2009年1月20日火曜日

異議2007-900456

【管理番号】第1187738号
【総通号数】第108号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標決定公報
【発行日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【種別】異議の決定
【異議申立番号】異議2007-900456(T2007-900456/J7)
【異議申立日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【確定日】平成20年10月13日(2008.10.13)
【審決分類】
T1651.262-Z  (Y25)
T1651.263-Z  (Y25)
【異議申立件数】1
(732)【権利者】
【氏名又は名称】株式会社クリスタルコーポレーション
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区下末吉四丁目9番16号
【異議申立人】
【氏名又は名称】プラティパス・ウェア・インコーポレーテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国、ネバダ89074、ヘンダーソン、スイート200、エヌ・グリーン・ヴァレイ・パークウェイ701
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】向江 正幸
【事件の表示】
 登録第5056288号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
【結 論】
 登録第5056288号商標の商標登録を取り消す。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第5056288号商標(以下「本件商標」という。)は、「THE BAD BOY CONNECTION」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年12月20日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同19年6月22日に設定登録されたものである。
 
2 引用商標
(1)登録第4078339号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成7年9月20日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を指定商品として、同9年11月7日に設定登録されたものである。
(2)登録第4954446号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成14年7月17日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同18年5月19日に設定登録されたものである。
(3)登録第5054535号商標(以下「引用商標3」という。)は、「BAD BOY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年6月5日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」及び第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年6月15日に設定登録されたものである。
 
3 登録異議の申立ての理由(要点)
 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし同第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
 本件商標は、申立人の所有に係る引用商標3と類似であって、その指定商品と同一又は類似の商品について使用される商標である。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
 申立人の所有に係る引用商標2及び同3並びに他の登録商標(登録第1737377号及び同第4240174号)は、申立人の商標として広く一般に知られている(甲第6号証ないし同第12号証)から、これを構成中に含む本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。
 
4 取消理由通知
 当審において、平成20年6月19日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)申立人の使用に係る「BAD BOY」商標の周知性について
 申立人提出の証拠によって、以下の事実が認められる。
 「BAD BOY」「Bad boy」ブランドは、1982年にアメリカ・カリフォルニア州で誕生したストリート系のアメリカンカジュアルファッションブランドであり、もともとはサーフブランドとして発足したものであるが、サーフィン系全般、モータースポーツなどのスポーツ界、格闘技界、音楽界などに協賛しファンを広げ、オーストラリア、ブラジル、ヨーロッパ、南アフリカ、そして日本と展開してきた。その取扱商品も衣服はもちろん、バッグ、財布、帽子、靴、サングラス、タオル、文房具、ランドセル、水着、自転車、ゴルフ用品など(以下「衣服等」という。)幅広く手がけている(甲第6号証)。
 日本においては、「有限会社バッドボーイジャパン」が日本国内における「BAD BOY」ブランド使用に関するライセンス契約を結び、それに基づいたブランドの展開・運営・管理を少なくとも2002年から行っており、2002年から2006年まで、取扱商品の種類も増加傾向にあり、毎年50億円以上の売上をあげていることが認められる。また、申立人が、若者に興味を惹くイベントを数多く開催するとともに、ゴールデンタイムに全国放送されるK-1(格闘技)イベントのスポンサーになるなど、宣伝広告効果の大きい放送メディアを利用したり、雑誌等においても盛んに広告したことが認められる。なお、それらには、引用商標2と同一の構成からなる商標、引用商標3と同一の綴りからなる商標及び「バッドボーイ」の文字(以下、これらを「引用使用商標」という。)が表示されている。(甲第7号証(枝番号を含む。)、同第8号証ないし同第12号証)
 上記証拠によれば、引用使用商標は「衣服等」に使用された結果、申立人の業務に係る商品を表すものとして、少なくとも本件の指定商品の分野の取引者・需要者の間に広く知られるに至っているものと認められる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
 本件商標は、前記したとおり、「THE BAD BOY CONNECTION」の欧文字を書してなるところ、その構成全体に相応して「ザバッドボーイコネクション」の称呼が生ずるものであるが、その称呼は冗長なものといえるものである。そして、その構成中「THE」の文字は英語の定冠詞であり、「BAD BOY」の文字は「不品行な少年」又は「(道徳・芸術上の)時代の反逆児」の意味を有し、「CONNECTION」の文字は「つなぐこと,接続,結合,関係」等の意味を有する語であるから、本件商標全体として特定の意味合いを有する成語ないしは熟語であるとは必ずしも認められるものではなく、上記のそれぞれの文字の結合の度合いは、さほど強いものとは言えないものである。
 しかして、本件商標構成中の「BAD BOY」の文字部分は、上記したとおり、我が国においても広く知られている引用使用商標と同一の構成又は同一の綴りよりなるものであり、また、その称呼を同一にするものである。
 そうとすれば、本件商標がその指定商品について使用されたときには、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「BAD BOY」の文字部分に強い印象を受け、これに注目するであろうことは容易に想像し得るところである。
 してみれば、本件商標は、その構成全体から「ザバッドボーイコネクション」の称呼を生ずるとともに、「BAD BOY」の文字部分から、単に「バッドボーイ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
 他方、前記したとおり、引用商標1及び同2は、それぞれやや図案化されているものの「Bad boy」の欧文字を書してなるものと認識できるものであり、引用商標3は「BAD BOY」の欧文字を書してなるものであるから、該構成文字に相応して、いずれからも「バッドボーイ」の称呼を生ずるものと認められる。
 そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、「バッドボーイ」の称呼を共通にする類似の商標である。
 また、本件商標及び引用各商標は、それぞれ「BAD BOY」又は「Bad boy」の文字部分に相応して、「不品行な少年」又は「(道徳・芸術上の)時代の反逆児」程の観念が生じるものであり、この点においても類似するものといわざるを得ない。
 そして、本件商標の指定商品は、引用各商標の指定商品と同一又は類似するものである。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
 
5 商標権者の意見
 上記4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。
 
6 当審の判断
 本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録したといわざるを得ないから、他の申立の理由について判断するまでもなく、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
 よって、結論のとおり決定する。
【異議決定日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【審判長】 【特許庁審判官】渡邉 健司
【特許庁審判官】鈴木 修
【特許庁審判官】酒井 福造

<別掲>
(1)引用商標1



 
(2)引用商標2


(210)【出願番号】商願2006-117621(T2006-117621)
(220)【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
(111)【登録番号】商標登録第5056288号(T5056288)
(151)【登録日】平成19年6月22日(2007.6.22)
(561)【商標の称呼】ザバッドボーイコネクション、バッドボーイコネクション、バッドボーイ、ザバッドボーイ
【最終処分】取消
【前審関与審査官】山田 忠司

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