2009年1月9日金曜日

取消2006-31509

【管理番号】第1187497号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2006-31509(T2006-31509/J2)
【審判請求日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【確定日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (103)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社薫寿堂
【住所又は居所】兵庫県淡路市多賀1255番地1
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 邦彦
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
【被請求人】
【氏名又は名称】株式会社北一
【住所又は居所】北海道北広島市高台町5丁目8番地4号
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第2673331号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第2673331号商標の指定商品中「薫料」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
第1 本件商標
 本件登録第2673331号商標(以下「本件商標」という。)は、「緑の香り」の文字を横書きしてなり、平成3年10月24日に登録出願、第4類「植物性天然香料、その他本類に属する商品」を指定商品として、同6年6月29日に設定登録、その後、同16年8月3日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、同17年5月18日に第3類「植物性天然香料,調合香料,精油からなる食品香料,せっけん類,薫料,化粧水,その他の化粧品」とする書換登録がされたものである。
 
第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
 なお、後述「第4 当審の判断 1 請求の趣旨について」のとおり、請求人は、請求の趣旨の「その指定商品中『薫料及びこれに類似する商品』」と表示していたところ、審尋に対して、これを「その指定商品中『薫料』」と補正した。したがって、本件審判請求書の「5 請求の趣旨」中に記載の「薫料及びこれに類似する商品」の記載を、以下「薫料」として取り扱う。
2 請求の理由
 本件商標をその指定商品中「薫料」について継続して3年以上日本国内において使用していない。
 また、本件商標については専用使用権者若しくは通常使用権者の登録もなく(甲第1号証)、その他何らかの使用権者によって「薫料」に使用された事実もない。
 よって、本件商標は「薫料」について商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
3 第1答弁に対する弁駁
(1)被請求人は提出する乙第1号証ないし乙第3号証をもって指定商品「におい袋」において本件商標を使用したものと主張しているが、被請求人が写真をもって示している商品は類似商品・役務審査基準において「薫料」に属するものとして例示されている「におい袋」ではなく、それに類似する商品でもない。
 すなわち薫料に例示される「におい袋」とは甲第4号証として提出する辞典「広辞苑」の「においぶくろ(匂袋)」の項に「丁子・麝香・竜脳・白檀などの香料を入れた袋。携帯用・室内用がある。」と記載されているように、概ね布製の袋に、丁子・麝香・竜脳・白檀のような芳香を発する天然香料物を収容し、収容した香料の香りが自然に発散するようにした物品であり、これを着衣中に忍ばせることにより、芳香が自然に漂い出るようにする目的で使用したり、室内に置いて、その香りを部屋内に自然に漂わせる目的で使用するものである。
 これに対し、被請求人が「におい袋」として撮影した商品は、「不織布製と目される袋に植物の葉を収容したもの」であり、その包装用袋の「ご使用方法」において「浴槽に1袋をパックのままお入れ下さい。」、「70℃以上の熱湯に入れるか長時間浸して下さい。」、「パックを揉みほぐし、緑葉の成分を抽出して下さい。」、「香気を楽しみ、時間をかけて御入浴下さい。」、「本品は浴用です。食用としての御使用はさけて下さい。」と記されているように、浴槽に入れて浴湯にその香りや成分を抽出させ、入浴時にその香りを楽しんだり、抽出成分による何らかの効果を期待して使用するものであって、その商品形態や使用方法を総合して勘案すると「浴剤」若しくは「浴用香料」とでもいうべきものであり、明らかに「におい袋」の範疇に属するものではない。
 すなわち、被請求人が写真によって示した商品は「薫料」における例示商品として挙げられた「におい袋」でも、それに類似する商品でもなく、この証拠をもっては請求人が取消しを求める「薫料」について使用したことを証明したことにはならないものと思料する。
(2)次に被請求人は乙第4号証ないし乙第10号証の領収書(控)のコピーをもって、本件審判の請求の登録前3年以内に、請求人が取消しを求める指定商品「薫料」について取引があったことを証明するとしているものであるが、前記のごとく、被請求人が使用証拠として示す商品そのものが、請求人が取消しを求める指定商品に該当せず、取消しを求める指定商品に取引があったことを証明する証拠とはなり得ないものである。
 なお、万に一つ、被請求人が使用証拠として示す商品が請求人が取消しを求める指定商品に該当すると認定されるものであるとしても、乙第4号証ないし乙第10号証をもっては、本件審判の請求の登録前3年以内に取引があったことを証明する証拠としては採用し得ないものであると考える。
 すなわち、被請求人が乙第4号証ないし乙第10号証として提出する領収書(控)のコピーには「入金先」「但」「入金日」「発行元としての住所・名称のゴム印」等が表示され、その下方には取引があったことを証するとの文言と証明者の住所・氏名等が記載されているものであるが、この領収書フォームは市販されている既成品であり、このような領収書はいつでも記入して作成することが可能なものであって、本件審判の請求の登録前に厳然とあったことを信じるに足るものではない。
 これを証拠として採用するためにはその入金日として記載されている日にその取引があったことを証する伝票・帳簿類その他の取引書類等が示されて然るべきであると思われるが、そのようなものは全く提示されておらず、これらの乙号各証のみではその記載日に取引のあった確かな証拠とはなり得ていない。
 更に入金先として記載された苗字の人物と証明者として署名・捺印した人物とが同一人物であることを結びつけるに足る証拠類が全く示されておらず、被請求人は何をもってこれら領収書(控)に記載の人物をこの署名・捺印した人物と特定したかについて、それを信じるに足る筋道立った説明が全くなされていない。
 よって、その記載された文言並びに署名・捺印をもってその領収書(控)に示された取引があったことを証する証拠としては採用し得ないものである。
4 第2答弁に対する弁駁
(1)被請求人はこのたび提出した乙第11号証ないし乙第14号証をもって、指定商品「薫料」に属するものとして例示された「吸香」又は「薫香」において本件商標を使用したものと主張しているが、被請求人が使用したとして示している商品は「吸香」又は「薫香」に該当するものではなく、それに類似する商品でもない。
 先ず「吸香」について述べれば、この「吸香」の文字は広辞苑その他の国語辞典や漢和辞典にあたっても全く掲載例が見られず、更には、各種検索エンジンによるインターネット検索においても的確な検出がなされないものである。
 よって、実質的にいかなる物を指すかは推定するしかないものであるが、その文字から素直に解釈すれば「鼻から吸い込んで香りを楽しむ香」であると考えられるものである。
 香として販売されるものは当然ながら何らかの香りを有しており、よって全ての香類は吸香といえるかも知れないものではあるにしても、その商品が吸香というものの範疇に入るものであると認識されるためには、その商品に吸香であるとの表示が明瞭になされていなければならないか、又は、その商品形態及び用途が吸香、即ち鼻から吸い込んで香りを楽しむ香として納得できる形態及び用途を有していなければならないものであると思料する。
 しかしながら、被請求人が使用したとして提示する商品には吸香であるとの表示はなく、「本品は浴用です。食用としての御使用はさけて下さい。」と表示されていることから考えて、その用途は「鼻から吸い込んで香りを楽しむ香」として納得できるものではなく、商品形態を併せて考慮しても、該商品が吸香又はそれに類似する商品であるとは全く認め難いものである。
 次いで「薫香」について述べれば、薫香とは被請求人が乙第12号証にて提示する辞書定義に見られるとおり「香料を使ってつくり、くゆらせてよいにおいを出させるもの」「たきもの」である。
 すなわち、薫香とは「くゆらせるもの」「たきもの」であり、言い換えれば「火をつけてくすぶらせて香りを立たせるもの」である。
 しかしながら、被請求人が使用証拠として提示する商品にはすでに言及したとおり「本品は浴用です。」と表示されているものであって、「くゆらせて使用する」ことは全く記載されておらず、薫香として使用することを目的とされている商品とは認め難いものである。
 なお、被請求人が新たに提出している乙第11号証は被請求人とはなんら関係のない他人の商品に関するものであり、被請求人の商品とはその構成、用途等が全く異なっており、乙第12号証と合わせてもってしても、被請求人の商品が主張のごとく「吸香」又は「薫香」であることを証明する証拠とはなり得ないものである。
(2)次に被請求人は乙第13号証及び乙第14号証にて新たに「のれん」の取引があったことを示しているが、これは「緑の香り」と一部に染め抜かれている「のれん」の取引があったことを示しているのみであり、被請求人が過去に提出した各乙号証と併せて総合的に考察したとしても、本件審判の請求の登録前3年以内に請求人が取消しを求める指定商品「薫料」について取引があったことを証明する証拠とはなり得ないものである。
(3)結論
 以上に示すとおり、被請求人の提示する証拠をもっては、請求人が取消しを求める指定商品「薫料」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用したことを証明したとはいえないものであり、その登録の取消しを免れ得ないものである。
 
第3 被請求人の答弁
1 答弁の趣旨
 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
2 答弁の理由
(1)本件商標の商標権者である「株式会社北一」は、本件審判の請求の登録日前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中「薫料」について、本件商標を使用している。ただし商品の特性から個人販売・現金販売を主としている。
(2)本件商標の使用の事実
 ア 本件商標の使用者
 乙第1号証「商品の外袋」、ないし乙第3号証「商品を入れる大袋」に示すように、本件商標権者である「株式会社北一」、「北海道北広島市高台町5丁目8番地4号」が本件商標を使用している。
 イ 使用に係る商品
 乙第2号証は指定商品、薫料(におい袋)を封入して使用している。
 ウ 使用に係る商標
 乙第1号証ないし乙第3号証、には本件商標である「緑の香り」が記載されている。
 エ 使用時期
 乙第4号証「領収証(控)」には「発行期日 平成18年4月1日」と記載されている。なお、お得意様より購入証明を頂いて添付(写し)しました。乙第5号証「領収証(控)」には「発行期日 平成18年4月1日」と記載されている。お得意様購入証明添付(写し)。乙第6号証「領収証(控)」には「発行期日 平成18年4月4日」と記載されている。お得意様購入証明添付(写し)。乙第7号証「領収証(控)」には「発行期日 平成18年4月4日」と記載されている。お得意様購入証明添付(写し)。乙第8号証「領収証(控)」には「発行期日 平成18年4月24日」と記載されている。お得意様購入証明添付(写し)。乙第9号証「領収証(控)」には「発行期日 平成18年4月25日」と記載されている。お得意様購入証明添付(写し)。乙第10号証「領収証(控)」には「発行期日 平成18年5月9日」と記載されている。お得意様購入証明添付(写し)。
(3)むすび
 以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により指定商品中「薫料」について使用していることが明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求める。
3 弁駁に対する第2答弁 
(1)本件商標については、指定商品「薫料」において登録許可を受けており、「におい袋」において許可を得たものではない。辞典「広辞苑」で「におい袋」の説明を取り上げ、布製であり不織布とは異なること、その収容物において「白檀の天然香料物」であり「天然植物」では「におい袋」の範疇に属しない、とは狭義の解釈と受け取るが、そのことについて争うつもりは無い。
 本件の「緑の香り」の製品は、その名前のとおり、植物の葉を「袋」につめ、その緑の香りを楽しみ、精神的リラックスなどを期待するものとして作られた物であり、吸香・薫香商品である。
 吸香商品に関するインターネット検索資料(乙第11号証)、薫香に関する国語・新語辞書(乙第12号証)添付。
 薫料では外部からの力や加熱によって薫香をより発することが一般的であり、本件の商品においても同一の考え方に基づく物である。入浴時の使用ばかりではなく、その形状や内容物から、購入者は「におい袋」的な使用も実施しており、枕の下に置いたりして吸香を楽しんでいるのが現実である。浴剤ではないかとの指摘であるが「剤」とは薬であり、「医薬部外品」の表示も出来ていない。
 したがって、指定商品「薫料」に属することは、明らかである。
(2)本件の商品は「品質を保つため店舗販売をして居りません」と表示してある。品質が一定せず、大量生産はできない製品である。
 また、購入者に納得して頂かなければならない商品である。このことから、販売エリアにおいても、数量においても限定され、個人宛販売であり、現金販売の小規模経営となっている。
 この事から領収書フォームをはじめ、全てが市販の既製品を利用して決算を行っている。
 乙第4号証から乙第10号証までのもので証明力はあると考える。領収書(控)に記載人物と証明者が同一であるかとの事であるが、必要であれば改めて印鑑証明書つきの本人の確認書を頂くことは可能であるかとも考えられる。
 なお、あらたに本件商標の使用の事実として、イベント時に販売促進用として製作した、商標の使用者「株式会社北一」、商標名「緑の香り」が記載されている暖簾(乙第13号証)、及び製作依頼の会社発行、領収書、請求書には商標使用者「株式会社北一」、商標名「緑の香り」、「発行期日平成16年5月31日」が記載されている(乙第14号証)を添付する。
 
第4 当審の判断
1 請求の趣旨について
 請求人は、審判請求書の「請求の趣旨」において、本件商標は、その指定商品中「薫料及びこれに類似する商品」についての登録の取消しを求めていたが、該記載中の「及びこれに類似する商品」は、請求の趣旨として不明確なものである。
 そこで、審判長より請求人に対し、「『及びこれに類似する商品』とは、いかなる指定商品を取消しの対象とするのかについて、客観的で明確になるよ釈明されたい。」旨及び「『請求の趣旨』について、取消し対象指定商品「『「薫料及びこれに類似する商品』を『薫料』とする補正をされたい。」旨の審尋を2回発したところ、請求人より、「請求の趣旨」を「商標法第50条第1項の規定により登録第2673331号商標は、その指定商品中『薫料』についてその登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」とする手続補正書及び回答書が提出されたものである。
 そして、前記手続補正書により、明確でなかった「及びこれに類似する商品」を削除したことにより、取消しの対象とする指定商品が客観的で明確なものとなったものと認められる。
 これに基づいて、本件商標の商標登録原簿には、平成20年7月31日付けで、請求の趣旨についての職権更正の登録がなされたものである。
 その結果、本件審判の請求は、「薫料」のみについての登録の取消しの請求があったと認められ、以下、これを前提として、審理を進める。
2 商標法第50条第1項に規定された「商標登録の取消しの審判」にあっては、その第2項において、その審判の請求の登録(本件の場合、平成19年8月21日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
3 本件審判において、請求人は、本件商標の使用に係る商品(以下、「使用商品」という。)が請求に係る指定商品「薫料」に含まれない旨主張するので、この点について検討する。 
(1)被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第3号証によれば、以下の事実が認められる。 
 ア 乙第1号証は、使用商品の外袋の写真である。この写真の右側には、その上段から下段にかけて「お風呂で森林浴」「緑の香り」「100%天然」「自然植物葉七種類配合」「みどりの香りは、光合成によって植物だけが作ることの出来る脂肪酸と酵素の成分です。この物質は動物の生命の働らきにとって無くてはならない重要なもので殺菌効果など美容や健康に優れた効果があります。天然の緑葉のさわやかな香りにつつまれて、植物の多様な神秘な力と自然の中で生かされているやすらぎを味わい下さい。」「商標登録第2673331号」「切り口」と記載されている。
 また、同写真の左側には、その上段から下段にかけて「GREEN ODOUR BATH」「ご使用方法」「●家庭用浴槽に1包をパックのままお入れ下さい。」「●70℃以上の熱湯に入れるか長時間浸して下さい。」「●パックを揉みほぐし、緑葉の成分を抽出して下さい。」「●香気を楽しみ、時間をかけて御入浴下さい。」「●水道水の成分(鉄分等)により色の濃度が異なります。」「●本品は浴用です。食用としての御使用はさけて下さい。」「●身体に異常があるときは御使用をおやめ下さい」「品質を保つため店舗販売をして居りません」「株式会社北一」「本社 北海道札幌郡北広島市高台町5丁目8-4」「011-373-5411」「工場 北海道寿都郡黒松内町字黒松内」「0136-72-3253」と記載されている。
 イ 乙第2号証は、前記アの外袋に使用商品を挿入した写真である。
 ウ 乙第3号証は、前記アの外袋に使用商品を挿入したもの、及び大袋の写真である。この写真の中央側の大袋には、その上段から下段にかけて「自然のやすらぎ」「緑の香り」「商標登録許可第2673331号」「株式会社北一」「本社 北海道札幌郡北広島市高台町5丁目8-4」「011-373-5411」「工場 北海道寿都郡黒松内町字黒松内」「0136-72-3253」と記載されている。
(2)上記乙第1号証ないし乙第3号証を徴するに、使用商品の外袋に本件商標と社会通念上同一と認められる「緑の香り」の文字が認められるものの、使用商品の使用方法について、「家庭用浴槽に1包をパックのままお入れ下さい。」「時間をかけて御入浴下さい。」「本品は浴用です。」と記載され、また、成分の説明として、「みどりの香りは、光合成によって植物だけが作ることの出来る脂肪酸と酵素の成分です。この物質は動物の生命の働らきにとって無くてはならない重要なもので殺菌効果など美容や健康に優れた効果があります。天然の緑葉のさわやかな香りにつつまれて、植物の多様な神秘な力と自然の中で生かされているやすらぎを味わい下さい。」と記載されていることからすると、使用商品は、浴用を主目的とするものと認められる。
 一方、本件審判請求に係る商品「薫料」は、特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準〔国際分類第8版対応〕」における「薫料」の下位に「吸香 薫香 線香 におい袋」が記載されている。これらの商品「吸香 薫香 線香 におい袋」は、芳香を発することを主目的とするものである(商品及び役務の区分解説〔国際分類第8版対応〕【特許庁商標課編】)。
 そうすると、使用商品と請求に係るその指定商品「薫料」とは、商品の主目的を異にする商品であることは明らかである。 
 したがって、使用商品は、請求に係るその指定商品中「薫料」の範疇に属するとは認め難いというべきである。
4 むすび 
 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係るその指定商品中「薫料」について本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「薫料」について、取り消すべきものとする。 
 よって、結論のとおり審決する。 
【審理終結日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【結審通知日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【審決日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【審判長】 【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】小畑 恵一
【特許庁審判官】杉山 和江

(210)【出願番号】商願平3-109873
(220)【出願日】平成3年10月24日(1991.10.24)
(260)【公告番号】商公平5-95901
(442)【公告日】平成5年9月3日(1993.9.3)
(111)【登録番号】商標登録第2673331号(T2673331)
(151)【登録日】平成6年6月29日(1994.6.29)
(561)【商標の称呼】ミドリノカオリ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】矢澤 一幸



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