2008年12月5日金曜日

取消2007-301591

【管理番号】第1184456号
【総通号数】第106号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【種別】商標取消の審決
【審判番号】取消2007-301591(T2007-301591/J2)
【審判請求日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【確定日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【審決分類】
T132 .1  -Y  (Z31)
【請求人】
【氏名又は名称】園部 祐介
【住所又は居所】愛知県名古屋市名東区猪高台2丁目501番地の1
【被請求人】
【氏名又は名称】株式会社アグリス
【住所又は居所】福岡県縉女市大字鵜池477番地の1
【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三郎
【事件の表示】
 上記当事者間の登録第4601321号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 本件審判の請求は、成り立たない。
 審判費用は、請求人の負担とする。
【理 由】
1 本件商標
 本件登録第4601321号商標(以下「本件商標」という。)は、「aglis」の欧文字を表してなり、平成13年6月4日に登録出願、第17類「ゴム,糸ゴム及び被覆ゴム糸(織物用のものを除く。),ゴム製又はバルカンファイバー製の座金及びワッシャー,ゴム製又はバルカンファイバー製のバルブ(機械要素に当たるものを除く。),ゴムひも,石綿ひも,ゴム製栓,ゴム製ふた,ゴム製包装用容器,プラスチック基礎製品,化学繊維(織物用のものを除く。),化学繊維糸(織物用のものを除く。),雲母,岩石繊維,鉱さい綿,石綿,石綿網,石綿糸,石綿の板,石綿の粉,オイルフェンス,ガスケット,管継ぎ手(金属製のものを除く。),消防用ホース,石綿製防火幕,蹄鉄(金属製のものを除く。),農業用プラスチックフィルム,パッキング,防音材(建築用のものを除く。)及び第31類「あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,うるしの実,コプラ,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,飼料,釣り用餌,果実,野菜,糖料作物,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,生花の花輪,飼料用たんぱく」を指定商品として、同14年9月6日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
 また、本件審判の請求の登録日は、平成19年12月25日である。
  
2 請求人の主張の要点
 請求人は、「本件商標の指定商品中、第31類『あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,うるしの実,コプラ,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,飼料,釣り用餌,果実,野菜,糖料作物,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,生花の花輪,飼料用たんぱく』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、その登録は、商標法第50条第1項により、取り消されるべきである旨主張している。
  
3 被請求人の答弁の要点
 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標権者は、指定商品中「いちご苗」について本件商標を使用している。
(2)乙第1号証の1は、2007年(平成19年)3月8日付けの「熊本宇城農業協同組合グリーンセンター富合」へ「いちご苗」を納品した際の「納品書(控)」であり、右上に本件商標及び商標権者の名称・住所等が表示されているとともに、品名の欄には「いちご苗 紅ほっぺ」、数量欄と備考欄には「375.000((注)375本のこと。以下同様)」「藤吉正一様分」、「125.000」「一野信博様分」、「375.000」「渡辺俊一様分」と記載されている。本件商標の使用事実を示す取引書類である。
(3)乙第1号証の2は、同じく2007年(平成19年)3月8日付けの熊本宇城農業協同組合グリーンセンター富合が商標権者からいちご苗の納品を受けた際の「受領書」であり、乙第1号証の1に対応する本件商標が使用されている取引書類である。右上に本件商標及び商標権者の名称・住所等が表示されており、品名の欄には「いちご苗 紅ほっぺ」「藤吉正一様375本」「一野信博様125本」「渡辺俊一様375本」と記載されている。また、備考欄には、受領者でかつ苗購入者である藤吉正一氏の手書きの受取署名がある。この場合、取引はグリーンセンター富合経由であるが、実際の納品はいちご苗購入者へ直接行われたことを示している。納品担当者は権利者従業員「椿原」である。
 このように、本件商標はイチゴ苗の取引伝票に表示され、商標として使用されている。
(4)乙第2号証の1は、2007年(平成19年)3月9日付けの「阿蘇農業協同組合グリーンショップやまびこ」へ「いちご苗」を納品した際の「納品書(控)」であり、右上に本件商標及び商標権者の名称・住所等が表示されているとともに、品名の欄には「いちご苗 紅ほっぺ」、数量欄と備考欄には「20.000」「小井手のぶお様」、「20.000」「大倉とみひろ様」、「50.000」「石松のぶや様分」、「30.000」「大津功様分」と記載されている。
(5)乙第2号証の2は、同じく2007年(平成19年)3月9日付けの阿蘇農業協同組合グリーンショップやまびこが商標権者からいちご苗の納品を受けた際の「受領書」であり、乙第2号証の1に対応するものである。右上に本件商標及び商標権者の名称・住所等が表示されおり、品名欄には「いちご苗 紅ほっぺ」、数量欄には「20(小井手のぶお様)」、「20(大倉とみひろ様)」、「50(石松のぶや様)」、「38(大津功様)」と記載されている。また、品名欄の中央には、受領者である阿蘇農業協同組合職員の古閑氏(古閑誠幸氏)の手書きの受取署名がある。この場合、取引とともに納品もグリーンショップやまびこへ行っていることを示している。納品担当者は権利者従業員「佐々木」である。なお、大津功に対する本数については、納品書で取引としては30本であるが、実際の納品は38本行われたことが示されている。
 このように、本件商標はイチゴ苗の取引伝票に表示され、商標として使用されており、乙第1号証と同様である。
(6)乙第3号証は、商標権者が「イチゴ苗」の宣伝、販売のために作成し、農園芸業者に配布しているチラシである。毎年12月から5月の間、2006年(平成18年)12月から2007年(平成19年)5月の間にも取引先、農園芸者などに配布したものである。中央上部に本件商標の記載があり、本件審判請求の指定商品の一である「イチゴ苗」の記載があり、イチゴ苗の写真も掲載され、品種も記載されている。また、下部には商標権者の名称「株式会社アグリス」などが表示されている。
(7)乙第4号証は、JA阿蘇やまびこ(阿蘇農業協同組合グリーンショップやまびこ)販売課古閑誠幸氏が、平成19年1月24日開催のイチゴ栽培に関する会合において乙第3号証のチラシの配布を受けたこと及び乙第2号証の2の受領書に受取署名したことを証明するものであり、古閑誠幸氏本人作成の証明書である。
(8)むすび
 以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により指定商品中「いちご苗」について使用していることが明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求める。
   
4 請求人の弁駁
 請求人は、被請求人の答弁に対し弁駁していない。
5 当審の判断
(1)乙第1号証及び乙第3号証(枝番号を含む。)によれば、以下の事実が認められる。
 ア 乙第1号証の1は、商標権者が2007年(平成19年)3月8日付けで「熊本宇城農業協同組合グリーンセンター富合」へ「いちごの苗」を納品した際の「納品書(控)」と認められるところ、右上に本件商標と社会通念上同一と認められる商標及び商標権者の名称・住所等が表示されているとともに、商品名欄には「いちご苗 紅ほっぺ」、数量欄には取引された数量、備考欄には実際の配布先が記載されている。
 イ 乙第1号証の2は、熊本宇城農業協同組合グリーンセンター富合が、2007年(平成19年)3月8日付けで商標権者から「いちごの苗」の納品を受けた際の「受領書」と認められるところ、右上に本件商標と社会通念上同一と認められる商標及び商標権者の名称・住所等が表示されており、品名欄には「いちご苗 紅ほっぺ」「藤吉正一様375本」「一野信博様125本」「渡辺俊一様375本」と記載されている。また、備考欄には、受領者でかつ苗購入者である藤吉正一氏の手書きの受取署名がある。
 ウ 乙第3号証は、商標権者が「いちごの苗」の宣伝、販売のために作成したチラシと認められるところ、中央上部に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が記載され、本件審判の請求に係る指定商品中の「苗」に属するものと認められる「イチゴ苗」の文字が記載され、いちごの苗の写真も掲載され、その品種「紅ほっぺ」の文字も記載されている。また、下部には商標権者の名称「株式会社アグリス」、住所及び電話番号等が表示されている。
(2)してみれば、本件商標の商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、指定商品「いちごの苗」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができる。
 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審理終結日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【結審通知日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【審決日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【審判長】 【特許庁審判官】渡邉 健司
【特許庁審判官】馬場 秀敏
【特許庁審判官】杉山 和江

(210)【出願番号】商願2001-50240(T2001-50240)
(220)【出願日】平成13年6月4日(2001.6.4)
(111)【登録番号】商標登録第4601321号(T4601321)
(151)【登録日】平成14年9月6日(2002.9.6)
(561)【商標の称呼】アグリス、エグリス
【最終処分】不成立
【前審関与審査官】福田 洋子  

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