2009年2月9日月曜日

取消2008-300839

【管理番号】第1189161号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300839(T2008-300839/J2)
【審判請求日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【確定日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Z0942)
【請求人】
【氏名又は名称】ジーメンス・アクチエンゲゼルシヤフト
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 D-80333 ミュンヘン ヴィッテルスバッハープラッツ 2
【代理人】
【弁護士】
【氏名又は名称】加藤 義明
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 和香子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
【被請求人】
【氏名又は名称】横河電機株式会社
【住所又は居所】東京都武蔵野市中町2丁目9番32号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4875850号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4875850号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)の貸与」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4875850号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び指定役務及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品及び指定役務についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品及び指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品及び指定役務中「結論掲記の指定商品及び指定役務」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【結審通知日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【審決日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願2001-50101(T2001-50101)
(220)【出願日】平成13年6月4日(2001.6.4)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第4875850号(T4875850)
(151)【登録日】平成17年7月1日(2005.7.1)
(561)【商標の称呼】イピロット、イパイロット、アイピロット、アイパイロット、パイロット、ピロット
【最終処分】成立

取消2008-300780

【管理番号】第1189109号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300780(T2008-300780/J2)
【審判請求日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【確定日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (009)
【請求人】
【氏名又は名称】エクサ コーポレイション
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 01803 バーリントン バーリントン ウッズ ドライブ 3
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 和子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】井滝 裕敬
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤倉 大作
【被請求人】
【氏名又は名称】株式会社エース電研
【住所又は居所】東京都台東区東上野3丁目12番9号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4115264号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4115264号商標の指定商品中「電気通信機械器具,パチンコ店内においてコンピュータを利用して景品交換及び景品の在庫管理をするための景品管理装置,その他の電子応用機械器具」については、その登録を取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4115264号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【結審通知日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【審決日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】小畑 恵一

(210)【出願番号】商願平8-31335
(220)【出願日】平成8年3月25日(1996.3.25)
(111)【登録番号】商標登録第4115264号(T4115264)
(151)【登録日】平成10年2月20日(1998.2.20)
(561)【商標の称呼】パワーフロー、フロー
【最終処分】成立
【前審関与審査官】山田 正樹、半田 正人


取消2008-300749

【管理番号】第1189190号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300749(T2008-300749/J2)
【審判請求日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【確定日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【審決分類】
T132 .04 -X  (Y06)
【請求人】
【氏名又は名称】ジェイコ エス.ピー.エー.
【住所又は居所】イタリア国 アイ-20092,チニセッロ バルサモ(エムアイ),ヴィア コルナージャ 58
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 俊雄
【被請求人】
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町2丁目2番3号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4948138号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求を却下する。
 審判費用は、請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4948138号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載したとおりであり、その指定商品は商標登録原簿記載のとおりであって、平成18年4月28日に設定登録されたものである。
 
2 本件審判の請求の概要
 請求人は、「本件商標の指定商品中『第6類 金属製荷役用パレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属製の吹付け塗装用ブース』についての登録は、取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は、通常使用権者のいずれもが請求に係る商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 当審の判断
 商標法第50条第1項は、同項が「継続して3年以上・・・登録商標の使用をしていないときは、・・・商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」旨規定している。
 すなわち、商標法第50条第1項による商標登録の取消しの審判は、当該登録商標の設定登録の日から3年を経過した後でなければ、その請求をすることができないものと解される。
 これを本件についてみると、本件商標の設定登録日は、前示のとおり平成18年4月28日であるところ、本件審判の請求日は、審判請求書の記載に照らすと、同20年6月11日であることが認められる。
 そうとすると、本件審判の請求は、本件商標の設定登録の日から3年の期間を満了する前になされた不適法な請求であって、その補正をすることができない。
 したがって、本件審判の請求は、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により却下すべきものである。
 よって、本件審判請求については、却下することとし、審判費用については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項、民事訴訟法第61条を適用して結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【結審通知日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【審決日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【審判長】 【特許庁審判官】中村 謙三
【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小林 由美子

(210)【出願番号】商願2005-70203(T2005-70203)
(220)【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第4948138号(T4948138)
(151)【登録日】平成18年4月28日(2006.4.28)
(561)【商標の称呼】ジェイフレックス、フレックス
【最終処分】審決却下


取消2008-300670

【管理番号】第1189125号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300670(T2008-300670/J2)
【審判請求日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【確定日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y21)
【請求人】
【氏名又は名称】新保 斉
【住所又は居所】東京都千代田区西神田2―5―9 HIビル4階
【被請求人】
【氏名又は名称】松尾産業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市西区阿波座1丁目4番14号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4779791号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4779791号商標の指定商品中、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く)」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4779791号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【結審通知日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【審決日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願2003-93112(T2003-93112)
(220)【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
(111)【登録番号】商標登録第4779791号(T4779791)
(151)【登録日】平成16年6月18日(2004.6.18)
(561)【商標の称呼】フィオリ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】八木橋 正雄

取消2008-300640

【管理番号】第1189105号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300640(T2008-300640/J2)
【審判請求日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【確定日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y01)
【請求人】
【氏名又は名称】トラマコ ゲーエムベーハー
【住所又は居所】ドイツ国 25421 ピネベルク ジーメンスシュトラーセ 1-3
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 雅也
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】神吉 出
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 康成
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】種市 傑
【被請求人】
【氏名又は名称】吉田種苗株式会社
【住所又は居所】青森県上北郡おいらせ町一川目3丁目340番地
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4691111号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4691111号商標の指定商品中、第1類「界面活性剤」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4691111号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【結審通知日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【審決日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【審判長】 【特許庁審判官】中村 謙三
【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小林 由美子

(210)【出願番号】商願2002-90624(T2002-90624)
(220)【出願日】平成14年10月25日(2002.10.25)
(111)【登録番号】商標登録第4691111号(T4691111)
(151)【登録日】平成15年7月11日(2003.7.11)
(561)【商標の称呼】トラセール
【最終処分】成立
【前審関与審査官】荻野 瑞樹


取消2007-301701

【管理番号】第1189121号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301701(T2007-301701/J2)
【審判請求日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【確定日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【審決分類】
T131 .1  -Z  (010)
【請求人】
【氏名又は名称】繪内 寿郎
【住所又は居所】千葉県四街道市大日36―10
【被請求人】
【氏名又は名称】桐灰化学株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市淀川区新高1丁目10番5号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4125498号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4125498号商標の商標登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4125498号商標(以下「本件商標」という。)は、「はる」の文字を横書きにしてなり、平成5年12月2日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同10年3月20日に設定登録されたものである。
  
2 請求人の主張
 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。
(1)請求の理由
ア 取消事由
 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
イ 取消原因
 本件商標は、その指定商品について、下記のとおり使用されていない。
(ア)本件商標は、継続して3年以上日本国内において使用されていない。
(イ)商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても、本件商標が使用されていない。なお、甲第1号証から明らかなように本件商標について専用使用権者及び登録された通常使用権者は存在しない。
(ウ)本件商標は、その指定商品である「医療用機械器具」について使用されていない。
(エ)登録商標について使用されていない。
 本件商標は、甲第2号証から明らかなように「はる」の平仮名の2文字を一定の間隔を置いて横書きしてなるものであるが、使用されていない商標はこの表記と物理的に同一のものだけでなく、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の本件商標と社会通念上同一と認められる商標についても使用した事実が存しない。
(オ)本件商標をその指定商品に使用していないことについて正当な理由があるとは認められない。
 以上のとおり、本件商標は商標法第50条第1項に規定する取消しの要件を具備するから、その登録は取消されるべきである。
(2)弁駁
ア 被請求人は、本件商標を商品「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」に使用してきており、本件商標の登録は維持されるべきである旨を主張し、乙第号1証及び同第2号証を提出している。しかし、かかる被請求人の主張は失当であるから、以下のとおり反論する。
イ 被請求人のいう「本件商品はる(ジキホグス)」(以下「本件商品」という。)は、以下の理由から「医療用機械器具」とは認められない。
(ア)本件商品の「品名」について
 本件商品の「品名」は「使いすてカイロ」とのみ表示されている。
 「使いすてカイロ」は第11類に属する商品であるところ、本件商品に接する需要者、取引者は「品名」を見て、暖房目的の一般の使い捨てカイロと認識するのが自然である。
(イ)本件商品が、血流改善「肩ホットン」「腰ホットン」「ひざホットン」(以下「ホットンシリーズ」という。)などのカテゴリーに属するとの主張について
 「ホットンシリーズ」は、乙第1号証のカタログの第8頁で被請求人が下線を引いているように「医療機器」である。
 ここで「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるものをいい(薬事法第2条第4項)、許可を受けなければ業としてそれを製造販売できないものである(同法第12条)。
 即ち、「ホットンシリーズ」は、そのパッケージ表面に「血流改善」と大きく記載されていることから明らかなように、「血流改善」という治療目的を客観的に明確にした商品であるが故に医療機器に該当し、製造販売の許可を受けているのであり、診断、治療、予防等の医療を目的としていない乙第1号証のそれ以外の商品とは用途が明確に区別されているのである。
 よって、乙第1号証のカタログに接した需要者、取引者は、「ホットンシリーズ」については医療目的の商品と容易に理解し、それ以外の本件商品、「はる肩用」、「レディウォーマー」、「桐灰カイト/上からはるくつ下用」については通常の使い捨てカイロと認識するのが自然である。
 請求人は、本件審判請求前に調査会社に本件商標の使用について調査を依頼したが、調査会社からの質問に対して、被請求人の本社が、「医療用機械器具としては「血流改善ホットン」しかない」と回答していることからして、被請求人の社内においても同様に認識されているものと推察する(甲第3号証)。
 以上のことから、本件商品が「ホットンシリーズ」と同じカテゴリーに属するとの主張は失当である。
(ウ)「貼付用磁気治療器」に関する主張について
 乙第1号証及び同第2号証のどこを見ても、本件商品に関して、被請求人の主張する「貼付用磁気治療器」の表示は一切見当たらない。
 ちなみに、本件商品が「貼付用磁気治療器」に該当するのであれば、治療目的の医療機器として許可がなければ製造販売できないはずである。
 しかし、前述したように本件商品は、診断、治療、予防等の医療を目的としていないから、許可を必要とせず製造販売されているのであり、それ故に「貼付用磁気治療器」として位置付けられることはない。
 「血流改善」や「磁気治療」といった医療目的の商品であることを一切表示していないのであるから、たとえ本件商品の裏面の原材料名に「磁性粉末」が含まれ、それ対する警告文等が掲載されているからといって、需要者や取引者が本件商品を「貼付用磁気治療器」等の医療用機械器具と認識することはない。
(エ)「機能性カイロ」に関する主張について
 被請求人は、「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」のように、「機能性カイロ」が「貼付用磁気治療器」を意味するような主張をしているが、証拠上明示されていない。乙第2号証をみても、本件商品には「機能性カイロ」の表記はなく、乙第1号証第8頁の最上部に一箇所記載されているのみである。そしてこの「機能性カイロ」なるものがどのようなものであり、また、カタログに掲載された各種カイロのどれを指すかは不明である。
 この「機能性カイロ」の語を「Google」で検索すると僅かに9件ヒットするのみであり、いずれも被請求人の「ホットンシリーズ」を紹介するもののみである(甲第4号証)。その一例として、被請求人のウェブサイトを開くと、機能性カイロとして「首ホットン」のみが掲載されている(甲第4号証の1)
 このことから、「機能性カイロ」なる語が一般的に通用する用語でないことは明らかであり、また、需要者、取引者がこの表記に接しても何を意味するか理解できず、まして、そこから医療用機械器具を認識するのは不可能である。
 さらに、万一、「機能性カイロ」が「貼付用磁気治療器」を意味するものだったとしても、本件商品が「機能性カイロ」であることを示す証拠は一切ない。
(オ)本件商品が、ピップフジモト株式会社で商品化している「ピップエレキバン」と類似する商品であるとの主張について
 「ピップエレキバン」は、現行薬事法の「医療機器」に該当する「医療用具」として許可されている(甲第5号証)。
 即ち「ピップエレキバン」は、甲第5号証において、そのパッケージ表面上部に「筋肉のコリをほぐす」又は「血行を良くし、コリをほぐす」と記載され、また、下部に「磁気治療 装着部位のこり、血行」と記載されていることから明らかなように、「磁気治療」という治療目的を客観的に明確にした商品であるが故に医療用具に該当し、製造販売の許可を受けているのであり、診断、治療、予防等の医療を目的とせず、製品名が「使いすてカイロ」である本件商品とはその用途が明確に区別されているものである。
 したがって、本件商品が「ピップエレキバン」と類似する商品であるとする被請求人の主張は失当である。
ウ 以上のとおり、本件商品には、医療用機械器具であると客観的に認識される表示が一切ない。
  
3 被請求人の答弁
 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)被請求人は、以下に示す証拠から明らかなように、本件商標を商品「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」について使用してきており、本件商標の登録は維持されるべきである。
(2)被請求人は、本件商標が本件商品について本件審判請求の登録日である平成20年1月30日前3年以内の期間内の使用であることを裏付ける証拠方法として、
 ア 乙第1号証:2006年・秋 総合カタログ「機能性カイロ はる(ジキホグス)抜粋写
 イ 乙第2号証:機能性カイロ はる(ジキホグス)の表裏パッケージデザイン
を提出する。
 本件商品はる(ジキホグス)は、平成14年9月より販売され、現在においても継続的に販売している。総販売数量は、約60万個、総売上げ金額は、約1.5億円である。
 乙第1号証及び同第2号証から明らかなように、本件商品は、通常の使い捨てカイロではなく、含有成分として「磁性粉末」を混入して、磁気効果により体の芯まで暖める効果を有するものである。通常の使い捨てカイロの成分は「鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、食塩」だけであるので、これらの商品とは全く相違するものであり、乙第1号証におけるカタログ内においても、血流改善「肩ホットン」「腰ホットン」「ひざホットン」などのカテゴリーに属しており、「貼付用磁気治療器」としての位置付けをなしているものである。
 乙第2号証を検証するに、裏面パッケージにおいて原材料名「鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、磁性粉末、食塩」となっており、「磁性粉末」を混入していることがわかる。また、その下欄には、「心臓ペースメーカー等の体内植込型電子機器を装着している方は、使用しないでください。誤作動を招く恐れがあります。」という警告文を掲載しており、更に、その右側のその他の注意の欄には、「時計、磁気カード、フロッピーディスクなど、磁気の影響を受けるものに近づけないでください。データを破壊する原因になります。」という記載もされていることから、通常の使い捨てカイロではなく、機能性カイロ、即ち貼付用磁気治療器を示唆するものである。
 他社の商品で言うならば、ピップフジモト株式会社で商品化している「ピップエレキバン」と類似する商品と考えてもらえれば幸いである。
 よって、「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」は、本件審判請求に係る商品とは、その用途、取引経路及び需要者を共通にする同一又は類似の商品である。
 なお、今回提出した証拠は、時間の都合上必要最小限の証拠のみ開示したが、万一これらの証拠において未だ不十分であれば、追加の証拠の用意があることを付言する。
(3)以上により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国において、本件審判請求に係る指定商品に含まれると認められる商品「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」について使用されている。
   
4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 被請求人に係ると認められる「2006・秋 総合カタログ」(乙第1号証)には、その8頁の最上段に、「機能性カイロ」「足元用カイロ」の表題があり、同頁の製品名欄の6段目に「はるジキホグス(腰用)」「5ヶ入袋」との記載があり、その製品特徴欄には「大判サイズで腰にピッタリ。」「●持続時間:12時間」「●最高温度:58℃」「●平均温度:47℃」の記載がある。そして、そのパッケージ欄には包装された製品の現物写真が掲載されており、その包装をみると、白い輪郭線で籠字風に「はる」の文字を表しているのが確認できる。
イ 上記カタログの同じ頁には、製品名欄に「血流改善 肩ホットン(医療機器)」、「血流改善 腰ホットン(医療機器)」、「血流改善 ひざホットン(医療機器)」と記載したものが表示されており、それらの製品特徴欄には、それぞれ、「3つに折れて肩を包み込み温めて血流改善し、肩などのコリをほぐします。」、「温熱による血流改善効果で、腰などの痛みをやわらげます。」、「ひざを包み込むように温めて血流改善し、痛みをやわらげます。」の各記載がある。また、同欄のそれぞれに、届出番号が表示されている。
ウ 商品パッケージ(乙第2号証)には、その表面に、中央部に白い輪郭線で籠字風に「はる」の文字を表し、その上に、「桐灰カイロ」、「大判サイズで」「腰にピッタリ!」を表示し、前記「はる」の文字の下に、「ジキホグス」「腰用」の文字が表示されている。そして、そのさらに下に、「特許出願中 衣類にはるカイロ」とし、「●肌に直接貼らないでください。」といった記載がされている。
エ また、同パッケージの裏面には、「桐灰カイロ」「はる」「ジキホグス」「腰用」の文字が表示されており、その下に、「●横幅が広い、大判サイズなので腰にぴったりフィットします。」「●47℃~48℃のじんわり気持ち良い温度が腰にぴったりです。」「●特殊粉末入りなので、からだの芯まで暖かさが広がります。」と記載されている。
 そして、下部の四角囲い内には、「品名/使いすてカイロ 原材料名/鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、磁性粉末、食塩」の記載がある。
 さらに、「警告:心臓ペースメーカー等の体内植込型電子機器を装着している方は、使用しないでください。誤作動を招く恐れがあります。」と記載され、「その他の注意」として「●時計、磁気カード、フロッピーディスクなど、磁気の影響を受けるものに近づけないでください。データを破壊する原因になります。」等が記載されている。
(2)上記(1)ア、ウ及びエの包装に表示された「はる」は、本件商標とその構成文字を同じにするものであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものであるから、被請求人によって、本件商標が使用されたとみることができる。そして、上記カタログの年次からみて、その使用時期は、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件期間内」という。)と認め得るものである。
 しかしながら、本件商標の使用に係る商品である本件商品は、包装に品名を「使いすてカイロ」と表記して流通する商品であって、上記カタログの製品特徴の記載や包装の記載からみても、被請求人の取扱いに係る前記(1)イの「肩ホットン」等の「医療機器」とは別種の商品とみるのが相当である。
 そして、これが、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具の一に該当する商品であることを窺わせる証左(例えば、効能表記)は見いだせない。
 してみると、本件商品は、保温効果を得るのに用いられる使い捨てカイロの一とみるのが妥当であって、磁気を利用して身体の治療若しくは予防に使用される医療具の一である磁気治療器とは認められられないものである。
 したがって、上記(1)の認定事実によっては、本件商標が、指定商品「医療器械器具」の一について使用されたと認めることはできないものである。
(3)被請求人は、本件商品について、乙第2号証のパッケージ裏面における材料名及び警告文や注意を挙げ、通常の使い捨てカイロではなく、機能性カイロ、即ち貼付用磁気治療器である旨主張する。
 しかし、被請求人のいう「機能性カイロ」が如何なるものを指すのか確定し得ず、また、その「機能性カイロ」と「貼付用磁気治療器」との関係についても、取引通念上一般的に明らかなものとはいえない。そして、含有成分に「磁性粉末」が混入されていることが、仮に通常の使い捨てカイロの含有成分とは異なるとしても、このことをもって直ちに、品名を「使い捨てカイロ」とする本件商品が医療用機械器具の一である「磁気治療器」の概念を充足するとは言い難いものである。また、前記の警告文等は、製品の使用者に向けて製品の製造者が注意を喚起するために各種商品でも一般に行われている類のものといえるものである。
 したがって、被請求人の上記主張をもって、本件商品が「磁気治療器」に属すべき商品であるとすることはできない。
(4)してみれば、被請求人提出の証拠によっては、取消請求に係る指定商品「医療器械器具」について、本件商標が使用されたと認めることはできないものである。また、不使用についての正当理由に係る主張及び立証はない。
(5)以上のとおり、本件商標は、商標登録の取消請求に係る指定商品について、本件期間内に使用をされていたとは認められないから、商標法第50条に基づき、その登録の取消しを免れないものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【結審通知日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【審決日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【審判長】 【特許庁審判官】中村 謙三
【特許庁審判官】末武 久佳
【特許庁審判官】前山 るり子

(210)【出願番号】商願平5-121455
(220)【出願日】平成5年12月2日(1993.12.2)
(111)【登録番号】商標登録第4125498号(T4125498)
(151)【登録日】平成10年3月20日(1998.3.20)
(561)【商標の称呼】ハル
【最終処分】成立

取消2007-301103

【管理番号】第1189073号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301103(T2007-301103/J2)
【審判請求日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【確定日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【審決分類】
T132 .1  -Y  (035)
【請求人】
【氏名又は名称】テクニカル、エイド、クリスタル、インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国マサチューセッツ州、デッドハム、ワシントン ストリート、888
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 雅志
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 信
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 和浩
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】宇梶 暁貴
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
【被請求人】
【氏名又は名称】TAC株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区三崎町3丁目2番18号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】名越 秀夫
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第3326841号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求は、成り立たない。
 審判費用は、請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第3326841号商標(以下「本件商標」という。)は、赤色で着色された「TAC」の文字を横書きし、その下部に青色のアンダーラインを付した構成からなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年7月9日に登録出願され、第35類「経営管理者のあっせん,筆耕,タイプライターの操作,ワードプロセッサーの操作,文書又は磁気テープのファイリング,来訪者の受付及び案内,秘書,経営の診断及び指導」を指定役務とし、特例商標として平成9年6月27日に設定登録され、その後、平成19年2月13日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
  
2 請求人の主張の要点
 請求人は、本件商標の指定役務中「経営管理者のあっせん,経営の診断及び指導」の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べている。
 本件商標は、請求人の調査した限りにおいては、少なくとも、本件審判の請求前3年以内に日本国内において、その指定役務中「経営管理者のあっせん,経営の診断及び指導」のいずれにも使用されていないことが判明した。
 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定役務中「経営管理者のあっせん,経営の診断及び指導」の登録を取消すべきものである。
  
3 被請求人の答弁の要点
 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第16号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)被請求人は、1980年の創業以来、公認会計士試験の受験教育を中心に発展し、その後、広く個人教育、法人研修事業、出版、その他の事業を行うに至っている。被請求人の現在売上高は、連結ベースで年200億円に達しており、東証一部に上場していて業界はもちろん世間一般にも著名な存在となっている(乙第1及び第2号証)。
 この被請求人の100%子会社に株式会社TACプロフェッションバンクがあり、この年間売上高は約6億円に達し、人材紹介会社としては公認会計士に特化した存在として、世間に広く知られている(乙第2号証)。
 このように「TAC」というブランド名はTAC株式会社の社名及びTACグループの名称として最も重要な名称であり、かつ著名な名称として保護されるべきものである。
(2)被請求人は、本件商標の商標権者であり、本件商標を本件審判の請求の予告登録日である平成19年9月13日(平成19年9月11日は誤記と認める。)より3年以前までの間、以下のように「経営管理者のあっせん、経営の診断及び指導」のサービスを表す商標として使用してきた。
 よって、本件審判の請求は成り立たない。
(3)「経営管理者のあっせん」について
(ア)被請求人は、被請求人の100%子会社である株式会社TACプロフェッションバンク(以下「通常使用権者」という )に対し、本件商標の使用を許諾している(乙第3号証)。通常使用権者は、有料職業紹介事業者であり(乙第4号証)、その業務は、「会計士・税理士・米国公認会計士・不動産鑑定士などの有資格者」などを「会計・税務・財務・総務・人事」などの業務にあっせんするものである(乙第2号証)。これらの者は、資格者として当然それぞれの分野のトップクラスに任命される事を予定しているので、通常使用権者は、本件指定役務である「経営管理者のあっせん」の業務を行っていることになる。
(イ)そして、通常使用権者は、本件商標を下記のような態様でこの「経営管理者のあっせん」の業務に使用している。
・「会社案内」(2007年2月7日発行:乙第2号証の1及び2)
 (使用目的)会社案内として人材紹介業務に常時使用
・広告、「会計・監査ジャーナル」(平成19年5月号ないし9月号:乙第5号証の1ないし5)
 (使用目的)公認会計士のあっせん
・広告、「日本経済新聞」(2007年3月25日号及び同年4月1日号:乙第6号証の1ないし3)                  
 (使用目的)公認会計士のあっせん
・広告、「JICPAジャーナル」(2006年1月号:乙第7号証)
 (使用目的)公認会計士のあっせん
・「業務案内」(2007年8月10日発行:乙第8号証の1及び2)
 (使用目的)業務案内として人材紹介業務に常時使用
・「就職情報」(関東版及び関西版)(2007年7月10日発行:乙第9号証の1及び2並びに乙第10号証の1及び2)
 (使用目的)適職紹介
(ウ)なお、上記商標の表示は、「TAC」であり、本件商標とは下線がない点で異なるが、なお、「社会通念上同一と認められる商標」に入るものである。また、他の文字や図形が存在したとしても同様である。
(4)「経営の診断及び指導」について
(ア)被請求人は、自ら「経営の診断及び指導」を行っている。即ち、「経営」とは、「継続的・計画的に事業を遂行すること。」とされている(乙第11号証)。
 この企業の「事業」には、企画・製造・営業などはもちろん、会計・法務・人事などのいわゆる管理部門も含まれる。そしてこの人事部門には、人事・労務・教育など人の能力の評価、向上などの業務がある。このうち社員教育を直接行うのは第41類「技術・スポーツ又は知識の教授」(41A01)に当たるが、どのような社内教育を行うかの調査・企画は、教育ではなく、社内教育政策であり、経営の一部に他ならない。このことは、この業務を掌管するのが教育家ではなく人事部である事から明らかである。したがって、このような経営にとってどのような社内教育政策を行うのが有効であるかを診断・指導する業務は「経営の診断及び指導」業務に他ならない。
 被請求人は、このような社内教育政策の立案について、教育そのものとは別に独立して有償でコンサルティングを行っている(乙第12及び第14号証)ので、本件商標の指定役務である「経営の診断及び指導」の業務を行っているといえる。
(イ)そして、被請求人は、本件商標を下記のような態様で、この「経営の診断及び指導」の業務に使用している。
・「会社案内」(2007年6月13日発行:乙第1号証の1及び2)
 (使用目的)会社案内として業務全般に常時使用(なお、「経営の診断及び指導」の部分は、P21「カスタムメイドの資格取得・実務研修プログラム」及びP22「ビジネススクール」の「各種の研修・セミナー・コンサルティング」として言及されている。)
・「御見積書」(平成18年8月28日:乙第15号証)
 (使用目的)クライアントへの見積書
・「封筒」(2007年11月15日、No.805-0980-1017-18:乙第16号証の1及び2)
 (使用目的)経営の診断及び指導を含む業務全般に常時使用している
(ウ)表示された商標の態様については、上記(3)(ウ)のとおりである。
  
4 当審の判断
 被請求人の提出に係る乙第1ないし第16号証(枝番を含む。)によれば、本件商標は、請求に係る指定役務中の「経営管理者のあっせん」については通常使用権者によって、同じく「経営の診断及び指導」については被請求人自らによって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたものと認められる。
 一方、請求人は上記3の答弁に対し、何ら弁駁していない。
 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定役務についての登録を取り消すべき限りでない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【結審通知日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【審決日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願平4-136668
(220)【出願日】平成4年7月9日(1992.7.9)
(260)【公告番号】商公平9-2001
(442)【公告日】平成9年1月10日(1997.1.10)
(111)【登録番号】商標登録第3326841号(T3326841)
(151)【登録日】平成9年6月27日(1997.6.27)
(561)【商標の称呼】タック、テイエイシイ
【最終処分】不成立

不服2008-650064

【管理番号】第1189208号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-650064(T2008-650064/J1)
【審判請求日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【確定日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【審決分類】
T18  .26 -WY (Y1825)
【請求人】
【氏名又は名称】SPORTSWEAR COMPANY - S.P.A. (IN SIGLA SPW S.P.A.)
【住所又は居所】Galleria Cavour, 4 I-40124 BOLOGNA(IT)
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 千鶴子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 光男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 良弘
【事件の表示】
 国際登録第899955号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
【結論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理由】
1 本願商標
 本願商標は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、第9類、第18類及び第25類に属する商品を指定商品として、2006年3月17日にItalyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年6月1日に国際登録されたものである。
 そして、指定商品については、原審において、平成19年11月6日付け手続補正書が提出され、さらに、当審において、2008年6月24日に国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、最終的に、第18類「Rawhides,raw skins,tanned leather,fur,and other leather;folding briefcases,shoulder bags,Gladstone bags,briefcases,suitcases,carry-on bags,trunks,handbags,schoolchildren’s backpacks,backpacks,Boston bags,beach bags,clutch bags,all purpose sport bags,tote bags,travelling bags,suitcases and other bags and the like;card cases(notecases),shopping bags,purses,key cases,wallets not of precious metal;business card cases(notecases),and other pouches and the like;vanity cases(not fitted);western style umbrellas,parasols,and other umbrellas and their parts;walking sticks.」及び第25類「Evening dresses,children’s wear,jackets,jogging pants,sweat pants,suits,skirts,ski jackets,ski pants,trousers,coats,formalwear,overcoats,topcoats,mantles,raincoats,cardigans,sweaters,vests and waistcoats,open-necked shirts,cuffs,collars(for clothing),sport shirts,blouses,polo shirts,shirts for suits,night gowns,negligees,pajamas,bath robes,camisoles,corsets,combinations(clothing),undershirts,chemises,drawers and underpants,slips,panties,shorts and briefs,brassieres,petticoats,swimwear,swimming caps,socks and stockings,gaiters,fur stoles,shawls,scarves,gloves and mittens,neckties,neckerchieves,bandanas,mufflers,ear muffs(clothing),nightcaps,headgear for clothing,and other clothing;sock suspenders,suspenders,waistbands,belts for clothing;rain boots,lace boots,training shoes,overshoes,wooden shoes,sandals,shoes,boots,half-boots,women’s shoes,winter boots,infants’ shoes and boots,and other footwear;anoraks,ski suits for competition,headbands,wind-jackets,uniforms and stockings,wristbands,and other clothes for sports;golf shoes,gymnastic shoes,tennis shoes,footwear for track and field athletics,and other boots for sports.」と限定され、第9類に属する指定商品については、全て削除されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、別掲2に示すとおりの構成よりなる登録第2657282号商標(以下「引用商標1」という。)、別掲3に示すとおりの構成よりなる登録第3329380号商標(以下「引用商標2」という。)及び別掲4のとおりの構成よりなる国際登録第861577号商標(以下「引用商標3」という。)と同一又は類似する商標であって、同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
 本願商標は、その指定商品について、前記1のとおり限定された結果、引用商標1及び3の指定商品と同一又は類似の商品はすべて削除されたと認められる。
 その結果、本願商標の指定商品は、引用商標1及び3の指定商品とは抵触しないものとなった。
 また、引用商標2の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、平成19年7月4日に商標権の存続期間が満了したことによって消滅し、その抹消の登録が平成20年3月26日になされているものである。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【審判長】 【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】井出 英一郎
【特許庁審判官】豊田 純一

【別記】






不服2008-650046

【管理番号】第1189207号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-650046(T2008-650046/J1)
【審判請求日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【確定日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【審決分類】
T18  .262-WY (Y11)
【請求人】
【氏名又は名称】Tap Machine Inc.
【住所又は居所】20 Cedar Street New Rochelle, NY 108012217(US)
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
【事件の表示】
 国際登録第894844号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
【結論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理由】
1 本願商標
 本願商標は、「TAP MACHINE」の欧文字を書してなり、第11類「Refrigerating dispenser units.」を指定商品として、2006年(平成18年)6月16日に国際登録されたものである。
 そして、指定商品については、原審における平成19年10月2日付け手続補正書により、第11類「Refrigerating beverage dispenser units for industrial purpose.」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『TAPP』の欧文字よりなる登録第2406611号商標(以下、「引用商標」という。)と『タップ』の称呼において類似する商標であって、同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
 本願商標は、前記1のとおり、「TAP MACHINE」の欧文字よりなるところ、その構成文字は、同書・同大で外観上まとまりよく一体的に表現されており、これより生ずると認められる「タップマシン」の称呼も格別冗長でもなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
 そして、構成中の「MACHINE」の文字部分が、「機械」(小学館ランダムハウス英和大辞典)等を意味する語としてよく知られた英語であるとしても、本願商標の前記構成態様においては、本願の指定商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るともいい難く、本願商標の構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
 そうとすれば、本願商標は、「TAP MACHINE」の文字全体に相応した「タップマシン」の称呼のみを生ずるものであって、単に「タップ」の称呼は生じないとするのが相当である。
 してみれば、本願商標から「タップ」の称呼をも生ずるものとし、その上で、本願商標と引用商標が称呼上類似するものとして、商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】岩崎 良子
【特許庁審判官】豊田 純一
(210)【国際登録番号】0894844
(220)【国際登録日】平成18年6月16日(2006.6.16)
(561)【商標の称呼】タップマシーン、タップマシン、タップ、テイエイピイ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】小林 正和

不服2008-650044

【管理番号】第1189206号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-650044(T2008-650044/J1)
【審判請求日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【確定日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【審決分類】
T18  .91 -WY (Y07)
【請求人】
【氏名又は名称】The Gates Corporation
【住所又は居所】1551 Wewatta Street Denver, Colorado 80202(US)
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 和子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】井滝 裕敬
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤倉 大作
【事件の表示】
 国際登録第904601号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
【結論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理由】
1 本願商標
 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第7類「Machine tool and implement driven by a motor,namely,a motor driven air compressor,hose and nozzle assembly for discharging a foam pellet through a conduit or hose for cleaning the conduit or hose.」を指定商品として、2006年(平成18年)10月20日を国際登録の日とするものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「指定商品は、商標とともに権利範囲を定めるものであるから、その内容及び範囲は明確でなければならないところ、本願に係る指定商品中「hose and nozzle assembly for discharging a foam pellet through a conduit or hose for cleaning the conduit or hose.」の表示は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。したがって、本願は、商標法第6条第1項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
 本願は、その指定商品について、当審において審判請求書と同時に提出された請求人提出の資料によると、その指定商品の内容及び範囲が明確になったものと認められる。よって、本願の指定商品は、商標法第6条第1項の規定の要件を具備するものというべきである。
 したがって、本願が商標法第6条第1項に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】岩崎 良子
【特許庁審判官】旦 克昌

【別記】


(210)【国際登録番号】0904601
(220)【国際登録日】平成18年10月20日(2006.10.20)
(561)【商標の称呼】メガクリーン、メガ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】松本 はるみ

不服2008-20397

【管理番号】第1189085号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-20397(T2008-20397/J1)
【審判請求日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【確定日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【審決分類】
T18  .262-WY (Y09)
【請求人】
【氏名又は名称】エマーソン エレクトリック カンパニー
【住所又は居所】アメリカ合衆国ミズーリ州 63136 セント ルイス ウエスト フロリサント アベニュー 8000
【代理人】
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
【事件の表示】
 商願2005- 71230拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「アイラム」の片仮名文字を標準文字で書してなり、第7類及び第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年8月1日に登録出願されたものであるが、その後、その指定商品については、原審における同18年5月15日付け及び当審における同20年8月8日付けの手続補正書により、最終的に、第9類「レーザ光発生装置(医療用のものを除く。)」と補正されたものである。
 
2 引用商標
 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4373305号商標(以下「引用商標」という。)は、欧文字と「:」(コロン)により「I:LAN」と横書きしてなり、第9類「放送用機械器具,その他の電気通信機械器具,電気磁気測定器,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として平成12年4月7日に設定登録されたものである。
 
3 当審の判断
 本願商標は、前記1のとおり、「アイラム」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「アイラム」の称呼を生ずるものであり、また、これからは、特定の観念を生じさせないものである。
 一方、引用商標は、前記2のとおり、「I:LAN」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「アイラン」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当であり、また、これからは、特定の観念を生じさせないものである。
 そこで、本願商標から生ずる「アイラム」の称呼と、引用商標から生ずる「アイラン」の称呼とを比較すると、両称呼は、共に4音という短い称呼からなり、語頭から続く「アイラ」の3音を共通にし、語尾において「ム」と「ン」の音に差異を有するものである。そして、該差異音である「ム」と「ン」は、共に弱く発音される有声の通鼻音であって、比較的近似した音であるばかりでなく、明確には聴取し難い語尾に位置していることもあって、称呼上近似する面があることは否定できない。しかしながら、「アイラム」及び「アイラン」は、共に4音という短い称呼からなり、しかも、前者の「アイラム」は、一気かつ平坦に発音されるのに対し、後者の「アイラン」は、「I」の文字と「LAN」の文字との間に「:」(コロン)を介するという構成からして、その称呼は、前半の「アイ」と後半の「ラン」との間に短い段落をもって「アイ・ラン」と発音されるものとみるのが自然であるから、前記称呼上の近似する面を考慮したとしても、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合には、全体の語調、語感が異なり、互いに聞き誤るおそれはないというのが相当である。
 また、両商標は、いずれも特定の意味を有しない造語よりなるものであるから、観念においては比較することはできず、さらに、外観においても区別し得るものである。
 そうとすると、本願商標と引用商標とは、外観、観念及び称呼のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
 したがって、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【審判長】 【特許庁審判官】小林 由美子
【特許庁審判官】田村 正明
【特許庁審判官】榎本 政実

(210)【出願番号】商願2005-71230(T2005-71230)
(220)【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
(541)【標準文字】
(561)【商標の称呼】アイラム
【最終処分】成立
【前審関与審査官】高橋 幸志、熊谷 道夫


異議2008-900157

【管理番号】第1189232号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標決定公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】異議の決定
【異議申立番号】異議2008-900157(T2008-900157/J7)
【異議申立日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【確定日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【審決分類】
T1651.261-Y  (42)
T1651.262-Y  (42)
【異議申立件数】1
(732)【権利者】
【氏名又は名称】石濱 哲信
【住所又は居所】茨城県取手市新町5-7-11
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正次
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
【異議申立人】
【氏名又は名称】ユビコム インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国カリフォルニア州94085―3520,サニーベイル,ノース・パストリア・アベニュー・510
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
【事件の表示】
 登録第5102883号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
【結 論】
 登録第5102883号商標の登録を維持する。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第5102883号商標(以下「本件商標」という。)は、「UBCOM」の欧文字を横書きしてなり、平成18年11月17日に登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同20年1月11日に設定登録されたものである。
  
2 引用商標
 引用登録第4561608号商標(以下「引用商標」という。)は、「UBICOM」の欧文字を標準文字で表してなり、2000年(平成12年)12月22日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成13年2月14日に登録出願、第9類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同14年4月19日に設定登録されたものである。
  
3 登録異議の申立ての理由
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下のように登録異議の申立ての理由を要旨述べて、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきであると申立て、証拠方法として甲第1ないし第4号証を提出した。
(1)称呼上の類似性について
 本件商標からは、「ユービーコム」の称呼を生ずる他、「ユビコム」の称呼をも生ずると考えるべきである。
 実際の取引においても、「UBCOM」から「ユビコム」という称呼が生じる(甲第2及び第3号証)。
 これに対し、引用商標からは、「ユビコム」の称呼を生ずること明らかであるから、本件商標と引用商標とは称呼上類似するものである。
(2)外観上の類似性について
 本件商標と引用商標は、欧文字「B」と「C」の間に「I」を含むか否かにおいてのみ相違し、その文字は一本の線が上下に伸びるだけであって横幅が極めて狭い文字であるため、両商標に接する需要者は、「I」の文字の有無について認識できずに見落とすことも多いものと考える。
 また、引用商標「UBICOM」において、「I」の文字は先行する「B」の文字の母音を構成するため、際立った称呼を発生させる文字として機能せず、同商標に接する需要者にとって極めて印象の薄い文字である。
 故に、商標全体として観察した場合には、「UBCOM」と「UBICOM」とは外観上近似する類似の商標として需要者に認識される。
(3)指定役務等の同一又は類似性について
 本件商標の指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機用プログラムの提供」は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものである。
 
4 当審の判断
(1)称呼上の類似性について
 本件商標は、「UBCOM」の欧文字よりなるところ、その綴りからは特定の意味合いが生じるとの点を見出せないから、全体として不可分一体の造語よりなるものであって、構成文字全体に相応して生じるものとみられる「ユービーコム」の称呼をもって、常に取引に資されるものとみるのが自然である。
 他方、引用商標は、「UBICOM」の欧文字よりなるものであるから、該構成文字に相応して「ウビコム」又は「ユビコム」の称呼を生じるものと認められる。
 そこで、本件商標より生じる「ユービーコム」の称呼と、引用商標より生じる「ウビコム」又は「ユビコム」の称呼を比較するに、両者は、その構成音数が6音(2つの長音を含む)と4音という比較的短い音構成からなるうえに、称呼における識別上重要な要素を占める前半部において2カ所の長音の有無という音の配列等において明確な差違を有し、それぞれを一連に称呼しても彼此聞き誤り互いに相紛れるおそれはないものといわなければならない。
 この点を申立人は、「UBCOM」の欧文字が造語である限りは様々な読み方が可能であり、「ユビコム」という称呼も生じるとし、また、商標権者に関連するというところのウェブページ(甲第2及び第3号証)を提出し、実際の取引においても、「UBCOM」から「ユビコム」という称呼が生じる旨述べている。
 確かに、該ウェブページには「UBCOM(ユビコム)」などの記載を認めることはできる。
 しかし、「(ユビコム)」の付記的表示を無くして「UBCOM」の欧文字から「ユビコム」という称呼が生じるとは認め難く、かつ、本件商標の指定役務についての需要者の間において、該ウェブページのみをもって、その情報自体が浸透してその認識の下により商取引されるものということは困難であるから、これらを前提に本件商標と引用商標との称呼類似を述べる申立人の主張は妥当でなく、採用し得ない。
(2)外観及び観念上の類似性について
 また、本件商標と引用商標は、前者が欧文字「UBCOM」とする5文字構成であるのに対し、後者が欧文字「UBICOM」とする6文字構成であって、両者共に、それぞれを記憶し印象することに難があるという程の文字数や綴り構成ではなく、これを離隔的に考察した場合でも、両者の差異である「I」の文字の有無は容易に認識できるものであって、外観においては判然と区別し得る別異の商標であるということができる。
 この点を申立人は、「I」の文字が一本の線で上下に伸びるだけであって、横幅が極めて狭い文字であるため、両商標に接する需要者は、「I」の文字の有無について認識できずに見落とすことも多い旨述べている。
 確かに、「I」の字形にあって、申立人がいうように横幅が狭い単純な字形との点は否定できない。
 しかし、文字を羅列した場合に横幅が狭いことによって左右の文字間に多くのスペースが設けられ、むしろ、他の文字に比して際立つということもでき、当該綴り構成において「I」の文字の存在が無視されるような実情があると認めることはできない。その他、述べる申立人の主張は、単に自己事情を述べるに止まるものであって妥当でなく、採用の限りでない。
 さらに、観念上においては、本件商標と引用商標ともにその欧文字綴りからは特定の意味合いが生じ得ない造語であって比較すべくもないものである。
(3)まとめ
 以上のとおり、本件商標と引用商標は、その指定役務の類否について判断するまでもなく、外観、称呼及び観念のいずれの点からしても非類似の商標といえるものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づいて、その登録を維持すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。
【異議決定日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【審判長】 【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小林 由美子
【特許庁審判官】久我 敬史

(210)【出願番号】商願2006-107254(T2006-107254)
(220)【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
(111)【登録番号】商標登録第5102883号(T5102883)
(151)【登録日】平成20年1月11日(2008.1.11)
(561)【商標の称呼】ユウビイコム
【最終処分】維持
【前審関与審査官】滝口 裕子、堀内 真一


2009年1月30日金曜日

無効2007-89015

【管理番号】第1187611号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】無効の審決
【審判番号】無効2007-890151(T2007-890151/J3)
【審判請求日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【確定日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【審決分類】
T111 .22 -Z  (025)
【請求人】
【氏名又は名称】大山 喜久子
【住所又は居所】東京都豊島区西池袋3丁目3番9号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】首藤 俊一
【被請求人】
【氏名又は名称】文 章圭
【住所又は居所】東京都渋谷区東2―16―9 国際空手道連盟極真会館内
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第3371034号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第3371034号の登録を無効とする。
 審判費用は被請求人の負担とする。
【理 由】
第1 本件商標
 本件登録第3371034号商標(以下「本件商標」という。)は、「極真会館」の文字を横書きしてなり、平成6年5月18日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同11年1月8日に設定登録されたものである。
 
第2 請求人の主張
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証を提出した(なお、弁駁書において、甲第14号証として提出の「知財高裁平成17年(行ケ)第10030号判決の写」は「知財高裁平成17年(行ケ)第10031号判決の写」と、また、甲第15号証として提出の「最高裁 平成19年(行ツ)第89号、平成19年(行ヒ)第85号」は「最高裁 平成19年(行ツ)第90号、平成19年(行ヒ)第86号」と訂正し、その証拠方法を提出した。)。
1 理由の要旨
 本件商標「極真会館」は、極真空手・極真会の創始者大山倍達が周知著名にした商標「極真会館」と同一の商標であるにもかかわらず、極真会の一門弟である文章圭(以下、本審決においては、被請求人と記載するほか、必要に応じて松井章圭とも記載する。)が何の法的根拠もなく自己名義にて信義則に反して登録査定を受けたものであるから、この商標登録は、「公正な取引秩序を害し、公序良俗に反し」商標法第4条第1項第7号に該当し、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきである、
(1)商標「極真会館」の著名性
 本件商標が、空手及び格闘技に興味を持つものの間では、遅くとも平成6(1994)年4月の時点で広く知られた周知著名商標であったことは、甲第3号証として提出の、無効2004-35030の審決謄本の「5 当審の判断(15頁の下線部分)」において、特許庁が認定している。
(2)本件商標登録の違法性
(ア)本件商標は、上記のとおり、商品区分第25類中の「被服…運動用特殊被服…等」を指定商品として、松井章圭こと文章圭の名義で出願され、商標登録を受けたものである。
(イ)他方、本件商標と同一の商標「極真会館」が、商品区分第41類の「空手の教授を含む技芸・スポーツ又は知識の教授…等」を指定役務として、松井章圭こと文章圭の名義で出願され、登録第4027346号として商標登録されていた。
(ウ)しかしながら、この商標登録第4027346号に対して、請求人が、極真空手の創始者である大山倍達(請求人大山喜久子の父)の急逝に乗じて、単に一門弟である文章圭が何の法的根拠もなく自己名義にて登録を受けたものであるから、商標法第4条第1項第7号の「公正な取引秩序を害し、公序良俗に反する」に該当し、商標法第46条第1項により無効とすべきである、と主張して、商標登録無効審判を請求したところ、登録第4027346号の登録を無効とする旨の審決がされた。
(エ)審決は、「5 当審の判断(16頁下線部分)」において、「被請求人(文章圭)」による極真関連標章についての登録の有効性は認め難いがばかりでなく、被請求人は、極真関連標章を出願する際には、既に、極真会館分裂の可能性をも予見して、将来生ずるであろう各派の対立関係を自己に有利に解決する意図を持って、本件商標を初めとする極真関連標章の登録出願をしたものと推認せざるを得ない。してみれば、このような事実関係の下においてなされた本件商標の登録は公正な取引秩序を害し、公序良俗に反するものといわねばならない。」旨判断された(甲第3号証の「5 当審の判断」(2))。
(オ)上記審決において、「当審の判断」の根拠とされた証拠方法を、甲第4号証ないし甲第13号証として提出する。
(カ)被請求人(商標権者 文章圭)は、無効2004-35030の審決に対して、審決取消の訴を知財高裁に提起したが、訴え(平成17年(行ケ)第10031号)は棄却された(甲第14号証)。
(キ)さらに、被請求人は、最高裁判所に上告したが、平成19年6月28日付にて、上告(平成19年(行ッ)第90号、同年(行ヒ)第86号)は棄却され、無効審決が確定した(甲第15号証)。
(ク)上記知財高裁の判決は、「第6 当裁判所の判断(最終頁)(8)以上によれば、本件商標の登録は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないというべきであるから、商標法4条1項7号に違反してされたものであるとして、同法46条1項の規定により、その登録を無効とすべきであるとした審決の結論に誤りはない」旨のものであった(甲第14号証)。
(ケ)上記無効審判に係る登録商標「極真会館」(第41類)」に対する特許庁の無効審決や知財高裁の判決や最高裁の上告棄却の決定等(甲各号証)によれば、何れも、
(a)「極真会館」なる商標が、周知著名商標であること、即ち、極真会館・極真空手の創始者である大山倍達が死亡した平成6年4月の時点では、少なくとも空手及び格闘技に興味を持つものの間で広く認識されるに到っていたことが認定されている。
(b)「空手及び格闘技に興味を持つものの間で広く認識」されている、即ち、周知著名商標であるということは、商標「極真会館」が、商品区分第41類の役務である「空手の教授を含む技芸・スポーツ又は知識の教授」において、周知著名商標である、ということであるから、上記役務と密接不可分の関係に在る商品「空手道着(空手用衣服)」においても周知著名である。
 したがって、商品区分第25類において、空手道着を含む「運動用特殊衣服」を指定商品とする本件商標「極真会館」は上記周知著名商標(と同一)である。
(コ)本件商標の商標権者(出願人)である「文章圭」名義で、商標「極真会館」が第41類中の役務を指定して、商標登録査定がされたことに違法性があると認定されている、即ち、「文章圭」名義での商標登録査定は「公正な取引秩序を害し、公序良俗に反する」と認定されたのであるから、同一人である「文章圭」の名義において登録査定を受けた本件商標もまた明らかに違法であり、商標法第4条第1項第7号の「公正な取引秩序を害し、公序良俗に反する」に該当する。
(3)結語
 以上のとおり、本件商標「極真会館」の「文章圭」名義による登録査定は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、商標法第46条第1項により無効とされるべきである。
 
2 答弁に対する弁駁 
(1)請求人適格について
 被請求人は、「請求人は請求人適格を有しない」と主張しているが、被請求人が、答弁書において述べているように「…請求人の出願にかかる商願2004-94602号について本件商標の存在が障碍になるから…」請求人は本件審判請求に及んでいるのであって、この事実は乙第1号証の上申書に記載のとおりである。
 よって、請求人の本件無効審判請求についての請求人適格は、上記事実に基づく法的利害関係の存在で十分であり、これで足りる。
(2)被請求人による本件商標における出願行為の正当性について
 被請求人は、「被請求人による本件商標における出願行為の正当性について」主張しているが、この主張には根拠がなく、成り立たない。
 因みに、この被請求人の主張は、確定した無効審決や知財判決、最高裁の上告棄却及びそれらの審決理由や判決理由を無視するものであって、被請求人が自ら認めているように、「…確定した…無効審決の成立に納得できない」からというだけの、被請求人の単なる意見に過ぎない。
 また、被請求人は民事裁判の判決書を乙第3号証、乙第4号証として提出しているが、これらは職権審理によらない純然たる民事事件であり、請求人はこれらの裁判の当事者ではないし、当事者以外の者にその既判力が及ぶものでもない。
  
第3 被請求人の答弁
 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 請求人適格について
 請求人は、本件商標の無効審判請求を求める法律上の正当な利益を有することについて何ら説明をしていない。
 その理由は、請求人が大山倍達の息女であるから、すなわち請求人は大山倍達の遺族として同氏の遺産相続人であるから、説明するまでもなく当然にこの商標について登録を受けられる法律上の正当な者であると考えている故と推察される。
 しかしながら、請求人は商標「極真会館」の承継人であるとは到底いい得ず、請求人は被請求人及びその他の極真会門弟の者が商標「極真会館」を使用し続けている事実を知りながら後発的に参入し、被請求人等より優位な立場を獲得するために本件商標の無効を求めようとするものであるから、そのような請求人に本件無効審判の請求人適格を認めるべきではない。
 すなわち、請求人が本件商標の無効を求めようとする理由は、請求人の出願にかかる商標登録出願(商願2004-94602号)について本件商標の存在が障碍となるからであって、事実、その商標登録出願は本件商標等を引用した拒絶理由通知を受け、それに対して平成19年9月25日付の上申書で本件無効請求書を提出した旨を述べている(乙第1号証)。
 また、請求人は、本件商標のみならず、被請求人以外の極真会派の商標登録(商標「新極真会」登録第4756427号及び商標「空手道極真館」登録第4755605号)に対しても、上記同様に無効を求めている事実がある(乙第2号証)。
 このように、請求人が自ら極真関連標章について商標登録を受けようとし、そのために本件商標の無効を求めようとしていることは明らかである。
 ここで、請求人が本件商標「極真会館」と同一の商標について商標登録出願を行っている事実を鑑みれば、請求人が本件無効審判を請求することについて法的利害関係を有しているとみることはできる。しかしながら、商標「極真会館」は請求人も認めるところ、極真空手・極真会の創始者大山倍達が周知著名にした商標として同氏が死亡した平成6(1994)年4月の時点で既に広く知られていた商標であるから、たとえ遺族であるとしても商標法第4条第1項第10号に該当し、請求人は元来商標登録を受けることができない立場にあるというべきである。
 すなわち、商標「極真会館」は、請求人が引用する審決及び判決にも示されているとおり、空手及び格闘技に興味を持つ者の間では大山倍達の極真会館という一つの団体を出所として表示する標章として広く知られているものである。そして、大山倍達の死亡当時、「極真会館」は未登録商標であり、そのような未登録商標を相続財産の一つとして一般承継人たる遺族が承継することは登録主義を採択している我が国の商標法制度においては到底認められるはずもない。
 また、請求人が大山倍達生前の極真会館と同一性を有する事業を継続して行ってきた事実はなく、かつ事業を正当に譲り受けたとする事実もない。
 さらにいえば、極真空手・極真会は大山倍達存命時の門弟により、複数の派閥に分かれてはいるものの大山倍達の流れを汲む空手団体として継続し活動しているもので、請求人がそれらの活動の指揮ないしは監督を行っている事実は存在しない。
 そうすると、請求人は大山倍達の遺族であるとしても、本件商標「極真会館」の周知性の確立に関してはもとより関与しておらず、大山倍達生前の事業について実質的同一性をもって継続している事実はないのであるから、請求人は商標法第4条第1項第10号にいう「他人」に該当するということができる。
 したがって、仮に本件商標登録が無効になったとしても、請求人による商標「極真会館」についての商標登録出願(商順2004-94602号)は、商標法第4条第1項第10号に該当し登録を受けることはできないのであるから、たとえ請求人が本件商標と同一の商標につき商標登録出願を行っているとしても、請求人は本件商標を無効とする法律上の正当な利益を有しているとはいいえず、そのような請求人に本件無効審判の請求人適格を認めるべきではない。
2 被請求人による本件商標における出願行為の正当性について
 請求人は、本件商標と同一の商標「極真会館」(登録第4027346号)についての無効審判にかかる無効審決(甲第3号証)とその審決取消訴訟における知財高裁の判決及び最高裁の上告棄却の決定(甲第14号証、甲第15号証)を根拠として、その商標「極真会館」の登録出願が被請求人の個人的な利益のためにされたと推認され、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと判示された点をもって、同一人である被請求人の名義において登録査定を受けた本件商標「極真会館」も明らかに違法であると主張している(なお、請求人が根拠とする「極真会館」(登録第4027346号)にかかる無効審判事件(甲第3号証)に符合する審決取消訴訟及び上告棄却の決定は何ら請求人によって示されていないが、符合する正しい事件番号は、平成17年(行ケ)第10031号及び平成19年(行ツ)第90号/同年(行ヒ)第86号であると思われ、被請求人は請求人の主張の内容に沿い、甲第14号証及び甲第15号証については上記の事件番号の内容を参考にして以下答弁を続ける。)。
 確かに、本件商標と同一の商標「極真会館」(登録第4027346号)にかかる無効審判請求事件が、最終的に最高裁判所で上告棄却とされ、請求人が主張するとおりの無効審決が成立していることは否定しない。
 しかしながら、被請求人は、その無効審決の成立に納得できないばかりでなく、本件商標と関係する別の訴訟(商標権移転登録手続請求事件)において、本件商標登録出願当時の被請求人には大山倍達が設立した財団法人極真奨学会の筆頭理事格の理事が後見人として補佐しており、極真奨学会名義の商標権にかかわる移転登録手続はその後見人と連帯的に行ったものである旨が判示されたため、ここにその判決を提出するとともに、改めて本件商標「極真会館」の登録出願が被請求人の個人的な利益のためにされたものではないことを以下に述べるものである。
 まず、提出する判決は、本件商標及び本件商標と同一の商標「極真会館」(登録第4027346号)の両商標権を含む商標権移転登録手続請求事件における第一審判決(平成16年(ワ)第23624号、東京地裁平成18年7月27日判決:乙第3号証)及びその控訴審判決(平成18年(ネ)10070号、知財高裁平成19年9月27日判決:乙第4号証)である。
 上記の商標権移転登録手続請求事件は、大山倍達が設立した極真奨学会が、本無効審判の被請求人に対して、被請求人名義で登録されている極真関連商標(乙第3号証の別紙登録商標目録1ないし29の各商標)についてそれらの商標権を極真奨学会へ移転登録手続するよう求めた事件である。
 この事件は、本無効審判の請求人が本件商標を無効とする根拠の甲第14号証に引用されているものであって、この事件の第一審で被請求人が個人名義に移転登録した極真奨学会名義の登録商標について元の極真奨学会名義に戻すべき旨の判決が言い渡されていたことから、被請求人による本件商標「極真会館」を含む極真関連登録商標の登録出願は、当時の極真会館のためにされたというよりも、もっぱら、被請求人の個人的な利益のためにされたと推認するのが相当であるとの結論を導き出す理由の一つとされていた(甲第14号証の第37ないし38頁及び第43頁)。
 しかしながら、この事件の控訴審(乙第4号証)では、被請求人が個人名義に移転登録した極真奨学会名義の登録商標の譲渡は真正に成立したものと認められ、極真奨学会の訴えは棄却された結果となっている。
 すなわち、上記の控訴審では、被請求人は大山倍達死亡当時31歳で若輩であり、極真奨学会の筆頭理事格の後見人「C」がこれを補佐し、被請求人はその「C」に促されたことにより大山倍達の後継者となることを受諾した、また「C」は大山倍達氏の後継者としての被請求人の立場が不安定であることを感じ取り極真会館が分裂した場合などの対策も検討していたものと推認されるとし、「C」が極真商標について被請求人の名義で保有した方がよいと考えるに至ったとすることが自然であり、かつ控訴審における「G」弁護士の証言により、極真商標の移転登録申請は被請求人とともに「C」からもたらされたものと認めることができると判示されたものである(乙第4号証の第32ないし41頁)。
 これはすなわち、本件商標登録出願当時(平成6年当時)、被請求人は独断で極真会館の一切の事を運んでいたのではなく、極真会館の館長という最高責任者としての肩書きを有していたものの、事実上は後見人とされる「C」の主導のもとに極真会館の業務に携わっていたといえるものである。
 なお、上記の第一審判決では、極真会館が使用している周知ないし著名商標のうち未登録の商標あるいは登録後に失効したものについて、被請求人は極真会館の館長としての立場に基づいて、その被請求人個人名で出願し、登録を得ることが法人格なき社団である極真会館に対しその代表者として負担する善良な管理者としての注意義務の範囲内のものであると認められていた(乙第3号証の第40頁及び第44ないし45頁)。この点については控訴審でも覆らず、極真奨学会の訴えは棄却されている(乙第4号証の第41ないし46頁)。
 以上の事実をもってすれば、被請求人に対しては、本件商標「極真会館」の登録出願行為が個人の利益を図る目的でされたものではないということが明らかとなったものであるから、たとえ請求人が本件商標を無効とする根拠とした甲第14号証における無効審決が最高裁判所において判決が確定していたとしても、それはあくまでも本件商標が個人の利益を図る目的でされたと推認されたにずぎず、被請求人による本件商標の登録出願行為には不正の目的は一切ないことは上述のとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
3 結語
 以上述べたように、第1に請求人には請求人適格が認められないこと、第2に被請求人による本件商標における出願行為に不正の目的はないことが明らかになったのであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではなく、商標法第46条1項の規定によりその登録を無効とすることはできない。
 なお、最後に、本無効審判の審理を口頭審理とされることを懇請する。
 被請求人は本件商標「極真会館」について、生前の大山倍達から認可を受けた門弟の一人としてこの商標を使用する権利を有しており、かつ実際に現在に至るまで本件商標について使用を継続している。したがって、本無効審判において本件商標権が無効にされても、被請求人が本件商標の使用を継続できることについては全く問題がないと考えており、この点からすれば本件商標権の有効性を争う必要性は全くない。一方、門弟でもない第三者による不当な極真商標の使用を排除するためには、極真商標の適切な権利保護が必要と考えており、これについては請求人においても同様であると考える。そこで、請求人との間においても極真商標の適切な権利保護に関して話し合いの場を共有すべき状況にあるといえ、本件の審理にあたっては両者の意思確認がより容易な口頭審理を被請求人側より望むものである。
  
第4 当審の判断  
 本件商標は、「極真会館」の文字を横書きし、第25類「運動用特殊衣服,被服」等を指定商品とするところ、請求人は、被請求人(文章圭)による本件商標の登録出願の不当性を述べて、その登録は商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下判断する。
1 審決及び判決を含む甲各号証及び乙各号証によれば、以下の事実関係を認めることができる。
(1)大山倍達の活動と極真会館の組織等について
(ア)大山倍達は、直接打撃制を特徴とする極真空手と呼ばれる空手の流派の創始者であり、昭和39年に同空手に関する団体として極真会館を創設し、館長又は総裁と称された。その設立後にあって、組織やその運営に関する定めが「極真会館国内支部規約」等の形で規定されたが法人格を取得することはなく、かつ、同規定中にはその代表者である館長ないし総裁の地位の決定や承継等に関する規定はなかった。
 そして、組織運営の具体的な場面においては、創設者であり死亡時まで一貫して代表者であった大山倍達の個人的な判断にゆだねられる部分が多く、同人が強い影響力をもって団体全体を統率していた。
 また、大山倍達は、「財団法人極真奨学会」(昭和17年1月21日に育英及び学術研究の助成を目的として設立された財団法人:以下「極真奨学会」という。)の運営権を取得し、極真会館が各種の昇段状や賞状を発行する際の権威付けなどのためにその名称を使用していた。この極真奨学会の組織や活動についての最終的な決定権も大山倍達の個人的な判断にゆだねられていた。
(イ)極真会館は、大山倍達の下で規模を拡大していき、世界各地に多数の支部等を置くほか、国内においても、総本部のほか全国各地に支部を置いた。支部はそれぞれ担当する地区が定められており、大山倍達によって任命された支部長が各担当の地区において道場を開設し極真空手の教授を行っていた。極真空手を学ぶ者は、本部直轄道場や各支部の道場に入門して極真会館の会員となり道場生としてその教授を受けた。
 大山倍達が死亡した平成6年4月当時、極真会館は、日本国内において、総本部、関西総本部のほか55支部、550道場、会員数50万人を有し、世界130か国、会員数1200万人を越える規模となっていたとする。
 極真会館は、毎年、全日本空手道選手権大会及び全日本ウェイト制空手道選手権大会と呼ばれる極真空手の大会を開くと共に、4年に一度、全世界空手道選手権大会と呼ばれる極真空手の大会を開催していた。
 大山倍達及び極真会館の支部長らは、極真会館及び極真空手を示す標章として、「極真会館」、「極真会」及び円形の内部を図案化したマーク等各種の極真関連標章を空手の教授の際に使用するほか、極真会館が開催する空手大会の開催等にも、極真関連標章を使用していた。
 そして、前記のような極真会館の規模の大きさやその活発な活動から、大山倍達が死亡した平成6年4月時点においては、本件商標を含む極真関連標章は、少なくとも空手及び格闘技に興味を持つ者の間では、大山倍達の極真会館というまとまった一つの団体を出所として表示する標章として広く知られていた。
(ウ)極真会館の支部長は、極真会館が開催する大会に選手を派遣するなど、大会の運営に協力する義務、極真会館の総本部に会費等を納める義務、支部長会議に出席する義務等を負っていた。また、支部長は、担当地区内に道場を開設して極真空手に入門した道場生に対し、その教授を行い級位や初段の段位を与えることができ、担当地区内に分支部を設けることができた。
 そして、支部長は支部規約上、極真会館を表示する標章を無断で使用することを禁止されていたが、極真会館及び極真空手を示す標章として、「極真会館」、「極真会」及び円形の内部を図案化したマーク等各種の極真関連標章を極真会館の活動趣旨に沿う限り道場等において、その教授等に際し極真関連標章を自由に使用することができた。
(2)被請求人(松井章圭こと文章圭)の地位について
 被請求人は、昭和38年1月生まれで、同51年に極真会館に入門して以降、昭和60年及び同61年の全日本選手権では優勝し、同61年には極真空手において極限の荒行とされる100人組手を完遂し、さらに同62年の全世界空手道選手権大会で優勝した。被請求人は、極真会館の歴史の中で格闘技術に優れた選手の一人であり、極真会館が主催する空手の各種大会において、審判員、模範演技や大会運営委員会の支部長代行委員などの職務を務め、世界20か国余りの道場に指導員として訪れ、大山倍達の名代として、ネパールの王室に空手の演舞を献上した。
 さらに、被請求人は、大山倍達から、極真会館の新会館建設の建設委員会第2次建設委員長に任命され、黒帯研究会の指導を任され、平成4年に、大山倍達から支部長として任命され、本部直轄浅草道場を開設した。大山倍達の死亡時においては支部長であったが、支部長の中では31歳と年齢的に若く支部長としての経歴も短かった。
(3)大山倍達の死亡と被請求人の館長就任について
(ア)大山倍達は、平成6年4月26日に死亡したが、入院中であった同月19日付で同人の危急時遺言が作成された。危急時遺言は、大山倍達の病室において、弁護士である米津、外4名の証人の立会の下に死亡危急時遺言の方式により作成されたものである。
 危急時遺言には、極真会館、国際空手道連盟の大山倍達の後継者を被請求人と定めること、極真会館、国際空手道連盟を一体として財団法人化を図ること、この法人化には日時を要するので、その間は極真奨学会を拡充化するとともに、可能であれば極真奨学会が極真会館、国際空手道連盟を吸収することもよいこと、極真会館の本部直轄道場責任者、各支部長及び各分支部長らは被請求人に協力すべきこと並びに大山倍達の相続人は極真会館に一切関与しないこと等が記載されていた。
 なお、大山倍達は、生前、極真会館に属する者たちに対し自己の死後における極真会館の代表者をだれにするかについて公開の場で公式に示したということはなかった。
(イ)大山倍達の葬儀は、極真会館葬として平成6年4月27日に行われ、出棺の際、危急時遺言の証人の一人である梅田から、大山倍達が遺言で被請求人を後継館長に指名した旨の発表がされ、同日開催された支部長らの集まりにおいても、梅田から危急時遺言の内容についての説明がされ、被請求人は、自ら後継館長に就任する意思を明らかにした。その後、同年5月10日に開催された支部長会議において、全員一致で被請求人の館長就任が承認された。
(ウ)危急時遺言の証人の一人である弁護士の米津は、平成6年5月9日、東京家庭裁判所に対し、危急時遺言の確認を求める審判申立てをしたが、大山倍達の遺族らは、同遺言に疑義を表明して争った。上記審判申立てに対して、同裁判所は、平成7年3月31日、梅田は証人欠格事由に該当するにもかかわらず、証人として立ち会い、遺言内容の決定に深く関わったのであるから、方式遵守の違反があること、危急時遺言は、証人となった5人が、当時、病状の進行により体力、気力ともに衰えた遺言者(大山倍達)を2日間という長期間に亘り、証人らと利害の対立する立場にある家族を排除して証人らで取り囲むような状況の下で作成されたものであり、遺言者が遺言事項につき自由な判断のもとに内容を決定したものか否かにつき疑問が強く残り、遺言者の真意に出たものと確認することが困難であることを理由として、これを却下した。
 上記決定に対して、米津は東京高等裁判所に抗告したが、東京高等裁判所は、平成8年10月16日、上記とほぼ同様の理由により抗告を棄却し、平成9年3月17日、最高裁判所も、特別抗告を却下した。
(4)被請求人と極真関連標章の出願等について
(ア)極真関連標章の商標登録については、大山倍達生前に財団法人極真奨学会により、「極真会館」(昭和51年3月4日出願、平成3年政令第299号による改正前の第24類、登録第1421312号)の商標、「極真会」の文字を筆字によって縦書きにした(昭和51年3月4日出願、平成3年政令第299号による改正前の第24類、登録第1443462号)商標、及び円形の内部を図案化したマークから構成される(昭和51年5月14日出願、平成3年政令第299号による改正前の第24類、登録第1491281号)商標、円形の内部を図案化したマークから構成される登録第1706007号商標ないし登録第1706009号商標(いずれも昭和51年5月14日出願、平成3年政令第299号による改正前の第24類)等を登録出願し登録がされ、これら登録商標のうち更新登録がなされず大山倍達の死亡時までには登録が抹消されているものがあり、また、登録第1706007号商標ないし登録第1706009号商標については、大山倍達の死亡時にはその商標登録は抹消されていなかったところ、被請求人は、平成6年6月1日譲渡を原因として、自己名義への移転登録手続をした。
(イ)被請求人は、平成6年5月10日に支部長会議において館長就任が承認された後の同年5月18日に、「極真会」商標、「極真会館」商標、「KYOKUSHIN」商標及び円形の内部を図案化したマーク各種などを第25類と第41類に、また、平成7年2月20日に、「極真空手/KYOKUSHIN KARATE」の文字からなる商標を第41類に商標登録出願をしている。
 そして、第41類に出願された「極真会」、「KYOKUSHIN」及び「極真会館」の商標については、平成9年7月11日に、第25類に出願された「KYOKUSHIN」の商標については、平成9年8月1日に、第25類に出願された「極真会」の商標については、平成10年10月9日に、それぞれ商標登録され、また、「極真空手/KYOKUSHIN KARATE」の文字からなる商標については、平成9年8月8日に商標登録されている。
(ウ)被請求人は、これらの極真関連標章を出願し登録した経緯について、甲第9号証(格闘技通信)の中で次のように述べている。
 「…極真会という商標権、またあの極真のマークですね、…すべて私の個人名で登録されているという部分で支部長たちがおっしゃったようですけども、それに関してですね、実際問題私、実際それらの登記は私の個人名となっております。というのは、一つの理由として極真会館は任意の団体であって、法的にいうと、大山倍達による一心専属的な団体であると…総裁が残された遺言の遺志を継ぐということで、私まぁ、立っている訳ですが、…遺言が認められないんじゃないかという疑惑があれば、それは私が立つ理由は一つもないです。…遺志を継ぐ形で私が立ったわけです。その責任上、私が個人名で登録させていただいたと、これは将来的にはもちろん私個人のプライベートで所有するものではありませんから…社団法人なり財団法人なり、公益法人ができれば、速やかにそちらに移します。…それから、極真会館という商標権を個人で登録すると言ったときに、支部長たちに確認をとらなかったことに端を発して独断専行と、またはそのもっと言えば独裁というような形で物事を言われているようです。…ただ、それは時間的にもですね、もちろん情報は取り合いながら、意思の疎通を計りながらという部分でやるのは筋だと思いますけど、緊急の事項もいろいろな形でありますから、そのときは私の館長としての、職務の中でまた負った責務の中でですね、責任をもって物事を決定して進めてきたという部分があるわけです。…」
(5)極真会館の分裂について
 大山倍達の死亡により、平成6年5月10日に開催された支部長会議において、全員一致で被請求人の館長就任が承認されたが、大山倍達の遺族らは、危急時遺言に疑義を表明して争い、危急時遺言の確認を求める審判申立ての却下が確定するに及んで、極真会館は、松井(章圭)派、遺族派及び支部長協議会派の3派に分裂した。
(ア)この間の事情は、甲第9号証(格闘技通信)によれば、「松井館長・解任~極真お家騒動一部始終」の見出しの下に、「昨年4月26日、国際空手道連盟・極真会館の創始者であり、総裁であった大山倍達が肺がんによる呼吸不全のため死去してから、まもなく一年が経とうとしているが、ここに来てお家騒動がさらに激化していった」と記載されており、各派の記者会見等の内容が要旨次のように掲載されている。
(a)大山倍達の未亡人である大山智弥子は、大山倍達の死亡後の一連の流れが松井一派による極真会館の乗っ取り工作であると主張し、平成7年2月15日、自ら極真会館二代目館長を襲名することを宣言するとともに、被請求人によって破門されていた高木薫ら5人の支部長と共に遺族派を結成した。同年4月13日には、大山智弥子と次女大山恵喜が記者会見し、東京家庭裁判所の決定内容等について説明した。
(b)一方、平成6年5月10日の支部長会議において被請求人の館長就任を承認した支部長の中にも被請求人に対して反感を持つ者が多数おり、平成7年4月5日に、臨時の支部長会議が開催され、極真会の私物化、独断専行、不透明な経理処理の3点に加えて、支部長会議に諮ることもなく「極真会」の名称やマークを被請求人個人で商標登録したこと等を理由に、同支部長会議において、賛成35名、反対3名、欠席10名により、被請求人の館長解任が決議され、同日、支部長協議会派は、記者会見を行い、支部長協議会議長を中心に極真会館を運営する旨発表した。
(c)これに対し、被請求人及び同人を支持する支部長らは、平成7年4月6日、記者らと懇談し、大山倍達が決めたものを支部長会議で覆すことはできず、解任決議は効力がない旨反論し、被請求人が引き続き極真会館の館長の地位にあると宣言した。
(イ)請求人は、甲第12号証(平成7年7月11日付「お知らせ」)及び甲第13号証(平成7年7月14日付「極真会館全国支部長協議会の文書」)を提出している。甲第12号証は、国際空手道連盟・極真会館/館長大山智弥子名で、「大山倍達の死去後の松井章圭(被請求人)の行為、危急時遺言についての家裁の決定、今後の方針」等について、関係者に配布した「お知らせ」と題する文書であり、甲第13号証は、該お知らせに対して、極真会館全国支部長協議会議長西田幸夫ら28名の支部長らが大山智弥子を支持する旨の文書であり、この二代目館長たる大山智弥子の主張は、三代目館長である大山喜久子の主張でもある旨述べている。
(ウ)上記各派は、いずれも自派が極真空手を正当に承継するものであるとして、極真会館を名乗って道場の運営を行い、従前、極真会館が行っていたのと同一名称の極真空手の大会を開催するなどした。
 その後、平成13年12月には、遺族派の一部、支部長協議会派の一部等が極真連合会と称する団体を組織したり、平成15年11月には、松井派の支部長の一部が松井派から脱退し、新たに極真館と称する組織を発足させたりした。
 現在においても、大山倍達生前の極真会館における支部長等は、各派に分かれ、それぞれが、本部、支部等を設け、道場で極真空手の教授等を行ったり、極真空手の大会を開催したりしており、大山倍達生前の極真会館というまとまった一つの団体は、これと同一性を有しない複数の団体に分かれた状態である。被請求人は、現在もその中の一つの団体である松井派の代表者であり、極真会館の館長の地位にあると主張している。
(6)極真関連標章を巡る紛争について
(ア)甲第10号証及び甲第11号証によれば、被請求人は、平成11年ないし平成12年に、極真関連標章の商標権に基づき、NTTに対し、極真関連標章を使用した広告の掲載の禁止を申し入れたため、大石代悟支部長らは、NTTが平成13年度に発行したタウンページに掲載する広告に極真関連標章を使用することができなくなり、その結果、大阪地裁においては、岡田幸雄ら5名を原告として、また、東京地裁においては大石代悟ら5名を原告として、いずれも被請求人を被告として、商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求事件が提起された。それらの仮処分及び訴訟は、和解により終了したものもあるが、大阪地裁における商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求訴訟(同庁平成14年(ワ)第1018号事件:甲第10号証)、その控訴審(大阪高裁平成15年(ネ)第3283号事件)及び東京地裁における商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求訴訟(同庁平成14年(ワ)第16786号事件:甲第11号証)においては、被請求人が商標権を有する合計8件の極真関連標章について、差止請求権を有しないことの確認が求められていたところ、上記各事件の判決において、被請求人は、極真会館の一分派の代表者であり、同じく極真会館の分派に属する者に対して、極真関連標章の使用を禁止することは権利の濫用であるなどと判断され、差止請求権の不存在が確認された。
(イ)また、大山倍達の死亡後に極真奨学会名義から被請求人名義に移転登録された登録第1706007号商標ないし登録第1706009号商標、被請求人が出願し登録された「極真会館」の文字を商標とする本件商標及び請求人が引用する無効審判事件にかかる登録第4027346号商標を含む極真関連標章29件についての極真奨学会と被請求人との間の商標権移転登録手続請求訴訟事件(東京地裁平成16年(ワ)第23624号事件:乙第3号証)では、上記3件の移転登録申請における譲渡証書の作成の真正が認められないとして、極真奨学会への移転登録手続を命じる第1審判決が言い渡されたが、その余については「ところで、被告の行った本件各商標権の申請は、個人としての被告の立場ではなく、極真会館が法人格なき社団であり、商標権者となり得ないことを考慮して、極真会館のために行われたものであることは、被告も認めるところである。…また、本件においては、亡大山倍達の危急時遺言の遺志を尊重すれば、財団である極真奨学会名義を用いて商標登録出願する方法がより望ましい方法であったと考えられるものの、極真奨学会が休眠化してから数年来経過していたこと…これを極真奨学会の登録名義とすべき義務を負うとまで解することはできない。」等述べてその余の請求をいずれも棄却した。
 そして、その控訴審(知財高裁平成18年(ネ)第10070号事件:乙第4号証)において、上記3件の譲渡証書は、筆頭理事格であった梅田が平成6年当時の極真奨学会理事長に対し了解を得たものと推認し、真正に成立したものとされ、その移転登録申請の依頼は、被請求人とともに梅田からもされたものと認めることができるとして、一審の敗訴部分が取り消された。
2 以上で認定した、大山倍達死亡前後の一連の経緯及び事実を総合してみれば、大山倍達が死亡した平成6年4月当時、極真会館は、日本国内において、総本部、関西総本部のほか55支部、550道場、会員数50万人を有し、世界130か国、会員数1200万人を越える規模となっていたところ、「極真会館」、「極真会」及び円形の内部を図案化したマーク等各種の極真関連標章を空手の教授の際に使用するほか、極真会館が開催する空手大会の開催等にも、極真関連標章を使用していた。
 そして、このような極真会館の規模の大きさやその活発な活動から、大山倍達が死亡した平成6年4月時点においては、本件商標を含む極真関連標章は、少なくとも空手及び格闘技に興味を持つ者の間では、大山倍達の極真会館というまとまった一つの団体の出所を表示する標章として広く知られるに至っていたことが認められ、それは大山倍達と大山倍達生前の極真会館に属する各構成員の努力により、極真会館及び極真空手を全国に普及し、発展させた結果であるから、極真関連標章が表示する出所は、一つの団体としての極真会館であることは明らかである。
 してみると、大山倍達及び同人から任命を受けた支部長らによる永年の努力による信用等が化体されている「極真会館」、「極真会」及び円形の内部を図案化したマーク等各種の極真関連標章にかかる権利は、極真会館に所属する支部長ら構成員によって、共有的ないし総有的に管理・使用されるものと解するのが相当であるといえる。
 しかして、被請求人による本件商標の登録出願は、大山倍達生前の極真会館という膨大な構成員からなる規模の大きなまとまった一つの団体を出所として表示するものとして広く知られていた標章について、大山倍達の死亡時から間もない当時の代表者である被請求人が個人名義(大山倍達生前には、個人名義とせず極真奨学会により出願し登録した。)でしたものであるが、その登録出願は、極真会館のために、これが法人化されるまでの保全的な措置としてのものであり、しかも、被請求人の館長就任が承認される前提となった危急時遺言が有効なものであり、かつ、極真会館の運営及び極真関連標章に係る商標権の管理が極真会館関係者の間において、平穏裡に行われていた場合に限られるというべきである。
 しかしながら、危急時遺言の確認を求める審判申立てを却下する決定が確定したことにより、被請求人が極真会館の代表者たる館長の地位にあることの最大の前提は崩れたものといわなければならないし、一旦は館長就任を承認した支部長会議は、その後、被請求人の館長解任を決議している。
 しかも、危急時遺言の確認を求める申立てが却下された理由は、単に、証人の中に欠格事由のある者がいたという方式遵守違反を理由にするばかりでなく、遺言者が遺言事項につき自由な判断のもとに内容を決定したものか否かにつき疑問が強く残り、遺言者の真意に出たものと確認することが困難であるという理由から却下されたものであり、このことが意味するところは、大きいものといわなければならない。
 そして、極真会館は、大山倍達が強い影響力をもって団体全体を統率していたが、その死後に、複数の団体に分裂し、また、被請求人を被告とする本件審判請求や他の商標登録無効審判請求事件、商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求事件、商標権移転登録手続請求訴訟事件等が提起され、極真関連標章について支部長ら、極真奨学会、遺族との間で紛争が生じている。
 そうとすれば、被請求人の館長就任が承認される前提となった危急時遺言の確認を求める申立てが却下された事実と極真会館の分裂に至る経緯及び被請求人による極真関連標章の商標権の行使により、他会派に属する支部長らの業務に支障が生じている事実をも併せ考慮すると、被請求人による極真関連標章についての登録の有効性は認め難いばかりでなく、被請求人は、極真関連標章を出願する際には、既に、極真会館分裂の可能性をも予見して、将来生ずるであろう各派の対立関係を自己に有利に解決する意図をもって、本件商標をはじめとする極真関連標章の登録出願をしたものと推認せざるを得ない。
 してみれば、このような事実関係の下においてなされた本件商標の登録は、公正な取引秩序を害し、公序良俗に反するものといわなければならない。
3 被請求人の主な主張について
(1)請求人適格について
 被請求人は、請求人の出願にかかる商標登録出願(商願2004-94602号)を行っている事実を鑑みれば、請求人が本件無効審判を請求することについて法的利害関係を有しているとみることはできるとしつつ、請求人は大山倍達の遺族であるとしても、本件商標「極真会館」の周知性の確立に関してはもとより関与しておらず、大山倍達生前の事業について実質的同一性をもって継続している事実はないのであるから、請求人は商標法第4条第1項第10号にいう「他人」に該当するということができる旨述べて、請求人に本件無効審判の請求人適格を認めるべきではないと主張している。
 しかしながら、請求人は、現に、自己の商標登録出願(商願2004-94602号)に対して、本件商標を引用した拒絶理由の通知を受けており、本件商標の存在により不利益を被っているのであるから、その登録の無効を求める本件審判請求について、法律上の利害関係を有していると認められる。このことは、請求人が、商標法第4条第1項第10号にいう「他人」に該当するか否かに係わらないことである。
 したがって、被請求人の上記主張は採用することができない。
(2)被請求人による本件商標における出願行為の正当性について
 被請求人は、本件商標の登録出願が被請求人の個人的な利益のためにされたものではないことを、本件商標及び請求人が本件審判請求に引用する無効審判請求事件に係る登録商標を含む極真関連標章29件についての商標権移転登録手続請求訴訟事件(東京地裁平成16年(ワ)第23624号事件:乙第3号証、知財高裁平成18年(ネ)第10070号事件:乙第4号証)を引用して、当該判決により、被請求人に対しては、本件商標「極真会館」の登録出願行為が個人の利益を図る目的でされたものではないということが明らかとなったものであるから、たとえ請求人が本件商標を無効とする根拠とした甲第14号証における無効審決が最高裁判所において判決が確定していたとしても、それはあくまでも本件商標が個人の利益を図る目的でされたと推認されたにずぎず、被請求人による本件商標の登録出願行為には不正の目的は一切ないから、請求人の主張には理由がない旨主張する。
 確かに、当該商標権移転登録手続請求訴訟事件において、本件商標登録出願当時の被請求人には、大山倍達が設立した極真奨学会の筆頭理事格の梅田が後見人として補佐し、極真奨学会名義の商標権にかかわる移転登録手続はその後見人と連帯的に行ったものである旨が示されたことを認めることができる。
 しかしながら、当該商標権移転登録手続請求訴訟事件は、本件商標をはじめとする極真関連標章について、極真奨学会名義で出願すべき義務やこれに違反して登録された各商標権を極真奨学会に移転登録すべき契約が締結された事実は認められない旨判断されて、その請求はいずれも棄却されたものであること以上には、被請求人に対して、極真関連標章についての商標登録出願行為が個人の利益を図る目的でされたものではないということを断定し判示したものと解することはできない。
 そして、本件商標の登録出願当時(平成6年当時)に後見人とされる梅田の関与があるものとしても、被請求人自身に、極真関連標章を商標登録出願する際において、極真会館分裂の可能性をも予見して、将来生ずるであろう各派の対立関係を自己に有利に解決する意図をもって、出願をしたものでないことを確証させるような証拠は見出せない。
 また、上記1(5)及び2において認定、判断したように、平成6年5月10日の支部長会議における館長就任を承認に反感を持つ者が多数おり、同7年4月5日の臨時支部長会議において、賛成35名、反対3名、欠席10名により、被請求人の館長解任が決議されされたこと、大山倍達の未亡人である大山智弥子が、平成7年2月15日に自ら極真会館二代目館長を襲名することを宣言したこと、及び被請求人の館長就任を承認する前提となった危急時遺言の確認を求める審判申立てを却下する決定が確定したことなど、大山倍達生前の極真会館というまとまった一つの団体を承継し、その代表者としての館長であると主張している根拠は喪失したものというべきである。そして、他に、被請求人をこれと同一性を有する極真会館の後継館長と認めるに足りる証拠は提出されていない。
 したがって、被請求人の主張をもって上記2おける認定、判断を左右することはできず、その主張は採用できない。
(3)口頭審理の求めについて
 被請求人は、同人の本件商標の使用の継続について、及び第三者による不当な極真商標の使用を排除するため極真商標の適切な権利保護の必要性について請求人との間において話し合いの場を共有すべき状況にあり、本件の審理にあたっては両者の意思確認がより容易な口頭審理を被請求人側より望むものである、と述べている。
 しかしながら、本件商標の使用の継続について、大阪地裁における商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求訴訟(同庁平成14年(ワ)第1018号事件:甲第10号証)、その控訴審(大阪高裁平成15年(ネ)第3283号事件)及び東京地裁における商標権に基づく差止請求権不存在確認等請求訴訟(同庁平成14年(ワ)第16786号事件:甲第11号証)に照らしてみれば、被請求人は、極真会館の一分派の代表者であり、同じく極真会館の分派に属する者に対して、極真関連標章の使用を禁止することは権利の濫用であり、差止請求権の不存在が確認されたことは前述のとおりである。
 そして、本件無効審判事件は、本件商標が公正な取引秩序を害し公序良俗に反するものであるか否か、すなわち、登録の無効事由が存在するか否かを審理する局面であるところ、被請求人の本件商標の使用の継続や第三者による不当な極真商標の使用に対して、請求人との話し合いの場を共有すべきことは、本件無効審判事件外の場で行われるべきことであり、本件無効審判事件において直接的に審理すべき事項とはいい難いから、その口頭審理の必要性は認められない。
4 まとめ      
 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【結審通知日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【審決日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【審判長】 【特許庁審判官】芦葉 松美
【特許庁審判官】伊藤 三男
【特許庁審判官】岩崎 良子

(210)【出願番号】商願平6-48933
(220)【出願日】平成6年5月18日(1994.5.18)
(260)【公告番号】商公平8-49413
(442)【公告日】平成8年4月19日(1996.4.19)
(111)【登録番号】商標登録第3371034号(T3371034)
(151)【登録日】平成11年1月8日(1999.1.8)
(561)【商標の称呼】キョクシンカイカン
【最終処分】成立
【前審関与審査官】箕輪 秀人

取消2008-300663

【管理番号】第1187476号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300663(T2008-300663/J2)
【審判請求日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【確定日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【審決分類】
T131 .1  -Z  (Z09)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社ユビキタスエンターテインメント
【住所又は居所】東京都文京区本郷5丁目24番6号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
【被請求人】
【氏名又は名称】全国共済農業協同組合連合会
【住所又は居所】東京都千代田区平河町2丁目7番9号 (全共連ビル)
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4411451号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4411451号商標の商標登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4411451号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【結審通知日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【審決日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】杉山 和江

(210)【出願番号】商願平11-57696
(220)【出願日】平成11年6月30日(1999.6.30)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第4411451号(T4411451)
(151)【登録日】平成12年8月25日(2000.8.25)
(561)【商標の称呼】ライフナビゲーター
【最終処分】成立
【前審関与審査官】田村 正明

取消2008-300658

【管理番号】第1187554号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300658(T2008-300658/J2)
【審判請求日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【確定日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y16)
【請求人】
【氏名又は名称】ディズニー エンタープライゼズ インク
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア州 バーバンク サウス ブエナ ビスタ ストリート 500
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 和子
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】井滝 裕敬
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤倉 大作
【被請求人】
【氏名又は名称】ユニー株式会社
【住所又は居所】愛知県稲沢市天池五反田町1番地
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4865123号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4865123号商標の指定商品中、第8類「ピンセット,くわ,鋤,レーキ(手持ち工具に当たるものに限る。),電気かみそり及び電気バリカン,手動利器,手動工具,エッグスライサー(電気式のものを除く。),かつお節削り器,角砂糖挟み,缶切,くるみ割り器(貴金属製のものを除く。),スプーン,チーズスライサー(電気式のものを除く。),ピザカッター(電気式のものを除く。),フォーク,アイロン(電気式のものを除く。),糸通し器,チャコ削り器,五徳,十能,暖炉用ふいご(手持ち工具に当たるものに限る。),火消しつぼ,火ばし,護身棒,殺虫剤用噴霧器(手持ち工具に当たるものに限る。),ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット,パレットナイフ」、第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具 」、第16類「電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),靴下の型崩れ防止用台紙,紙製テーブルクロス,文房具類,書画」、第21類「デンタルフロス,ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),かいばおけ,家禽用リング,魚ぐし,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,はえたたき,ねずみ取り器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,洋服ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),お守り,おみくじ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,化粧用具,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,ブラシ用豚毛 」及び第26類「針類,被服用はとめ,テープ,リボン,房類,組みひも,編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱(貴金属製のものを除く。),腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。),靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具 」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4865123号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【結審通知日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【審決日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】久我 敬史
(210)【出願番号】商願2004-76860(T2004-76860)
(220)【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
(111)【登録番号】商標登録第4865123号(T4865123)
(151)【登録日】平成17年5月20日(2005.5.20)
(561)【商標の称呼】アリエル、アリーエル、エリエル
【最終処分】成立
【前審関与審査官】小川 きみえ、田口 玲子

取消2008-300567

【管理番号】第1187505号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2008-300567(T2008-300567/J2)
【審判請求日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【確定日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (103)
【請求人】
【氏名又は名称】エコラブ インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ミネソタ州 55102 セントポール ワバッシャ ストリート ノース 370番
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 徹
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】横畑 雅子
【被請求人】
【氏名又は名称】株式会社コーセー
【住所又は居所】東京都中央区日本橋3丁目6番2号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】成合 清
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】為谷 博
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第2713146号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第2713146号商標の指定商品中、第3類「せっけん類」については、その登録を取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第2713146号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【結審通知日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【審決日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】小畑 恵一

(210)【出願番号】商願昭59-46494
(220)【出願日】昭和59年5月9日(1984.5.9)
(260)【公告番号】商公平7-533
(442)【公告日】平成7年1月9日(1995.1.9)
(111)【登録番号】商標登録第2713146号(T2713146)
(151)【登録日】平成8年4月30日(1996.4.30)
(561)【商標の称呼】イーボルーション、エーボルチオン、エボリューション
【最終処分】成立

取消2007-301753

【管理番号】第1187663号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301753(T2007-301753/J2)
【審判請求日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【確定日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y10)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社バンインターナショナル
【住所又は居所】埼玉県越谷市南越谷1丁目4番75号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
【被請求人】
【氏名又は名称】渡邊 秀樹
【住所又は居所】茨城県真壁郡真壁町塙世282―4
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4787576号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4787576号商標の指定商品中「医療用機械器具,治療用機械器具」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4787576号商標(以下「本件商標」という。)は、「エステキャップ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成15年11月20日に登録出願、第10類「おしゃぶり,避妊用具,人工鼓膜用材料,医療用機械器具,治療用機械器具,医療用手袋,しびん,耳かき」を指定商品として同16年7月16日に設定登録されたものである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由次のように述べている。
 本件商標は、その指定商品中の「医療用機械器具,治療用機械器具」について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
 
3 被請求人の主張の要点
 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
 被請求人は、「I・C・つくばCo.,Ltd」の名称(営業表示)をもって、乙第1号証ないし乙第15号証(代金引換送付伝票)に示すとおり、「医療用機械器具、治療用機械器具」等の販売を行なっている。
 被請求人の商品「エステキャップ」は、乙第16号証(エステキャップの説明書)及び乙第17号証ないし乙第20号証(I・C・つくば YAHOO!ショッピングのホームページ)から、「医療用機械器具、治療用機械器具」に含まれる商品であることは明らかである。
 以上のとおり、本件商標「エステキャップ」は、継続して3年以上使用されているので、答弁の趣旨とおりの審決を求める。
 
4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証ないし乙第15号証は、いずれも、商品を発送した際に、依頼主に交付される商品送付伝票の控と認められるものである。これらには、平成18年3月30日から同19年11月4日にかけての日付があり、ご依頼主の欄には、乙第3号証及び乙第4号証に「渡邉秀樹」とあるほかは、「I・C・つくばCo.,Ltd」とあり、お届け先の欄には、美容室や個人名が記載されており、品名の欄には「エステキャップ」、「遠赤外線エステキャップ」、「ヘアーエステキャップ」あるいは「遠赤外線エステキャップ ユメのクロカミシャンプー セット」等の商品名が記載されている。
(イ)乙第16号証は、「I・C・TSUKUBA CO.,LTD」の発行に係る「エステキャップ」の説明書と認められるものであり、「美しい髪と肌をつくる遠赤外線のニューエステ」の表題のもとに、「エステキャップ新発明!!/入浴時・15~20分かぶって使用するホームエステ/髪とお肌と首すじを同時にイキイキ」と記載されており、「エステキャップの特徴」の欄には「美しく健康的なヘアー&フェイスケア」として「遠赤外線の温熱作用が細胞の新陳代謝をうながし、美しい髪、美しいお肌づくりが同時にできます。」と記載されている。また、「エステキャップの構造」の欄には、「キャップはセラミックを2重の完全防水ビニール素材で包んでいます。」とあり、「エステキャップの入浴時ご使用法」の欄には、例えば、「ヘアケア」の場合には「(1)抜け毛、薄毛、白髪の方は毎日、育毛剤をつけて、マッサージしてキャップをかぶります。(2)湯舟につかって温まったり、身体を洗ったりして15分~20分でキャップをはずし髪をすすいでください。これでヘアケアはOKです。」等と記載されている。
(ウ)乙第17号証ないし乙第20号証は、いずれも、「I・C・つくば YAHOO!ショッピングのホームページ」であり、「遠赤外線ヘアーエステキャップ」や「遠赤外線膝エステキャップ」の商品紹介が記載されている。「遠赤外線ヘアーエステキャップ」については、「『真似できない』髪と頭皮に遠赤外線を利用した画期的なヘアーエステキャップ」とあり、「毎日の入浴時に遠赤外線エステキャップでお肌と髪対策が同時に出来ます。」等と記載されており、「遠赤外線エステキャップと夢の黒髪シャンプー100mmセット」の商品も紹介されている(乙第19号証)。また、「遠赤外線膝エステキャップ」については、「『真似できない』遠赤外線の発汗法。パジャマの上から巻いて寝るだけ。電気を使わないので安全!安心!」とあり、「遠赤外線を利用した画期的な全身ホット・パッド(エステキャップ)。身体の各部分に巻いて寝るだけで自然にリンパ液や血液運動をサポートします。・・・遠赤外線膝エステキャップは2枚組みになっています。両腕、両足には1枚ずつ巻いて使用し、肩、腰、お腹ダイエット、ウェストには2枚をつなぎ合わせて使用します。また、遠赤外線エステキャップには使い捨てミニカイロを入れるポケットがついています。・・・」等と記載されている(乙第20号証)。 
(2)上記において認定した事実を総合すると、少なくとも、被請求人(渡邉秀樹)は、本件審判の請求の登録(平成20年1月25日)前3年以内の平成18年9月25日及び同年5月14日に(乙第3号証及び乙第4号証)、日本国内において、本件商標を付した「遠赤外線 エステキャップ セット ユメのクロカミシャンプー」と称する商品を個人や美容室に対して販売していたものと認めることができる。
 なお、被請求人は、「I・C・つくばCo.,Ltd」の名称(営業表示)で販売を行っている旨述べているところ、この「I・C・つくばCo.,Ltd」がいかなる組織の法人であるのか定かではないが、乙第3号証及び乙第4号証には、依頼主の住所欄に「I・C・つくばCo」とあり、名前の欄に「渡邉秀樹」と記載されていることからみて、商標権者(渡邉秀樹)は、「I・C・つくばCo.,Ltd」に対して、本商標権についての通常使用権を許諾していたものと推認するのが相当であり、そのように解した場合には、被請求人(渡邉秀樹)及び被請求人の通常使用権者と推認し得るI・C・つくばCo.,Ltdは、乙第1号証ないし乙第15号証により、本件審判の請求の登録日前3年以内の平成18年3月30日から同19年11月4日にかけて、日本国内において、本件商標を付した「(遠赤外線)ヘアーエステキャップ」と称する商品を美容室や個人に対して販売していたものということができる。
(3)しかしながら、上記商品は、取消しの請求に係る第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」の範疇に属する商品とは認められない。
 第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」は、特許庁商標課編集、社団法人発明協会発行の「商品及び役務区分解説[国際分類第8版対応]」によれば、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する」と記載されているように、医師あるいは看護師等によって医療・治療のために用いられる機械器具がこの概念に属するものである。しかるに、被請求人の業務に係る「(遠赤外線)エステキャップ」なる商品は、乙第16号証ないし乙第19号証によれば、入浴時に頭にかぶり、遠赤外線による温熱作用を利用して細胞の新陳代謝を促し、美しい髪、美しいお肌づくりが同時にできる効果があるとしているものであって(「遠赤外線エステキャップと夢の黒髪シャンプー100mmセット」なる商品も同時に宣伝・販売されている。)、このような使用方法は、医療機関において、医師等の指導・処方によって使用されるものとはなっておらず、しかも、その使用によって得られる効果にしても、使用者に対する医療・治療の効果とはいい難いものであり、医療用の効果があることも全く説明されていない。
 してみれば、「(遠赤外線)エステキャップ」なる商品は、使用者個人が個人的に家庭において入浴時に使用する美容器具の類に属する商品というべきものであって、第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」の範疇に属する商品とは認められない。このことは、乙第1号証ないし乙第15号証によるゆうパック伝票のお届け先を見ても、医療機関とは全く関係がないと思われる個人や美容室に対し送付されていることからも首肯し得るものである。
 また、乙第20号証のI・C・つくば YAHOO!ショッピングのホームページに記載されている「遠赤外線膝エステキャップ」と称する商品も、遠赤外線の温熱作用を利用して発汗を促進させることを目的とした商品であり(使い捨てミニカイロを入れるポケットがついている旨の記載もある)、家庭において用いるいわゆる健康器具の類に属する商品というべきものであって、第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」の範疇に属する商品とは認められないものである。
 そして、他に、上記各商品が「医療用機械器具,治療用機械器具」として取引されていたと認めるに足る証拠は提出されていない。
(4)してみれば、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品「医療用機械器具,治療用機械器具」について使用されていなかったものといわなければならない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「医療用機械器具,治療用機械器具」について取り消すべきものとする。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【結審通知日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【審決日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】小畑 恵一
【特許庁審判官】杉山 和江

(210)【出願番号】商願2003-103109(T2003-103109)
(220)【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
(111)【登録番号】商標登録第4787576号(T4787576)
(151)【登録日】平成16年7月16日(2004.7.16)
(561)【商標の称呼】エステキャップ、キャップ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】大島 勉


取消2007-301546

【管理番号】第1187628号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301546(T2007-301546/J2)
【審判請求日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【確定日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (025)
【請求人】
【氏名又は名称】マーティン ディーン
【住所又は居所】イギリス国 AL1 4XE ハーツ セントアルバンス マーシャルスウィック レーン 114
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 徹男
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】醍醐 邦弘
【被請求人】
【氏名又は名称】シー・ウント・ボギー・ゲゼルシャフト・フュア・モーデフェルトリープス・ミット・ベシュレンクテル・ハフツンク・ウント・コンパニー・ツェアフィース・コマンデイトゲゼルシャフト
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国、ノイス、アウグスティヌスシュトラーセ 26
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正年
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4346333号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4346333号商標の指定商品中、第25類「被服,履物,特殊運動用衣服,特殊運動用靴」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4346333号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【結審通知日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【審決日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【審判長】 【特許庁審判官】中村 謙三
【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小林 由美子

(210)【出願番号】商願平8-108319
(220)【出願日】平成8年9月27日(1996.9.27)
(111)【登録番号】商標登録第4346333号(T4346333)
(151)【登録日】平成11年12月24日(1999.12.24)
(561)【商標の称呼】シー
【最終処分】成立


取消2007-300052

【管理番号】第1187668号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-300052(T2007-300052/J2)
【審判請求日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【確定日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【審決分類】
T131 .1  -Z  (Z09)
【請求人】
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 95014 カリフォルニア州 クパチーノ インフィニット ループ 1
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 厚
【被請求人】
【氏名又は名称】ニュアンス・コミュニケーションズ・インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国、マサチューセッツ州 01803、バーリントン、ウェイサイド・ロード 1
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 義雄
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 俊實
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4323789号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4323789号商標の商標登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4323789号商標(以下「本件商標」という。)は、願書に記載されたとおりの構成よりなり、その指定商品及び登録日は、商標登録原簿記載のとおりである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
 
3 被請求人の答弁
 被請求人は、答弁していない。
 
4 当審の判断
 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
 ところが、本件審判の請求に対し被請求人は、答弁していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【結審通知日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【審決日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願平9-186622
(220)【出願日】平成9年12月18日(1997.12.18)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第4323789号(T4323789)
(151)【登録日】平成11年10月8日(1999.10.8)
(561)【商標の称呼】ページス
【最終処分】成立
【前審関与審査官】冨澤 美加


不服2008-9986

【管理番号】第1187535号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-9986(T2008-9986/J1)
【審判請求日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【確定日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【審決分類】
T18  .13 -Z  (X03)
T18  .272-Z  (X03)
【請求人】
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市生野区巽西1丁目8番1号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】網野 友康
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】初瀬 俊哉
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 茂樹
【事件の表示】
 商願2007-83107拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求は、成り立たない。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「ナチュラル美肌」の文字を標準文字で表してなり、第3類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年7月26日に登録出願されたものである。
 
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『ナチュラル美肌』の文字を標準文字で表示してなるが、指定商品との関係において、『ナチュラル』の文字部分が『自然な』等の意味を、また『美肌』の文字部分が『美しい肌』の意味を想起させることから、本願商標は全体として『自然な美しい肌』等の意味合いを容易に想起させる。そして、『ナチュラル美肌』の文字全体が平成19年11月5日付けで第三者から提出された『刊行物等提出書』添付の『資料1』に示すように、化粧品を取り扱う業界において前記意味合いを表わす語として用いられていることから、本願商標をその指定商品中の『肌用化粧品』(例えば『ファンデーション』等)に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、その商品が『自然な美しい肌にするもの』あるいは『自然な美しい肌に見せるもの』等の意味合いを表示したものと理解するにすぎず、本願商標は、単に商品の品質(内容)、効能を表わしたものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
3 当審の判断
 本願商標は、上記1のとおりの構成よりなるところ、その構成中「ナチュラル」の語は、化粧品等を取り扱う業界においては、例えば、「ナチュラルメイク」の語のように「(素肌感を大切にした)自然な仕上がりの」程度の意味を表わす語として一般的に使用されており、また、「美肌」の語は、「びはだ【美肌】美しい肌。また、肌を美しくすること」(株式会社三省堂発行の大辞林第2版新装版)を意味する語であり、化粧品等を取り扱う業界においても一般的に使用されている語である。
 してみると、本願商標は、全体として、「(素肌感のある)自然な美しい肌」程度の意味合いを看取させるにすぎず、これをその指定商品中「化粧品」に使用するときは、単に「自然な美しい肌に仕上げる商品」といった商品の品質(効能)を表示するにすぎないものと認める。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【結審通知日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【審決日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【審判長】 【特許庁審判官】渡邉 健司
【特許庁審判官】杉山 和江
【特許庁審判官】馬場 秀敏

(210)【出願番号】商願2007-83107(T2007-83107)
(220)【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
(541)【標準文字】
(561)【商標の称呼】ナチュラルビハダ
【最終処分】不成立
【前審関与審査官】鈴木 斎

不服2008-3026

【管理番号】第1187601号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-3026(T2008-3026/J1)
【審判請求日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【確定日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【審決分類】
T18  .262-WY (X25)
T18  .264-WY (X25)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社エーダイニット
【住所又は居所】埼玉県羽生市北1丁目12番33号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
【事件の表示】
 商願2007- 32234拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類に属する「靴下」を指定商品として、平成19年4月3日に登録出願されたものである。
 
2 引用商標
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した商標は、以下のとおりであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4387005号商標(以下「引用商標1」という。)は、「セブンエイト」の文字を標準文字で表してなり、平成11年6月24日登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,失禁用おしめ」を指定商品として、同12年5月26日に設定登録されたものである。
(2)登録第4670235号商標(以下「引用商標2」という。)は、「魔法の靴下」の文字を標準文字で表してなり、平成13年12月11日登録出願、第25類「靴下」を指定商品として、同15年5月9日に設定登録されたものである。  
  
3 当審の判断
(1)本願商標の指定商品と引用商標1の指定商品との類否について
 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの認定、判断は、本願商標の指定商品「靴下」(以下「本願商品」という。)と引用商標1の指定商品中の「失禁用おしめ」(以下「引用1商品」という。)とが類似することが前提となっている。
 しかして、商品の類否の判断は、取引の実情、即ち商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、2つの商品に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものである。
 そこで、本願商品と引用1商品との類否を判断するに、本願商品は「靴を履く時などに足に直接はく衣料」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)であり、他方、引用1商品は尿漏れを受けるための商品であって、紙製のものが主流であり衛生用品として販売されていることが多く、その生産者、原材料、品質、用途、販売場所等において著しく相違し、また、完成品と部品との関係にないことも明らかであるとみられるから、これらの商品が、一般の家庭で日常使用される商品であり、需要者を共通にする場合があるとしても、両者に同一又は類似の商標が使用された場合において、取引上商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。
 よって、本願商品と引用1商品とは互いに類似しない商品といわざるを得ない。
 したがって、本願商標の指定商品と引用商標1の指定商品とは類似する商品であるとした原査定は妥当なものとはいえない。
(2)本願商標と引用商標2との類否について
 本願商標は、別掲のとおり、簡略化した靴下と思しき図形を描き、その図形内には、横書きで「マイナスイオン効果シリーズ」、「『くちゴム』ゆったり」、「セブンエイトの足を冷やさない魔法のくつ下」、「冷え性の人にも最適なあったかくつ下」、「アレルギーの人にも最適な健康くつ下」、「サラッとした快適くつ下」、「かかとカサカサ解消」、「毛玉防止」、「外側素材 毛玉防止糸使用」の文字を書してなるところ、図形部分及び文字部分は、これらを常に一体不可分のものとしてのみ認識しなければならない格別の事情を認め得ないものであるというのが相当である。
 しかして、構成中の文字部分において、中央やや上部に顕著に表された「セブンエイトの足を冷やさない魔法のくつ下」の文字以外の文字部分は、本願指定商品との関係では、商品の品質を表示する語というべきであり、また、「セブンエイトの足を冷やさない魔法のくつ下」の文字中の「の足を冷やさない魔法のくつ下」の部分は、商品についての一種の誇称表示、若しくは、キャッチフレーズとして、それぞれ認識、理解されるものであって、自他商品の識別力が無いか又は極めて弱いものといわざるを得ない。
 そして、簡易迅速性を重んじる取引の実際において、需要者、取引者は、その商品に使用された商標の自他商品の識別機能を有する部分を適宜抽出し、その称呼を簡略化して取引に資する場合のあることは、経験則上明らかなところである。
 そうとすれば、「セブンエイトの足を冷やさない魔法のくつ下」の文字部分においては、「セブンエイト」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると認められるものであるから、前記文字部分において、その全体より生じる称呼以外に生じる称呼は、「セブンエイト」の称呼のみというべきである。
 他方、引用商標2は、「魔法の靴下」の文字を標準文字で表してなり、これよりは「マホウノクツシタ」の称呼を生ずる。
 してみれば、本願商標より「マホウノクツシタ」の称呼をも生ずるとし、その上で、本願商標と引用商標2とが称呼上類似するものとした原査定は妥当なものとはいえない。
(3)まとめ
 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【審判長】 【特許庁審判官】芦葉 松美
【特許庁審判官】酒井 福造
【特許庁審判官】小松 里美

<別掲>
本願商標(色彩については、原本参照。)
 

不服2007-1530

【管理番号】第1187620号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2007-1530(T2007-1530/J1)
【審判請求日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【確定日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【審決分類】
T18  .26 -WY (Y40)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
【住所又は居所】東京都大田区大森北二丁目13番11号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
【事件の表示】
 商願2005-116537拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類「半導体ウェハ,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第40類「半導体ウェハの加工」を指定商品及び指定役務として、平成17年11月30日に登録出願、その後、第9類に属する指定商品については、原審における同18年7月24日付け手続補正書により、全て削除されたものである。
  
2 原査定の拒絶の理由の要点
 本願商標は、別掲2のとおりの構成よりなる登録第4441306号商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似する商標であって、同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
  
3 当審の判断
 本願商標は、別掲1のとおり、太枠で書された横長楕円形図形内に、波線で様式化された花と思しき図形を配し、その図形の右側に、「TAIKO」の欧文字を横書きにしてなるものである。
 そして、構成中の図形部分と「TAIKO」の文字部分とが全体として一体に把握されるとする特段の事情はない。
 してみれば、「TAIKO」の文字部分も独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るというべきである。
 したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「タイコ」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
 他方、引用商標は、別掲2のとおり、頭部を太い棒状のもので横に刺し抜かれた魚様の図形と、その右側に「aikoH」(構成中の「aiko」と「H」は、同じ大きさで書されている。以下同じ。)の欧文字を書してなるものである。
 そして、構成中の魚様の図形と「aikoH」の文字とが全体として一体に把握されるとする特段の事情はない。
 してみれば、「aikoH」の文字部分も独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るというべきである。
 したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「アイコー」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
 そこで、本願商標と引用商標との類否について検討するに、本願商標と引用商標は、それぞれの構成に照らし外観上判然と区別し得る差異を有し、観念上本願商標と引用商標を比較することはできない。
 また、本願商標から生ずる「タイコ」の称呼と、引用商標から生ずる「アイコー」の称呼を比較すると、両者は共に3音で構成され、「イ」「コ」の音を共通にするとしても、語頭における「タ」と「ア」の音を相違し、かつ第3音「コ」における長音の有無に差異を有するものであるから、3音という短い構成にあっては、かかる差異が、両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえない。
 そうとすれば、両者をそれぞれ一連に称呼した場合は、語調、語感が異なり、互いに聞き誤るおそれのないものというのが相当である。
 してみれば、本願商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】小川 きみえ
【特許庁審判官】豊田 純一

別掲1 本願商標(色彩については願書を参照)




 
別掲2 引用商標



  
 
 

(210)【出願番号】商願2005-116537(T2005-116537)

不服2005-14210

【管理番号】第1187646号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2005-14210(T2005-14210/J1)
【審判請求日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【確定日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【審決分類】
T18  .13 -Z  (Y30)
T18  .272-Z  (Y30)
【請求人】
【氏名又は名称】クラシエフーズ株式会社
【住所又は居所】東京都港区海岸3丁目20番20号
【事件の表示】
 商願2004- 86217拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求は、成り立たない。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「ベジィアイス」の片仮名文字と「Veggie ice」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成16年9月17日に登録出願されたものである。
 
2 原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、『Veggie ice』の文字と、その上部にその表音と認められる『ベジィアイス』の文字を普通に書してなるところ、その構成中の『Veggie』『ベジィ』の文字部分は『野菜』等を、『ice』『アイス』の文字部分は『氷菓子』等を、それぞれ意味する語として一般に広く使用されているから、これよりは全体として『野菜を使用したアイス』程度の意味合いを認識させるにすぎず、これを本願指定商品中、例えば『野菜を使用したアイス』等に使用するときは、単に、商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
3 当審における証拠調べ通知
 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲に記載の事実を発見したので、平成20年6月6日付けの証拠調べ通知書により、請求人に対し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。
 
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
 上記3の「証拠調べ通知」に対して、所定の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたところ、請求人からは何らの意見もなかった。
 
5 当審の判断
 本願商標は、上記1のとおり「ベジィアイス」の片仮名文字と「Veggie ice」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるところ、その構成中、「Veggie」、「ベジィ」の文字(語)は、英語「veggie」に由来し、「野菜」(株式会社小学館発行「小学館ランダムハウス英和大辞典」、株式会社研究社発行「研究社新英和大辞典」)を意味しており、また、「アイス」、「ice」の文字(語)は、英語「ice」に由来し、「氷。アイス‐クリーム・アイス‐キャンデーの略。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第6版」)を意味する語として、一般に理解され、認識されているものといえることから、本願商標が、「ベジィ」の文字と「アイス」の文字とを、並びに「Veggie」の文字と「ice」の文字とを、それぞれ結合してなるものと容易に理解し得るものと認められる。
 そして、別掲の第1に記載の各事実によれば、本願指定商品中「アイスクリーム」等を取り扱う業界においては、野菜を原材料に使用するアイスクリーム等の氷菓子が製造販売されていること、並びに、野菜を原材料に使用するアイスクリームを「野菜アイス」「野菜アイスクリーム」と用いていること、さらには、商品「アイスクリーム」に「ベジアイス」の語が使用されていることが認められる。
 そうとすれば、「ベジィアイス」及び「Veggie ice」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中、「野菜を使用したアイス」について使用するときには、取引者、需要者をして、「野菜を原材料に使用したアイス」であることを表示したものであると理解、認識するにとどまるというのが相当であって、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、単に商品の品質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。
 また、本願商標は、その指定商品中「野菜を使用したアイス」以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというのが相当である。
 ところで、請求人は、「本願商標は、『ベジィ』または『Veggie』、『アイス』または『ice』の二つの語を結合して出願人が作り出した造語である。」旨主張している。
 しかしながら、仮に本願商標自体は造語であるとしても、それを構成する各単語の語義、並びに上記の各事実を踏まえてみると、本願商標からは原査定が説示する意味合いを有する複合語として認識されるものであり、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有しないこと、上記のとおりであって、この点につき、請求人の主張は採用することができない。
 あわせて、請求人は、「本願指定商品を取扱う業界において、『ベジィアイス』『Veggie ice』なる語が商品の品質、原材料表示としては言うに及ばず、その他の表示としても普通に使用されている事実はなく、インターネット情報を見ても『ベジィアイス』『Veggie ice』なる語を一連に連綴してなる本願商標と同様の標章の使用例は見当たらず、本願商標は指定商品との関係においても決して商品の品質、原材料を表示するものではない」旨主張している。
 しかしながら、ある商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて争われた裁判(平成12年(行ケ)第76号 東京高等裁判所 平成12年9月4日判決言渡)の判決を見てみると、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべき」と判示しているところである。
 してみれば、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され、把握され得るかによって判断されなければならないというべきであり、本願商標からは、「野菜を使用したアイス」の意味合いを容易に看取されることは上記のとおりであるから、請求人のこの主張も採用することができない。
 さらに、請求人は、「Veggie」、「ベジィ」、あるいは、「アイス」、「ice」の文字(語)を結合した登録商標を引用して本願商標が登録要件を具有するものである旨主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は,各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、この点についても、請求人の主張は、採用することができない。
 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【結審通知日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【審決日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】小畑 恵一
【特許庁審判官】杉本 克治
別掲(「証拠調べ通知」の内容)
第1 本願商標を構成する「ベジィアイス」の片仮名文字と「Veggie ice」の欧文字に関して、書籍、新聞記事、及び、インターネット上のウエブページの検索結果によれば、次の事実が認められる。
1 本願商標は、「ベジィアイス」の片仮名文字と「Veggie ice」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるところ、その構成中、「Veggie」、「ベジィ」の文字(語)は、英語「veggie」に由来し、「野菜」(株式会社小学館発行「小学館ランダムハウス英和大辞典」、株式会社研究社発行「研究社新英和大辞典」)を意味する語であること、また、同構成中「アイス」、「ice」の文字(語)は、英語「ice」に由来し、「氷。アイス‐クリーム・アイス‐キャンデーの略。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第6版」)を意味する外来語であること。
2 本願指定商品「菓子及びパン」には、「アイスクリーム,アイスキャンディー」等が含まれているところ、該商品を取り扱う業界においては、野菜を原材料として使用したアイスが、一般に製造・販売されている実情が、以下の(ア)ないし(サ)に掲げる新聞記事、及びインターネット上のウェブサイトの記事の記載において認められる。
(ア)2004年7月8日付け読売新聞東京版朝刊30ページには、「[プロに聞く・彩の国流行事情]アイスクリーム 多彩なメニューが登場=埼玉」と題する記事中、「妻沼町弥藤吾、『道の駅めぬま』にある地域振興施設『めぬぱる』二階のレストラン『サラダ館』では、地元の特産品の大和芋やニンジンなどを使ったアイスクリームが売られている。」との記載がある。
(イ)2004年8月24日付け朝日新聞大阪地方版京都 29ページには、「京野菜がアイスに 仏料理店が考案/京都」と題する記事中、「京野菜として知られる万願寺とうがらしや賀茂なすが、カップ入りのアイスクリームになった」との記載がある。
(ウ)2005年5月12日付け読売新聞東京版朝刊28ページには、「[食在東京]野菜アイス『グリーンベル』 さっぱり、自然の冷たさ」と題する記事中、「ニンジン、ショウガ、レンコン、モロヘイヤ……。ショーケースに野菜の名前がずらり。だが、並ぶのは色とりどりのアイスだ。」、「台東区浅草の『グリーンベル』は、野菜を使った手作りのアイスクリームの販売店。」、「同店のショーケースに常に並ぶのは14種類。野菜のほか、イチゴやバナナなどの果物、ビールやほうじ茶、納豆なども原料とする。」、「〈野菜アイス〉野菜を煮たり煎(い)ったり、蒸したりして下ごしらえをし、主に牛乳と卵、三温糖を加える。」との記載がある。
(エ)2005年6月30日付け読売新聞東京版朝刊32ページには、「[The食]野菜アイス 野菜の風味生かす40種類の商品開発=茨城」と題する記事中、「かすみがうら市戸崎原の『北斗の会』が製造販売する『野菜アイス』が口コミで評判を呼び、全国各地から注文が舞い込んでいる。人気の紫いもはじめ、ソラマメやブルーベリー、黒ゴマ、ニンジン、レンコンまで各種野菜の風味を生かしたアイスクリームは40種類を超える。」との記載がある。
(オ)2006年8月10日付け日本農業新聞12ページには、「[一村逸品]BOSS&MOMアイスクリーム/兵庫・三木市 合計60種類の味」と題する記事中、「朝搾りのミルクと旬の野菜、果物を原料に作るアイスクリームは60種類以上もある。」との記載がある。
(カ)2007年3月30日付け日本食糧新聞には、「『野菜のアイス いちごタイプ』発売(セイヒョー)」と題する記事中、「◆会社名=セイヒョー(新潟県新潟市、025・386・9988)◆商品特徴=ラクトアイス。『野菜のデザート』シリーズ新ラインアップ。野菜成分を30%含んでいる。アイスクリーム部分に使用している野菜はニンジン、セロリ、赤ダイコン、ホウレン草、レタス、玉ネギ、パセリの7種類。」との記載がある。
(キ)2007年5月2日付け日本農業新聞40ページには、「地場産素材のアイスが人気 ハトムギ、野菜味など20種/栃木・小山市の酪農家女性」と題する記事中、「栃木県小山市の酪農家の女性5人で運営する『アイス工房カウベル』のアイスクリームが好評だ。休日には順番を待つ列ができるほどの盛況ぶり。保存料や添加物を使わず、県産生乳と市内で栽培したハトムギ、野菜を使い、ここでしか味わえない逸品となっている。」、「アイスクリームに使う素材は県産生乳と、道の駅で販売する野菜。ホウレンソウ味、モロヘイヤ味など20種類ほどが店に並ぶ。」及び「野菜を使った商品も、最初のうちはスタッフが思い描く味が出せなかった。そこでアイスクリームの甘さを抑え、野菜のうまみと色を引き出すように工夫を重ねている。」との記載がある。
(ク)有限会社ほしの「アイス処『あったか屋☆ほし』」のウェブページ中、「アイスクリーム販売の種類一覧」(http://www.via-lactea.jp/ice-itiran.htm)には、「いちごアイス」「かぼちゃアイス」「小倉アイス」「バニラアイス」「チョコレートアイス」「抹茶アイス」等の記載がある。
(ケ)社団法人日本アイスクリーム協会のウェブページ中、「アイスクリームの作り方 和風素材のアイスクリーム」(http://www.icecream.or.jp/cooking/make04.html)には、「あずきのアイスクリーム、抹茶のアイスクリーム、しょうがのアイスクリーム、さつまいものアイスクリーム、ごまのアイスクリーム、ライス(米)のアイスクリーム」との記載がある。
(コ)有限会社雪和商事が運営する「アイス天国」のウェブページ中、「選べる野菜アイスクリームセット」(http://www.ice-tengoku.com/syohin/hoku001.html)には、「自家生産の野菜を中心に牛乳、砂糖などこだわりの原料で製造したアイスです。香料や着色料、保存料を使用しないため自然な野菜の色や風味が生きています。」との記載がある。
(サ)野菜アイス北斗の会のウェブページ中、「バラエティセット12個入り」(http://hokuto.hs.shopserve.jp/SHOP/57.html)には、「野菜アイスのバラエティセット!!」との記載、及び、「野菜アイス」との表示が容器にされている画像(http://hokuto.hs.shopserve.jp//pic-labo/llimg/set-12-01.jpg)がある。
3 本願指定商品を取り扱う食品業界において、「ベジィアイス」または「Veggie ice」の文字(語)と同義のものと認められるとともに、称呼においても明確な差を有しない「ベジアイス」の文字(語)が、一般に使用されている実情が、以下の(ア)ないし(エ)に掲げる新聞記事、及びインターネット上のウェブサイトの記事の記載において認められる。
(ア)2005年10月3日付け外食レストラン新聞には、「必見必試の商品開発:長沼あいす『ルバーブアイス』」と題する記事中、「今年4月、パイ生地の中にアイスクリームを入れた『パリパリベジアイス』をローソンとタイアップ発売して大ヒットしました。この中身であるルバーブアイスを業務用製品として売り出すと聞きますが。山口 パリパリベジアイスは、人気テレビ番組の企画で、『野菜を使ったアイスクリームを作ってほしい』と依頼されたのがきっかけで誕生しました。」及び「ルバーブは、別名『西洋フキ』と呼ばれる多年草で、春と秋に収穫されます。」との記載がある。
(イ)株式会社エコホリスティックの「ママンテラス」のウェブページ中、「リトルママンメニュー スイーツ」(http://www.maman.jp/littlemaman/menu.html#sweets)には、「ドリンクセット ショーケースの中からお好きなケーキ1つ+ベジアイス+フルーツソース+フルーツカット+ドリンク」との記載がある。
(ウ)stmxソーシャルマーケットプレイスのウェブページ中、株式会社ジャパン永聯が運営する「ハッピーマーケット RaiRai」には、「マクロビオティックリセット食 スペシャルセット」(http://www.store-mix.com/ko-bai/product.php?pid=694394)として、「ベジアイス 乳製品・卵・砂糖を使用せず豆乳に米飴とメープルで甘味をつけた100%ベジタブルなヘルシーアイス。」との記載がある。
(エ)Yahoo!ショッピングのウェブページ中、株式会社日緑が運営する「エンジョイライフヤフー店」には、「送料無料!マクロビオティックリセット【ダイエット】」(http://store.shopping.yahoo.co.jp/ippuku/bb7540.html#)として、「ベジアイス 乳製品・卵・砂糖を使用せず豆乳に米飴とメープルで甘味をつけた100%ベジタブルなヘルシーアイス。」との記載がある。
第2 上記第1に記載の各事実によれば、本願指定商品中「アイスクリーム」等を取り扱う業界においては、野菜を原材料に使用するアイスクリーム等の氷菓子が製造販売されていること、並びに、野菜を原材料に使用するアイスクリームを「野菜アイス」「野菜アイスクリーム」と用いていること、さらには、商品「アイスクリーム」に「ベジアイス」の語が使用されていることが認められる。
 そうすると、「ベジィアイス」及び「Veggie ice」の文字からなる本願商標を、その指定商品中、「野菜を使用したアイス」について使用するときには、これに接する需要者は、上記実情からして、「野菜を原材料に使用したアイス」であることを表示したものであると理解、認識するにとどまるというのが相当であって、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、単に商品の品質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。
 また、本願商標は、その指定商品中「野菜を使用したアイス」以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
 
 

(210)【出願番号】商願2004-86217(T2004-86217)
(220)【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
(561)【商標の称呼】ベジイアイス、ベジーアイス、ベジイ、ベジー
【最終処分】不成立
【前審関与審査官】稲村 秀子

異議2008-900229

【管理番号】第1187731号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標決定公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】異議の決定
【異議申立番号】異議2008-900229(T2008-900229/J7)
【異議申立日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【確定日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【審決分類】
T1651.03 -X  (X34)
【異議申立件数】1
(732)【権利者】
【氏名又は名称】ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ブランズ)インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 デラウェア州 19808,ウィルミントン,スウィート 300,センターヴィル ロード 2711
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 健一
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 登
【異議申立人】
【氏名又は名称】フィリップ モリス プロダクツ エス アー
【住所又は居所】スイス国 2000 ヌーシャテル ケ ジャンルノー 3
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 佳基
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 広己
【事件の表示】
 登録第5115664号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
【結 論】
 本件登録異議の申立てを却下する。
【理 由】
 本件登録第5115664号商標(以下「本件商標」という。)は、平成20年2月29日に設定登録がなされ、同年4月2日発行の商標登録公報に掲載されたものである。
 本件商標に対する商標登録異議申立書は、申立の理由について「本件登録第5115664号商標は商標法第4条第1項第11号及び第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。なお、詳細な理由及び証拠は追って補充する。」と記載されているものであるが、その後、商標法第43条の4第2項において規定された期間内に、何ら詳細な理由の補充をしていない。
 してみれば、本件商標登録異議の申立書には、申立ての理由及び必要な証拠が実質的に審理できる程度に示されていないので、本件商標登録異議の申立ては、不適法な申立てであって、その補正をすることができないものである。
 したがって、本件商標登録異議の申立ては、商標法第43条の14の規定により準用する特許法第135条の規定によって却下すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。
【異議決定日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願2007-58916(T2007-58916)
(220)【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
(111)【登録番号】商標登録第5115664号(T5115664)
(151)【登録日】平成20年2月29日(2008.2.29)
(561)【商標の称呼】
【最終処分】決定却下
【前審関与審査官】今田 三男