2009年2月9日月曜日

異議2008-900157

【管理番号】第1189232号
【総通号数】第109号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標決定公報
【発行日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【種別】異議の決定
【異議申立番号】異議2008-900157(T2008-900157/J7)
【異議申立日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【確定日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【審決分類】
T1651.261-Y  (42)
T1651.262-Y  (42)
【異議申立件数】1
(732)【権利者】
【氏名又は名称】石濱 哲信
【住所又は居所】茨城県取手市新町5-7-11
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正次
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
【異議申立人】
【氏名又は名称】ユビコム インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国カリフォルニア州94085―3520,サニーベイル,ノース・パストリア・アベニュー・510
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
【事件の表示】
 登録第5102883号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
【結 論】
 登録第5102883号商標の登録を維持する。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第5102883号商標(以下「本件商標」という。)は、「UBCOM」の欧文字を横書きしてなり、平成18年11月17日に登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同20年1月11日に設定登録されたものである。
  
2 引用商標
 引用登録第4561608号商標(以下「引用商標」という。)は、「UBICOM」の欧文字を標準文字で表してなり、2000年(平成12年)12月22日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成13年2月14日に登録出願、第9類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同14年4月19日に設定登録されたものである。
  
3 登録異議の申立ての理由
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下のように登録異議の申立ての理由を要旨述べて、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきであると申立て、証拠方法として甲第1ないし第4号証を提出した。
(1)称呼上の類似性について
 本件商標からは、「ユービーコム」の称呼を生ずる他、「ユビコム」の称呼をも生ずると考えるべきである。
 実際の取引においても、「UBCOM」から「ユビコム」という称呼が生じる(甲第2及び第3号証)。
 これに対し、引用商標からは、「ユビコム」の称呼を生ずること明らかであるから、本件商標と引用商標とは称呼上類似するものである。
(2)外観上の類似性について
 本件商標と引用商標は、欧文字「B」と「C」の間に「I」を含むか否かにおいてのみ相違し、その文字は一本の線が上下に伸びるだけであって横幅が極めて狭い文字であるため、両商標に接する需要者は、「I」の文字の有無について認識できずに見落とすことも多いものと考える。
 また、引用商標「UBICOM」において、「I」の文字は先行する「B」の文字の母音を構成するため、際立った称呼を発生させる文字として機能せず、同商標に接する需要者にとって極めて印象の薄い文字である。
 故に、商標全体として観察した場合には、「UBCOM」と「UBICOM」とは外観上近似する類似の商標として需要者に認識される。
(3)指定役務等の同一又は類似性について
 本件商標の指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機用プログラムの提供」は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものである。
 
4 当審の判断
(1)称呼上の類似性について
 本件商標は、「UBCOM」の欧文字よりなるところ、その綴りからは特定の意味合いが生じるとの点を見出せないから、全体として不可分一体の造語よりなるものであって、構成文字全体に相応して生じるものとみられる「ユービーコム」の称呼をもって、常に取引に資されるものとみるのが自然である。
 他方、引用商標は、「UBICOM」の欧文字よりなるものであるから、該構成文字に相応して「ウビコム」又は「ユビコム」の称呼を生じるものと認められる。
 そこで、本件商標より生じる「ユービーコム」の称呼と、引用商標より生じる「ウビコム」又は「ユビコム」の称呼を比較するに、両者は、その構成音数が6音(2つの長音を含む)と4音という比較的短い音構成からなるうえに、称呼における識別上重要な要素を占める前半部において2カ所の長音の有無という音の配列等において明確な差違を有し、それぞれを一連に称呼しても彼此聞き誤り互いに相紛れるおそれはないものといわなければならない。
 この点を申立人は、「UBCOM」の欧文字が造語である限りは様々な読み方が可能であり、「ユビコム」という称呼も生じるとし、また、商標権者に関連するというところのウェブページ(甲第2及び第3号証)を提出し、実際の取引においても、「UBCOM」から「ユビコム」という称呼が生じる旨述べている。
 確かに、該ウェブページには「UBCOM(ユビコム)」などの記載を認めることはできる。
 しかし、「(ユビコム)」の付記的表示を無くして「UBCOM」の欧文字から「ユビコム」という称呼が生じるとは認め難く、かつ、本件商標の指定役務についての需要者の間において、該ウェブページのみをもって、その情報自体が浸透してその認識の下により商取引されるものということは困難であるから、これらを前提に本件商標と引用商標との称呼類似を述べる申立人の主張は妥当でなく、採用し得ない。
(2)外観及び観念上の類似性について
 また、本件商標と引用商標は、前者が欧文字「UBCOM」とする5文字構成であるのに対し、後者が欧文字「UBICOM」とする6文字構成であって、両者共に、それぞれを記憶し印象することに難があるという程の文字数や綴り構成ではなく、これを離隔的に考察した場合でも、両者の差異である「I」の文字の有無は容易に認識できるものであって、外観においては判然と区別し得る別異の商標であるということができる。
 この点を申立人は、「I」の文字が一本の線で上下に伸びるだけであって、横幅が極めて狭い文字であるため、両商標に接する需要者は、「I」の文字の有無について認識できずに見落とすことも多い旨述べている。
 確かに、「I」の字形にあって、申立人がいうように横幅が狭い単純な字形との点は否定できない。
 しかし、文字を羅列した場合に横幅が狭いことによって左右の文字間に多くのスペースが設けられ、むしろ、他の文字に比して際立つということもでき、当該綴り構成において「I」の文字の存在が無視されるような実情があると認めることはできない。その他、述べる申立人の主張は、単に自己事情を述べるに止まるものであって妥当でなく、採用の限りでない。
 さらに、観念上においては、本件商標と引用商標ともにその欧文字綴りからは特定の意味合いが生じ得ない造語であって比較すべくもないものである。
(3)まとめ
 以上のとおり、本件商標と引用商標は、その指定役務の類否について判断するまでもなく、外観、称呼及び観念のいずれの点からしても非類似の商標といえるものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づいて、その登録を維持すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。
【異議決定日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【審判長】 【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小林 由美子
【特許庁審判官】久我 敬史

(210)【出願番号】商願2006-107254(T2006-107254)
(220)【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
(111)【登録番号】商標登録第5102883号(T5102883)
(151)【登録日】平成20年1月11日(2008.1.11)
(561)【商標の称呼】ユウビイコム
【最終処分】維持
【前審関与審査官】滝口 裕子、堀内 真一


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