2009年2月9日月曜日

取消2007-301103

【管理番号】第1189073号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301103(T2007-301103/J2)
【審判請求日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【確定日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【審決分類】
T132 .1  -Y  (035)
【請求人】
【氏名又は名称】テクニカル、エイド、クリスタル、インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国マサチューセッツ州、デッドハム、ワシントン ストリート、888
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 雅志
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 信
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 和浩
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】宇梶 暁貴
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
【被請求人】
【氏名又は名称】TAC株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区三崎町3丁目2番18号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】名越 秀夫
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第3326841号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求は、成り立たない。
 審判費用は、請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第3326841号商標(以下「本件商標」という。)は、赤色で着色された「TAC」の文字を横書きし、その下部に青色のアンダーラインを付した構成からなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年7月9日に登録出願され、第35類「経営管理者のあっせん,筆耕,タイプライターの操作,ワードプロセッサーの操作,文書又は磁気テープのファイリング,来訪者の受付及び案内,秘書,経営の診断及び指導」を指定役務とし、特例商標として平成9年6月27日に設定登録され、その後、平成19年2月13日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
  
2 請求人の主張の要点
 請求人は、本件商標の指定役務中「経営管理者のあっせん,経営の診断及び指導」の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べている。
 本件商標は、請求人の調査した限りにおいては、少なくとも、本件審判の請求前3年以内に日本国内において、その指定役務中「経営管理者のあっせん,経営の診断及び指導」のいずれにも使用されていないことが判明した。
 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定役務中「経営管理者のあっせん,経営の診断及び指導」の登録を取消すべきものである。
  
3 被請求人の答弁の要点
 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第16号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)被請求人は、1980年の創業以来、公認会計士試験の受験教育を中心に発展し、その後、広く個人教育、法人研修事業、出版、その他の事業を行うに至っている。被請求人の現在売上高は、連結ベースで年200億円に達しており、東証一部に上場していて業界はもちろん世間一般にも著名な存在となっている(乙第1及び第2号証)。
 この被請求人の100%子会社に株式会社TACプロフェッションバンクがあり、この年間売上高は約6億円に達し、人材紹介会社としては公認会計士に特化した存在として、世間に広く知られている(乙第2号証)。
 このように「TAC」というブランド名はTAC株式会社の社名及びTACグループの名称として最も重要な名称であり、かつ著名な名称として保護されるべきものである。
(2)被請求人は、本件商標の商標権者であり、本件商標を本件審判の請求の予告登録日である平成19年9月13日(平成19年9月11日は誤記と認める。)より3年以前までの間、以下のように「経営管理者のあっせん、経営の診断及び指導」のサービスを表す商標として使用してきた。
 よって、本件審判の請求は成り立たない。
(3)「経営管理者のあっせん」について
(ア)被請求人は、被請求人の100%子会社である株式会社TACプロフェッションバンク(以下「通常使用権者」という )に対し、本件商標の使用を許諾している(乙第3号証)。通常使用権者は、有料職業紹介事業者であり(乙第4号証)、その業務は、「会計士・税理士・米国公認会計士・不動産鑑定士などの有資格者」などを「会計・税務・財務・総務・人事」などの業務にあっせんするものである(乙第2号証)。これらの者は、資格者として当然それぞれの分野のトップクラスに任命される事を予定しているので、通常使用権者は、本件指定役務である「経営管理者のあっせん」の業務を行っていることになる。
(イ)そして、通常使用権者は、本件商標を下記のような態様でこの「経営管理者のあっせん」の業務に使用している。
・「会社案内」(2007年2月7日発行:乙第2号証の1及び2)
 (使用目的)会社案内として人材紹介業務に常時使用
・広告、「会計・監査ジャーナル」(平成19年5月号ないし9月号:乙第5号証の1ないし5)
 (使用目的)公認会計士のあっせん
・広告、「日本経済新聞」(2007年3月25日号及び同年4月1日号:乙第6号証の1ないし3)                  
 (使用目的)公認会計士のあっせん
・広告、「JICPAジャーナル」(2006年1月号:乙第7号証)
 (使用目的)公認会計士のあっせん
・「業務案内」(2007年8月10日発行:乙第8号証の1及び2)
 (使用目的)業務案内として人材紹介業務に常時使用
・「就職情報」(関東版及び関西版)(2007年7月10日発行:乙第9号証の1及び2並びに乙第10号証の1及び2)
 (使用目的)適職紹介
(ウ)なお、上記商標の表示は、「TAC」であり、本件商標とは下線がない点で異なるが、なお、「社会通念上同一と認められる商標」に入るものである。また、他の文字や図形が存在したとしても同様である。
(4)「経営の診断及び指導」について
(ア)被請求人は、自ら「経営の診断及び指導」を行っている。即ち、「経営」とは、「継続的・計画的に事業を遂行すること。」とされている(乙第11号証)。
 この企業の「事業」には、企画・製造・営業などはもちろん、会計・法務・人事などのいわゆる管理部門も含まれる。そしてこの人事部門には、人事・労務・教育など人の能力の評価、向上などの業務がある。このうち社員教育を直接行うのは第41類「技術・スポーツ又は知識の教授」(41A01)に当たるが、どのような社内教育を行うかの調査・企画は、教育ではなく、社内教育政策であり、経営の一部に他ならない。このことは、この業務を掌管するのが教育家ではなく人事部である事から明らかである。したがって、このような経営にとってどのような社内教育政策を行うのが有効であるかを診断・指導する業務は「経営の診断及び指導」業務に他ならない。
 被請求人は、このような社内教育政策の立案について、教育そのものとは別に独立して有償でコンサルティングを行っている(乙第12及び第14号証)ので、本件商標の指定役務である「経営の診断及び指導」の業務を行っているといえる。
(イ)そして、被請求人は、本件商標を下記のような態様で、この「経営の診断及び指導」の業務に使用している。
・「会社案内」(2007年6月13日発行:乙第1号証の1及び2)
 (使用目的)会社案内として業務全般に常時使用(なお、「経営の診断及び指導」の部分は、P21「カスタムメイドの資格取得・実務研修プログラム」及びP22「ビジネススクール」の「各種の研修・セミナー・コンサルティング」として言及されている。)
・「御見積書」(平成18年8月28日:乙第15号証)
 (使用目的)クライアントへの見積書
・「封筒」(2007年11月15日、No.805-0980-1017-18:乙第16号証の1及び2)
 (使用目的)経営の診断及び指導を含む業務全般に常時使用している
(ウ)表示された商標の態様については、上記(3)(ウ)のとおりである。
  
4 当審の判断
 被請求人の提出に係る乙第1ないし第16号証(枝番を含む。)によれば、本件商標は、請求に係る指定役務中の「経営管理者のあっせん」については通常使用権者によって、同じく「経営の診断及び指導」については被請求人自らによって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたものと認められる。
 一方、請求人は上記3の答弁に対し、何ら弁駁していない。
 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定役務についての登録を取り消すべき限りでない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【結審通知日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【審決日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【審判長】 【特許庁審判官】井岡 賢一
【特許庁審判官】佐藤 達夫
【特許庁審判官】小川 きみえ

(210)【出願番号】商願平4-136668
(220)【出願日】平成4年7月9日(1992.7.9)
(260)【公告番号】商公平9-2001
(442)【公告日】平成9年1月10日(1997.1.10)
(111)【登録番号】商標登録第3326841号(T3326841)
(151)【登録日】平成9年6月27日(1997.6.27)
(561)【商標の称呼】タック、テイエイシイ
【最終処分】不成立

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