2009年1月30日金曜日

取消2007-301753

【管理番号】第1187663号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301753(T2007-301753/J2)
【審判請求日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【確定日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【審決分類】
T132 .1  -Z  (Y10)
【請求人】
【氏名又は名称】株式会社バンインターナショナル
【住所又は居所】埼玉県越谷市南越谷1丁目4番75号
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
【被請求人】
【氏名又は名称】渡邊 秀樹
【住所又は居所】茨城県真壁郡真壁町塙世282―4
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4787576号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 登録第4787576号商標の指定商品中「医療用機械器具,治療用機械器具」については、その登録は取り消す。
 審判費用は、被請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4787576号商標(以下「本件商標」という。)は、「エステキャップ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成15年11月20日に登録出願、第10類「おしゃぶり,避妊用具,人工鼓膜用材料,医療用機械器具,治療用機械器具,医療用手袋,しびん,耳かき」を指定商品として同16年7月16日に設定登録されたものである。
 
2 請求人の主張の要点
 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由次のように述べている。
 本件商標は、その指定商品中の「医療用機械器具,治療用機械器具」について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用していない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
 
3 被請求人の主張の要点
 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
 被請求人は、「I・C・つくばCo.,Ltd」の名称(営業表示)をもって、乙第1号証ないし乙第15号証(代金引換送付伝票)に示すとおり、「医療用機械器具、治療用機械器具」等の販売を行なっている。
 被請求人の商品「エステキャップ」は、乙第16号証(エステキャップの説明書)及び乙第17号証ないし乙第20号証(I・C・つくば YAHOO!ショッピングのホームページ)から、「医療用機械器具、治療用機械器具」に含まれる商品であることは明らかである。
 以上のとおり、本件商標「エステキャップ」は、継続して3年以上使用されているので、答弁の趣旨とおりの審決を求める。
 
4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証ないし乙第15号証は、いずれも、商品を発送した際に、依頼主に交付される商品送付伝票の控と認められるものである。これらには、平成18年3月30日から同19年11月4日にかけての日付があり、ご依頼主の欄には、乙第3号証及び乙第4号証に「渡邉秀樹」とあるほかは、「I・C・つくばCo.,Ltd」とあり、お届け先の欄には、美容室や個人名が記載されており、品名の欄には「エステキャップ」、「遠赤外線エステキャップ」、「ヘアーエステキャップ」あるいは「遠赤外線エステキャップ ユメのクロカミシャンプー セット」等の商品名が記載されている。
(イ)乙第16号証は、「I・C・TSUKUBA CO.,LTD」の発行に係る「エステキャップ」の説明書と認められるものであり、「美しい髪と肌をつくる遠赤外線のニューエステ」の表題のもとに、「エステキャップ新発明!!/入浴時・15~20分かぶって使用するホームエステ/髪とお肌と首すじを同時にイキイキ」と記載されており、「エステキャップの特徴」の欄には「美しく健康的なヘアー&フェイスケア」として「遠赤外線の温熱作用が細胞の新陳代謝をうながし、美しい髪、美しいお肌づくりが同時にできます。」と記載されている。また、「エステキャップの構造」の欄には、「キャップはセラミックを2重の完全防水ビニール素材で包んでいます。」とあり、「エステキャップの入浴時ご使用法」の欄には、例えば、「ヘアケア」の場合には「(1)抜け毛、薄毛、白髪の方は毎日、育毛剤をつけて、マッサージしてキャップをかぶります。(2)湯舟につかって温まったり、身体を洗ったりして15分~20分でキャップをはずし髪をすすいでください。これでヘアケアはOKです。」等と記載されている。
(ウ)乙第17号証ないし乙第20号証は、いずれも、「I・C・つくば YAHOO!ショッピングのホームページ」であり、「遠赤外線ヘアーエステキャップ」や「遠赤外線膝エステキャップ」の商品紹介が記載されている。「遠赤外線ヘアーエステキャップ」については、「『真似できない』髪と頭皮に遠赤外線を利用した画期的なヘアーエステキャップ」とあり、「毎日の入浴時に遠赤外線エステキャップでお肌と髪対策が同時に出来ます。」等と記載されており、「遠赤外線エステキャップと夢の黒髪シャンプー100mmセット」の商品も紹介されている(乙第19号証)。また、「遠赤外線膝エステキャップ」については、「『真似できない』遠赤外線の発汗法。パジャマの上から巻いて寝るだけ。電気を使わないので安全!安心!」とあり、「遠赤外線を利用した画期的な全身ホット・パッド(エステキャップ)。身体の各部分に巻いて寝るだけで自然にリンパ液や血液運動をサポートします。・・・遠赤外線膝エステキャップは2枚組みになっています。両腕、両足には1枚ずつ巻いて使用し、肩、腰、お腹ダイエット、ウェストには2枚をつなぎ合わせて使用します。また、遠赤外線エステキャップには使い捨てミニカイロを入れるポケットがついています。・・・」等と記載されている(乙第20号証)。 
(2)上記において認定した事実を総合すると、少なくとも、被請求人(渡邉秀樹)は、本件審判の請求の登録(平成20年1月25日)前3年以内の平成18年9月25日及び同年5月14日に(乙第3号証及び乙第4号証)、日本国内において、本件商標を付した「遠赤外線 エステキャップ セット ユメのクロカミシャンプー」と称する商品を個人や美容室に対して販売していたものと認めることができる。
 なお、被請求人は、「I・C・つくばCo.,Ltd」の名称(営業表示)で販売を行っている旨述べているところ、この「I・C・つくばCo.,Ltd」がいかなる組織の法人であるのか定かではないが、乙第3号証及び乙第4号証には、依頼主の住所欄に「I・C・つくばCo」とあり、名前の欄に「渡邉秀樹」と記載されていることからみて、商標権者(渡邉秀樹)は、「I・C・つくばCo.,Ltd」に対して、本商標権についての通常使用権を許諾していたものと推認するのが相当であり、そのように解した場合には、被請求人(渡邉秀樹)及び被請求人の通常使用権者と推認し得るI・C・つくばCo.,Ltdは、乙第1号証ないし乙第15号証により、本件審判の請求の登録日前3年以内の平成18年3月30日から同19年11月4日にかけて、日本国内において、本件商標を付した「(遠赤外線)ヘアーエステキャップ」と称する商品を美容室や個人に対して販売していたものということができる。
(3)しかしながら、上記商品は、取消しの請求に係る第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」の範疇に属する商品とは認められない。
 第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」は、特許庁商標課編集、社団法人発明協会発行の「商品及び役務区分解説[国際分類第8版対応]」によれば、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する」と記載されているように、医師あるいは看護師等によって医療・治療のために用いられる機械器具がこの概念に属するものである。しかるに、被請求人の業務に係る「(遠赤外線)エステキャップ」なる商品は、乙第16号証ないし乙第19号証によれば、入浴時に頭にかぶり、遠赤外線による温熱作用を利用して細胞の新陳代謝を促し、美しい髪、美しいお肌づくりが同時にできる効果があるとしているものであって(「遠赤外線エステキャップと夢の黒髪シャンプー100mmセット」なる商品も同時に宣伝・販売されている。)、このような使用方法は、医療機関において、医師等の指導・処方によって使用されるものとはなっておらず、しかも、その使用によって得られる効果にしても、使用者に対する医療・治療の効果とはいい難いものであり、医療用の効果があることも全く説明されていない。
 してみれば、「(遠赤外線)エステキャップ」なる商品は、使用者個人が個人的に家庭において入浴時に使用する美容器具の類に属する商品というべきものであって、第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」の範疇に属する商品とは認められない。このことは、乙第1号証ないし乙第15号証によるゆうパック伝票のお届け先を見ても、医療機関とは全く関係がないと思われる個人や美容室に対し送付されていることからも首肯し得るものである。
 また、乙第20号証のI・C・つくば YAHOO!ショッピングのホームページに記載されている「遠赤外線膝エステキャップ」と称する商品も、遠赤外線の温熱作用を利用して発汗を促進させることを目的とした商品であり(使い捨てミニカイロを入れるポケットがついている旨の記載もある)、家庭において用いるいわゆる健康器具の類に属する商品というべきものであって、第10類の「医療用機械器具,治療用機械器具」の範疇に属する商品とは認められないものである。
 そして、他に、上記各商品が「医療用機械器具,治療用機械器具」として取引されていたと認めるに足る証拠は提出されていない。
(4)してみれば、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品「医療用機械器具,治療用機械器具」について使用されていなかったものといわなければならない。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「医療用機械器具,治療用機械器具」について取り消すべきものとする。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【結審通知日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【審決日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【審判長】 【特許庁審判官】林 二郎
【特許庁審判官】小畑 恵一
【特許庁審判官】杉山 和江

(210)【出願番号】商願2003-103109(T2003-103109)
(220)【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
(111)【登録番号】商標登録第4787576号(T4787576)
(151)【登録日】平成16年7月16日(2004.7.16)
(561)【商標の称呼】エステキャップ、キャップ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】大島 勉


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