2008年12月15日月曜日

不服2008-10881

【管理番号】第1186175号
【総通号数】第107号
(190)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】商標審決公報
【発行日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2008-10881(T2008-10881/J1)
【審判請求日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【確定日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【審決分類】
T18  .13 -WY (X19)
T18  .272-WY (X19)
【請求人】
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区西天満2丁目4番4号
【事件の表示】
 商願2007- 33802拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
【結 論】
 原査定を取り消す。
 本願商標は、登録すべきものとする。
【理 由】
1 本願商標
 本願商標は、「セイフティポスト」の片仮名文字と「SAFETYPOST」の欧文字とを二段に横書きしてなり、第19類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成19年4月6日に登録出願され、その後、指定商品については、同20年1月21日付け手続補正書により、第19類「合成樹脂製境界柱,道路標識(金属製又は発光式若しくは機械式のものを除く。)」に補正されたものである。
 
2 原査定の拒絶の理由
 原査定は、「本願商標は、指定商品との関係において、『安全支柱 safety post safety prop(鉱山)切羽付近に置かれた木材、鉱夫を保護する(マグローヒル科学技術用語大辞典参照)』や『視線誘導標 delineator; safety post 車線の側方に沿って、路端および道路線形を明示し、昼間および夜間における車両の運転者の視線誘導を行うために設置する施設(土木用語大辞典)』などの意として使用され、『視線誘導標設置基準・同解説』によれば、『視線誘導標(デリニエーター) 反射体の形状が丸型で直径が70~100mmでメタクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂製。裏側は密閉で水やごみが入らない構造。反射器を所定の高さに固定できる構造。』と記載されていることから、本願商標をその指定商品中、例えば『安全支柱用に使用される木材、合成樹脂製境界柱など視線誘導標(デリニエーター)として使用するための商品』について使用するときは、単に、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、 商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
 
3 当審の判断
 本願商標は、前記1のとおり、「SAFETYPOST」の欧文字及び該欧文字の表音と認め得る「セイフティポスト」の片仮名文字をそれぞれまとまりよく一連に書してなるところ、その全体より生ずる「セイフティポスト」の称呼も、一気に淀みなく称呼し得るものであるから、取引者、需要者をして、一体不可分のものとして認識、把握させるものとみるのが自然といえる。
 ところで、原審説示によれば、「マグローヒル科学技術用語大辞典」及び「土木用語大辞典」において「safety post」の文字が、それぞれ「安全支柱」及び「視線誘導標」の項目に記載されていることを拒絶の理由として引用しているところ、「マグローヒル科学技術用語大辞典」における引用例は、鉱山において用いられる「安全支柱」を指称するものであって、補正後の本願指定商品には含まれていないものである。
 また、「視線誘導標」は、「車線の側方に沿って、道端および道路線形を明示し、昼間および夜間における車両の運転者の視線誘導を行うために設置する施設」(土木用語大辞典)を指称するものであって、補正後の本願指定商品には含まれないものである。
 すなわち、本願指定商品中の「道路標識」は、「道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図るために、規制または指示を表示する標示板。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」)を意味し、具体的には「案内標識,警戒標識,規制標識,指示標識」からなる「本標識」と本標識に付いてその適用区間や時間帯等を示して意味を補う「補助標識」の標識からなる(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 昭和35年12月17日総理府・建設省令第3号)標示板であると解されるところ、「視線誘導標」は前記のとおり、車両の運転者の視線誘導を行うための施設であって、規制または指示を表示する標示板とは異なるものというべきである。
 さらに、視線誘導標に関し、例えば、国土交通省関東地方整備局宇都宮国道事務所の記者発表資料(平成19年3月9日)及び「高速道路における交通事故・違反の実態とその防止対策に関する研究」(自動車安全運転センター 平成元年3月)の14頁において、それぞれ「デリニエーター(視線誘導標)」と記載されていることから、「視線誘導標」は「デリニエーター」と同義の語として使用されていることが認められる。
 そして、当審において調査したが、「視線誘導標」が、「セイフティポスト」又は「SAFETYPOST」と同義の語として、取引上普通に使用されている事実を発見することはできなかった。
 そうすると、「視線誘導標」は、たとえ「土木用語大辞典」に「safety post」の記載があるとしても、むしろ「delineator」の表音である「デリニエーター」の文字をもって、取引に資されているというのが相当である。
 したがって、本願商標からは、直ちに原審説示の如き意味合いを理解、認識するものとは認め難いばかりでなく、原審がその拒絶理由において引用した「マグローヒル科学技術用語大辞典」及び「土木用語大辞典」において、「safety post」の欧文字が使用されていることを認め得るとしても、該使用例によっては、「SAFETYPOST」の文字が、補正後の指定商品において、特定の商品の品質を直接的、かつ、具体的に表すものとして取引者、需要者に認識し把握されているとも認められないから、本願商標は、これをその補正後の指定商品に使用した場合、構成文字全体をもって特定の意味合いを有しない造語として認識されるとみるのが相当である。
 そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が単に商品の品質等を表示するものとして認識するということはできず、自他商品の出所識別標識としての機能を十分に果たし得るものというべきであり、かつ、これをその指定商品中のいずれの商品について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないというべきである。
 したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当ではなく、取消しを免れない。
 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。
【審決日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【審判長】 【特許庁審判官】石田 清
【特許庁審判官】末武 久佳
【特許庁審判官】木村 一弘

(210)【出願番号】商願2007-33802(T2007-33802)
(220)【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
(561)【商標の称呼】セイフティポスト、セーフティポスト、セーフティ
【最終処分】成立
【前審関与審査官】前山 るり子


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