8.12)
(111)【登録番号】商標登録第2083525号(T2083525)
(151)【登録日】昭和63年10月26日(1988.10.26)
(561)【商標の称呼】イージス、ジス、ジイアイエス
【最終処分】成立

不服2008-22520

【管理番号】第1187661号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-22520(T2008-22520/J1)
【審判請求日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【確定日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【審決分類】
T18  .13 -WY (Y16)
T18  .272-WY (Y16)
【請求人】
【氏名又は名称】シービーエス ステューディオズ プロダクションズ エルエルシー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア州 90024,ロサンゼルス,ウィルシャー ブールバード 10880,スート 1600
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 昇
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 三朗
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
【事件の表示】
 商願2006- 13850拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「THE 4400」の文字を標準文字として書してなり、第16類「フィクションを内容とするシリーズ書籍,その他の印刷物」を指定商品として、平成18年2月17日に登録出願されたものである。
 
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『THE 4400』の文字を表してなり、書籍の題号の1つに、『THE 4400 FORTY FOUR HUNDRED SEASON1』(清水 節著、Scott Peters及びRene Echevarria原著、竹書房文庫)があることから、これを本願指定商品中の『書籍』に使用する場合には、書籍の題号を表したものと認識・理解され、単に商品の内容(品質)を表示するにすぎず、自他商品の区別標識としての識別機能を有するものとは認めらない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の該商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 3 当審の判断
 本願商標は、前記1のとおり、英語の定冠詞を表す「THE」の文字と4桁の数字を表す「4400」の文字とを一文字程度間隔を空けて「THE 4400」と標準文字により表してなるところ、「THE 4400」が、原審説示の如き書籍の題号であるとしても、かかる書籍が、我が国において一般に知られるに至ったものとは認められないものである。
 また、当審において調査するも、「THE 4400」の文字が、指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されていると認めるに足りる事実も発見できなかった。
 そうすると、本願商標は、これをその指定商品の何れの商品に使用しても、十分に自他商品の識別機能を有するものといわなければならず、また商品の品質について誤認を生じるおそれもないものである。
 したがって、本願商標を、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【審判長】 【特許庁審判官】内山  進
【特許庁審判官】岩崎 良子
【特許庁審判官】齋藤 貴博

(210)【出願番号】商願2006-13850(T2006-13850)
(220)【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
(541)【標準文字】
(561)【商標の称呼】ザヨンセンヨンヒャク、ザヨンヨンゼロゼロ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】門倉 武則

不服2008-19135

【管理番号】第1187600号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-19135(T2008-19135/J1)
【審判請求日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【確定日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【審決分類】
T18  .262-WY (Y09)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社エフ・イー・テクノロジーズ
【住所又は居所】東京都港区港南一丁目7番1号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】押本 泰彦
【事件の表示】
 商願2007- 16943拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「FETech」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」、第10類「医療用機械器具」及び第42類「機械器具に関する試験または研究」を指定商品及び指定役務とし、平成19年2月28日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、当審における同20年7月28日付け手続補正書により、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」と補正されたものである。
 
2 引用商標
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第1339266号商標(以下「引用商標」という。)は、「FETEX」の欧文字を横書きしてなり、昭和50年4月1日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同53年8月17日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成20年10月15日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続してるものである。
 
3 当審の判断
 本願商標は、前記1のとおり、「FETech」の欧文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字に相応して「エフイーテック」又は「フェテック」の称呼を生ずるものとみるのが自然である。他方、引用商標は、前記2のとおり、「FETEX」の欧文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「フェテックス」の称呼を生ずるものである。また、両者は、特定の語義を有するものではないから、一種の造語からなるものといえる。
 そこで、まず、本願商標から生ずる「フェテック」の称呼と、引用商標から生ずる「フェテックス」の称呼とを比較すると、両称呼は、促音を含め4音と5音という比較的短い称呼において、語尾における「ス」の音の有無に差異があるところ、引用商標は、その称呼中「テ」の音が促音「ッ」を伴い強く発音されることにより、それに続く「クス」の音は、一瞬、呼気を止めた後に発せられるため比較的明瞭で、かつ、余韻を残すように聴取されるものであるから、「ス」の音が語尾に位置するからといって、必ずしも明瞭に聴取されないということはできないものである。
 そうとすれば、「ス」の音の有無が、比較的短い両称呼に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼しても、全体の語調、語感が異なるものとなって十分に聴別し得るものといわなければならない。
 次に、本願商標から生ずる「エフイーテック」の称呼と、引用商標から生ずる「フェテックス」の称呼とを比較するに、両称呼は、音構成等の差により十分に聴別し得るものであること明らかである。
 また、本願商標と引用商標とは、前記構成からみて、その外観においても区別し得るものであり、さらに、本願商標及び引用商標からは、特定の観念を生じないことから、本願商標と引用商標とを観念について比較することもできない。
 そうとすれば、本願商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても、互いに類似しない商標というのが相当である。
 したがって、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【審判長】 【特許庁審判官】小林 由美子
【特許庁審判官】田村 正明
【特許庁審判官】安達 輝幸

(210)【出願番号】商願2007-16943(T2007-16943)
(220)【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
(541)【標準文字】
(561)【商標の称呼】エフイイテック、フェテック、テック
【最終処分】成立
【前審関与審査官】早川 文宏、真鍋 伸行


不服2008-16024

【管理番号】第1187563号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-16024(T2008-16024/J1)
【審判請求日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【確定日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【審決分類】
T18  .262-WY (X052930)
【請求人】
【氏名又は名称】パカ ハーブス リミテッド
【住所又は居所】イギリス国 ブリストル,レイ ウッズ,チヤーチ ロード,ザ ミユーズ 1
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 哲二
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 輝一
【事件の表示】
 商願2007- 27709拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第5類及び第30類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年3月29日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、原審における同年11月22日付け提出の手続補正書により、第5類「薬草を含有する薬剤,医療用ハーブエキス,医療用ハーブ調合剤,医療用ハーブティー,医療用チンキ剤」、第29類「薬草を主成分とした粉末状・錠剤状・顆粒状・カプセル状・液状の加工食品」及び第30類「アーユルベーダにおいて用いられるハーブティー(医療用のものを除く。),アーユルベーダにおいて用いられるハーブ」に補正されたものである。
 
2 引用商標
 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3370489号商標(以下、「引用商標」という。)は、「POOKA」の欧文字を横書きしてなり、平成6年10月24日に登録出願、第30類の商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年10月16日に設定登録され、その後、同20年10月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
 
3 当審の判断
 本願商標は、別掲のとおり、「pukka」(4番目の「k」の文字の一部を右側に伸ばし図案化している。)の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「真正の,本当の」等の意味を有する英語であるから、「パッカ」の称呼を生ずるほか、一般に親しまれた英語とはいえないことから、ローマ字風に「プッカ」と称呼しても不自然なものではないから、「パッカ」及び「プッカ」の称呼を生ずるものというのが相当である。
 一方、引用商標は、「POOKA」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、成語とは認められない綴り字からなるものであるから、これより、特定の読みを生ずるものとはいえず、そのような場合、最も親しまれている英語の読みに倣って称呼されるものとみるのが自然である。そして、「poo」の綴り字から始まる英単語としては、例えば、「pool(プール):プール」、「poodle(プードル):プードル」等の語があり、これらの語頭部分はいずれも「プー」と発音されているから、これらの例に倣えば、本願商標の構成中の「POO」の文字部分は、「プー」と発音されるものとみるのが自然であり、全体としては、「プーカ」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。
 そこで、まず、本願商標より生ずる「パッカ」の称呼と、引用商標より生ずる「プーカ」の称呼とを比較するに、両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭において「パッ」と「プー」の音の明らかな差異を有するものであるから、両称呼をそれぞれを一連に称呼するも、その差異が称呼の識別上に及ぼす影響は大きく、互いに相紛れるおそれはないものというべきである。
 つぎに、本願商標より生ずる「プッカ」の称呼と、引用商標より生ずる「プーカ」の称呼とを比較するに、本願商標は、促音を伴う2音構成よりなるところ、称呼の識別上重要な要素を占める語頭において、「プ」の音が、促音を伴うことにより、強く明瞭に発音されるのに対し、引用商標は、長音を含めた3音構成よりなるところ、語頭の「プ」の音に長音を伴うことによって、伸びやかに発音されることとなり、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が異なり、互いに相紛れるおそれはないものというべきである。
 また、本願商標と引用商標とは、それぞれの構成よりみて外観上、明らかに区別し得る差異を有するものであり、さらに、観念においては、引用商標は特定の観念を生ずるものとは認められないから、本願商標とは比較することができないものである。
 そうとすれば、本願商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【審判長】 【特許庁審判官】渡邉 健司
【特許庁審判官】杉山 和江
【特許庁審判官】平澤 芳行

別掲 (本願商標)



 

(210)【出願番号】商願2007-27709(T2007-27709)
(220)【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
(561)【商標の称呼】パカ、パッカ、プカ、プッカ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】箕輪 秀人


不服2008-12176

【管理番号】第1187493号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-12176(T2008-12176/J1)
【審判請求日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【確定日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【審決分類】
T18  .13 -WY (X32)
T18  .272-WY (X32)
【請求人】
【氏名又は名称】ルルドゲルマニウム株式会社
【住所又は居所】兵庫県尼崎市大庄中通3丁目25番
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
【事件の表示】
 商願2007- 54154拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「ナノクラスターGeルルド水」の文字を横書きに表してなり、第32類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年5月30日に登録出願されたものである。
 
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『ナノクラスターGeルルド水』の文字を横書きに表してなるところ、その構成中、『ナノクラスター』の文字部分は、その構成前半の『ナノ』の文字は、『10億分の1』を意味する接頭語として、また、構成後半の『クラスター』の文字は、『水の分子集団が通常の水と比べて小さい水であること』を表すもので、いずれも親しまれている語であって、全体として、『分子集団が極めて小さい水であること』を認識させるものである。さらに、本願商標構成中のその他の部分については、本願商標に接する取引者・需要者は、『GE』の文字が『ゲルマニウム』の意味を表し、『ルルド』の文字が、『世界的に著名なフランスの町』を表すとして、本願商標全体より、『ルルドの分子集団が極めて小さいゲルマニウムを添加した商品』程の意味合い認識させるに止まる。そうすると、これを本願指定商品中の前記意味合いの商品に使用しても、これは、単に商品の品質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
3 当審の判断
 本願商標は、上記1のとおり、「ナノクラスターGeルルド水」の文字を横書きに表してなるところ、本願商標構成中、「ナノクラスター」の文字は、本願指定商品との関係においては、人体への吸収力を高めるため、人間の細胞のサイズよりも更に細かい分子構造に加工された「水」について、「ナノクラスター水」の名称で取引されている実情がある。
 これよりすれば、本願商標構成中の「ナノクラスター」の語は、「商品の分子構造が細かいこと」を認識させる、商品の品質を表したものと理解されるものである。
 また、本願商標構成中の「Ge」の欧文字は、「ゲルマニウム」を意味する元素記号と同一であり、また、本願指定商品との関係においては「ゲルマニウムを添加、あるいは、含有してなる商品である」という、商品の品質を表したものと理解されるものである。
 そして「ルルド水」の文字については、「ルルド」の文字が、原審説示のとおり、地名を認識させることがあるとしても、当審において、職権をもって調査するも、当該地域は「ルルドの泉」という「聖なる泉」として知られるにすぎず、さらに、「ルルド」の文字が、その指定商品の特定の品質あるいは産地等を表示するものとして、取引上一般に使用されているという事実も発見することはできなかった。
 そうとすると、本願商標は、その構成中「ルルド水」の文字部分は、特定の意味合いを有さない一種の造語を表したものとして認識されるとみるのが相当であるから、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものである。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【審判長】 【特許庁審判官】渡邉 健司
【特許庁審判官】杉山 和江
【特許庁審判官】馬場 秀敏

(210)【出願番号】商願2007-54154(T2007-54154)
(220)【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
(561)【商標の称呼】ナノクラスタージイイイルルドスイ、ナノクラスタージイイイ、ナノクラスター、ジイイイルルドスイ、ルルドスイ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】福島 昇


不服2008-11359

【管理番号】第1187606号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-11359(T2008-11359/J1)
【審判請求日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【確定日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【審決分類】
T18  .262-WY (Y12)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区南船場3丁目5番8号
【代理人】
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
【事件の表示】
 商願2006-117230拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「G-VGR」の文字を標準文字で表してなり、第12類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年12月19日に登録出願されたものである。
 
2 引用商標
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2703292号商標(以下「引用商標」という。)は、「VGR」の文字を横書きしてなり、昭和60年1月22日登録出願、第9類「動力伝導装置,その他本類に属する商品,但し管継ぎ手,パッキングおよびガスケットを除く」を指定商品として、平成7年1月31日に設定登録され、その後、同17年1月25日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
 
3 当審の判断
 本願商標は、前記1のとおり、「G」と「VGR」の各文字をハイフンで介して「G-VGR」と書してなるところ、これらは同一の書体、同一の大きさで外観上まとまりよく一体的に表されており、また、構成文字全体より生ずると認められる「ジイブイジイアアル」の称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、たとえ、ローマ文字の1字が商品の規格・品番等を表す記号・符号として一般的に使用される場合があるとしても、かかる構成にあっては、本願商標に接する取引者、需要者をして、殊更に前半部の「G」の文字部分を省略して、後半部の「VGR」の文字部分のみに着目し、当該文字部分より生ずる称呼をもって取引に当たるというよりも、むしろ、その構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握し、商取引に当たるものとみるのが自然である。
 そうとすれば、本願商標は、その構成文字に相応して、「ジイブイジイアアル」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。
 してみれば、本願商標より「ブイジイアアル」の称呼をも生ずるとし、その上で、本願商標と引用商標とが称呼上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【審判長】 【特許庁審判官】小林 由美子
【特許庁審判官】田村 正明
【特許庁審判官】榎本 政実

(210)【出願番号】商願2006-117230(T2006-117230)
(220)【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
(541)【標準文字】
(561)【商標の称呼】ジイブイジイアアル、ブイジイアアル
【最終処分】成立
【前審関与審査官】土井 敬子

不服2008-10836

【管理番号】第1187586号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-10836(T2008-10836/J1)
【審判請求日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【確定日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【審決分類】
T18  .13 -WY (X16)
T18  .272-WY (X16)
【請求人】
【氏名又は名称】アテナイオス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区一番町15-8 壱番館5階
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 哲也
【事件の表示】
 商願2007- 34892拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「ホテルアナリスト」の文字を標準文字で表してなり、第16類「雑誌,新聞,その他の印刷物,紙製包装用容器,家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,文房具類,写真,写真立て」、第41類「資格検定試験の企画・運営又は実施,資格検定試験に関する情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナー・研究会・研修会・講演会・シンポジウムの企画・運営又は開催,セミナーの企画・運営又は開催に関する情報の提供,飲食物に関するコンテストの企画・運営又は開催,飲食物に関するコンテストの企画・運営又は開催に関する情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),娯楽施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供に関する情報の提供(インターネット・携帯電話を利用して行う情報の提供を含む。),宿泊施設の提供に関する指導又は助言,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,飲食物の提供に関する情報の提供(インターネット・携帯電話を利用して行う情報の提供を含む。),飲食物の提供に関する指導又は助言,飲食物の提供の契約の媒介又は取次ぎ,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与」を指定商品及び指定役務として、平成19年4月9日に登録出願、その後、第41類及び第43類に属する役務については、当審における同20年4月28日付け手続補正書により、すべて削除されたものである。
  
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『ホテルアナリスト』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『ホテル』の語は、『旅館。宿泊施設。』等を、『アナリスト』の語は、『証券分析家。株式会社について詳しく調査し,投資価値を判断する人。』等を、それぞれ意味することから、これをその指定役務中前記文字に照応する役務、例えば『宿泊施設の提供に関する指導又は助言』について使用しても、本願商標に接する取引者、需要者は、それぞれの持つ語の前記意味合いから『宿泊施設について詳しく調査し評価をする人による宿泊施設の提供に関する指導又は助言』程の意味合いを容易に認識するにすぎず、本願商標は、単に役務の質(内容)を表したに止まり、自他役務を区別する標識としての識別力を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質に誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
3 当審の判断
 本願の指定役務は、前記1のとおり、すべて削除された結果、本願商標をその指定商品に使用しても、商品の品質等を表示するものではなく、また、商品の品質について誤認を生ずるおそれもない。
 したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の理由は解消した。
 その他、政令で定める期間内に拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】小川 きみえ
【特許庁審判官】豊田 純一

(210)【出願番号】商願2007-34892(T2007-34892)
(220)【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
(561)【商標の称呼】ホテルアナリスト、アナリスト
【最終処分】成立
【前審関与審査官】原田 信彦

不服2005-21891

【管理番号】第1187536号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2005-21891(T2005-21891/J1)
【審判請求日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【確定日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【審決分類】
T18  .262-WY (Z30)
【請求人】
【氏名又は名称】有限会社春華堂
【住所又は居所】静岡県浜松市中区鍛冶町321番地の10
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 清
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 直樹
【事件の表示】
 平成11年商標登録願第 90658号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「うなパイ」の文字を標準文字で横書きしてなり、第30類「パイ菓子」を指定商品として平成11年10月6日に登録出願されたものである。
 
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、登録第4898886号商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
3 当審の判断
 引用商標の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、登録を無効とすべき旨の審決がされ、平成20年9月30日にその確定審決の登録がなされたものである。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】岩崎 安子

(210)【出願番号】商願平11-90658
(220)【出願日】平成11年10月6日(1999.10.6)
(541)【標準文字】
(561)【商標の称呼】ウナパイ、ウナ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】林 栄二、小松 里美


異議2008-900014

【管理番号】第1187750号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標決定公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】異議の決定
【異議申立番号】異議2008-900014(T2008-900014/J7)
【異議申立日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【確定日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【審決分類】
T1652.261-Y  (X03)
T1652.262-Y  (X03)
【異議申立件数】1
(732)【権利者】
【氏名又は名称】株式会社ビューティプランニング
【住所又は居所】宮崎県都城市都北町5515番地1
【異議申立人】
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
【住所又は居所】東京都荒川区東尾久7丁目2番35号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
【事件の表示】
 登録第5082718号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
【結 論】
 登録第5082718号商標の商標登録を維持する。
【理 由】
第1 本件商標
 本件登録第5082718号商標(以下「本件商標」という。)は、平成19年3月28日に登録出願され、「アエカ」の片仮名文字と「AEKA」の欧文字とを二段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を指定商品として、同年8月29日に登録査定され、同年10月12日に設定登録されたものである。
 
第2 登録異議の申立ての理由
1 引用商標
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)登録第4894022号商標(以下「引用商標1」という。)は、「アデカ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成16年9月2日に登録出願、第1類、第2類、第3類、第4類、第7類、第17類及び第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年9月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4887305号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ADEKA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年3月11日に登録出願、第1類、第2類、第3類、第4類、第5類、第7類、第9類、第17類、第19類、第21類、第29類、第30類、第31類、第32類及び第40類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年8月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2 理由の要点
 本件商標は、「アエカ」の文字と「AEKA」の文字とを上下二段に表示した商標であって、「アエカ」の称呼を生じ、特定の観念を有しないものである。
 引用商標1は「アデカ」の文字からなり、引用商標2は「ADEKA」の文字からなるもので、両商標は「アデカ」の称呼を生じ、特定の観念を有しないものである。
 本件商標と引用商標1及び引用商標2は、中間音の「エ」と「デ」との相違はあるが、「エ」と「デ」とは母音「e」を共通とし、称呼の「アエカ」と「アデカ」とは称呼上、彼此混同するおそれのある類似の商標である。また、本件商標の「アエカ」の文字と「AEKA」の文字とは取引上、分離観察される可能性があり、この分離された「AEKA」の文字と引用商標2の「ADEKA」の文字とは、中間に「D」の文字を有するか否かの相違のみであり、外観上、類似する商標である。しかも、引用商標1及び引用商標2は、商品「せっけん類」において、需要者間に広く知られた商標であるから、本件商標とは一見して彼此混同するおそれのある商標であり、本件商標と、引用商標1及び引用商標2とは類似する商標である。そして、本件商標の指定商品中「せっけん類」と引用商標1及び引用商標2の指定商品は同一又は類似の商品である。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1項第1号により、その登録を取り消されるべきである。
 
第3 当審の判断
 本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に相応して「アエカ」の称呼を生ずるのに対し、引用商標1及び引用商標2は、前記のとおりの構成よりなるところ、それぞれの構成文字に相応して「アデカ」の称呼を生ずるものである。
 そこで、本件商標より生ずる「アエカ」と引用各商標より生ずる「アデカ」の称呼を比較するに、両称呼は、共に3音よりなり、第1音「ア」と第3音「カ」の音を共通にするものの、第2音において「エ」と「デ」の差異を有するものである。しかして、「エ」の音は、有声の開放音で澄んだ音として聴取されるのに対し、「デ」の音は、有声の破裂音で濁った音として聴取されるものであるから、かかる差異が、3音という短い音構成に及ぼす影響は大きく、それぞれを称呼するときには、語調、語感を異にし、互いに聞き誤るおそれはないものといわなければならない。
 また、本件商標と引用各商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、本件商標が前記片仮名文字と欧文字よりなるのに対し、引用商標1は片仮名文字、引用商標2は欧文字のみよりなるから、全体として外観上見誤るおそれはなく、また、引用各商標の片仮名文字又は欧文字と、本件商標の片仮名文字又は欧文字のみの外観を比較しても、「デ」と「エ」又は「D」の有無に差異を有してなるところ、いずれも見慣れた片仮名文字又は欧文字であり、その字形を明らかに異にするものであるから、通常の注意力をもってすれば、それぞれの外観を見誤るおそれはないというべきである。
 さらに、本件商標と引用各商標は、特定の意味合いを想起し得ない造語と認められるから、観念上比較することができない。
 そうとすれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、その称呼、外観、観念のいずれの点においても類似しない商標といわざるを得ない。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
 なお、申立人は、同人の取り扱いに係る商品「石けん」について、商標「ADEKA」及び「アデカ」を大正10年から使用し、「石けん」の取引者、需要者ばかりでなく、広く国内において知られているとして、甲第4号証ないし甲第17号証を提出し、かつ、証人尋問申出書を提出しているが、たとえ上記「ADEKA」及び「アデカ」の商標が申立人の取扱いに係る商品について需要者の間に広く知られているとしても、本件商標と、上記使用する商標と同じ構成よりなる引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれにおいても類似しないものであって、本件商標をその指定商品に使用しても出所について相紛れるおそれのない別異の商標とみるのが相当であるから、甲第4号証ないし甲第17号証(申立人の「半期報告書」、申立人が「アデカ」の商標を商品「せっけん」に大正10年から使用していること等)を証人に示し、証人が知っているか否か、および知り得た理由が明らかになったところで、前記本件商標と引用各商標の類否判断に影響を与えるとは認めがたい。
 したがって、前記内容とする証人尋問の必要性は乏しく採用しない。
 よって、結論のとおり決定する。
【異議決定日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【審判長】 【特許庁審判官】芦葉 松美
【特許庁審判官】伊藤 三男
【特許庁審判官】岩崎 良子

(210)【出願番号】商願2007-26950(T2007-26950)
(220)【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
(111)【登録番号】商標登録第5082718号(T5082718)
(151)【登録日】平成19年10月12日(2007.10.12)
(561)【商標の称呼】アエカ
【最終処分】維持
【前審関与審査官】深沢 美沙子


2009年1月20日火曜日

無効2007-890172

【管理番号】第1187701号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】無効の審決
【審判番号】無効2007-890172(T2007-890172/J3)
【審判請求日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【確定日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【審決分類】
T111 .262-Y  (Y29)
T111 .25 -Y  (Y29)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社自然健康館
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目15番3号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】大津 洋夫
【被請求人】
【氏名又は名称】金秀バイオ株式会社
【住所又は居所】沖縄県糸満市西崎町5丁目2番地2
【代理人】
【弁護士】
【氏名又は名称】石原 修
【代理人】
【弁護士】
【氏名又は名称】森崎 博之
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 昌彦
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第5061614号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求は、成り立たない。
 審判費用は、請求人の負担とする。
【理 由】
第1 本件商標
 本件登録第5061614号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成18年8月29日に登録出願され、第29類「沖縄産のモズクから抽出したフコイダンを主成分とする粉末・顆粒・粒体・錠剤・カプセル又は液状の加工食品」を指定商品として同19年7月13日に設定登録されたものである。
 
第2 引用商標
 請求人が引用する登録第4862117号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成16年10月13日に登録出願され、第29類「海藻エキスを主材料とする液状又は粉状の加工食品」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として同17年5月13日に設定登録されたものである。
 
第3 請求人の主張の要点
 請求人は、本件商標の登録を無効にする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第32号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 請求の理由
(1)商標法第4条第1項第11号違反について(無効理由1)
 ア 本件商標
 本件商標は、別掲(1)のとおりの構成からなるところ、その要部は、「SUPER FUCOIDAN」と「スーパーフコイダン」の2つであり、「SUPER」と「FUCOIDAN」を分離して認識すべきものではない。その理由は、「SUPER」と「FUCOIDAN」が、共に英単語であり、両者を組み合わせるのは自然であること。両単語の間の6本の平行な白線は、文字の高さと傾斜を同じにし、二段書き表示の長さが同じになるようにした一種のデザイン処理であること。その下に記載されている片仮名文字の「スーパーフコイダン」は、本件商標が一連不可分に称呼されることを示していること。以上のような本件商標の構成的特徴から「SUPER FUCOIDAN」は、一連不可分の表示であると認識すべきである。
 本件商標の指定商品は、第29類「沖縄産のモズクから抽出したフコイダンを主成分とする粉末・顆粒・粒体・錠剤・カプセル又は液状の加工食品」である。
 イ 引用商標
 引用商標は、別掲(2)のとおり、漢字で「自然健康館」と片仮名文字で「スーパーフコイダン」とが二段横書きに併記構成されている。しかも、当該「スーパーフコイダン」は、文字の大きさ、字体、色など一連不可分な表示構成である。
 引用商標は、「自然健康館」と「スーパーフコイダン」の二段併記になっているため、一般需要者が取引に際して観たとき外観的に両者を区分して認識するのが自然である。また、前者の「自然健康館」の部分は、いわゆるハウスマークとして出所識別機能を発揮し、後者の「スーパーフコイダン」からは、グッズマーク(商品識別マーク)として自他商品識別機能を果たしていると認識される。
 しかも、引用商標の指定商品は、第29類「海藻エキスを主材料とする液体又は粉状の加工食品」及び第32類「清涼飲料、果実飲料、飲料用野菜ジュース」を指定商品として設定登録になったものである。即ち「スーパーフコイダン」は、立派な要部として認められたのである。
 ウ 本件商標と引用商標との類否
 商標の類否判断は、全体観察を原則とし、商標中に独立して自他商品の識別機能を果たす部分(要部)の有する外観、観念、称呼により判断する要部観察、ないしは分離観察により行うものとし、1つの商標に2以上の要部を有するものもある。
 本件商標は、その構成上、自他商品識別機能を果たしている要部は、全体構成にあるだけでなく、欧文字「SUPER FUCOIDAN」部分にも、片仮名「スーパーフコイダン」部分にもあることは、誰の目にも明らかである。その指定商品からみて、特許庁も認めたものである。したがって、本件商標から「スーパーフコイダン」の称呼が生じること明らかである。
 これに対し、引用商標は、「自然健康館」の漢字と「スーパーフコイダン」の片仮名とが二段併記になっているが、全体観察をすると、商標全体で、一商標として識別機能を果たし、要部と解するのが相当である。同時に、引用商標は、その構成が「自然健康館」と「スーパーフコイダン」の二段併記になっており、一般需要者が取引に際して観たとき外観的に両者を区分して認識するのが自然であるうえ、前者の「自然健康館」の部分は、いわゆるハウスマークとして出所識別機能を発揮し、後者の「スーパーフコイダン」はグッズマーク(商品識別マーク)として自他商品識別機能を果たしていると認識できる。
 したがって、引用商標の要部は、商標構成全体を要部とするだけではなく、「自然健康館」と「スーパーフコイダン」という各部分についても独立した自他商品識別力を発揮しているものとして、これらの部分も要部であると認定すべきものである。
 してみれば、引用商標は、その3つの要部から少なくとも称呼が抽出されるものと考えるべきである。即ち、商標全体の構成「自然健康館スーパーフコイダン」から「シゼンケンコウカンスーパーフコイダン」の称呼が、「自然健康館」の部分から「シゼンケンコウカン」の称呼が、「スーパーフコイダン」の部分から「スーパーフコイダン」の称呼がそれぞれ生ずると考えるべきである。特に、引用商標では、全体構成から生ずる「シゼンケンコウカンスーパーフコイダン」の称呼は、非常に長い名称となるため、取引の際には、これらの一部を省略した略称を使用する場合が多いと思われる。即ち、引用商標を指定商品に使用して市場の流通に供された場合、「スーパーフコイダン」と略称して商品を選択購入されることが多いと思われるし、それが自然な取引状態になると思われる。したがって、引用商標からは少なくとも「スーパーフコイダン」の称呼も生じるものと認定するのが相当である。
 よって、本件商標と引用商標とは「スーパーフコイダン」の称呼を共通にする類似の商標であると確信する。
 また、両商標の指定商品は、いずれも第29類の加工食品である。加工食品の種類の表現は多少異なっているが、同一又は類似の商品であること明らかである。
 よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
 エ 本件商標の拒絶理由通知は、事実誤認に基づく不適当なものである。
 本件商標は、出願中に審査官より「フコイダン」の文字の意味を認定し、補正案の示された拒絶理由が通知され(甲第3号証)、出願人からの補正案どおりの指定商品にした手続補正書(甲第4号証)を認めて登録査定されたものである。
 しかし、この拒絶理由には、以下のとおり、重大な事実誤認と、それに基づく法適用誤りと、不適正な補正案の提示があると思料する。
 (ア)第1に、「フコイダン」・「FUCOIDAN」なる文字の意味を誤解し、成分表示であると認定した点が事実誤認である。拒絶理由通知(甲第3号証)には次のように記載されている。
 その理由1の中で、「この商標登録出願に係る商標は、その構成中に『海藻のうち、特に褐藻(モズク・コンブ・ワカメなど)に含まれる硫酸基と結合した粘質多糖類』で『健康食品として注目されている』(三省堂 コンサイスカタカナ語辞典第2版)成分を表示する片仮名『フコイダン』の文字及びその欧文字『FUCOIDAN』の文字を有してなりますから、」と記載している。
 つまり、審査官は、「フコイダン」・「FUCOIDAN」の文字の意味を、三省堂コンサイスカタカナ語辞典の解説に基づいて、指定商品である加工食品の成分の表示であると認定したものである。
 しかし、この認定は事実誤認である。確かに、「フコイダン」・「FUCOIDAN」は、「健康食品として注目されている」のはそのとおりであるが、その使われ方は極めて多様であり、その意味を正確に認識できない概念である。
 特許庁では、三省堂コンサイスカタカナ語辞典における意味や認識の説明を正しい意味と信じて認定し、それを前提にしてすべてを判断したものと考えられる。しかし、上記辞典における意味の説明は必ずしも適正なものではない。即ち、上記辞典では「フコイダン」とは、「海藻のうち、特に褐藻(モズク・コンブ・ワカメなど)に含まれる硫酸基と結合した粘質多糖類」であると説明しているが、このような認識は、学術用語としても一般用語としての認識ともずれている。上記辞典の説明は、学術用語や一般用語として認識されている「フコイダン」の概念の中の一例を示したものであるにすぎないと考える。「フコイダン」は、このような一例の意味だけではなく、その他の多くの物質を含む総称であり、もっと広い意味の概念である。これは例えれば、日本食とは、お寿司であると説明しているようなものであり、適正な意味や概念の説明ではない。
 一般の認識では、「フコイダン」・「FUCOIDAN」は、後述するように、未だ定義が定まっていない多様な意味を有する総称概念であり、加工食品の成分を明確に特定できる概念ではないとされているのである(甲第5号証ないし同第11号証)。
 <「フコイダン」の適正な意味について>
 「フコイダン」・「FUCOIDAN」なる文字表示は、昔からある一般食品としてはあまりなじみのない用語であり、近年、健康食品業界で注目され始めたものである。したがって、その正確な意味を知っている者は少ない。そこで「フコイダン」・「FUCOIDAN」について、その意味とその使われ方を調査した結果、次のようなことが解った。
 まず、この用語の起源であるが、「フコイダン」・「FUCOIDAN」は、約90年前(1913年)にスエーデンのヌプサラ大学のH・Z・キリン教授が昆布のヌメリ成分のひとつとして発見したもので、当時「フコイジン」と命名されていたが、分子構造が複雑で、抽出や分析が困難であったことから、近年まで研究されることがなかった。その後、国際糖質命名規約によって「フコイダン」「FUCOIDAN」と呼ばれるようになったものである(甲第7号証及び同第10号証)。
 通説として一般に認められている「フコイダン」の意味とは、海藻の中でもコンブ、ワカメ、モズクといった褐藻類に特に多く含まれるヌメリ成分で、水溶性植物繊維の一種である。化学的には、硫酸化フコースを主体とする多糖体(硫酸化多糖体)の一種である。褐藻類のフコイダンは、このように糖がいくつも結合しあってくっついた「多糖体」に分類されるが、構成する糖にはフコース以外に、ガラクトース、マンノース、キシロース、ウロン酸などが結合している場合があり、複数の種類に分けられる(甲第7号証ないし同第10号証)。
 現在判明しているだけでも、次のようなフコダイン(審決注:「フコイダン」の誤記と認められるので、以下、「フコダイン」とあるときは「フコイダン」と訂正する。)の種類がある。
  a アセチルフコイダン【オキナワモズクのみに含まれるフコイダン】
  b L-フコイダン【昆布の中でもガニアシのみに含まれるフコイダン】
  c GA-フコイダン【コンブの中でもガニアシのみに含まれるフコイダン】
  d F-フコイダン【フコースのみからなるフコイダン】
  e U-フコイダン【グルロン酸とマンノースからなるフコイダン】
  f G-フコイダン【ガラクトースとフコースからなるフコイダン】
 即ち、一般的に使用されている「フコイダン」という名称は、同一構造の物質につけられたのではなく、主成分がフコースである糖鎖の総称として使用されており、フコース以外の糖を含むものを「フコイダン様多糖体」と称している場合が多い。しかし、「フコースを主成分とする多糖体」とフコース以外の糖を含む「フコイダン様多糖体」との両方を総称してフコイダンと呼ぶ場合もある。主成分であるフコースの分子量は、数万~数百万とその示す範囲は非常に広く、多様である。その他、硫酸基の結合した多糖体だけをフコイダンと呼ぶ場合もあるし、硫酸基の結合は関係なく、海藻から抽出される糖の結合体そのものをすべてフコイダンと呼ぶ場合もある。したがって「フコイダン」は、海藻類に含まれる硫酸化アミノ多糖類(植物繊維の一種)の総称であるともいえる。このように、「フコイダン」・「FUCOIDAN」について様々な意味や概念として多様な使われ方をしており、未だ明確な定義づけがされていないというのが現状である。
 さらに、「フコイダン」を、海藻の中でもコンブ、ワカメ、モズクといった褐藻類に含まれるヌメリであり、水溶性植物繊維の一種であるとした場合であっても、次のような要素の違いによってその分子量、構造、成分、品質、機能のいずれもが大きく違っている。
 その違いは、次のような要素の違いによって生じていると考えられる。
  a 原料である海藻の種類(由来)の違い
  b 原料である海藻の産地の違い
  c フコイダン商品の形状の違い
  d フコイダン商品の製法の違い
  e フコイダンの抽出方法の違い
  f フコイダンに結合している硫酸基の量の違い
  g 商品におけるフコイダンの純度(含有量)の違い
 叙上のように、「フコイダン」・「FUCOIDAN」という用語は、その定義や概念が未だ定まっていないうえ、原料である海藻の種類、産地、抽出法、硫酸基量、純度、製法、形状などの要素により、その分子量、構造、成分、品質、機能が違っていても総称として使用されているというのが現状である。そのため健康食品の業界では「フコイダン」を、前記よりもさらに広い意味で多様に使用されていて、海藻の成分である多糖体を含むものを全部ひっくるめて「フコイダン製品」又は「フコイダン含有製品」の総称として多様に使用されている。よって、「フコイダン」・「FUCOIDAN」という用語を、加工食品の成分表示のような態様で使用したとしても、具体的にその成分を特定することは出来ないものである。
 (イ)第2に、拒絶理由として、「商標法第4条第1項第16号に該当する。」及び「商標法第6条第1項の要件を具備していない。」の2点を挙げているが、これは第1の事実誤認を前提にしたもので誤りである。
  a 商標法第4条第1項第16号の適用について
 拒絶理由通知(甲第3号証)で、「フコイダン」・「FUCOIDAN」は、成分を表示する文字なので、「これを指定商品中、例えば、『沖縄産のモズクから抽出したフコイダンを主成分とする粉末・顆粒・粒体・錠剤・カプセル又は液状の加工食品』以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせる恐れがあるものと認めます。」として、商標法第4条第1項第16項に該当すると認定している。
 しかし、叙上のように、「フコイダン」・「FUCOIDAN」という用語は、その定義や概念が未だ定まっていないうえ、原料である海藻の種類、産地、抽出法、硫酸基量、純度、製法、形状などの要素により、その分子量、構造、成分、品質、機能が違っていても総称として使用されているものである。よって、「フコイダン」・「FUCOIDAN」という用語を、加工食品の成分表示として使用しようとしても、具体的にその成分を特定することは出来ないものである。本件拒絶理由通知は、「フコイダン」・「FUCOIDAN」の意味を誤って認識し、それに基づいて品質誤認を生じさせる恐れがあると判断したもので、誤りである。
 また、「沖縄モズク」は、モズクの品種を表しており、必ずしも沖縄だけで生産されているものではない。トンガ国や台湾などでも養殖されている。したがって、これを「沖縄産のモズク」と認識するのも誤認である。
 そうすると、本件商標登録出願当初、指定商品として「沖縄モズクを主原料とする粉末・顆粒・粒体・錠剤・カプセル又は液状の加工食品」と記載したことによって品質の誤認を生ずるおそれはないはずである。よって、特許庁が拒絶理由として、「商標法第4条第1項第16号に該当する。」としたことは、理由がない。
 さらに、本件商標の上記判断は、商標構成中に「フコイダン」の文字を含む他の登録商標の審査事例と矛盾している。
 特許庁の審査例として「フコイダン」及び「フコイダン」を含む商標について、指定商品に「沖縄産のモズクから抽出したフコイダンを主成分とする」という制限事項を付さないで登録した事例が次のように多数ある(甲第12号証ないし同第23号証)。
  (a)「フコイダン」(登録第4097007号、第31類)、「フコイダン」は識別力ありとして、成分表示や品質表示としての制限をしていない。指定商品中に多数の食物、特に海草類が含まれている。
  (b)「フコイダン」(登録第3012033号、第1類「化学品」)、フコイダンが食品成分ではないことは明確である。
  (c)「ウベフコイダン/UBE-fucoidan」(登録第5003753号、第1類「硫酸基と結合した多糖類」)
  (d)「マリンテックフコイダン」(登録第5040708号、第29類)、「フコイダン」を食品の成分表示や品質表示として制限をしていない。指定商品中に多数の食物、特に海草類が含まれている。
  (e)「フコイダンZ」(登録第4736032号、第29類)、「フコイダン」を食品の成分表示や品質表示としての制限をしていない。指定商品中に多数の食物や加工水産物が含まれている。
  (f)「フコイダンブロック」(登録第4853289号、第29類)、指定商品を「海草類を主成分とする・・・加工食品」と一部制限している。
  (g)「フコイダンの力」(登録第5049497号)、第29類「加工水産物」及び第30類「海草を主成分とする茶」と指定商品を制限していない。
  (h)「フコイダンエクセル」(登録第4860593号、第29類「モズク及びモズク抽出物を主原料とした粉末状・タブレット状・顆粒状・液状・カプセル状の加工食品」及び第32類「海洋植物から抽出した成分を含有ししてなる清涼飲料、海洋植物から抽出した成分を含有してなる果実飲料」)
  (i)「フコイダンプラス」(登録第4455738号、第29類「海藻植物繊維に米胚芽油抽出物・植物性油脂等を加えてなる粒状の加工食料品」)
  (j)「フコイダンアルギン酸パワー」(登録第4852713号、第29類「スープのもと」)
  (k)「ルルドフコイダン」(登録第4742574号、第29類「モズク及びモズク抽出物を主原料とした粉末状・タブレット状・顆粒状・液状・カプセル状の加工食品」)
  (l)「なにかのご縁でストロングフコイダン」(登録第4825120号、第29類「モズク・ビタミンC・蜂蜜を主成分とする粉末状・タブレット状・顆粒状・液状・カプセル状の加工食品」)
 叙上のように「フコイダン」を含む商標について、制限事項をつけなくても登録した事例が多数あるということは、本件商標の拒絶理由において「沖縄産のモズクから抽出したフコイダンを主成分とする」としなければ商標法第4条第1項第16号違反になるとしたのは、誤った法適用であるといわざるを得ない。特に、本件商標で「沖縄産モズク」と地域名称まで付して限定する必要があるとしている理由が理解できない。
  b 商標法第6条第1項の適用について
 また、本件商標の拒絶理由通知では、理由2において、「この商標登録出願に係る指定商品中『沖縄モズクを主原料とする粉末・顆粒・粒体・錠剤・カプセル又は液状の加工食品』は、その内容範囲を明確に指定したものとはみとめられません。したがって、この商標登録出願は、商標法第6条第1項の要件を具備しません。ただし、上記理由1と理由2を合わせて解消するため、本願指定商品を例えば『沖縄産のモズクから抽出したフコイダンを主成分とする粉末・顆粒・粒体・錠剤・カプセル又は液状の加工食品』以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせる恐れがあるものと認める。」と記載されている。
 しかし、上述したように出願当初の指定商品の内容範囲は明確である。このことは従来同様の指定商品の記載で登録されている複数の登録例からみても明らかである。
 それより、本件について「沖縄産のモズクから抽出したフコイダンを主成分とする」と補正するよう示したことに問題がある。なぜなら「フコイダン」は、上記甲第12号証及び同第13号証のように登録商標だからである。商標審査基準では、「特定の商品を表すものとして登録商標が用いられている場合は、原則として、第6条第1項の要件を具備しないものとして拒絶理由を通知する。」とされている。この審査基準に従えば、上記拒絶理由通知は、第6条第1項の要件違反を促す補正を指示したことになるし、その補正を認めたことは第6条第1項の要件違反を積極的に認めたことになる。よって、本件商標は、法適用を誤って登録査定された不当なものといわざるを得ない。
 (ウ)第3に、拒絶理由では「沖縄モズク」を「沖縄産モズク」に補正するよう提示している。この補正案は両用語の意味を誤解して要旨変更の補正を求めたものであり、不適正である。
 本件の商標登録願(甲第24号証)において当初に記載された指定商品は、「沖縄モズクを原料とする粉末・顆粒・粒体・錠剤・カプセル又は液状の加工食品」である。これに対し拒絶理由通知書(甲第3号証)では「沖縄モズク」を「沖縄産モズク」に補正するよう提示している。
 しかし、「沖縄モズク」はモズクの品種名であり、「沖縄産モズク」はモズクの産地表示である。甲第25号証ないし同第27号証に示すように、「沖縄モズク」は褐藻類の一種でナガマツモ科に属し、英名Cladosiphon okamuranusと称されるモズクの品種名であり、通称「フトモズク」とも称されている。甲第25号証及び同第26号証によれば、沖縄県では、沖縄モズク以外にもモズク科の一種の「モズク」、英名Nemacystus decipiens、通称「イトモズク」又は「ホンモズク」が養殖されていると公表されている。つまり、本件拒絶理由通知で、「沖縄モズク」を「沖縄産モズク」に補正させたことにより、モズクの種類が実質的に増えたものである。これは、要旨変更の補正であり、権利範囲を拡大する違法な補正である。
(2)商標法第4条第1項第10号違反について(無効理由2)
 ア 「スーパーフコイダン」は、請求人の商品を表示する商標である。
 請求人は、平成13年7月頃から、請求人が製造・販売する商品である海藻エキスを主原料とする液状又は粉状の加工食品を、ウェブサイトあるいは販売代理店を通じて、顧客に販売し、請求人の商品を表示するものとして「スーパーフコイダン」との商標を用いている。
 イ 請求人の商品を表示する商標「スーパーフコイダン」は、本件商標出願時には、需要者の間に広く認識されていた商標である。
 請求人は、商標「スーパーフコイダン」を使用した自社商品を請求人の所在地である東京都を中心に日本全国に向けて盛大に販売しており、その販売実績、宣伝広告の状況からみて、本件商標の出願時(平成18年8月頃)には、商標「スーパーフコイダン」は請求人の商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた。
 商標の使用状況については、例えば、平成15年4月には季刊誌「はいから」に請求人の商品紹介記事が掲載されたが、当該季刊誌は12万部が発行・販売されており(甲第28号証)、同年7月には請求人商品の紹介記事が週刊誌「女性セブン」に掲載されたが、この週刊誌は当時毎月平均40万部販売されており(甲第29号証)、平成16年2月に請求人の商品の紹介記事が掲載されたビジネス情報誌「エルネオス」は2万3000部が販売されており(甲第30号証)、請求人の商品が紹介されている2004年2月号の月刊誌「がんを治す完全ガイド」は5万部が販売されている(甲第31号証)。さらに2004年7月2日号の週刊誌「週刊ポスト」にも請求人の商品が紹介されている(甲第32号証)。
 その他、請求人の商品の販売状況も併せてみれば、「スーパーフコイダン」が請求人の商品を表示するものとして周知であったことは明らかである。
 よって、本件商標は、他人である請求人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用するものであるので、商標法第4条第1項第10号に該当する。
 ウ 請求人と被請求人とは、現在、知的財産高等裁判所において、平成19年(ネ)第10065号損害賠償等請求控訴事件として係争中である。
(3)むすび
 叙上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び第10号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきである。
2 弁駁の理由 
(1)被請求人の主張
 被請求人は、本件商標について、(a)「フコイダン」が、商品の内容、品質、原材料を表示する一般的な用語である、(b)「スーパーフコイダン」には自他商品識別力がない、(c)本件商標の要部は、6本の横線を菱形に表した2つの図形部分又はこれら図形と「SUPER」、「FUCOIDAN」及び「スーパーフコイダン」の文字を組み合わせた全体により識別力を生じさせるものである、(d)本件商標と引用商標とは非類似である、と主張している。
(2)被請求人の主張の矛盾
 被請求人の上記主張は、被請求人自ら本件商標には識別力がないことを自白しているような矛盾した主張である。なぜなら、本件商標構成のうち、誰が見ても主要な構成要素と認める文字部分は識別力がなく要部ではないとの主張だからである。もしそうだとすれば、本件商標はどこにも識別力を認識できる要素がなくなり、登録されるべきものではなくなる。
 被請求人は、本件商標について図形部分が要部であると主張するが、それは無理な理由であり、到底承服できない。なぜなら、この図形部分は何ら意味も特徴も無いありふれた幾何学的図形であり附飾的なものである。即ち、この図形は、英文字構成に連続して、それと同じ高さで同じ角度に傾斜させた横線を配したものであり、「SUPER」と「FUCOIDAN」とが連続する構成であることを示すと共に、二段書きした構成文字の長さが同じになるように図形的処理をしたものである。このように図形部分は英文字構成の印象的効果を喚起させるために附飾的な処理を施しただけのものであり、このようなデザイン的処理はマークを作成する際に普通に用いられるごくありふれた手法である。
 市場において本件商標を使用した場合、需要者は英文字とカタカナ文字との相乗効果として「SUPER FUCOIDAN」「スーパーフコイダン」という一連用語を要部として認識し識別するのが自然な認識の仕方である。したがって、被請求人の主張するように文字部分が商標の要部ではないとすれば、識別力を有する部分が無くなり、全体をもってしても自他商品を識別するための標識とは認識しえないものとなる。
(3)被請求人の主張は事実誤認
 被請求人の主張は、「フコイダン」の意味について事実誤認をしていると思料する。被請求人は、「フコイダン」について定義がないこと、「フコイダン」が原料である海藻の種類、産地などの要素により分子量や構造が相違するものの総称であることを認めながら、健康食品業界で使われているからという理由だけで特定の成分を表示する一般名称として通用しているものであると認定している。しかし、健康食品業界での使われ方は、その意味について規制されておらず、その使われ方についてのコンセンサスも統一性もなく、使用者がかってな思いで様々な意味に使われているのが実態である。このため、健康食品業界自体が、「フコイダン」は特定の意味が未だ定まっていないこと、この語の意味が「一人歩き」していること、無秩序に使われているのを認めており、これから成分や品質についての研究をしなければならないことが多くの書面や新聞や宣伝広告などで盛んに述べられている。特許庁の審査事例でも、統一された取り扱いがされていない。
 このような実態の中で、健康食品業界で使われているからという理由だけで「特定の成分を表示する一般名称として通用している」と認定し、主張するのは事実を無視する強弁であり矛盾した主張である。
 健康食品業界で使われている実態については、請求人が審判請求書において多くの証拠を提出したが、被請求人が提出した乙号証の中でも、「フコイダン」の品質は不明である旨が次のように複数記載されている。
 ア 乙第1号証:左上の段の「機能性、構造解明が飛躍の鍵」中に、次のように記載されている。
 「構造の異なるフコイダンが存在するなどの理由から、研究者たちは、その仕組みを解明するのに困難を極めていた。『フコイダン」とは、単なる総称であり、ビタミンのようにA、B、C、Eとまで解明されないと、有効成分を同定したとはいえない。』(関係者)とするように、その複雑な構造を解明する徹底した研究が原料サプライヤーには必要不可欠とされている。」
 イ 乙第2号証:左上の段「フコイダンという総称で一括りにされ、差別化しづらい商材だけに、原料メーカーでは、バックデータ整備に余念がない。」、左中の段「フコイダンは、その由来によって、構造が違うのだから、機能性も異なるのは当然だ」との記載
 ウ 乙第4号証:16頁下段「フコイダン研究所が設立されました。」中、「いまだに『フコイダン』の定義に公的なものが無いため、品質にもバラツキが大きいのが現状です。」との記載、20頁左上「フコイダンという成分が徐々に一般消費者に浸透し始めている一方で、『総称であるフコイダンという言葉が一人歩きしてしまっている』とする声は少なくない。『由来別のフコイダンの構造が異なるのだからその機能性も違う』という観点から、各社では独自の研究データの蓄積を進めている。」との記載
 以上のように、被請求人の提出に係る証拠の中でも、「フコイダン」の成分は不明であり、その品質は多様であることが明記されている。このような実情を無視して、「フコイダンは商品の内容、品質、原材料を表示する一般的な用語である。」と認定するのは、明らかな事実誤認である。
 なお、審査基準でも品質を間接的に表示するものは、品質表示には該当しないとされており、例えば、第7類で「ケミカルアンカー」は、極めて漠然とした広範な意味をもち、品質表示には該当しないとされている(東京高裁平成10年(行ケ)第109号、平成11年1月27日判決、速報288-8632)。
 このような経験則からも、本件商標のように漠然とした広範な意味をもち、意味が定まっていない用語の場合には、安易に品質表示とすべきではない。
(4)「スーパーフコイダン」には自他商品識別力がないとの被請求人の主張は誤った認定である。
 被請求人は、「フコイダン」には自他商品識別力がないという事実誤認を前提にして、これに「スーパー」を結合させたからという論理で、自他商品識別力がないと推論しているが、このような認定は誤りである。その理由として、特許庁では、「スーパー・ルテイン」、「スーパーイソフラボン」、「スーパーDHA」、「スーパーエコザイムQ10」、「スーパープロポリス」、「スーパーレシチン」などが拒絶になったからというのが理由付けである。
 しかし、この事例は、本件商標の場合と本質的に相違する事例であり、すり替え理由付けである。なぜなら、これらの商品材料である「ルティン」、「イソフラボン」、「DHA」、「エコザイムQ10」、「プロポリス」、「レシチン」などは、品質も成分も既にその意味が特定されているものばかりである。したがって、この明らかな材料の用語に、品質を誇示する「スーパー」の文字を結合させても、自他商品識別力が無いことは当然である。
 これに対し、本件商標の「フコイダン」は、その材料も品質もいまだに特定されていない用語である。このような品質の定まらない用語にスーパーの文字を結合させた場合は、当然品質表示ではなく識別力が認められる用語とするのが自然であり一般的である。
 経験則として、「スーパーベース」は建築専門材料について、識別力を認めている例がある。この場合、ベースは極めて広範な意味を有する漠然とした語で、指定商品の用途、品質などを表すものではないとされた事例である(東京高裁平成12年(行ケ)第212号、平成13年10月31日判決)。
 また、「スーパードライ」についても数多く商標登録になっている。例えば、登録4332216号、登録4530402号、登録4553136号、登録4973513号、登録4989183号その他などがある。
 したがって、スーパーが付いたというだけで、品質表示であるとする被請求人の主張は間違いである。
(5)むすび
 叙上のように、被請求人の主張は、矛盾していたり、現実を無視した事実誤認を犯したものであったり、到底承服できないものである。特に、「スーパーフコイダン」には自他商品識別力がないと認定したのは、上記のように2点で事実誤認をするものであり、いずれも理由として承服できるものではない。
 
第4 被請求人の答弁
 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第23号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 無効理由1(商標法第4条第1項第11号違反)について
(1)請求人は、本件商標と引用商標は類似の商標であると主張し、その理由を種々述べているが、結局のところ、無効理由1の要点は、商標の類否判断において、引用商標から「スーパーフコイダン」という称呼が生ずるか否か、すなわち、「自然健康館」と「スーパーフコイダン」との二段書きにした引用商標の構成要素中の「スーパーフコイダン」という文字が商標の要部(自他商品の識別機能を果たす部分)となり得るか否かという点である。
 そこで、以下において、まず、「フコイダン」が商品の内容、品質、原材料等を表示する一般的な語であることを述べ、次いで、「スーパーフコイダン」が自他商品の識別機能を発揮し、出所表示機能を果たし得る語ではあり得ないことを述べる。
(2)「フコイダン」が商品の内容、品質、原材料等を表示する一般的な用語であること
 ア 「フコイダン」は、「海藻類の硫酸化多糖類」若しくは「海藻多糖抽出成分」の一般的な名称、又は「海藻の成分である多糖体を含む製品の総称」として、健康食品の分野において一般的に使用されているものである。このことは、1972年(昭和47年)12月1日に初版が発行された「藻類研究法」の第616頁「細胞間粘質多糖」の「a)フコイダン」の項(甲第5号証)において、「たとえば、乾コンブなどの藻体の断片を水に浸しておくと粘重な物質として抽出されてくる。・・・フコイダンはフコースのほかに中性糖としてはガラクトース、キシロースなど含み、そのほか比較的少量のグルクロン酸も含む。その上に、フコースの量、もしくはそれ以上にエステル型硫酸を含むのが特徴である。・・・これら硫酸多糖には、ヘバリン(動物の硫酸多糖)の生理作用と同じ作用、つまり血液凝固を阻げる作用とか・・・」との記載があること、また、「海藻フコイダンの科学」の第10頁の「フコイダン」の項(甲第6号証)に、「『フコイダン』の理化学的な性状については多くの報告があり、硫酸を含む多糖類であることとフコースが主成分であること、などについてはかなり以前から分かっていたが・・・」との記載があることからも明白である。
 イ この「フコイダン」の語の起源に関しては、請求人自身も、「『フコイダン』・『FUCOIDAN』は、約90年前(1913年)にスエーデンのヌプサラ大学のH・Z・キリン教授が昆布のヌメリ成分の一つとして発見したもので、当時『フコイジン』と命名されていたが、分子構造が複雑で、抽出や分析が困難であったことから、近年まで研究されることはなかった。その後、国際糖質命名規約によって『フコイダン』『FUCOIDAN』と呼ばれるようになったものである(甲第7号証及び同第8号証)」と述べ、「フコイダン」が90年前に発見された「昆布のヌメリ成分の一つ」であることを認めている。
 また、請求人は、「通説として一般に認められている『フコイダン』の意味とは、海藻の中でもコンブ、ワカメ、モズクといった褐藻類に特に多く含まれるヌメリ成分で、水溶性植物繊維である」、「『フコイダン』は、海藻類に含まれる硫酸化アミノ多糖類(植物繊維の一種)の総称であるともいえる」、「(「フコイダン」は、)健康食品の業界では『フコイダン』を、前記よりもさらに広い意味で多様に使用されていて、海藻の成分である多糖体を含むものを全部ひっくるめて『フコイダン製品』又は『フコイダン含有製品』の総称として多様に使用されている」と述べ、「フコイダン」が海藻類に含まれる硫酸化アミノ多糖類又はその製品の総称であることを認めている。
 ウ ところで、請求人は、この「『フコイダン』・『FUCOIDAN』という用語は、その定義や概念が未だ定まっていないうえ、原料である海藻の種類、産地、抽出法、硫酸基量、純度、製法、形状などの要素により、その分子量、構造、成分、品質、機能が違っていても総称として使用されているのが現状である」から、「『フコイダン』・『FUCOIDAN』という用語を、加工食品の成分表示のような態様で使用したとしても、具体的にその成分を特定することが出来ない」と主張する。
 しかしながら、仮に請求人が主張するように「フコイダン」が原料である海藻の種類、産地等の要素により分子量、構造等が相違するものの総称として使用されているとしても、いわゆる健康食品の取引者・需要者の間では、少なくとも海草類に含有され、かつ健康食品の主成分に用いられる物質であり、がん細胞等に対し効果があるといわれているものとして、認識されているものであるから、例え、「フコイダン」についての厳密な定義が確立していないとしても、「フコイダン」は、健康食品業界において、少なくとも海藻の成分である多糖体を含む製品を表示する語として認識されるものであり、その商品の内容、品質、原材料等を表示する語として十分に通用しているものであるといえる。
 エ さらに、請求人の提出する甲第30号証では、本件商標登録出願日である平成16年10月13日以前の2004(平成16年)2月時点で、「中には、がん治療に効果があると報告されているものさえある。その代表格として最近とみに話題に上がっているのが『フコイダン』である。」(44頁本文上段7行ないし11行)、「この『フコイダン』の販売を手がけている会社の一つ自然健康館(東京都中央区銀座)・・・」(44頁本文下段から24行及び25行)とされ、「フコイダン」が取引者間において一般的な名称として用いられていることは明らかであり、請求人はその「フコイダン」の販売を手がける多数の会社のうちの一つにすぎないことも明らかである。これらの事実からしても、「フコイダン」が多数の取引者・需要者において、一般的に使用されているものであることは明白である。
 オ 以上のとおり、「フコイダン」は、約90年以上前に発見された成分の名称であり、その後、国際糖質命名規約によって命名されたものであって、そもそも過去においても特定の者の商品の出所を表示する商標として機能していたものではなく、当初から、特定の成分を表示する一般的な名称として通用しているものであり、このことは、取引者において自明のことである。さらに、「フコイダン」が取引者において特定の成分の一般名称であることは、業界紙である「健康産業新聞」(乙第1号証ないし同第4号証)において、「フコイダン」を原料とする健康食品の特集が組まれていること等からも明らかである。
 したがって、「フコイダン」は、商品の内容、品質、原材料等を表示する一般的な語として取引者・需要者をして認識されるものである。
(3)「スーパーフコイダン」には自他商品識別力がないこと
 ア 上記(2)で述べたとおり、引用商標の構成要素中の「フコイダン」は「海藻多糖抽出成分」又は「海藻の成分である多糖体を含む製品」の一般名称である。また、「スーパー」は「高品質」等の意味合いを有するものであり、取引界においてその商品が高品質であることを誇示する記述的な語として一般的に用いられているものである。そのため、「スーパー」及び「フコイダン」の各語は、何人も自由に使用し得るものであり、自他商品識別機能及び商品の出所表示機能を果たし得ない。これらの2語を結合させた「スーパーフコイダン」についても、全体として「高品質の海藻多糖抽出成分」又は「高品質の海藻の成分である多糖体を含む製品」の観念を生じさせる。そして、これら観念は、その商品の内容、品質、原材料を直接的に表示するものに他ならないから、当該観念を生じさせる「スーパーフコイダン」の文字部分は、単なる商品の成分、原材料を表示するにすぎないものとして把握、認識されるものである。
 イ 特に、いわゆる健康食品の分野においては、その加工食品の成分、原材料の有する効能が優れていることが商品価値に直接的に影響することもあり、「スーパー」等の商品の品質等を誇示する語が好んで使用される傾向が強い。
 このことは、現実の取引界において、「スーパー・ルテイン」、「スーパーイソフラボン」、「スーパーDHA」、「スーパーコエンザイムQ10」、「スーパープロポリス」、「スーパーレシチン」等のように「スーパー」という文字が付された商標の商品が多数販売されていることからも明らかである(乙第5号証ないし同第10号証)。そして、これらの文字のみから構成される商標については、いずれも特定の者によって商標登録はされていない。
 ウ そして、「SUPER FUCOIDAN」又は「スーパーフコイダン」の文字が商標としての自他商品識別機能及び出所表示機能を有しないものであることは、いわゆる健康食品の分野において、次のような商標の出願が自他商品識別力を有しないことを理由として特許庁の審査・審判で拒絶されていることからも明らかである(乙第11号証ないし同第20号証)。
 (ア)「スーパーアガリクス」(商願平11-83330号)
 (イ)「スーパー・ルテイン」(不服2000-134625号審決)
 (ウ)「スーパーイソフラボン」(商願2001-44817号)
 (エ)「スーパーダイズ」(商願2002-40432号)
 (オ)「SUPER/COLLAGEN/スーパーコラーゲン」(商願2005-105333号)
 (カ)「ピュアフコイダン/PUREFUCOIDAN」(商願2005-7338号)
 (キ)「ナノフコイダン」(商願2005-50826号)
 (ク)「ダブルフコイダン」(商願2003-86646号)
 (ケ)「トリプルフコイダン」(商願2003-56583号)
 (コ)「プラチナフコイダン」(商願2004-39552号)
 これら商標はいずれも、商品の品質を誇示する「スーパー」の文字と商品の原材料の一般名称である「アガリクス」、「ルテイン」、「イソフラボン」、「ダイズ」若しくは「コラーゲン」の文字とを結合させたもの、又は原材料を表示する「フコイダン」の文字と商品の品質等を直接的に表示する「ピュア(PURE)」、「ナノ」、「ダブル」、「トリプル」若しくは「プラチナ」の文字とを結合させたものであり、引用商標の構成要素中の「スーパーフコイダン」と文字構成の基軸を共通にするものである。そして、これら商標と「スーパーフコイダン」とを区別して「スーパーフコイダン」については自他商品識別機能を果たし得るものであるとすべき特段の事情も見当たらない。
 また、前掲の商標中の「スーパー・ルテイン」については、自他商品識別力の欠如を理由とする拒絶査定に対する審判が請求されたが、その審決においても、「その構成中『スーパー』の文字は、健康食品の分野においては、例えば、『スーパーカテキン』、『スーパーカルシウム』のように、『スーパー』のあとに効能を具体的に想起できる原材料名をつなげて、その原材料に含まれる有効成分の品質のよさを強調するかたちでよく使用される語と認められる」と認定され、自他商品識別力を欠如する旨の拒絶査定が維持されている(乙第12号証の4)。
 エ 「フコイダン」についても、「多糖類の一つを表し、健康によい多糖類として大変注目されている」(乙第16号証の2)、「食物繊維の一種で商品の原材料として使用されている」(乙第17号証の2)、「海草類の中に含まれる物質であり、化学的には『全糖』『灰分』『硫酸基』『ウロン酸』が結びついた『Dキシロース』『Lフコース』を主成分とした粘質多糖類の一種」(乙第18号証の2)、「『こんぶ、モズクなど海藻のヌメリ成分の一つである硫酸化多糖類』を意味する語で、近年ガン細胞を自滅させる効能があるとされ、また、健康にも効能があるとされ、所謂『健康食品』の原材料としても多く使用されているもの」(乙第19号証の2)のように、商品の内容、品質等を表示する一般的な語であることを前提に判断されている。
 オ また、被請求人は、「SUPER AGARICUS(スーパーアガリクス)」の標章を付したアガリクス茸を主原料とする加工食品の製造販売を行っているところ(乙第20号証)、過去に、この「SUPER AGARICUS(スーパーアガリクス)」の標章についての商標登録出願を行い、その特許庁の審査において、「『スーパー』『SUPER』の文字は、商品の誇称表示として一般的に使用されているものであり、『アガリクス』『AGARICUS』の文字は、昨今、その効用のため、各種健康食品の原材料として使われることの多い『アガリクス茸』の略称として広く認識されていることからしますと、これをその指定商品に使用しましても、単に自社の『アガリクス茸』『アガリクス茸を使用した(いわゆる)健康食品』を誇称的に表示したものとして認識されるに過ぎないものと認めます。」との理由で、当該商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとして、その出願は拒絶された(乙第11号証)。
 このように、健康食品の原材料名に「スーパー」を付してもその原材料の健康食品の誇称的に表示として、商標登録は認められていない。この理は、フコイダンという健康食品の原材料についても同様に当てはまる。
 さらに、請求人の引用商標は「自然健康館」の文字と「スーパーフコイダン」の文字とを二段に表すものであるところ、このように、請求人が「自然健康館」の文字が付加された引用商標を出願したのは、請求人自身も「スーパーフコイダン」の文字単独では商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないと判断したことを示すものに他ならない。
 カ 以上より、「フコイダン」が「海藻多糖抽出成分」「海藻類の硫酸化多糖類」を意味する一般的な名称であることは明白であり、そして、この「フコイダン」に商品の品質を誇称する「スーパー」を付加した「スーパーフコイダン」が「優れたフコイダン」を意味するにすぎないものであることは明らかである。
 したがって、「フコイダン」は「海藻多糖抽出成分」、「海藻類の硫酸化多糖類」又は「海藻の成分である多糖体を含む製品」を意味する一般的な名称であることは疑う余地のないものであり、そして、この「フコイダン」に商品の品質を誇称する「スーパー」を付加した「スーパーフコイダン」についても、「優れたフコイダン」という商品の品質・内容を表示するにすぎないものである。
 よって、引用商標の構成要素中の「スーパーフコイダン」は商標の要部とはなり得ない。
(4)本件商標の要部
 請求人は、「本件商標の要部は、『SUPER FUCOIDAN』と『スーパーフコイダン』の2つ」と主張しているが、本件商標は、「SUPER」、「FUCOIDAN」及び「スーパーフコイダン」の文字のみより構成されるものではなく、これらの文字と6本の横線を菱形状に表した2つの図形とを組み合わせたものであるところ、上記(3)のとおり、「スーパーフコイダン」及び「SUPER FUCOIDAN」の文字は、単に商品の内容、品質、原材料等を表示するにすぎないものであり、自他商品の識別力を有しないものであるから、商標の要部とはなり得ない部分である。すなわち、本件商標の要部は、6本の横線を菱形状に表した2つの図形部分、又はこれらの図形部分と「SUPER」、「FUCOIDAN」及び「スーパーフコイダン」の文字部分とを組み合わせた全体により識別力を生じさせるものである。
 したがって、本件商標の構成要素中の「SUPER」、「FUCOIDAN」及び「スーパーフコイダン」の部分が商標の要部としての機能を果たし得ないものである以上、本件商標の要部が、「SUPER FUCOIDAN」と「スーパーフコイダン」の2つであることを前提とする請求人の主張が誤っていることは明白である。
(5)本件商標と引用商標との類否
 上記(3)のとおり、引用商標の構成要素中の「スーパーフコイダン」は商標の要部とはなり得ない以上、引用商標から生ずる称呼は、「自然健康館スーパーフコイダン」全体に照応した「シゼンケンコウカンスーパーフコイダン」又は引用商標の構成全体から商標の要部となり得ない「スーパーフコイダン」が捨象された「自然健康館」の部分に照応した「シゼンケンコウカン」である。
 したがって、引用商標から「スーパーフコイダン」という称呼が生ずるとして、本件商標と引用商標とが類似するとした請求人の主張は、その前提を欠くものであり、失当である。
 したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。
(6)小括
 以上より、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(7)その他
 請求人は、無効理由1中の「エ(イ)b 商標法第6条第1項の適用について」の項において、「本件商標は、法の適用を誤って登録査定したものであり不当なものである」と述べ、本件商標が商標法第6条第1項に違反して登録されたものであるかのような主張を行っている。また、請求人は、被請求人が審査官の示唆に従って行った指定商品の補正が要旨変更であり、権利範囲を拡大する違法な補正であるとも主張している。
 しかしながら、本件商標は商標法第6条第1項に違反して登録されたものではなく、また、本件商標の審査における補正は何ら要旨を変更するものではない。しかも、そもそも、商標法第6条第1項違反及び補正の制限違反は無効理由には該当しない(商標法第46条第1項)。
 したがって、請求人のこれらの主張は、明らかに失当である。
2 無効理由2(商標法第4条第1項第10号違反)について
(1)「スーパーフコイダン」は商品の品質等表示にすぎず、請求人の商標ではない。
 上記1のとおり、「スーパーフコイダン」は、「優れたフコイダン」、すなわち、その商品が高品質な、海藻類に含有する硫酸化多糖類が含有されている商品であることを記述するものであり、単に商品の内容、品質、原材料を表示するにすぎないものである。そのため、「スーパーフコイダン」は、自他商品識別機能及び出所表示機能を果たし得ないものであるから、需要者等をして、請求人が製造・販売する商品の商標として把握、認識されないものである。
(2)請求人商標には周知性がない。
 請求人は、「スーパーフコイダン」が請求人の商品を表示するものとして、本件商標の出願前である平成18年8月頃には、需要者の間に広く認識されていたと主張し、その証拠方法として甲第28号証ないし同第32号証を提出している。
 しかしながら、これらの証拠は、取材協力として、請求人の商品が紹介されている程度のものが殆どであり、その広告宣伝の方法、回数及び内容、使用期間等のいずれにおいても極僅かであり、そして、請求人商品の販売状況等については一切立証されていない。
 したがって、この程度の使用実績では請求人の商標が周知性を獲得しているとは到底いえない。
(3)小括
 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
3 裁判例
 請求人は、「本件請求人と被請求人とは、現在、知的財産高等裁判所において、平成19年(ネ)第10065号損害賠償等請求控訴事件として係争中である」旨を述べている。
 当該事件は、東京地裁平成18年(ワ)第28323号事件の控訴事件であり、同地裁事件では、「『フコイダン』は、海藻類の成分を抽出して作られた健康食品の原材料を表示する用語である。そして、いわゆる健康食品において、『スーパー』は、商品の誇称表示として一般的に使用されている用語である。したがって、本件商標権の指定商品である『海藻エキスを主材料とする液状又は粉状の加工食品』又は『清涼飲料、果実飲料、飲料用野菜ジュース』の分野では、『スーパーフコイダン』という用語は、高品質の『フコイダン』、すなわち、高品質な、海草類に含有される硫酸化多糖類が含有されていることを記述するにすぎないのであって、それ自体では出所識別力を有せず、本件商標の要部とはなり得ないというべきである。そして、『フコイダン』を名称に含む様々な健康食品が販売されている状況に照らせば、本件商標は、『自然健康館』という製造元の表示と相まって初めて出所識別力が生じるというべきであり、『自然健康館スーパーフコイダン』という本件商標全体が要部であると解するのが相当である。」と判断し、請求人の請求が棄却されたが(乙第22号証)、控訴審においても、以下の理由で、平成19年12月25日付けで控訴棄却の判決がされている(乙第23号証)。判断は概ね地裁判決と同様であるが、この判決の理由においても、引用商標(控訴人商標)の構成要素中の「『スーパーフコイダン』の用語は、高品質の『フコイダン』、すなわち、高品質な、海藻類に含有する硫酸化多糖類が含有されていることを記述するにすぎないのであって、それ自体では出所識別力を有しないことは原判決の説示するとおりである(判決書第19頁第2行ないし第6行)」とし、引用商標(被控訴人商標)から「スーパーフコイダン」の称呼は生じないと認定し(第26頁第11行以下)、本件商標(被控訴人商標)と引用商標(控訴人商標)とを非類似の商標と判断して、地裁判決を維持しているものである。
4 むすび
 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第10号の規定に違反して登録されたものではない。
 よって、本件審判の請求は成り立たない。
 
第5 当審の判断
1 無効理由1(本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性)について
(1)「フコイダン」の語について
 ア 本件商標と引用商標との類否について判断するにあたり、まず、「フコイダン」の文字が取引者・需要者間において如何なる意味合いの語として認識・解釈されているかについて検討するに、請求人及び被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
 (ア)共立出版株式会社、1979年12月1日発行「藻類研究法」には、「フコイダン:たとえば、乾コンブなどの藻体の断片を水に浸しておくと粘重な物質として抽出されてくる。・・・フコイダンはフコースのほかに中性糖としてはガラクトース、キシロースなど含み、そのほか比較的少量のグルクロン酸も含む。その上に、フコースの量、もしくはそれ以上にエステル型硫酸を含むのが特徴である。・・・これらの硫酸多糖には、ヘパリン(動物の硫酸多糖)の生理作用と同じ作用、つまり血液凝固を阻げる作用とか、血液中のリパーゼの活性を高める作用などがあり、・・・」との記載がある(甲第5号証)。
 (イ)株式会社成山堂書店、平成18年10月18日発行「海藻フコイダンの科学」には、「フコイダンは、今から約90年前の1913年にスウェーデンのウプサラ大学のキリン教授によって初めて見出され報告されたもので、当初フコイジンと名付けられたが、その後、国際糖質命名規約によってフコイダンと呼ばれるようになったものである。・・・フコイダンの理化学的な性状については多くの報告があり、硫酸を含む多糖類であることとフコースが主成分であること、などについてはかなり以前から分かっていたが、・・・」との記載がある(甲第6号証)。
 (ウ)2001年5月9日付けの「健康産業新聞」には、次の記事及び広告が掲載されている(甲第11号証の1ないし3及び乙第1号証ないし同第3号証)。
  a 「ZOOM UP フコイダン」、「抗がん作用、抗アレルギー作用、免疫力強化など」、「海が育てた多機能素材」、「新たな市場形成へ」の表題の下に「コンブ、モズク、ワカメなどの褐藻類に含まれるフコイダン。確立された機能性を持つことから、近年では健康食品としてだけではなく、”代替医療の切り札”として注目が集まっている。・・・」との記載がある。
  b 「フコイダンとは・・・」との囲み記事中の「1913年、褐藻類のコンブやヒバマタから硫酸のついた粘質物が単離され、フコイジンと名付けられたのが始まり。その後、多糖類の語尾に「アン」をつけるという国際糖質命名規約によって、フコイダンという名称となる。主な構成成分は、フコース、ガラクトース、マンノース、・・・」との記載がある。
  c 「原料市況」の項目下において、業界各社がフコイダンを扱っていることが報じられ、「宝酒造」につき、「宝酒造(株)バイオ事業部門(滋賀県大津市)では、ガゴメコンブ由来の『TaKaRaコンブフコイダン』を提案。機能性、作用機序解明に関して・・・」との記載、「沖縄発酵化学」につき、「(株)沖縄発酵化学(沖縄県糸満市)では、フコイダン含有量が約90%と高い沖縄産モズクから、塩分、低分子成分を除去し、高分子量であるフコイダンを精製。・・・昨年からは末端商品『フコイダン粒』を通販、TVショッピングで展開。月間500~600個という安定した売り上げを継続している。・・・」との記載、「協同乳業」につき、「協同乳業(株)(東京都板橋区)では、南太平洋産モズク由来の『メイトーフコイダン』の提案を開始。同素材は、効率的に不要物を除去する独自技術により抽出したモズク由来のフコイダン粉末。・・・」との記載、「タングルウッド」につき、「タングルウッド(株)(広島県広島市)では、トンガ王国産モズク由来の『AHフコイダン』を上市した。同素材の原料となる天然のモズクは、・・・」との記載がある。
  d 「商品市況」の項目下において、末端市場での販売状況が報じられ、「ギデオン」につき、「(株)ギデオン(大阪府茨木市)ではこのほど、海藻の栄養分を1粒に凝縮した『玉藻フコイダン海藻いいとこどり』(250mg×360粒・8000円)を発売した。・・・」との記載、「森下仁丹ファインケミカル」につき、「(株)森下仁丹ファインケミカル(大阪市中央区)では、『仁丹のフコイダン+3』(30ml×30本・3万円)を発売して2年が経つ。・・・」との記載、「アルソア本社」につき、「白鶴霊芝+フコイダンの飲料投入、(株)アルソア本社では、・・・抽出したエキスに宝酒造が提案するガゴメコンブ由来のU-フコイダンを配合した健康飲料。・・・」との記載、「グランヒル大阪」につき、「(株)グランヒル大阪(大阪市阿倍野区)では、2年前に発売した『フコイダンプラス』(250mg×120・粒1万6000円)が好調だ。・・・」との記載がある。
  e 各頁の下段において、宝酒造株式会社の販売に係る昆布フコイダン「アポイダン-U」の広告、株式会社沖縄発酵化学の販売に係る「フコイダン粒」の広告、株式会社ギデオンの販売に係る「玉藻フコイダン海藻いいとこどり」の広告が掲載されている。
 (エ)2003年10月15日付け「健康産業新聞」には、次の記事及び広告が掲載されている(甲第10号証の1ないし5及び乙第4号証)。
  a 「特集フコイダン」、「広がる製品形態、市場規模は40億円に」、「大手参入、研究所設立など活況を呈する成長市場」との見出しの下に、フコイダンの市場が急激に伸びており、末端ベースで40億円に到達していること及びタングルウッド株式会社のトンガ産モズク由来の「フコイダン85」、化粧品原料「フコイダンHV」、穎粒夕イプの「AHフコイダンF」、焼津水産化学工業株式会社の「フコイダンYSK」、「フコイダンYSK(NB)」、理研ビタミン株式会社の「理研メカブフコイダン」、株式会社カイゲンの「ガニアシフコイダン」、協同乳業株式会社の「メイトーフコイダン」、明治製菓株式会社の「明治フコイダン」、株式会社沖縄発酵化学の「フコイダンエキス原末カプセル」、「フコイダンエキス原末頬粒」、「フコイダンS」、有限会社クレセールの「シー・フコイダン」、株式会社ギデオンの「玉藻フコイダン海藻いいとこどり」をそれぞれ紹介する記事が掲載されている。
  b 株式会社沖縄発酵化学の販売に係る「フコイダンS」、理研ビタミン株式会社の販売に係る「理研メカブフコイダン」、焼津水産化学工業株式会社の販売に係る「フコイダンYSK」、株式会社ギデオンの販売に係る「玉藻フコイダン海藻いいとこどり」、有限会社クレセールの販売に係る「シー・フコイダン」、株式会社カイゲンの販売に係る「ガニアシフコイダン」、タングルウッド株式会社の販売に係る「AHフコイダン」の各広告が掲載されている。
 (オ)「はいから」(熟年生活応援マガジン)2003年春号vol.25には、「フコイダンでガンを克服する!治療最前線からの報告」、「フコイダンとガン細胞の研究と作用」との見出しの下に、「フコイダンとはモズクやワカメ、昆布などの海藻類に含まれる成分、硫酸アミノ多糖類の総称で、フコース、ガラクトース、マンノースなどを含む食物繊維の一種です。近年、フコイダンについての基礎研究も進み、なぜガンに有効なのかがわかってきました。・・・フコイダンにはアポトーシス現象といい、そうしたガン細胞に直接働きかけガン細胞自身を自滅に導く作用があると言われています。・・・またフコイダンには免疫作用も確認されています。」との記事が掲載されており、請求人の商品「スーパーフコイダン」の広告も掲載されている(甲第28号証)。
 (カ)「女性セブン」平成15年7月3日号には、「海藻成分驚異のパワー」「フコイダンの実力」との見出しの下に、「フコイダンとは、昆布やワカメ、モズクなどの海藻類に含まれる”ヌルヌル状”の成分のこと。正体は”粘質アミノ多糖類”という物質だ。これに注目したのが農水省と宝酒造の研究グループ。96年の日本癌学会で『制がん作用がある』と発表して注目を集めた。研究は多くの専門家に引き継がれた。」との記事が掲載されており、請求人の商品「スーパーフコイダン」が紹介されている(甲第29号証)。
 (キ)ビジネス情報誌「エルネオス」2004年2月号には、「がん治療の効果に話題が集まる『フコイダン』のがん自滅促進作用」との見出しの下に、「『フコイダン』はモズクなど海藻の成分で、それが今、がん患者の救世主になっている。・・・マスコミでも、『フコイダン』が話題になった。例えば、02年9月1日のフジテレビ系『あるある大事典』でも詳細に取り上げられ、・・・その道の権威が、『フコイダン』の効果について具体的資料を示しながら説明した。」などの記事が掲載され、フコイダンの販売を手がけている会社の一つとして請求人とその商品「スーパーフコイダン」が紹介されている(甲第30号証)。
 (ク)「がんを治す完全ガイド」2004年2月号には、「抗がん海藻エキス驚異のパワー」、「低分子『フコイダン』の実力」、「がん細胞に働きかけアポトーシスを誘導」、「異常細胞を正常細胞に変える働きも」等の見出しの下に、フコイダンのがん細胞に対する効果を記載した記事が掲載され、同記事では請求人の商品「スーパーフコイダン」が紹介されている(甲第31号証)。
 (ケ)「週刊ポスト」2004年7月2日号には、「フコイダン・海藻のヌルヌルでがん細胞が『自殺』する」との見出しの下に、「フコイダンとは、ごく簡単にいえば、昆布やワカメ、モズクなど海藻類のヌルヌルした部分。・・・『海草の中に含まれているフコイダンは、がん細胞が自殺するように死滅するアポトーシスという現象を誘導する働きがあるとみられています。・・・』・・・がんへの効果は今後の研究に待たれるが、フコイダンは胃潰瘍の治癒促進でも知られており、健康食品や一般の食品としても続々と商品化されている。その一つが『スーパーフコイダン』(自然健康館)。・・・この他、ヤクルトも沖縄産モズクからフコイダンを抽出した健康茶『いたわり茶』を発売、協同乳業もフコイダンを100ミリグラム配合した『海のヨーグルト』を6月28日から発売する。」との記事が掲載されている(甲第32号証)。
 (コ)本件商標の審査において拒絶の理由に引用された「三省堂コンサイスカタカナ語辞典第2版」には、「フコイダン」が「海藻のうち、特に褐藻(モズク・コンブ・ワカメなど)に含まれる硫酸基と結合した粘質多糖類」で「健康食品として注目されている」と説明されている(甲第3号証)。
 (サ)「NPO法人フコイダン研究所」のホームページには、「フコイダンについて」の見出の下に、「『フコイダン』は今から約90年前の1913年にスウェーデンのウプサラ大学のキリン教授がコンブのヌメリ成分のひとつとして発見したもので、当時は『フコイジン』と命名されていましたが、その後、国際糖質命名規約によって『フコイダン』と呼ばれるようになりました。・・・『フコイダン』とは、海藻の中でもコンブ、ワカメ(メカブ)、モズクといった褐藻類にのみ含まれるヌメリ成分で、水溶性植物繊維の一種です。化学的には、硫酸化フコースを主とする多糖体で、・・・」との記載がある(甲第7号証)。
 (シ)「(有)ノニインターナショナル」のホームページには、「フコイダンって何?」の見出しの下に、「フコイダンは硫酸化多糖体の一種で、モズク等、褐藻類の表面を覆う『ヌルヌル成分』に含まれていて、水溶性植物繊維の一種です。化学的には、硫酸化フコースを主とする多糖体です。海藻類全般に含まれる硫酸化アミノ多糖類(植物繊維の一種)の総称をいいます。」と記載され、また、「フコイダンの定義」の見出しの下に、「褐藻類のフコイダンは、フコース、キシロース、ガラクトース(褐藻によってはマンノースも含む)等とウロン酸、硫酸で構成されています。フコイダンは未だ明確な定義づけがなされておらず、通常は『フコイダン』や『フコイダン様多糖体』と称しています。」との記載がある(甲第8号証)。
 (ス)「タングルウッド株式会社」のホームページには、「フコイダン」の見出しの下に、「フコイダンは硫酸化多糖体の一種で、モズク等、褐藻類の表面を覆う『ヌルヌル成分』に含まれています。・・・1913年、スウェーデンの学者Kylinに寄って発見されて以来その効能について・・・」との記載がある(甲第9号証の1)。
 イ 以上の認定事実によれば、「フコイダン」は、90年以上前に発見された海藻に含有される硫酸化多糖類を意味する学術用語として使用されており、本件商標の出願(平成18年8月)前には既に、業界誌や雑誌における紹介記事において、「フコイダン」が海藻類に含有される物質のことであり、これを抽出した健康食品ががん細胞に対し効果があるものとして注目されていることが記載され、商品名に「フコイダン」を含む健康食品が多数の企業から販売されていることも記載されていることが認められる。
 したがって、「フコイダン」の用語は、本件商標の出願時には、いわゆる健康食品の取引者及び需要者の間において、海草類に含有される硫酸化多糖類であって、健康食品の主成分に用いられる物質であり、がん細胞等に対し効果があるといわれているものとして、広く知られていたものというべきである。
(2)「スーパー」の語について
 ア 次に、「スーパー」の文字は、「極上の、すばらしい」等の意味を有する英語「super」に由来する外来語として親しまれているところ、被請求人の提出に係る証拠(乙第5号証ないし同第10号証)によれば、いわゆる健康食品の分野では、「スーパー・ルテイン」、「スーパー・イソフラボン」、「スーパーDHA」、「スーパーコエンザイムQ10」、「スーパープロポリス粒」、「スーパーレシチン」のように、原材料の名称に「スーパー」を付した商品が多数販売されていることが認められる。
 イ また、乙第11号証ないし同第15号証(各枝番号を含む。)によれば、いわゆる健康食品を指定商品とした商標登録出願において、原材料の名称たる「アガリクス/AGARICUS」、「ルテイン」、「イソフラボン」、「ダイズ」、「COLLAGEN/コラーゲン」に「スーパー」の文字を付した商標は、「スーパー」の文字が商品の誇称表示として一般的に使用されていることから、商標法第3条第1項第3号に該当するとして登録に至らなかった例があることが認められる。
 ウ そうすると、「スーパー」の文字は、商品の品質等が優れていることを示す誇称表示として他の文字に付加して使用されることが多く、それ自体は自他商品の識別標識としての機能を有し得ないものというべきである。
 エ さらに、乙第16号証ないし同第20号証(各枝番号を含む。)によれば、「ピュアフコイダン/PUREFUCOIDAN」、「ナノフコイダン」、「ダブルフコイダン」、「トリプルフコイダン」、「プラチナフコイダン」が商品の品質、原材料を表示するものにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当するとして拒絶査定を受けていることが認められる。
(3)引用商標について
 ア 引用商標は、別掲(2)のとおりの構成からなるところ、構成中の「スーパーフコイダン」の文字は、上記(1)及び(2)の事実からすれば、「フコイダン」の語と「スーパー」の語とを結合したものと容易に認識し把握されるものというべきである。
 イ 既に述べたとおり、「フコイダン」の語は、海藻類の成分を抽出して作られた健康食品の原材料を表示する用語である。そして、いわゆる健康食品において、「スーパー」の語は、商品の誇称表示として一般的に使用されている用語である。
 そうすると、引用商標の構成中の「スーパーフコイダン」の文字は、指定商品である「海藻エキスを主材料とする液状又は粉状の加工食品」又は「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」の分野では、高品質の「フコイダン」、すなわち、高品質な、海草類に含有される硫酸化多糖類が含有されていることを記述するにすぎないのであって、それ自体では自他商品の識別力を有せず、引用商標の要部とはなり得ないというべきである。
 したがって、引用商標は、全体として「シゼンケンコウカンスーパーフコイダン」の称呼又は「自然健康館」の文字部分から「シゼンケンコウカン」の称呼が生ずるとしても、自他商品識別のための単なる「スーパーフコイダン」の称呼は生じないというべきである。
(4)本件商標と引用商標との類否について
 上記(3)のとおり、引用商標は「スーパーフコイダン」の称呼が生じないものである以上、本件商標と引用商標とが「スーパーフコイダン」の称呼を共通にする類似の商標であるとする請求人の主張は、前提を欠き、理由がないことになる。
 そして、本件商標についてみても、その構成中の「SUPER FUCOIDAN」及び「スーパーフコイダン」の文字部分自体は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであるから、本件商標からは単なる「スーパーフコイダン」の称呼は生じないものといわなければならない。
 そうすると、本件商標と引用商標とは称呼上類似するものとはいえない。
 その他、両商標は、それぞれの構成に照らし、外観及び観念においても相紛れるおそれはない。
 したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ず、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
2 無効理由2(本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性)について
(1)請求人は、「スーパーフコイダン」は請求人の商品を表示する商標として本件商標の登録出願時には需要者の間に広く認識されていた旨主張し、証拠を提出している。
 しかしながら、既に述べたように、「スーパーフコイダン」の文字は、高品質の「フコイダン」、すなわち、高品質な、海草類に含有される硫酸化多糖類が含有されていることを記述するにすぎないものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
 そして、請求人の提出に係る証拠を徴するに、請求人が使用していると主張する「スーパーフコイダン」の文字は特別顕著な特殊態様等からなるものでもなく、普通に用いられる書体であるばかりでなく、「スーパーフコイダン」の文字を付した請求人の商品は、数誌に紹介されている程度であり、その具体的な宣伝広告の方法・内容・頻度・期間等が明らかでないし、その販売期間、売上高、市場占有率等が一切不明であるから、該証拠によっては、「スーパーフコイダン」の文字が請求人の業務に係る商品を表示する商標として本件商標の登録出願時に取引者、需要者間において広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)加うるに、上記1(4)で述べたように、「スーパーフコイダン」の文字を含む引用商標と本件商標とは非類似の商標であることからすれば、請求人が主張する「スーパーフコイダン」の商標も本件商標とは類似しないものというべきである。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
3 その他
 請求人は、本件商標の審査過程における経緯を縷々述べ、本件の指定商品の補正が要旨変更に当たる旨、また、本件商標が商標法第6条第1項に違反して登録された旨主張しているが、そもそも補正の制限違反及び同法第6条第1項違反は無効理由に該当しないことは同法第46条第1項の規定から明らかであるから、請求人の上記主張は失当というほかない。
4 まとめ
 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべき限りでない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【結審通知日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【審決日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【審判長】 【特許庁審判官】渡邉 健司
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】酒井 福造

<別掲>
(1)本件商標(色彩については原本参照)
 
(2)引用商標



 
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(210)【出願番号】商願2006-80114(T2006-80114)
(220)【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
(111)【登録番号】商標登録第5061614号(T5061614)
(151)【登録日】平成19年7月13日(2007.7.13)
(561)【商標の称呼】スーパーフコイダン、フコイダン
【最終処分】不成立
【前審関与審査官】藤田 和美