2009年1月20日火曜日

異議2008-900101

【管理番号】第1187760号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標決定公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】異議の決定
【異議申立番号】異議2008-900101(T2008-900101/J7)
【異議申立日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【確定日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【審決分類】
T1652.262-Y  (Y2124)
【異議申立件数】1
(732)【権利者】
【氏名又は名称】任天堂株式会社
【住所又は居所】京都府京都市南区上鳥羽鉾立町11番地1
【異議申立人】
【氏名又は名称】フレデリック・ペリゴ
【住所又は居所】フランス国、75008 パリ、リュ・ショボー・ラガルデ、4
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 莞司
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 宗也
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 邦子
【事件の表示】
 登録第5095795号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
【結 論】
 登録第5095795号商標の商標登録を維持する。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第5095795号商標(以下「本件商標」という。)は、「ぺりこ」の文字を標準文字で書してなり、平成18年11月1日に登録出願、第9類、第14類、第16類、第21類、第24類、第26類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年11月30日に設定登録されたものである。
 
2 引用商標
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4206766号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成9年2月27日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年10月30日に設定登録され、その後、平成20年9月2日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第4374259号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PERIGOT」の文字を標準文字で書してなり、平成11年5月19日に登録出願、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年4月7日に設定登録されたものである。
(引用商標1及び2をまとめていうときは、以下単に「引用商標」という。)
 
3 登録異議の申立ての理由の要点
 本件商標は、その構成文字より「ペリコ」の称呼が生ずる。これに対し、引用商標は、その周知・著名性を考慮すれば、「ペリゴ」の称呼が生じるものである。
 そして、本件商標より生ずる「ペリコ」の称呼と引用商標より生ずる「ペリゴ」の称呼は、清音「コ」と濁音「ゴ」の微差にすぎないものであるから、これらを全体として称呼したときは、互いに紛れるおそれがある。
 したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標であって、その指定商品も「お守り,おみくじ」を除いた第21類及び第24類に属する商品は互いに抵触する。
 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、「お守り,おみくじ」を除いた第21類及び第24類に属する商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
 
4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標の類否について
 本件商標は、前記1のとおり、「ぺりこ」の文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して、「ペリコ」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものと認められる。
 これに対し、引用商標1は、別掲のとおり、「FREDERIC PERIGOT」(「E」には、いずれもアクサンテギューが付されている。以下同じ。)の文字を書してなるものであるところ、該文字は、「FREDERIC」と「PERIGOT」の各文字の間に1字程度の間隔があるとしても、同一の書体をもって同一の大きさで、外観上まとまりよく表されているものである。また、該文字が我が国で比較的親しまれている英語よりなるものではないとしても、前半部分の「FREDERIC」の文字部分が、「フレデリック」と発音され、男性の名前として我が国においてもよく知られている英語の「Frederick」と近似しているところから、構成全体が人名を表したと理解されるものといえる。してみると、引用商標1は、外観及び観念上からみて、構成文字全体をもって一体不可分の商標を表したと認識されるとみるのが相当である。そして、引用商標1から生ずる自然の称呼は、これを英語風に読んだ場合の「フレデリックペリゴット」であるということができる。
 そして、引用商標2についても、引用商標1と同様の理由により、これより生ずる自然の称呼は、「ペリゴット」であるといわなければならない。
 この点に関し、申立人は、同人はフランスのデザイナーであり、1995年に「ペリゴブランド」を創設し、フランスを中心とするヨーロッパをはじめ、我が国においても人気ブランドとして親しまれているものであるから、引用商標から「ペリゴ」の称呼が生ずる旨主張し、甲第4号証ないし甲第16号証を提出する。
 しかしながら、申立人が提出した証拠中、本件商標の登録査定時までに我が国において発行されたと明確に確認し得るものは、甲第12号証ないし甲第14号証のみであり、これらの証拠のみをもってしては、少なくとも本件商標の査定時において、「FREDERIC PERIGOT」又は「PERIGOT」が「フレデリックペリゴ」又は「ペリゴ」と称呼されて、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることは困難であるといわざるを得ない。
 したがって、本件商標の査定時における我が国の需要者が引用商標に接した場合において、前記認定のとおり、引用商標1より生ずる自然の称呼は、「フレデリックペリゴット」であり、引用商標2より生ずる自然の称呼は、「ペリゴット」であるというべきである。
 そうすると、本件商標より生ずる「ペリコ」の称呼と引用商標より生ずる「フレデリックペリゴット」又は「ペリゴット」の称呼は、構成する音数において著しい差異を有するものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、その語調、語感が相違したものとなり、明瞭に聴別し得るものである。
 また、本件商標は、前記認定のとおり、造語よりなるものであるから、観念上、引用商標とは比較することができない。
 さらに、本件商標と引用商標は、それぞれ前記した構成よりみて、外観上区別し得るものである。
 したがって、本件商標と引用商標は、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)むすび
 以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。 
【異議決定日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】小畑 恵一
【特許庁審判官】杉山 和江

 
 別掲
 



 
 

(210)【出願番号】商願2006-101666(T2006-101666)
(220)【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
(541)【標準文字】
(111)【登録番号】商標登録第5095795号(T5095795)
(151)【登録日】平成19年11月30日(2007.11.30)
(561)【商標の称呼】ペリコ
【最終処分】維持
【前審関与審査官】大橋 信彦、久我 敬史、久保田 正文

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